アルカセット

アルカセット (欧字名:Alkaased) はイギリス競走馬2005年ジャパンカップで日本レコードのタイム(当時)で勝ちを収めて日本種牡馬入りした。馬名はアラビア語で「意志」の意。

アルカセット
マイケル・チャールトンの勝負服
欧字表記Alkaased
品種サラブレッド
性別
毛色鹿毛
生誕2000年2月19日(24歳)
Kingmambo
Chesa Plana
母の父Niniski
生国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
生産者Clovelly Farms
馬主Sheikh Hamdan bin Rashid Al Maktoum
→M.R. Charlton
調教師Sir Michael Ronald Stouteイギリス
→Luca M. Cumani(イギリス)
競走成績
生涯成績16戦6勝
獲得賞金253,864,000 + 676,736ドル
勝ち鞍
G1サンクルー大賞2005年
G1ジャパンカップ2005年
G2ジョッキークラブS2005年
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現役時代

2歳・3歳

アメリカ生まれの本馬は母がヘンケルレネン(ドイツ1000ギニー)2着馬ということもあり、35万ドルの高値で取引された。その血統からヨーロッパで走ることとなり、名門で知られるニューマーケットのマイケル・スタウト厩舎に送られた。だが、2・3歳時を通じて6戦1勝という目立たない戦績で終わり、現役馬が取引されるセールに上場されることになる。このセールで本馬に目をつけたのがのちの馬主となるマイケル・チャールトンであるが、彼に購入を薦めたジョン・ハモンド英語版調教師の獣医師が「故障持ちで、走れる確率は五分五分」と待ったをかけたため、逆に撤退することを進言する。だが、チャールトンはたとえ五分でも走れる確率に賭けたいと購買を決意し、4万2000ギニー(約900万円)という安値で本馬を購入した。

古馬(4歳以降)

ルカ・クマーニ英語版調教師に預けられた本馬はふたたびニューマーケットを拠点に現役を続ける。2004年7月にステークスレース初勝利を挙げると、続くGIIIで2着、年が明けて2005年になるとさらに勢いを増し、初戦のGII戦で重賞初制覇を成し遂げる。GI初挑戦のコロネーションカップでは2着に敗れるも、続くサンクルー大賞で初GI勝ちを果たす[1]。だが、秋になってフォワ賞チャンピオンステークスと連敗し、さらにブリーダーズカップ・ターフに出走するためにアメリカに渡るも、血球数の異常が判明して出走を回避[2]しなければならなかった。

そのような状況にもかかわらず、ジャパンカップではインターナショナルステークス2着のゼンノロブロイ(1番人気)、翌年ドバイシーマクラシックで優勝することとなるハーツクライ(2番人気)に続く3番人気(外国馬中最高人気)となる。そして前半1000メートルの通過タイムが58秒3というハイペース[3][2]のなかをランフランコ・デットーリの好騎乗で抜け出し、ハーツクライをハナ差退け[3][2]ホーリックスが保持していた日本レコードをコンマ1秒上回る2分22秒1で駆け抜け優勝した[3][2]。なおジャパンカップでは翌年から日本調教馬が17連勝中であり(2022年現在)、アルカセットは最も新しい外国調教馬での勝ち馬である。

その後香港ヴァーズに出走を予定していた[4]が、日本での種牡馬入りが決定したためそのまま引退した[4]

競走成績

出走日競馬場競走名距離着順騎手着差1着(2着)馬
2002.09.11カラ条件S芝7f4着R.ヒューズ3 1/4馬身Maghanim
0000.10.18ニューマーケット未勝利S芝8f4着R.ヒルズ4 1/2馬身Persian Majesty
2003.06.03ヤーマウス未勝利S芝11f110y2着R.ヒルズ2 1/2馬身Floreeda
0000.08.25リポン未勝利S芝12f60y1着W.サプル4馬身(Lahob)
0000.10.04ニューマーケットプラグスH芝14f2着W.サプル1馬身Ten Carat
0000.10.13レイセスターレイティドS芝11f183y2着R.ヒルズ短頭Dovedon Hero
2004.06.05ニューマーケットクラシファイドS芝12f2着D.ホランドアタマWunderwood
0000.07.03ヘイドックヘリテージH芝11f200y1着J.フォーチュン4馬身(Crow Wood)
0000.07.30グッドウッドグロリアスS準重芝12f1着J.フォーチュンクビ(First Charter)
0000.09.04ケンプトンセプテンバーSG3芝12f2着J.フォーチュン1/2馬身Mamool
2005.05.01ニューマーケットジョッキークラブSG2芝12f1着J.フォーチュン1 1/2馬身(Gamut)
0000.06.03エプソムコロネーションCG1芝12f10y2着J.フォーチュン1 1/2馬身Yeats
0000.06.26サンクルーサンクルー大賞G1芝2400m1着L.デットーリ2馬身(Policy Maker)
0000.09.11ロンシャンフォワ賞G2芝2400m2着K.ファロン2 1/2馬身Pride
0000.10.15ニューマーケットチャンピオンSG1芝10f5着G.モッセ4 1/4馬身David Junior
0000.11.27東京ジャパンCGI芝2400m1着L.デットーリ0.0秒ハーツクライ

"f"はハロン (≒201.17 m), "y"はヤード (=0.9144 m)を表す。

種牡馬時代

引退後は総額9億円のシンジケートが組まれ[5][6]2006年からダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックスで種牡馬となる[6][7]。初年度産駒は2009年にデビューし、同年8月15日佐賀競馬場第3競走にてセイユウナイト(上川薫厩舎・新原健伸騎手)が産駒初となる勝利を挙げた。しかし、2世代143頭が走った時点で勝馬率が約37パーセント、2歳時に勝ち上がった産駒が8頭と、全体の産駒成績は不振であった。そのため、2011年種付け料が前年までの250万円から80万円に大幅に下げられ、この年は種付け頭数が17頭[7]に激減した。種付けシーズン終了後にイギリス輸出された[7]。自身と同じキングマンボ産駒のエルコンドルパサーキングカメハメハの2頭は産駒から中央競馬G1馬を輩出したものの、アルカセットは1頭も出せなかった。2012年の種付けシーズン途中よりハンプシャーにあるKelanne Studで供用されている[8]

代表産駒

  • アナバティック、サンデーミューズ(中央競馬3勝)

エピソード

クマーニ厩舎所属時は担当厩務員が日本人で、厩舎内でのニックネームはタロウであった。

血統表

アルカセット血統キングマンボ系ミスタープロスペクター系)/Northern Dancer4×4=12.5%)(血統表の出典)

Kingmambo
1990 鹿毛
父の父
Mr. Prospector
1970 鹿毛
Raise a NativeNative Dancer
Raise You
Gold DiggerNashua
Sequence
父の母
Miesque
1984 鹿毛
NureyevNorthern Dancer
Special
PasadobleProve Out
Santa Quilla

Chesa Plana
1989 黒鹿毛
Niniski
1976 鹿毛
NijinskyNorthern Dancer
Flaming Page
Virginia HillsTom Rolfe
Ridin' Easy
母の母
Top of the League
1982 黒鹿毛
High TopDerring-Do
Camenae
Home and AwayHome Guard
Garden of Eden F-No.10-c


脚注

外部リンク