下腸間膜動脈

下腸間膜動脈(かちょうかんまくどうみゃく、英語: inferior mesenteric artery、しばしばIMAと略される)は、腹大動脈の3番目の主要な分枝である。腰椎3(L3)から生じ、遠位横行結腸から肛門管の上部まで大腸に供給する。IMAが供給する領域は、下行結腸S状結腸および直腸の一部である[1]

下腸間膜動脈
S状結腸直腸。下腸間膜動脈の分枝とその吻合の分布を示す(中央に下腸間膜動脈(Inferior mesenteric artery)とある)。
消化管の腹腔部とその原始・総腸間膜への付着。6週間のヒトの胚(右下に下腸間膜動脈(Inferior mesenteric artery)とある)。
概要
由来卵黄動脈
供給源腹大動脈
分岐左結腸動脈, S状結腸動脈, 上直腸動脈
静脈下腸間膜静脈
表記・識別
ラテン語arteria mesenterica inferior
MeSHD017537
グレイ解剖学p.609
TAA12.2.12.069
FMA14750
解剖学用語

分布の領域は近接して中結腸動脈と重なり(watershedを形成する)、よって上腸間膜動脈(SMA)と重なる。SMAとIMAは結腸辺縁動脈(Drummond動脈)とリオラン弓(Riolan's arcade, "meandering artery"(蛇行動脈)とも呼ばれ、左結腸動脈と中結腸動脈の間の動脈接続)で吻合する。IMAの分布領域は、胚における後腸とほぼ等しい[1][2]

分枝

下腸間膜動脈は、腎動脈の分枝点より下、大動脈分岐部(総腸骨動脈に向かう)より3-4cm上の腰椎3(L3)の高さで腹大動脈の前面から分枝する[3]

その経路に沿って、IMAには次の分枝がある[1][2][3]

分枝
左結腸動脈下行結腸に供給する
S状結腸動脈最も上にあり「上S状結腸動脈」と呼ばれる
上直腸動脈事実上、IMAの終枝(他の全ての分枝の後、IMAが続いたもの)

これら全ての動脈分枝はアーケードにさらに分かれ、一定間隔で結腸に供給される。

関連する静脈

IMAにはその経路に沿って同じ名前の静脈、下腸間膜静脈が付随しており、これは脾静脈に流れ込む[1]

よって、下腸間膜静脈は門脈に流れこむため、IMAの経路を完全には反映していない[1][2][3]

外科と病理

IMAおよび/またその枝は左半結腸切除術のためには切除する必要がある[4]

一般的な腎臓の異常(500人に1人)である馬蹄腎は、IMAの下に位置する[5][6]

脚注

外部リンク