デビスカップ

男子テニスの国別対抗戦

デビスカップ (: Davis Cup, 英語発音: /ˈdeɪvɪs kʌp/[1]) は、1900年から毎年行われている男子テニスの国別対抗戦。略称はデ杯。原音では「デイヴィス・カップ」に近い発音。

デビスカップ
今シーズン・大会:
現在進行のスポーツイベント デビスカップ2024
競技テニス
創立1900年
参加チーム18 (ファイナルズ, 2021年)
142 (2020年総計)
ITF加盟国
前回優勝 イタリア (2)
最多優勝 アメリカ合衆国 (32回)
公式サイトdaviscup.com

名称は優勝杯を大会に寄贈したドワイト・デービスにちなむ[1]。かつてはNECが協賛をつとめていたが、2019年予選大会まではBNPパリバがつとめており、「Davis Cup by BNP Paribas」の名で開催されていた。2019年決勝大会から22年ファイナルズまでは楽天がタイトルスポンサーとなり、「Davis Cup by Rakuten」の名で開催されていた。

なお同等の女子テニス国別対抗戦は「ビリー・ジーン・キング・カップ」という別名称がついている。

大会の流れ

各国には代表選手4名が選出され、試合は3日間にわたって行われる。各試合は5セット・マッチで行う。第1日目はシングルス2試合、第2日目はダブルス、第3日目はシングルス2試合を行い、先に3試合を取った国の勝利となる。ただし、最終第5試合(シングルス)を待たずに一方の国が3勝を挙げて勝利が確定した場合、残った“消化試合”は3セット・マッチに短縮される。

また、開催国がサーフェスを決定することができる。開催国は、過去に対戦がないか、対戦が古すぎる場合は抽選、それ以外の場合は両国が交互に開催することになる。そのため、開催国は自国に有利になるコート・サーフェスを用意する場合が多い。例えば、クレー勝率9割超えのナダルを筆頭にクレーコーターの多いスペインはクレーを選択することが多い他、伝統的に速いコートが得意な選手の多いアメリカはハードコートを選択する場合が多い。逆にそれらを封じるために、相手の不得手とするコートをあえて選ぶ場合もある。ビッグサーバーの多い国(クロアチアなど)を相手にする場合は、サーブの威力の落ちるクレーコートを選択する、などがそれである。

出場国は種々の「グループ」に分かれる。頂点にいる「ワールドグループ」16か国は、1回戦からトーナメントを行う。ワールドグループ1回戦で敗退した国と、世界各地の「ゾーン」(例:欧州ゾーン、東洋ゾーンなど)の優勝国が、翌年のワールドグループ出場権をかけて「プレーオフ」を行う。ワールドグループ各会場の1回戦、2回戦、準決勝は原則として日程を同時に合わせることになっている。決勝は例年、12月初頭に行われ、ここでその年のデビスカップ優勝国が決まる。

しかし過密日程のためにトップ選手が参加しないことが増えたことから、2018年大会を最後にこの大会方式は行われていない。

構成 (2019年大会より)

ワールドグループの対戦方式に大きな変更があり、1か所で1週間かけて「デビスカップ・ファイナルズ」として開催されることとなった。2019年は18か国(国別ランキング上位6か国と、予選勝ち上がりの12か国)が3か国ずつ6つのグループに分かれてラウンドロビン方式で対戦し、各グループ1位の6か国、およびグループ2位のうち成績最上位の2か国が準々決勝に進み、以降はトーナメント方式となる。各国間の対戦はシングルス2試合・ダブルス1試合の計3試合となり、各試合は3セット・マッチで行われる。

レベルグループ
1デビスカップ・ファイナルズ

18か国

2グループI
アメリカゾーン

6か国

グループI
ヨーロッパ/アフリカゾーン

12 か国

グループI
アジア/オセアニアゾーン

6か国

3グループII
アメリカゾーン

6か国

グループII
ヨーロッパ/アフリカゾーン

12か国

グループII
アジア/オセアニアゾーン

6か国

4グループIII
アメリカゾーン

変動あり

グループIII
ヨーロッパゾーン

変動あり

グループIII
アフリカゾーン

変動あり

グループIII
アジア/オセアニアゾーン

変動あり

5グループIV
アジア/オセアニアゾーン

変動あり

ATPポイント

デビスカップ
カテゴリー試合勝利試合敗北チームボーナスパフォーマンス
ボーナス
合計
シングルスプレーオフ5 / 10115
1stラウンド4010280
準々決勝65130
準決勝70140
決勝757531254150 / 2253 / 2754
合計500500 to 535362546254
ダブルスプレーオフ1010
1stラウンド5010250
準々決勝8080
準決勝9090
決勝9535595 / 1305
合計31535053505

2009~2015[2]

チーム勝利確定後のデッドラバーはポイントに加算されない。 1stラウンド以上の試合で欠場した選手は前のラウンドのポイントを受け取る。 .[2]

  • 1 シングルス初日は5ポイント, 最終日は10ポイント。[2]
  • 2 1stラウンドのみ, ライブラバーに出場して負けた選手は10ポイント。[2]
  • 3 チームボーナスはライブマッチで年間7勝したシングルスプレイヤーに与えられる。[2]
  • 4 パフォーマンスボーナスはライブマッチで年間8勝したシングルスプレイヤーに与えられる。なおこの場合チームボーナスは無くなる。[2]
  • 5 チームボーナスは年間4勝した同じペアのダブルスチームに与えられる。[2]

大会の歴史

1900年にインターナショナル・ローンテニス・チャレンジとして第1回大会が行なわれた。ハーバード大学テニスチームの考案であった。第1回はボストンのロングウッド・クリケット・クラブで行なわれ、アメリカとイギリスが対戦し、アメリカが初代チャンピオンに輝いた。1904年以降は、前年優勝国と予選大会の優勝国が対戦するいわゆるアメリカスカップと同じ方式になった。

1923年からアメリカゾーンとヨーロッパゾーンに分けられ、それぞれの勝者がInter-Zonal Zone ("INZ")で対戦し、その勝者がディフェンディングチャンピオンと対戦する方式となる。

1940年から1945年にかけて、第二次世界大戦により大会が中止された[3]

1955年からはさらにイースタンゾーンが加わった。1966年にはヨーロッパゾーンがヨーロッパゾーンAとヨーロッパゾーンBに別れた。

1972年から勝ち残り式トーナメント方式となり前年の優勝者も全てのラウンドに参加することになった。

1981年から現在の方式が作られ、16の上位国からなるワールドグループとその他の地域別グループに分けられた。1989年からはタイブレーク制が導入された。

2019年からデ杯の大会制度が変わり、コスモス社のジェラール・ピケ三木谷浩史氏が25年間の支援を行う[4][5][6]。1年間かけてトーナメント方式で世界最強国を決める方式から、11月の1週間で優勝を決める方式に変更される。

2020年大会新型コロナウイルス感染症の世界的流行に伴い、2020年と2021年の2年がかりで行うことが決まった。

デビスカップ日本代表

デビスカップ日本代表は初出場となる1921年のインターナショナル・ローンテニス・チャレンジで決勝進出。決勝ではアメリカに0勝5敗で、準優勝となった。前制度の16か国によるワールドグループ制以降、日本は1981年、1985年、2012年、2014 - 2018年にワールドグループに進出している (それ以外はアジアグループ内又は入れ替え戦で敗退)。2019年はファイナルズに進出している。

歴代優勝国

*アウェーでの優勝

[7]

優勝スコア準優勝
1900  アメリカ合衆国3–0  イギリス[8]
1901  アメリカ合衆国w/o  イギリス
1902  アメリカ合衆国3–2  イギリス
1903  イギリス4–1*  アメリカ合衆国
1904  イギリス5–0  ベルギー
1905  イギリス5–0  アメリカ合衆国
1906  イギリス5–0  アメリカ合衆国
1907 オーストララシア[9]3–2*  イギリス
1908 オーストララシア3–2  アメリカ合衆国
1909 オーストララシア5–0  アメリカ合衆国
1910 オーストララシアw/o  イギリス
1911 オーストララシア4–0  アメリカ合衆国
1912  イギリス3–2* オーストララシア
1913  アメリカ合衆国3–2*  イギリス
1914 オーストララシア3–2*  アメリカ合衆国
開催せず&
&
1919 オーストララシア4–1  イギリス
1920  アメリカ合衆国5–0* オーストララシア
1921  アメリカ合衆国5–0  日本
1922  アメリカ合衆国4–1 オーストララシア
1923  アメリカ合衆国4–1  オーストラリア
1924  アメリカ合衆国5–0  オーストラリア
1925  アメリカ合衆国5–0  フランス
1926  アメリカ合衆国4–1  フランス
1927  フランス3–2*  アメリカ合衆国
1928  フランス4–1  アメリカ合衆国
1929  フランス3–2  アメリカ合衆国
1930  フランス4–1  アメリカ合衆国
1931  フランス3–2  イギリス
1932  フランス3–2  アメリカ合衆国
1933  イギリス3–2*  フランス
1934  イギリス4–1  アメリカ合衆国
1935  イギリス5–0  アメリカ合衆国
1936  イギリス3–2  オーストラリア
1937  アメリカ合衆国4–1*  イギリス
1938  アメリカ合衆国3–2  オーストラリア
1939  オーストラリア3–2*  アメリカ合衆国
~開催せず&
&
1946  アメリカ合衆国5–0*  オーストラリア
1947  アメリカ合衆国4–1  オーストラリア
1948  アメリカ合衆国5–0  オーストラリア
1949  アメリカ合衆国4–1  オーストラリア
1950  オーストラリア4–1*  アメリカ合衆国
1951  オーストラリア3–2  アメリカ合衆国
1952  オーストラリア4–1  アメリカ合衆国
1953  オーストラリア3–2  アメリカ合衆国
1954  アメリカ合衆国3–2*  オーストラリア
1955  オーストラリア5–0*  アメリカ合衆国
1956  オーストラリア5–0  アメリカ合衆国
1957  オーストラリア3–2  アメリカ合衆国
1958  アメリカ合衆国3–2*  オーストラリア
1959  オーストラリア3–2*  アメリカ合衆国
1960  オーストラリア4–1  イタリア
1961  オーストラリア5–0  イタリア
1962  オーストラリア5–0  メキシコ
1963  アメリカ合衆国3–2*  オーストラリア
1964  オーストラリア3–2*  アメリカ合衆国
1965  オーストラリア4–1  スペイン
1966  オーストラリア4–1  インド
1967  オーストラリア4–1  スペイン
1968  アメリカ合衆国4–1*  オーストラリア
1969  アメリカ合衆国5–0  ルーマニア
1970  アメリカ合衆国5–0 西ドイツ
1971  アメリカ合衆国3–2  ルーマニア
1972  アメリカ合衆国3–2*  ルーマニア
1973  オーストラリア5–0*  アメリカ合衆国
1974  南アフリカ共和国w/o*[10]  インド
1975  スウェーデン3–2  チェコスロバキア
1976  イタリア4–1*  チリ
1977  オーストラリア3–1  イタリア
1978  アメリカ合衆国4–1  イギリス
1979  アメリカ合衆国5–0  イタリア
1980  チェコスロバキア4–1  イタリア
1981  アメリカ合衆国3–1  アルゼンチン
1982  アメリカ合衆国4–1*  フランス
1983  オーストラリア3–2  スウェーデン
1984  スウェーデン4–1  アメリカ合衆国
1985  スウェーデン3–2* 西ドイツ
1986  オーストラリア3–2  スウェーデン
1987  スウェーデン5–0  インド
1988 西ドイツ4–1*  スウェーデン
1989 西ドイツ3–2  スウェーデン
1990  アメリカ合衆国3–2  オーストラリア
1991  フランス3–1  アメリカ合衆国
1992  アメリカ合衆国3–1  スイス
1993  ドイツ4–1  オーストラリア
1994  スウェーデン4–1*  ロシア
1995  アメリカ合衆国3–2*  ロシア
1996  フランス3–2*  スウェーデン
1997  スウェーデン5–0  アメリカ合衆国
1998  スウェーデン4–1*  イタリア
1999  オーストラリア3–2*  フランス
2000  スペイン3–1  オーストラリア
2001  フランス3–2*  オーストラリア
2002  ロシア3–2*  フランス
2003  オーストラリア3–1  スペイン
2004  スペイン3–2  アメリカ合衆国
2005  クロアチア3–2*  スロバキア
2006  ロシア3–2  アルゼンチン
2007  アメリカ合衆国4–1  ロシア
2008  スペイン3–1*  アルゼンチン
2009  スペイン5–0  チェコ
2010  セルビア3–2  フランス
2011  スペイン3–1  アルゼンチン
2012  チェコ3–2  スペイン
2013  チェコ3–2*  セルビア
2014  スイス3–1*  フランス
2015  イギリス3–1*  ベルギー
2016  アルゼンチン3–2*  クロアチア
2017  フランス3–2  ベルギー
2018  クロアチア3–1*  フランス
2019  スペイン2–0  カナダ
2020–21ロシア・テニス連盟2–0  クロアチア
2022  カナダ2–0  オーストラリア
2023  イタリア2–0  オーストラリア

チーム別優勝

優勝準優勝
 アメリカ合衆国1900, 1902, 1913, 1920, 1921, 1922, 1923, 1924, 1925, 1926, 1937, 1938, 1946, 1947, 1948, 1949, 1954, 1958, 1963, 1968, 1969, 1970, 1971, 1972, 1978, 1979, 1981, 1982, 1990, 1992, 1995, 2007 (32)1903, 1905, 1906, 1908, 1909, 1911, 1914, 1927, 1928, 1929, 1930, 1932, 1934, 1935, 1939, 1950, 1951, 1952, 1953, 1955, 1956, 1957, 1959, 1964, 1973, 1984, 1991, 1997, 2004 (29)
 オーストラリア1907, 1908, 1909, 1911, 1914, 1919, 1939, 1950, 1951, 1952, 1953, 1955, 1956, 1957, 1959, 1960, 1961, 1962, 1964, 1965, 1966, 1967, 1973, 1977, 1983, 1986, 1999, 2003 (28)1912, 1920, 1922, 1923, 1924, 1936, 1938, 1946, 1947, 1948, 1949, 1954, 1958, 1963, 1968, 1990, 1993, 2000, 2001, 2022, 2023 (21)
 イギリス1903, 1904, 1905, 1906, 1912, 1933, 1934, 1935, 1936, 2015 (10)1900, 1902, 1907, 1913, 1919, 1931, 1937, 1978 (8)
 フランス1927, 1928, 1929, 1930, 1931, 1932, 1991, 1996, 2001, 2017 (10)1925, 1926, 1933, 1982, 1999, 2002, 2010, 2014, 2018 (9)
 スウェーデン1975, 1984, 1985, 1987, 1994, 1997, 1998 (7)1983, 1986, 1988, 1989, 1996 (5)
 スペイン2000, 2004, 2008, 2009, 2011, 2019 (6)1965, 1967, 2003, 2012 (4)
西ドイツ
 ドイツ
1988, 1989, 1993 (3)1970, 1985 (2)
 チェコスロバキア
 チェコ
1980, 2012, 2013 (3)1975, 2009 (2)
 ロシア2002, 2006, 2020–21 (3)1994, 1995, 2007 (3)
 イタリア1976 2023 (2)1960, 1961, 1977, 1979, 1980, 1998 (6)
 クロアチア2005, 2018 (2)2016, 2020–21 (2)
 アルゼンチン2016 (1)1981, 2006, 2008, 2011 (4)
 セルビア2010 (1)2013 (1)
 スイス2014 (1)1992 (1)
 カナダ2022 (1)2019 (1)
 南アフリカ共和国1974 (1)(0)
 インド(0)1966, 1974, 1987 (3)
 ルーマニア(0)1969, 1971, 1972 (3)
 ベルギー(0)1904, 2015, 2017 (3)
 日本(0)1921 (1)
 メキシコ(0)1962 (1)
 チリ(0)1976 (1)
 スロバキア(0)2005 (1)

大陸別優勝

大陸優勝準優勝
ヨーロッパ4649
北アメリカ3230
オセアニア2819
アフリカ10
南アメリカ15
アジア04

脚注

参考文献

  • 研究社辞書部, ed. (1960年). "Davis cup". 研究社新英和大辞典 (4 ed.). 東京: 研究社. p. 445. NCID BN01869467

関連項目

外部リンク

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