シドニー (Sydney , 英語発音: /ˈsɪdni/ [3] 漢字表記 「悉尼 」「雪梨 」)は、オーストラリア 南東部、タスマン海 に面するニューサウスウェールズ州 の州都 。メルボルン と共にオーストラリアを代表する世界都市 及び金融センター である。
概要 オーストラリア最大の人口を持ち、同国の経済の中心地[4] 。アメリカの不動産会社 JLL が2017年 に発表した世界都市 ランキングにおいて世界16位の都市と評価され、国内で首位であった[5] 。また、A.T. カーニー が2022年に発表した総合的な世界都市ランキングでは世界17位で、国内ではメルボルン に次いだ[6] 。
オセアニア を代表する国際的な観光都市でもあり、海に臨むオペラハウス などが著名で、世界で最も美しいといわれる都市のひとつである。四季もあり一年を通じて比較的温暖な気候で過ごしやすい。世界で最も移住に適した都市 としても同国のメルボルンと共にマーサー やエコノミスト などで挙げられる。
300km 南西に特別区である首都 キャンベラ が所在するが、経済や文化の規模ではシドニーの方が活発であり、世界各国からの玄関口としてのシドニー国際空港もある。それもあってか、シドニーがオーストラリアの首都であると誤解する者も少なくない。2000年 には夏季オリンピック である「シドニーオリンピック 」の開催地となった。
地理 ポート・ジャクソン湾 シドニーの衛星写真 位置 シドニーは、オーストラリア大陸 南東岸のポート・ジャクソン湾 (シドニー港)及びボタニー湾 に面し、カンバーランド又はシドニー盆地と呼ばれる皿状の凹地の東縁に位置する。
オーストラリア全般に見られる人口分布型の一特徴として、少数の大都市及びその周辺に人口が極端に集中することを挙げられる。シドニーの場合、大陸最初の植民地として重要性が高く、港湾や倉庫といったインフラ整備が国内の他都市に先駆けて行われたことに起因している。シドニーは主たる港湾都市として国内経済の中心となったのに伴い、行政の中心ともなった。
地形 シドニーの市街地はポート・ジャクソン湾南岸を起源とし、主たる商工業地区もこの地域一帯に広がる。市街地の大部分は丘陵上に発達し、特に湾に面した地域では、短く急な坂道が多い。シドニーの海岸線は低木の茂る険しい岬及び三日月形の砂浜が交互に連なり、岩石台地、潟湖 、砂嘴 、陸繋島 などが特徴を添えている。
四方は壮大な大自然に囲まれており、東に太平洋 、西にブルーマウンテン山脈 、北にホークスベリ川、南にロイヤル・ナショナルパークがある。多数の入江や海岸も存在し、ボンダイビーチ は特に著名である。市街に面するポート・ジャクソン湾はリアス式海岸 であり、世界最大の天然の入江とされる。近年はシドニーの沿岸に棲息するクジラ やイルカ の数も増え、湾内で出産や滞在をしたり、オペラハウス の真横など湾奥で確認される事も増えてきている。
自然災害である地震 は、人体では感知できない無感地震を除いてほとんど無い。
気候 ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候 (Cfa)に属し、年間平均気温18.2℃、降雨は一年を通じてある。トロピカル・サイクロン を受けることはない。旱魃と森林火災が発生した場合や、反対に嵐や洪水が発生した場合、エルニーニョ・南方振動 の影響を受ける。
冬季は温暖で日中でも15℃前後まで上がる。朝晩は5度以下まで下がることは稀であり、観測史上最低気温は1932年6月22日の2.1 ℃と高い。しかし、内陸部はより冷え込み霜が降りる気温まで下がることもある。夏季は沿岸部では日中でも26度前後、朝晩は18度前後と下がり、温和であるが、内陸部は時に内陸部の砂漠地帯からのフェーン現象 による影響で酷暑となることがあり、シドニー郊外の内陸にあるペンリス では1月の平均最高気温はシドニーより4度も高い30.8℃となっている。近年は、酷暑となることが多くなっており、2018年1月7日の気温は47.3度を記録。1939年に記録した47.8度に次ぐ暑さとなった[7] 。
シドニーの気候 月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年 最高気温記録 °C (°F ) 45.8 (114.4) 42.1 (107.8) 39.8 (103.6) 33.9 (93) 30.0 (86) 26.9 (80.4) 25.9 (78.6) 31.3 (88.3) 34.6 (94.3) 38.2 (100.8) 41.8 (107.2) 42.2 (108) 45.8 (114.4) 平均最高気温 °C (°F ) 25.9 (78.6) 25.8 (78.4) 24.7 (76.5) 22.4 (72.3) 19.4 (66.9) 16.9 (62.4) 16.3 (61.3) 17.8 (64) 20.0 (68) 22.1 (71.8) 23.6 (74.5) 25.2 (77.4) 21.7 (71.1) 平均最低気温 °C (°F ) 18.7 (65.7) 18.8 (65.8) 17.5 (63.5) 14.7 (58.5) 11.5 (52.7) 9.3 (48.7) 8.0 (46.4) 8.9 (48) 11.1 (52) 13.5 (56.3) 15.6 (60.1) 17.5 (63.5) 13.8 (56.8) 最低気温記録 °C (°F ) 10.6 (51.1) 9.6 (49.3) 9.3 (48.7) 7.0 (44.6) 4.4 (39.9) 2.1 (35.8) 2.2 (36) 2.7 (36.9) 4.9 (40.8) 5.7 (42.3) 7.7 (45.9) 9.1 (48.4) 2.1 (35.8) 降水量 mm (inch)101.5 (3.996) 118.7 (4.673) 128.9 (5.075) 125.8 (4.953) 121.1 (4.768) 130.7 (5.146) 97.3 (3.831) 81.2 (3.197) 69.1 (2.72) 77.6 (3.055) 83.1 (3.272) 77.8 (3.063) 1,312.8 (51.685) 出典:Bureau of Meteorology
地域 シドニー郊外にはノースシドニー 、ボンダイ・ジャンクション 、チャッツウッド 、パラマタ などの商業地がある。
シドニー都市圏の自治体 地方自治体 自治体設立日 面積[8] 人口[8] 地図 バラ / 地区 / ミュニシパリティ / シャイア 自治体 km2 マイル 順位 2018 順位 ベイサイド・カウンシル 1871年 1月13日 (シティ・オブ・ロックデール ) 1888年 3月29日 (シティ・オブ・ボタニー・ベイ ) 2016年 9月9日 [9] 50 19 15 174,378 7001120000000000000♠ 12シティ・オブ・ブラックタウン 1906年 3月6日 (ブラックタウン・シャイア) [10] 1979年 3月7日 240 93 8 366,534 7000200000000000000♠ 2バーウッド・カウンシル 1874年 3月27日 [11] 7.1 2.7 29 39,886 7001270000000000000♠ 27カムデン・カウンシル 1889年 2月6日 [12] 201 78 9 94,159 7001210000000000000♠ 21シティ・オブ・キャンベルタウン 1882年 1月21日 [13] 1968年 5月4日 312 120 5 168,139 7001140000000000000♠ 14シティ・オブ・カナダ・ベイ 1883年 8月11日 (コンコード ) [14] 1890年 1月18日 (ドライモン ) 2000年 12月 20 7.7 22 95,159 7001200000000000000♠ 20シティ・オブ・カンタベリー=バンクスタウン 1879年 3月17日 (シティ・オブ・カンタベリー ) 1895年 9月7日 (シティ・オブ・バンクスタウン ) 2016年 5月12日 [15] 110 42 10 373,931 7000100000000000000♠ 1カンバーランド・カウンシル 1872年 7月9日 (シティ・オブ・パラマッタ の一部、オーバーン・シティ 、シティ・オブ・ホルロイド ) 2016年 5月12日 [16] 72 28 14 236,893 7000600000000000000♠ 6シティ・オブ・フェアフィールド 1888年 12月11日 1979年 5月18日 102 39 11 210,612 7000900000000000000♠ 9ジョージズ・リヴァー・カウンシル 1885年 12月22日 (ミュニシパリティ・オブ・コガラー 、シティ・オブ・ハーストヴィル ) 2016年 5月12日 [17] 38 15 17 158,411 7001150000000000000♠ 15ホーンズビー・シャイア 1906年 3月6日 [10] 455 176 1 150,752 7001170000000000000♠ 17ミュニシパリティ・オブ・ハンターズ・ヒル 1861年 1月7日 [18] 5.7 2.2 30 14,909 7001300000000000000♠ 30インナー・ウェスト・カウンシル 1861年 11月1日 (マリックヴィル・カウンシル ) 1871年 12月28日 (ミュニシパリティ・オブ・アッシュフィールド ) 1871年 12月29日 (ミュニシパリティ・オブ・ライカート ) 2016年 5月12日 [19] 35 14 19 198,024 7001110000000000000♠ 11クーリンガイ・カウンシル 1906年 (クーリンガイ・シャイア) [10] 1928年 (ミュニシパリティ) 85 33 12 126,046 7001190000000000000♠ 19レーン・コウヴ・カウンシル 1895年 2月11日 (ミュニシパリティ・オブ・レーン・コウヴ ) [20] 11 4.2 26 39,486 7001280000000000000♠ 28シティ・オブ・リヴァプール 1872年 6月27日 1960年 11月9日 306 118 6 223,304 7000800000000000000♠ 8ミュニシパリティ・オブ・モスマン 1893年 4月11日 [21] 8.7 3.4 28 30,877 7001290000000000000♠ 29ノース・シドニー・カウンシル 1890年 7月31日 [22] 11 4.2 25 74,172 7001230000000000000♠ 23ノーザン・ビーチズ・カウンシル 1877年 1月6日 (マンリー・カウンシル ) 1906年 3月7日 (ワーリンガー・カウンシル ) [10] 1992年 5月1日 (ピットウォーター・カウンシル ) 2016年 5月12日 [23] 254 98 7 271,278 7000300000000000000♠ 3シティ・オブ・パラマッタ 1861年 11月27日 1938年 10月27日 2016年 5月12日 [24] 84 32 13 251,311 7000400000000000000♠ 4シティ・オブ・ペンリス 1871年 5月12日 [25] 1959年 10月21日 405 156 2 209,210 7001100000000000000♠ 10シティ・オブ・ランドウィック 1859年 2月23日 [26] 1990年 7月1日 [27] 36 14 18 154,265 7001160000000000000♠ 16シティ・オブ・ライド 1870年 11月12日 1992年 1月1日 41 16 16 127,446 7001180000000000000♠ 18ミュニシパリティ・オブ・ストラスフィールド 1885年 6月2日 14 5.4 23 45,143 7001260000000000000♠ 26サザランド・シャイア 1906年 3月6日 [10] 334 129 4 229,213 7000700000000000000♠ 7シティ・オブ・シドニー 1842年 7月20日 [28] 27 10 20 240,229 7000500000000000000♠ 5ザ・ヒルズ・シャイア 1906年 3月6日 [10] (バウカム・ヒル・シャイア) 386 149 3 172,473 7001130000000000000♠ 13ウェイヴァリー・ミュニシパル・カウンシル 1859年 6月16日 [29] 9.4 3.6 27 74,114 7001240000000000000♠ 24シティ・オブ・ウィロウビー 1865年 10月23日 [30] 1989年 11月17日 [31] 22 8.5 21 80,339 7001220000000000000♠ 22ミュニシパリティ・オブ・ウラーラ 1860年 4月20日 [32] 12 4.6 24 58,964 7001250000000000000♠ 25
都市景観 人口 人口は2019年 6月時点で530万人を超えている。都市圏人口 は410万人であり、世界104位、オセアニア では首位である[33] 。
人口統計 国別海外出生者数 出生国 人口 (2006) イギリス 175,166 中華人民共和国 109,142 ニュージーランド 81,064 ベトナム 62,144 レバノン 54,502 インド 52,975 フィリピン 52,087 イタリア 44,563 香港 36,866 大韓民国 32,124 ギリシャ 32,021 南アフリカ 28,427 フィジー 26,928 マレーシア 21,211 インドネシア 20,562 イラク 20,216 ドイツ 19,364 スリランカ 17,917 アメリカ合衆国 16,340 エジプト 16,238 クロアチア 15,501
2006年国勢調査によれば、シドニー都市圏の人口は3,641,422人で、シドニー統計区域の人口は4,119,190人であった。統計区域は成長を加減して算出された推計値を基にしたため、都市圏よりも人口が大きくなっている。シドニー市内の人口密度は、4,023人/km²で国内最大である。市民は一般的に「シドニーサイダー」と呼ばれる。2006年国勢調査によれば、シドニー居住の民族としては主に、イングランド系 、アイルランド系 、スコットランド系 及び中国系 であった。また、先住民アボリジニ は全体のうち2%、海外出生者数は同じく31.7%であった。
主たる移民の出身国は、イギリス 、中華人民共和国 及びニュージーランド である。また、ベトナム 、パキスタン 、レバノン 、イタリア 、インド 及びフィリピン からの移住者数も多い。英語 を第一又は第二言語としている市民が多いが、アラビア語 (レバノン系が優勢)、中国語 (ほとんどが北京官話 、上海語 、広東語 )、イタリア語 話者も多い。シドニーは、世界でも高度な多文化都市であるロンドン やパリ よりも海外からの移住者が多く、移住者数は世界第7位である。宗教は2006年国勢調査によると、調査対象者のうち64%はキリスト教徒 、14.1%は無宗教、10.4%は無回答、3.9%はムスリム 、3.7%は仏教徒 、1.7%はヒンドゥー教徒 、0.9%はユダヤ教徒 であった。
また、住民の平均年齢は34歳と若く、65歳以上の高齢者層は全体の12%であった。
歴史 シドニー湾沿岸には少なくとも4万年前からアボリジニ が定住していた。
シドニーの古地図(1789年) ヨーロッパ人の関心がこの地域に向かうのは、1770年 のジェームズ・クック によるポート・ジャクソン湾 の望見の後である。イギリス 人による最初の入植は1788年 1月20日 で、アーサー・フィリップ総督 によってこの「小川に近い、入り江の湾頭」はオーストラリア最初の植民地として定められた。フィリップは当初この地を「アルビオン」と呼ぶ意向であったが、シドニー入江に由来する「シドニー」が一般的に用いられるようになった。入江(シドニー・コーブ )はフィリップの命名で、彼の後援者であったシドニー卿(シドニー子爵)トマス・タウンゼント にちなんだものである[34] 。このことは植民地開設の特許状がシドニー卿の斡旋で交付されたことに由来すると思われる。新植民地の初期の人口は1000人を超える程度で、当地は流刑 植民地であったことからその大部分は囚人 であった。食料生産のため、20km西のパラマタ にも入植地が設置された。
1822年 にはすでに銀行、市場、発達した道路網、警察隊を備えた町となった。1833年 、町の行政は3人の行政官の手に委ねられた。1842年 には自治体として成立した。1847年 には囚人が人口にしめる割合はわずか3.2%にまで低下した。当時シドニーにはヨーロッパより週ごとに船が来航し、イギリスや他のヨーロッパからの移民が到着した。囚人の人口が減少するにつれ、商業活動が活発化した。1850年 にはオーストラリア初の大学であるシドニー大学 が創設。1855年 にはシドニーと西郊のパラマタとを結ぶ鉄道が開通。1883年 にはシドニー及びメルボルン を結ぶ鉄道路線が開通したものの、両植民地の鉄道軌間は異なっており、直通路線の開通は1962年 まで待たねばならなかった。当初、煉瓦製造と製材に限られていた第二次産業の発展は、ニューサウスウェールズ州 の自由貿易 政策が現地工業の確立を阻害したため遅々としていた。1901年 の連邦成立後、自由貿易政策は否定され、各州間の緊密な連携のもとに州間交易が著しい進展を示した。シドニーは、19世紀 前半まではオーストラリアの6つのイギリス植民地の中心として、名実ともに最大の都市であった。1851年 にニューサウスウェールズ州およびビクトリア州 で金が発見され最初のゴールドラッシュ が起こると、シドニーの人口は急激に増加し、急速に工業化 が進んだ。だが、ゴールドラッシュおよびイギリス本国との間の大圏航路においてメルボルンのほうが好位置であったことも加わって、メルボルンが発達の速度を速め、19世紀後半にはシドニーは第2位に後退した。この頃からシドニーとメルボルンとの間で伝統的な敵対関係 が存在し、メルボルンはオーストラリアの最大都市かつ最も裕福な都市となっていた。
1901年 にオーストラリア大陸 の6植民地が連合してオーストラリア連邦が成立すると首都は最大都市メルボルンに置かれたものの、この頃からシドニーは再び勢いを増していき、20世紀初頭になるとシドニーはメルボルンを人口で追い越し[35] 、それ以来現在に至るまでシドニーは国内最大の都市に君臨し続けている。
1970〜80年代、オーストラリア準備銀行 やオーストラリア証券取引所 と共に、シドニーのCBD は明らかに国内最大の金融都市となってメルボルンを追い抜いた。都市圏の拡大とともに人口の郊外化が進み、都市圏の西端は都心から60km以上も離れたブルーマウンテン の麓にまで達している。
20世紀全体を通して見ると、第二次世界大戦 後の10年間を特に顕著とし、ヨーロッパやその後のアジアからの移民が増えるにつれてシドニーの都市圏は拡大を続けた。シドニーの特徴である多様で国際的な雰囲気は、移民によってもたらされた文化が主な要因である。
歴史年表 シドニー・オペラハウス 政治 行政 シドニー大都市圏内の地方行政区分 一般的に単一都市として理解されることが多いシドニー大都市圏(metropolitan area)は、統計上の範囲として設定されているものであり、それ自体は自治体ではない。基礎自治体は大都市圏内に38ある地方行政区(LGAs: Local Government Areas)であり、個々の地方行政区は歴史的経緯を踏まえ、しばしば「市 City」と称する。こうした地方行政区の一つである「シドニー市 City of Sydney」は、シドニー湾 に面した高層ビルが集中するCBD 周辺の都心 だけが市域である。観光地ともなっているシドニー市庁舎「タウン・ホール」 は、広域のシドニー大都市圏ではなく、この「シドニー市」の市庁舎である。ただし、この「シドニー市」の市長は、オリンピックのようなイベントの際には、儀礼上、大都市圏全体を代表するような役回りを果たすことがある。
一般的にシドニー所在だと認知されている施設のうち、都心にあるもの以外は、「シドニー市」ではなく別の地方行政区に所在するものである。例えば、タロンガ動物園 はモスマン 、シドニー・オリンピック の主会場はオーバーン 、ボンダイビーチ はウェーバリー 、シドニー国際空港 はターミナルがボタニー・ベイ市 、滑走路の先端はロックデール市 にある。ここでは、英語の正式名称にCityと冠する地方行政区だけを「市」と訳しているが、City ではなく、Council、Municipal Council などと称する他の地方行政区も、一般的には「市」と訳されることが多い。
シドニー大都市圏全体に関わる行政は、公共交通機関の運営、主要道の整備、交通の制御、警察、中等教育以上の教育、主要な社会資本の整備計画など、ほとんどをニューサウスウェールズ州 政府が管轄している。元来、州の人口の大部分がシドニー大都市圏に集中しており、州政府の行政機能も大部分がシドニー大都市圏に関わるものになっているため、州政府から分離した大都市圏を単位とする行政体の創出には、州政府が消極的である。
対外関係 姉妹都市・提携都市 一覧 [37]
姉妹都市 友好都市 提携都市 国際機関 領事館 経済 シドニー中心業務地区 シドニー・タワー から見たシドニー中心業務地区 (2018年 )シドニーは、商工業、金融及び交通の中心都市であり、2008年時点の域内GDP は2130億米ドルであり、世界第28位であった。2017年 の調査によると、世界8位の金融センター であり、南半球の都市では1位である[39] 。
第一次産業 シドニー(ポート・ジャクソン)港はニューサウスウェールズ州 の貿易の大部分を担っている。主要輸出品目は羊毛、小麦、小麦粉、羊皮及び肉類で、輸入品は機械類が最も多い品目である。国内や州内からの主たる移入品は、石炭、木材及び砂糖である。シドニーは世界最大の原毛市場であり、ニューサウスウェールズ州の羊毛の3分の2はシドニー港から積出される。同港は造船・修理の中心でもあり、大型船舶も収容可能なドックを有する。
第二次産業 オーストラリアの産業界においてメルボルン とともにシドニーが突出している理由として、原材料調達の容易性を一因として挙げられる。シドニーは消費財を中心に、ニューサウスウェールズ州の工業生産高のうち約半数を生産しており、製材、造船、化学、農業土木機械、電気機械及び石油精製といった工業が発達している。
第三次産業 金融業 オーストラリア証券取引所 (ASX)やオーストラリア準備銀行 (RBA)、多数の国内大企業の本社が所在する。国内最大の雇用を生み、GDP のうちシドニーは25%を計上し、その経済規模は国内最大である。平均家計所得は国内諸都市のうち最も多く、失業率は2004年時点で4.9%である。
情報・通信 マスメディア ABCシドニー 新聞社 シドニーの主な日刊紙には、シドニー・モーニング・ヘラルド 及びザ・デイリー・テレグラフ(The Daily Telegraph )の2紙がある。前者は高級紙であり、報道内容は国内外のニュース、文化及びビジネスと広範囲に渡る。現存する国内最古の新聞であり、1831年以来発行を続けている。後者はニューズ・コープ 傘下のタブロイド である。
放送局 テレビ テレビ放送局は、公共放送 及び民間の放送ネットワークに大別できる。公共放送は、ABC 及びSBS の2局がある。民間では、Seven Network 、Nine Network 、Network Ten 及びTVS の4ネットワークがある。
教育 1850年設立のシドニー大学 は、オーストラリア最古の大学である 大学 シドニーには複数の有名大学がある。1850年設立のオーストラリア初の大学であるシドニー大学 に加え、オーストラリアカトリック大学 、マコーリー大学 、ニューサウスウェールズ大学 、シドニー工科大学 及び西シドニー大学 の計6校が公立大学である。また、ノートルダムオーストラリア大学 及びウロンゴン大学 のキャンパスも市内にある。
職業教育 オーストラリアには、中等後または第三次教育で一般的に職業教育を行う教育機関として、TAFE と呼ばれる教育システムが存在する。このうち複数のキャンパスを持つ公立校としては、4校がシドニーに所在する。
交通 シドニー国際空港 インディアンパシフィック NSWトレインリンク シドニー・トレインズ シドニーの近郊電車は2階建てである ライトレール サーキュラー・キーのフェリー乗り場 シドニーは、高速道路 、鉄道 及びフェリー の広範囲な交通網を有する。
空路 国内最大の国際空港、シドニー国際空港 (キングスフォード・スミス国際空港 )は南部近郊のボタニーベイ市 のマスコット地区にあり、ボタニー湾の北岸に位置する。国際線・国内線を問わずほとんどの定期便が発着する。同空港はシドニー・トレインズの路線が利用可能である。
空港 鉄道 2000年のシドニーオリンピック 以後、シドニー・トレインズの前身組織であったシティレール の業績は著しく低下してしまう。これに対処すべく2005年にシティレールは時刻表を再編成し、列車の運転士 の雇用を拡大した。なお、シティレール とカントリーリンク は2013年に解散し、近郊輸送を担当するシドニー・トレインズ とNSW州内の都市間輸送を担うNSWトレインリンク の2社へと分割された。
中心となる駅:シドニーセントラル駅
高速鉄道 シドニー=ブリスベン回廊 シドニー=パース回廊 (オーストラリア鉄道 )シドニー=メルボルン回廊 ジャーニービヨンドレール 都市間鉄道 NSWトレインリンク 近郊路線 シドニー・トレインズ 地下鉄 ニューサウスウェールズ州 政府の公企業であるシドニー・トレインズ は、国内では他にメルボルンのみが持つ地下鉄 を有する。ただし、これは純粋な地下鉄ではなく、都心部では地下を走り、近郊では地上を走る複合型の鉄道網である。都心部のCBD 内では環状運転するため、「シティサークル」(City Circle)と呼ばれる。ただし厳密に言えば、東京のJR 山手線 のように同じ列車が何周もするわけではなく、各列車はシティサークルを経由する形で郊外と都心を結ぶ大阪環状線のような運行を行っている。なお、2019年 にはシドニー・トレインズとは別に、純粋な地下鉄であるシドニー・メトロが開通した。
軌道 トラム 路面電車 は1960年代に一度廃止されたが、1990年代にライトレール として復活した。現在では市民の足として利用され、延伸計画もある[注釈 1] 。
メトロ・ライト・レール バス 路線バス バスは都市圏の大部分のエリアを網羅しており、大部分の路線は1961年以前の路面電車の運行ルートに沿って運行する。
都市間バス 州内及び州外を結ぶ長距離列車 (カントリーリンク やパース 行きのインディアンパシフィック 号)はセントラル駅 (Central railway station )を発着駅とする。同駅構内には、高速バス ターミナルが存在する。
道路 高速道路 市民の主な交通手段は自動車である。シドニー都市圏を環状に形成するメトロード は、交通の流れを円滑にし、都心部の渋滞を解消するため、特に重要な道路網である。
航路 港湾 シドニー港 の中心となるのはポート・ジャクソン湾 だが、南のボタニー湾 にも重要な港湾設備がある。ポート・ジャクソン湾に面する都心近くのサーキュラー・キー (Circular Quay )には、国際旅客船 ターミナルがある。
また、サーキュラー・キー からは、マンリー、タロンガ動物園 、ダーリングハーバー 、その他住宅街を結ぶフェリー が発着している。(ニューサウスウェールズ州 が経営)また、マンリー、タロンガ動物園などに向かう便はシドニー・オペラハウス の目の前を通る。また、ダーリングハーバーや西部の住宅地に向かう便はハーバーブリッジ の下をくぐる。
観光 シドニーで最も有名な歴史的建築物は、ともに世界的知名度を誇るハーバー・ブリッジ 及びシドニー・オペラハウス である。その他、南半球 で2番目に高いシドニータワー 、シティ中心部にあるクイーン・ヴィクトリア・ビルディング (商業施設)などが有名。ダーリングハーバー も人気の観光地である。中心部から東に8kmはなれたボンダイビーチ はシドニーで最も有名なビーチであり、特にサーフィン のメッカとして知られる。
ハーバーブリッジ シドニータワー ピットストリート・モール ダーリングハーバー ザ・ロックス ボンダイビーチ 観光スポット 文化施設 博物館・美術館 文化・名物 スタジアム・オーストラリア は、2000年シドニーオリンピック のメインスタジアムとなった競技場である。クリケット・ワールドカップ の会場にもなったシドニー・クリケット・グラウンド 祭事・催事 シドニーでは、多くの異色な祭典や、オーストラリア最大の社会・文化的なイベントが催される。例えば、毎年1月に開催される国内最大の芸術祭であるシドニー・フェスティバル(Sydney Festival )や1973年以来続く現代アートの祭典であるビエンナーレ・オブ・シドニー(Biennale of Sydney )、ロックフェスティバルのビッグ・デイ・アウト 、オックスフォード・ストリートのゲイ・アンド・レズビアン・マルディ・グラ (Sydney Gay and Lesbian Mardi Gras )、シドニー・フィルム・フェスティバル(Sydney Film Festival )を始めとする多くの映画祭がある。
シドニー・オリンピック公園 のシドニー・ロイヤル・イースター・ショウ(Sydney Royal Easter Show )、オペラハウス にて開催のオーストラリアンアイドル 決勝戦、毎年4、5月に開催されるオーストラリアン・ファッション・ウィーク(Australian Fashion Week )がある。
また、大晦日 やオーストラリアの日 (Australia Day )の祝典は国内最大である。
スポーツ シドニーにおいて、文化における重要性が高いのがスポーツである。
シドニーを本拠地とするプロチームとして、バスケットボール 、ネットボール 、ラグビー 及びクリケット のチームが存在し、各界においてシドニーは「シドニー・スピリット」と表現される。この他、オーストラリアの国技であるオージーフットボール やサッカー のプロチームもシドニーに所在する。
スポーツイベント ナショナルラグビーリーグ を始めとする大規模なスポーツイベントは、シドニーオリンピック のメインスタジアムであったスタジアム・オーストラリア で通常開催される。他にも、ヨットレースのシドニー・トゥ・ホバート・ヨット・レース(Sydney to Hobart Yacht Race )、競馬のゴールデン・スリッパー・ステイクス(Golden Slipper Stakes )、マラソンのシティ・トゥ・サーフ(City to Surf )といったイベントもシドニーで開催される。プロテニスシドニー国際 も開催される。クリケット の国際試合を多数開催し、オーストラリアン・フットボール のシドニースワンズの本拠地でもあるシドニークリケットグラウンド は、長らくシドニー最大の競技場であった。しかし、2000年シドニーオリンピック 大会のメイン会場としてシドニー・オリンピック公園 に建築された、当時国内最大のスタジアム・オーストラリア にその座を取って代わられた。
ラグビーユニオン(15人制) イングランド伝来のラグビー は最も人気の高いスポーツである。オーストラリア及びニュージーランドの国際リーグ戦であるスーパーラグビー には、シドニーからワラターズ が参戦している。また、シドニー近郊のチームが参加するシュートシールド は、オーストラリアの各地域に存在する国内リーグの中で最もレベルが高い。シドニー・ユニヴァーシティFC は同国最古の"フットボール"クラブである。
ラグビーリーグ(13人制) 13人制ラグビー も人気のスポーツである。オーストラリア及びニュージーランドのチームが参加するナショナルラグビーリーグ は、16チームのうち9チームがシドニーを本拠地とする。
クリケット クリケット も非常に人気の高いスポーツである。伝統的な形式である投球数無制限の2イニング制を採用しているファーストクラス・クリケット(英語版 ) や、投球制限があり試合時間が3時間程度で終了するトゥエンティ20 などがある。トゥエンティ20形式のプロリーグのビッグ・バッシュ・リーグ (BBL)にはシドニーの複数のクラブが所属している。なお、クリケット・ワールドカップ は1992年大会 と2015年大会 がオーストラリアで開催され、シドニー・クリケット・グラウンドが会場の一つとなった。
バスケットボール ベースボール ネットボール オージーフットボール サッカー 脚注 注釈 出典 関連項目 外部リンク 公式
日本政府
観光
その他
シドニー都市圏
北中海岸地域 ベリンゲン - クラーレンス - コフス・ハーバー - グレーター・タリー - ケンプシー - ナムブッカ - ポート・マッコーリー=ヘイスティングス - ロード・ハウ島
マレー地域 アルバリー - バルラナルド - ベリンガン - コナルゴ - コロワ - デニリキン - グレーター・ヒューム - ジェリルデリー - タンバランバ - ウラナ - ワクール - ウェントワース
リバリーナ地域 キャラスール - クーラマン - クータマンドゥラ - グリフィス - ガンダガイ - ヘイ - ジュニー - リートン - ロックハート - マランビッジ - ナランデラ - テモラ - ウォガウォガ
ハンター地域 セスノック - ダンゴン - グロウセスター - グレート・レイクス - レイク・マッコーリー - マイトランド - マスウェル - ニューカッスル - ポート・スティーブンス - シングルトン - アッパー・ハンター
イラワラ地域 カイアマ - シェルハーバー - ショールヘイヴン - ウィンゲカリビー - ウロンゴン
リッチモンド・ツウィード バリナ - バイロン - カイオーグル - リズモア - リッチモンド・ヴァレー - トゥウィード
南東地域 ベガ・ヴァレー - ボンバラ - ブーロワ - クーマ=モナロ - ヨーロボラダ - ゴールバーン・マルウェアイー - ハーデン - パレラング - クイーンビアン - スノーウィ・リバー - タマット - アッパー・ラックラン - ヤス・ヴァレー - ヤング
北部地域 アーミデイル・ダマレスク - グレン・イネス・サヴァーン - ガネダー - ガイラ - グイディル - インヴェレル - リヴァプール・プレーンズ - モーリー・プレーンズ - ナラブリ - タムワース - テンターフィールド - ユララ - ウォルカ
中西部地域 バサースト - ブランド - ブレイニー - キャボーネ - コウラ - フォーブス - ラックラン - リスゴー - ミッド=ウエスタン - オーベロン - オレンジ - パークス - ウェッディン
北西部地域 ボーガン - バーク - ブレウォリナ - クーナンブル - ダッボー - ギルガンドラ - ナロマイン - ワグレット - ワーレン - ワールンバングル - ウェリントン
極西部地域
東経151度12分31秒 / 南緯33.86833度 東経151.20861度 / -33.86833; 151.20861