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カッショクペリカン (Pelecanus occidentalis) は、鳥綱ペリカン目ペリカン科ペリカン属に分類される鳥類。
分布
新北区、新熱帯区に生息する。
分類
以下の亜種の分類は、IOC World Bird List (v11.1)に従う[2]。
- Pelecanus occidentalis occidentalis Linnaeus, 1766
- 西インド諸島で繁殖する
- Pelecanus occidentalis califoenincus Ridgway, 1884
- アメリカ合衆国西部からメキシコ西部で繁殖する
- Pelecanus occidentalis carolinensis Gmelin, 1789
- 熱帯アメリカの大西洋岸で繁殖する
- Pelecanus occidentalis murphyi Wetmore, 1945
- コロンビア西部からエクアドルで繁殖する
- Pelecanus occidentalis urinator Wetmore, 1945
- ガラパゴス諸島で繁殖する
形態
全長122cm[4](117 - 132cm[5])、翼開長213cm[4]。ペリカンの中でも最も小さい[6]。体重は3.74kg、雄のほうが大きい[7]。名前の通り、全身を褐色の羽毛に包まれており、白や薄い灰色が多いペリカンの仲間内でも異例である。頭部から頸部の色は白っぽい灰色で、目の周囲に皮膚の裸出部がある。嘴は黒っぽい灰色。繁殖期には頭の部分に黄色い羽毛が生じ、頸椎側の頸の羽毛が濃い栗色になる。
生態
海の上を列をなして飛行し、魚の群れを見つけると空中から水中へ飛び込んで魚をとる(このようなダイナミックな方法で魚を捕らえるペリカンは本種を含め2種のみ[8])。地域によっては漁師の「おこぼれ」を目当てに漁船などに付きまとったり、港に住み着いて人間に餌をねだる個体がいる。繁殖期は一定していない。
人間との関係
分布域が非常に広く生息数も多いと考えられ、2018年の時点で絶滅のおそれは低いと考えられている[1]。過去にはDDTなどによる汚染により卵の殻が割れやすくなり繁殖成功率が低下したことで、生息数が激減した[1]。DDTの規制に伴い生息数が増加し、2018年の時点でも生息数は増加傾向にあると考えられている[1]。一方で釣り糸などに絡まる事故、繁殖地での人間による攪乱、獲物となる魚類の減少などによる影響が懸念されている[1]。
出典