SPARC Tシリーズ

SPARC Tシリーズファミリという名前は、SPARC V9アーキテクチャによるRISCプロセッサと、これらを搭載したサーバーコンピュータの両方のことを指す。元々、サン・マイクロシステムズが開発し、オラクルがサンを買収した後はオラクルによって開発が続けられた。以前のSPARC製品との際立った違いは、チップマルチスレッディング(CMT)テクノロジを導入したことである。このマルチスレッディングマルチコアデザインは、低消費電力でプロセッサの使用率を高めることを目的としていた。

第一世代のTシリーズプロセッサであるUltraSPARC T1とこれを搭載したサーバは、2005年12月に発表された[1]。 後の世代が導入されると、「Tシリーズ」という用語はプロセッサのファミリ全体を指すために使用されるようになった[2]

オラクル以前の時代

サン社のSun FireおよびSPARC Enterprise製品ラインは、早期世代のCMT技術を採用していた。 UltraSPARC T1ベースのSun Fire T2000、T1000サーバは、それぞれ2005年12月、2006年初頭に発売された[1][3]。 その後、UltraSPARC T2UltraSPARC T2 PlusベースのSun SPARC Enterprise T5**0サーバ名前と一致するようにブランド名が変更された[4][5]

SPARC T3

2010年9月、オラクルは一連のSPARC T3プロセッサベースのサーバを発表した[6][7]。 これらは「SPARC T3」シリーズとしてブランド化し、「SPARC Enterprise」ブランドは廃止された。

SPARC T3シリーズのサーバのT3-1Bは、Sun Blade 6000システムに収まるブレードサーバである。他のすべてのT3ベースのサーバはラックマウントシステムの形を取っている。以降のTシリーズサーバ世代には、同じSun Blade 6000フォームファクタのブレードサーバも含まれる。

オラクルと提携していた富士通では2011年2月からSPARC TシリーズのT3-1、T3-2、T3-4、T4-1、T4-2、T4-4についてSPARC Enterprise Tシリーズのラインで販売を続けたが、2015年12月にシリーズ全製品の販売終了した。富士通は2013年のSPARC M10からブランドをSPARC Serversに変更して、引き続きSPARC Mシリーズ、Tシリーズの販売を継続した[8]

SPARC T4

2011年9月26日、オラクルは一連のSPARC T4ベースのサーバを発表した[9][10][11][12]。 これらのシステムは、以前のT3ベースのシステムと同じシャーシを使用していた。主な機能はT3シリーズと似ているが、次の点が異なっていた。

  • T3 CPUの代わりに完全に再設計されたT4 CPUを搭載
  • RAM容量が2倍になった
  • 大容量記憶容量に少々変更点がある

SPARC T5

2013年3月26日、オラクルは新しいSPARC T5マイクロプロセッサをベースにした最新のSPARCサーバを発表した。その時点で世界最速であるとされた[13][14][15]。T5サーバでは、シングルソケットラックマウントサーバの設計は廃止され、新しい8ソケットラックマウントサーバが導入された。

SPARC M7

2015年10月26日、オラクルは32コア、256スレッドのSPARC M7マイクロプロセッサを搭載したシステムファミリを発表した[16]。 前世代とは異なり、TシリーズとMシリーズの両方のシステムでSPARC M7という同じプロセッサを搭載した。 M7には、第1世代のData Analytics Accelerator(DAX)エンジンが含まれていた。 DAXエンジンは、メモリ内のクエリ処理をオフロードし、リアルタイムのデータ解凍を実行した。

SPARC M8

2017年9月18日、オラクルは、5.0GHzの32コア256スレッドSPARC M8マイクロプロセッサを搭載したシステムファミリを発表した。また、第2世代のData Analytics Accelerator(DAX)エンジンも含まれていた。

パーティショニングと仮想化

SPARC Tシリーズサーバは、オラクルの論理ドメインテクノロジーを用いてパーティション分割できる。また、Oracle Solaris ゾーン(別名Solarisコンテナ)も仮想化機能を提供し、単一のオペレーティングシステムインスタンス内に分離された仮想サーバを作成できる。論理ドメインとSolarisゾーンを一緒に使うことで、サーバの使用率を高めることができる。

サーバ

モデルラック数最大プロセッサ数プロセッサ動作周波数最大搭載メモリ最大ディスク容量一般提供開始
Sun Fire T10001UltraSPARC T11.0 GHz32 GB1× 3.5" SATA or

2× 2.5" SAS
2006年3月
Sun Fire T200021× UltraSPARC T11.0 GHz64 GB4× 2.5" SAS2005年12月
SPARC Enterprise T51201UltraSPARC T21.2, 1.4 GHz128 GB8× 2.5" SAS2007年11月
SPARC Enterprise T51401UltraSPARC T2 Plus1.2, 1.4 GHz128 GB8× 2.5" SAS2008年4月
SPARC Enterprise T522021× UltraSPARC T21.2, 1.4 GHz128 GB16× 2.5" SAS2007年11月
SPARC Enterprise T524022× UltraSPARC T2 Plus1.2, 1.4 GHz256 GB16× 2.5" SAS2008年4月
SPARC Enterprise T544044× UltraSPARC T2 Plus1.2, 1.4 GHz512 GB4× 2.5" SAS2008年10月
SPARC T3-12SPARC T31.65 GHz128 GB16× 2.5" SAS2010年9月
SPARC T3-1Bna (blade)1× SPARC T31.65 GHz128 GB2× 2.5" SAS2010年9月
SPARC T3-232× SPARC T31.65 GHz256 GB6× 2.5" SAS2010年9月
SPARC T3-454× SPARC T31.65 GHz512 GB8× 2.5" SAS2010年9月
SPARC T4-12SPARC T42.85 GHz256 GB8× 2.5" SAS2011年9月
SPARC T4-1Bna (blade)1× SPARC T42.85 GHz256 GB2× 2.5" SAS2011年9月
SPARC T4-232× SPARC T42.85 GHz512 GB6× 2.5" SAS2011年9月
SPARC T4-454× SPARC T43.0 GHz1024 GB8× 2.5" SAS2011年9月
SPARC T5-1Bna (blade)SPARC T53.6 GHz256 GB2× 2.5" SAS2013年3月
SPARC T5-232× SPARC T53.6 GHz1 TB6× 2.5" SAS2013年3月
SPARC T5-454× SPARC T53.6 GHz2 TB8× 2.5" SAS2013年3月
SPARC T5-888× SPARC T53.6 GHz4 TB8× 2.5" SAS2013年3月
SPARC T7-121× SPARC M74.13 GHz1 TB8× 2.5" SAS-32015年10月
SPARC T7-232× SPARC M74.13 GHz2 TB6× 2.5" SAS-32015年10月
SPARC T7-454× SPARC M74.13 GHz4 TB8× 2.5" SAS2015年10月
SPARC T8-121× SPARC M85.0 GHz1 TB8× 2.5" SAS2017年9月
SPARC T8-232× SPARC M85.0 GHz2 TB6× 2.5" SAS2017年9月
SPARC T8-454× SPARC M85.0 GHz4 TB6× 2.5" SAS2017年9月

関連項目

脚注

外部リンク