ゲームボーイカラー

かつて任天堂が製造販売した携帯型ゲーム機
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ゲームボーイカラーGAME BOY COLOR)は、1998年10月21日任天堂が発売した携帯型ゲーム機。略称は「GBC」。

ゲームボーイカラー
メーカー任天堂
種別携帯型ゲーム機
世代携帯機第4世代
発売日日本の旗 1998年10月21日
アメリカ合衆国の旗中華民国の旗 1998年11月18日
欧州連合の旗香港の旗 1998年11月23日
オーストラリアの旗 1998年11月27日
大韓民国の旗 2000年12月20日
CPULR35902(4MHz/8MHz)
対応メディアロムカセット
対応ストレージバッテリーバックアップ
コントローラ入力内蔵
外部接続通信ポート
赤外線
オンラインサービスモバイルアダプタGB
売上台数日本の旗 1,098万台
アメリカ合衆国の旗 1,727万台
世界 4,927万台
最高売上ソフト日本の旗ポケットモンスター 金・銀/約720万本(カラー共通/2本合計)
互換ハードウェアスーパーゲームボーイ
後方互換ゲームボーイ
ゲームボーイポケット
ゲームボーイライト
前世代ハードウェアゲームボーイ
次世代ハードウェアゲームボーイアドバンス
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カラー液晶ディスプレイ搭載の携帯ゲーム機としては、日本国内では1990年セガゲームギアNEC-HEPCエンジンGT以来8年振りのリリースとなった。キャッチコピーは「色気のない生活なんて…」「色のあるよろこび。」「カラーがあれば、まいにちたのしい。」と数種類ある[1][2]

沿革

  • 1998年9月1日 - 同年10月21日に発売することを発表[3]
  • 1998年10月21日 - 発売。
  • 1999年4月23日 - 同年5月14日より小売標準価格8,900円から6,800円へ値下げすることを発表[4]
  • 2001年3月21日 - 互換性のある次世代機『ゲームボーイアドバンス』発売[注釈 1]。新たにLRボタンを搭載。
  • 2006年9月 -「ゲームボーイカラー」、ゲームボーイカラー(限定品)などのカラーシリーズの生産が終了。
  • 2012年6月 - 修理サポートを終了[5]

ハードウェア

開発
1997年当時、任天堂はゲームボーイの次世代型携帯ゲーム機としてゲームボーイアドバンスを開発するつもりだったが、ソフトメーカーからの「カラーでの携帯機種を」との要求から急遽開発、発売されたものである[要出典]
ゲームボーイをカラー化する構想はゲームボーイ発売後からあり、1992年にはカラーの試作品が作られたが、筐体サイズの肥大化およびバックライトの必要なカラー液晶による電池の消耗の激しさ[注釈 2]から製品化は見送られた[6]
その後1997年になると反射型カラー液晶が安価になったことでコスト面および電池消耗の問題が解消したため、ゲームボーイのプロジェクトリーダーであった岡田智をプロジェクトマネージャーとして本機の製品化を目指して開発が始まった[6]。開発期間が10か月しかなかったため、1992年に作成した試作品が役に立った[6]
本体の標準色はアメリカ合衆国の市場調査で最も人気のあった色として青紫(パープル)が採用された[注釈 3]。また、青紫は「男性的な青」と「女性的な赤」を合わせた、「中性的な色」という意味合いもある[7]
日本国外向けには、本体色はパープルとクリアパープルだけにする予定だった[8] が、後には海外でも日本向けと同じ色の本体や、海外版限定色であるキウイ色の本体が発売された。日本製のソフトや周辺機器の使用が可能[9]
また、発表当初の試作品と製品版では液晶部分のデザインがやや異なっている。

ゲームボーイと比較して、以下の特徴を有する。

互換性
ゲームボーイの上位互換機として開発され、ゲームボーイ用のソフトも動作する。
カラー画面
画面が4階調モノクロだったゲームボーイに対し、32,768色中最低4-10色、最大56色の色表示が可能になった。ゲームボーイカラー対応ソフトか否かで挙動が変化する。
表示画面として、シャープが開発した反射型カラー液晶「スーパーモバイル液晶」を採用、従来のカラー液晶と比べてバックライトを持たないため省電力化されたほか、屋外での視認性が向上した。ゲームボーイライトまでは画面の濃度を手動で調整していたが、反射式液晶にはコントラストを自動補正する機能が搭載されている[10]
カラー共通・専用ソフトでの挙動
ゲームボーイカラー専用もしくはゲームボーイ&カラー共通で起動した場合、最大56色の同時発色表示が可能。これは画面描画中にカラーパレットを書き換えることで実現している。
従来のゲームボーイソフトでの挙動
起動時の配色選択で4-10色のカラーが割り当てられる[11][12]背景配色が4階調、キャラクター表示などに用いられるスプライトが3階調+透過色の配色を2パターン持つため、4+3×2で最大10色となる。背景とスプライトの表示色を変えることによって従来背景に埋もれてしまっていたキャラクタが見やすくなる反面、本来意図されていない見え方になることもある。
配色は12パターンあり、起動画面が終了するまでに十字キー4方向とA/Bボタンでのコマンド入力を行うことで選択できる[13][注釈 4]。一般的なソフトでは背景が緑系統でスプライトが赤系統の配色がデフォルトだが、任天堂のソフトではコマンド入力では出せない特定のソフト専用の配色が用意されている場合がある。例えば『ポケットモンスター 赤・緑』ではそれぞれ赤・緑を基調とした配色が選ばれ、『星のカービィ』では専用の紫調の色彩になる。スーパーファミコン向けのスーパーゲームボーイシリーズの色選択機能の後継ともいえるが、両者に互換性はない。なお、この機能は上位互換機のゲームボーイアドバンスにも搭載されている[注釈 5]
通信機能
通信ケーブル接続時の状態
赤外線通信機能を内蔵[12]ゲームボーイシリーズの中では赤外線通信が本体内蔵された唯一のモデルである。使用できるのは一部の対応ソフトに限られ、用途は主にアイテムの送受信など小さめのデータのやり取りで、通信ケーブルに代わるものではなかった[注釈 6]
その他
カートリッジ交換は電源を切ることで行うことができる。
ゲームボーイにあったコントラスト調整ダイヤルは液晶の視認性が向上したため、ユーザーが調整する必要がなくなり、ユーザーが触れにくい位置に移動している。
本機では起動画面が変更され、ゲーム開始までにかかる時間が従来より大幅に短縮された。
任天堂のハードでストラップホールが初めて搭載された。
ゲームボーイカラー専用ソフトの開発には、CPUの倍速クロックモードが選択可能だが、消費電力も上がり、電池寿命が短くなる為、指定のレジスタに値を書き込む事で、CPUクロックモードをいつでも変更できる仕様になっている。このクロックは、シリアル通信と赤外線通信の通信機能にも利用されており、通信速度も高速モードが使用できるようになっている。

仕様

  • CPU:LR35902 4MHz / 8MHz(カラー専用カートリッジ用の倍速モード) カスタムZ80と表記されるが、厳密にはIntel 8080に近似した仕様のプロセッサ。
  • RAM : 32kバイト(カートリッジ側に128kバイトまでの増設メモリを搭載可能)[12]
  • VRAM:16kバイト[12]
  • ROM:最大64Mビット(=8Mバイト、発売されたソフトの実績値)
  • 画面:2.3インチTFT液晶ディスプレイ(160×144ドット、32768色中最大56色表示可能)
  • スプライト:8×8(最少)1画面中 最大40個表示 / 1水平ライン上に 最大10個表示
  • BG:1面/256×256制御(32x32タイル)
  • ウィンドウ機能(スクロール制限あり)
  • サウンド:パルス波(矩形波)2ch+波形メモリ音源1ch+ノイズ1ch
ステレオ出力可。イヤホン使用時のみステレオ音声。イヤホン未使用時は本体に登載のスピーカーが1つの関係で各チャンネルの音声は合成されてモノラル出力となる。
  • 寸法:78mm × 133.5mm × 27.4mm
  • 電源:単3形乾電池2本(単3アルカリ乾電池2本使用で平均約20時間稼動可能になり、寿命が大幅に向上した)
  • 通信:シリアル通信ポート、赤外線通信

本体

1998年10月21日発売時の本体カラーは6色。型番はCGB-001。希望小売価格は8,900円(税別)で1999年5月14日に価格改定され6,800円となる。

カラーバリエーション

本機は限定カラーが多く発売された[14]

オリジナルカラー
レッド
パープル
イエロー
ブルー
クリア
クリアパープル
トイザらス限定カラー
アイスブルー(1999年7月)
ミッドナイトブルー(1999年11月)
クリアグリーン(2000年11月)
大型玩具ショップ「トイザらス」でのみ発売された。[10]
TSUTAYA限定カラー
ウォーターブルー(2000年8月5日)
ローソン限定カラー
アクアブルー&ミルキーホワイト(1999年8月)
福岡ダイエーホークス優勝限定カラー
クリアオレンジ&クリアブラック(1999年10月)
'99年ダイエーのパ・リーグ優勝記念で発売。[10]
エイデン限定カラー
クリアブラック(2000年12月10日)
カードキャプターさくら限定カラー
ホワイト&ピンク(1999年3月24日)
イトーヨーカドーとメッセサンオーのみの限定販売
本体表面にさくらのイラストとロゴが入った貴重な機種
イマジニア / ハローキティ・スペシャルボックス 限定カラー
(1998年12月)
イマジニア / ハローキティ・スペシャルボックス2 限定カラー
(2000年7月19日)
限定販売されたハローキティバージョンは女の子に人気で即完売した。[10]
ポケモンセンター / ポケットモンスター金・銀 記念バージョン 限定カラー
(1999年11月21日)
ジャスコ限定第一弾 限定カラー (JUSCOオリジナル マリオバージョン)
(1999年4月)
ジャスコ限定第二弾 限定カラー (JUSCOオリジナル マリオバージョン)
(1999年8月)
ジャスコ創業30周年記念に発売された。マリオのイラストがついている。[10]
全日空限定 限定カラー
(1999年5月)
全日空のマイレージなどのキャンペーンの対象商品として用意された。[10]
ポケモンセンター / ポケットモンスター3周年記念限定モデル
(1999年2月20日)
ポケモンセンターで買うことができた。[10]
パナソニック / アルカライン限定
(1998年 - 1999年)
'98年に行われたキャンペーンの景品用。[10]
サクラ大戦GB限定カラー
クリアチェリーピンク(2000年7月28日)
サクラ大戦GB発売記念モデル。ソフトとのパック販売のみで本体単体での販売はなし
アメリカ限定 / キウイカラー
果物のキウイフルーツの色。アメリカ限定発売[9]
台湾限定 / ポケモンバージョン
前面はクリアーグリーン、背面はホワイトのツートンカラー。画面フレームに「ポケモン」のキャラクターイラストが入っている[9]
香港限定 / ポケモンバージョン
前面はクリアーブルー、背面はホワイトのツートンカラー。画面フレームは台湾限定版と同じデザイン[9]


周辺機器

ゲームボーイポケット用周辺機器(型番がMGBのもの)も使用可能。

型番名称価格備考
CGB-002カートリッジカートリッジのみの販売はない。
ラベル側から見て右上に切り欠きがなく初代機に挿入しても電源が入らない。
なお、ゲームボーイカラー専用ソフトにはカートリッジケースは付属されない。
CGB-003通信ケーブル[15]1,500円MGB-008Bと同等。
CGB-004変換コネクタMGB-004とは逆にMGB-008・CGB-003を初代GB対応にする。
DMG-014同等品。日本では未発売。
CGB-005モバイルアダプタGB3,800円[注釈 7]GBA用ソフトにも対応ソフトあり。
MGB-002バッテリーパック[15]1,900円満充電で7時間から10時間の使用が可能。
MGB-003チャージャ[15]3,500円[注釈 8]家庭用コンセントからバッテリーパックを充電する。
MGB-004変換コネクタ[15]800円ゲームボーイ専用通信ケーブルを本機で使用可能にするコネクタ。
MGB-005ACアダプタ[15]1,500円家庭用コンセントから電源を供給
DMG-013振動カートリッジ ポケモンピンボール』などに搭載。振動機能を使うには、単四乾電池1本必要。
型番は「DMG」だがゲームボーイカラー専用/共通ソフトしか存在しない。
DMG-020ジャイロセンサー
カートリッジ
 コロコロカービィ』などに搭載。
型番は「DMG」だがゲームボーイカラー専用ソフトしか存在しない。

NINTENDO64用周辺機器としてスーパーゲームボーイ3(仮)が出る予定だったが、展示会出展用の専用機器が作られたのみで市販はされなかった。そのためゲームボーイカラー専用ソフトは、ゲームキューブの周辺機器であるゲームボーイプレーヤーが発売されるまでの4年間、据置型ゲーム機では遊べなかった。例外として『ポケットモンスター クリスタルバージョン』のみ、カラー専用ソフトながら『ポケモンスタジアム 金・銀』と64GBパックの組み合わせにより、NINTENDO64上で遊べた。

ライセンス商品
バーコードリーダー(タム)
バーコード対戦 バーディガンで使用できるバーコードリーダー。

ソフトウェア

ゲームボーイカラーの発売以降、タイトルによって例外もあるが、ゲームボーイ&カラー共通ソフト(以下、共通ソフト)は黒色のカートリッジ、ゲームボーイカラー専用ソフト(以下、専用ソフト)のカートリッジはスケルトンとなり、従来の灰色カートリッジと見分けがつくようになっている。

本機発売前の1998年9月25日エニックスの『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』が初の共通ソフトとして発売された[注釈 9]ローンチタイトルとしては『テトリスDX』、『ワリオランド2 盗まれた財宝』など3タイトルでいずれも共通ソフトである。初の専用ソフトは本機発売から約半年後の1999年4月23日ケムコから発売された『トップギア・ポケット』である。

その後は専用ソフトの新規タイトル数が共通ソフトを上回っていくが、エニックスやバンプレストなど2001年以降も共通ソフトで発売するメーカーもあった。

最後の共通ソフトはバンプレストから2002年6月28日に発売された『From TV animation ONE PIECE 幻のグランドライン冒険記!』、最後の専用ソフトは小学館から2003年7月18日に発売された『ドラえもんのスタディボーイ かんじよみかきマスター』である。

2001年3月に次世代機のゲームボーイアドバンスが発売されたこともあり、対応ソフトの発売期間はゲームボーイカラー以前の灰色カートリッジ時代と比較して短かった。

売上ランキング

順位ソフト販売会社ジャンル発売日価格(税抜)販売本数
01位遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4
最強決闘者戦記 遊戯デッキ・城之内デッキ・海馬デッキ
KONAMIカードゲーム2000年12月07日4800円221万0163本
02位ポケットモンスター
クリスタルバージョン
任天堂RPG2000年12月14日3800円187万1307本
03位ゼルダの伝説 ふしぎの木の実
時空の章・大地の章
任天堂アクション・アドベンチャー2001年02月27日3800円074万6054本
04位遊☆戯☆王デュエルモンスターズIII
三聖戦神降臨(トライホーリーゴッドアドバント)
KONAMIカードゲーム2000年07月13日4500円072万6518本
05位ドラゴンクエストIII
そして伝説へ…
スクウェア・エニックスRPG2000年12月08日6400円063万8551本
06位コロコロカービィ任天堂アクション2000年08月23日4500円056万3914本
07位とっとこハム太郎2
ハムちゃんず大集合でちゅ
任天堂アドベンチャー2001年04月21日3800円049万7061本
08位マリオテニスGB任天堂スポーツ2000年11月01日3800円035万7987本
09位とっとこハム太郎
ともだち大作戦でちゅ
任天堂その他2000年09月08日3800円034万3950本
10位ゼルダの伝説
夢をみる島DX
任天堂アクション・アドベンチャー1998年12月12日3500円031万4313本
11位ワリオランド3
不思議なオルゴール
任天堂アクション2000年03月21日3800円025万5536本
12位ドンキーコング2001任天堂アクション2001年01月21日3800円024万0610本
13位メダロット3
カブトバージョン / クワガタバージョン
イマジニアRPG2000年07月23日4300円023万5617本
14位マリオゴルフ任天堂SPT1999年08月10日3800円021万9830本
15位爆転シュート ベイブレードブロッコリーRPG2001年07月27日4800円021万2855本
16位ドンキーコングGB
ディンキーコング&ディクシーコング
任天堂アクション2000年01月28日3800円020万8359本
17位不思議のダンジョン
風来のシレンGB2
チュンソフトRPG2001年07月19日4500円017万2580本
18位トレード&バトル
カードヒーロー
任天堂TCG2000年02月21日3800円016万2163本
19位サクラ大戦GB
檄・花組入隊!
メディアファクトリーAVG2000年07月28日4800円013万2579本
20位メダロット4
カブトバージョン / クワガタバージョン
イマジニアRPG2001年03月23日4500円011万5674本

CM

冒頭に「ゲームボーイカラー」のサウンドロゴとロゴマークが出現し、海外の老若男女がゲームに興じているなかで、字幕で「バッテリー20時間連続プレイ」、ナレーターが「カラーがあればまいにちたのしい」とアピールするものだった。

脚注

注釈

出典

外部リンク