臭化クロム(III)

臭化クロム(III)(Chromium(III) bromide)は、化学式CrBr3無機化合物である。暗い色の固体で、透過光では緑色、反射光では赤色に見える。エチレン重合に用いる触媒の前駆体として利用される。

臭化クロム(III)
識別情報
CAS登録番号10031-25-1 チェック, 13478-06-3 (六水和物)
PubChem82309
ChemSpider74280
UNIIWZB719DDER チェック
EC番号233-088-6
特性
化学式Br3Cr
モル質量291.71 g mol−1
外観黒色光沢結晶、透過光中では緑色、反射光中では赤色[1]
密度4.25 g/cm3[2]
融点

1130 °C, 1403 K, 2066 °F ((無水物)[2]
79 °C (六水和物))

への溶解度冷水に不溶、クロム(II)イオン塩添加で可溶[1]、熱水に可溶[2]
構造
結晶構造三角形
危険性
許容曝露限界TWA 1 mg/m3[3]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

合成

チューブ炉中で、1000℃で臭素蒸気とクロム粉末を反応させることで合成される。純粋なジエチルエーテル抽出して臭化クロム(II)を除去し、続いて純粋なジエチルエーテルと純粋なエタノールで洗浄することで精製できる[1]

関連するクロム(III)ハロゲン化物の振る舞いに類似し、三臭化物は水に溶解してCrBr3(H2O)3を生成する。触媒量の還元剤を添加した場合のみ、臭化クロム(II)を生成する[1]。還元剤は、固体の表面に臭化クロムを生成し、これが溶解し、Cr(III)に再酸化される。

反応

350-400℃で水素ガスにより還元され、臭化クロム(II)を生成する[1]

2 CrBr3 + H2 → 2 CrBr2 + 2 HBr

出典