ウインド・リバー

ウインド・リバー』(Wind River)は、2017年アメリカ合衆国で公開されたスリラー映画である。監督・脚本はテイラー・シェリダン、主演はジェレミー・レナーエリザベス・オルセンが務めた。なお、本作はシェリダンの監督デビュー作でもある。

ウインド・リバー
Wind River
監督テイラー・シェリダン
脚本テイラー・シェリダン
製作ベイジル・イヴァニク英語版
ピーター・バーグ
マシュー・ジョージ英語版
ウェイン・L・ロジャーズ
エリザベス・A・ベル
製作総指揮エリカ・リー
ジョナサン・ファーマン
ブレイデン・アフターグッド
クリストファー・H・ワーナー
ボブ・ワインスタイン
ハーヴェイ・ワインスタイン
デヴィッド・C・グラッサー
ウェイン・マーク・ゴッドフリー
ロバート・ジョーンズ
ニック・バウアー
ディーパック・ナヤール
ティム・ホワイト
トレヴァー・ホワイト
ニコラス・シャルティエ
ジョナサン・デクター
ヴァンサン・マラヴァル
ブラヒム・シウア
出演者ジェレミー・レナー
エリザベス・オルセン
音楽ニック・ケイヴ
ウォーレン・エリス英語版
撮影ベン・リチャードソン英語版
編集ゲイリー・D・ローチ英語版
製作会社アカシア・エンターテインメント
サヴィ・メディア・ホールディングス
サンダー・ロード・ピクチャーズ
フィルム44
配給アメリカ合衆国の旗 ワインスタイン・カンパニー
日本の旗 KADOKAWA
公開アメリカ合衆国の旗 2017年8月4日
日本の旗 2018年7月27日
上映時間107分[1]
製作国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語英語
製作費$11,000,000[2]
興行収入アメリカ合衆国の旗 $33,800,859[3]
世界の旗 $44,998,252[3]
日本の旗 8700万円(見込み)[4]
次作Wind River: The Next Chapter
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本作は2017年5月に開催された第70回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品され、シェリダンが監督賞を受賞した[5]。シェリダンは、MMIW(先住民女性や少女の失踪・殺人事件を認知させるための運動)を背景に、ウインド・リバーにおける問題への意識を高めるためにこの映画を作ったと語った。

あらすじ

ワイオミング州ウインド・リバー・インディアン居留地FWS(合衆国魚類野生生物局)のハンター、コリーは雪山に囲まれた雪原の中で、ネイティブ・アメリカンの少女ナタリーの死体を発見した。

BIA(インディアン部族警察)署長のベンは、FBI(連邦捜査局)に捜査を依頼するが、派遣されたのは新人捜査官のジェーン1人だった。ジェーンは過酷な環境での捜査に難渋し、コリーに捜査への協力を依頼した。

検視を行うと裂傷やレイプ痕があり、殺人の可能性が高いものの直接の死因は冷気を吸ったことによる肺の出血と窒息死であり他殺とは断定されなかった。捜査を進めて行くとナタリーが極寒の中、10キロもの距離を裸足で逃げていたことが分かり、さらにナタリーの恋人マットの遺体が森の中で見つかる。

謎が深まる中、コリー、ジェーンらはマットの勤務先である掘削地の警備員たちに目星をつけるが、2人は真実とともにネイティブ・アメリカン社会の闇に直面することになる。

キャスト

※括弧内は日本語吹替

製作

2015年5月、クリス・パインとエリザベス・オルセンがテイラー・シェリダンの監督デビュー作に出演することになったと報じられた[6][7]2016年1月、降板したパインの代役として、ジェレミー・レナーが起用されることとなった[8]。5月31日、本作の主要撮影がユタ州パークシティで始まった[9]

公開

2016年5月13日、第69回カンヌ国際映画祭の会場で、ワインスタイン・カンパニーが本作の配給権を獲得した[10]。2017年1月、ワインスタイン・カンパニーが本作の配給権を手放したとの報道があった[11]。しかし、サンダンス映画祭の開催中に、ワインスタイン・カンパニーは再び本作の配給権を購入した[12]

2017年10月、本作の製作総指揮を務めたハーヴェイ・ワインスタインが長きにわたってセクハラを行っていたという報道が出た。それを受けて、本作のDVD版及びネット配信版のクレジットからワインスタインの名前が消されることになった。これは賞レースで不利にならないための措置でもあると報じられている[13]

評価

本作は批評家から高く評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには92件のレビューがあり、批評家支持率は87%、平均点は10点満点で7.3点となっている。サイト側による批評家の要約は「『ウインド・リバー』は観客をキャラクターが織りなすミステリーへと誘い込んでいる。脚本は知的で、俳優の演技も見事なものである。工夫を凝らした舞台設定はタイトル通りの恐ろしさを生み出している。」となっている[14]。また、Metacriticには40件のレビューがあり、加重平均値は73点となっている[15]

バラエティ』のオーウェン・グレイバーマンは「ヒューマニズムのある犯罪ドラマだが、興奮よりも狡知を感じる」と述べている[16]。『The Verge』は「『ボーダーライン』と『最後の追跡』から続くフロンティア三部作の終幕であり、スリリングで暴力的な作品だ」と評している[17]。『インディワイアー英語版』のデヴィッド・エーリッヒは本作にB評価を下し、「もし『ウインド・リバー』が他の作品と同様に、シェリダンの弱点を抱えているのだとしても、同作はシェリダンの強みを最大限活かした作品である。観客が衝撃を受けるような作品ではないが、苦みがあり、人間の本能を向き出しにした作品である。」と述べている[18]

出典

外部リンク