トロメリン島

南緯15度53分東経54度31分に位置する、標高の低い平らな、面積1km²足らずの小島である。この島には、港や投錨に適した場所がなく、海からのアクセスは困難である。島には全長1,000mの滑走路が造られており、飛行機の発着が可能である。

トロメリン島は、珊瑚礁に取り囲まれた、全長1,700m、全幅700mのヤブに覆われた砂地の島である。この島は、海鳥やアオウミガメの営巣地となっている。

この島は1722年、フランスの航海士によって初めて記録されている。島の名前は、1776年にこの島を訪れたフランスの軍艦 La Dauphine号のジャック・M・B・トロムラン艦長（Jacques Marie Boudin de Tromelin de La Nuguy）の名前に由来する。1761年にマダガスカルからモーリシャスに奴隷を運搬していたフランス東インド会社の奴隷船ユティール号（Utile）が島の珊瑚礁に座礁した。乗組員らは救命用の筏でマダガスカルにたどり着いたのだが、約60人のマダガスカル人の奴隷たちはこの島に取り残された。15年後にトロムラン艦長らが生存者を救出したが、生存していたのは7人の女性と生後8か月の子供であった^[2]。

フランスは1776年、軍艦 La Dauphine号が座礁した奴隷船に残された奴隷救出に成功した時点を論拠に領有権を主張している。1814年、レユニオンの一部として編入。現在はフランス領南方・南極地域に属するフランス領インド洋無人島群の一島として行政管理を行っている。また、1954年にサイクロンを警戒するための気象観測所が建設され、レユニオンから気象観測士が派遣されている。

モーリシャスは、ナポレオン戦争の1814年のパリ条約でフランス領フランス島（現在のモーリシャス）がイギリスに返還されイギリス領モーリシャスとなった際に含まれていた（返還される「モーリシャス」の範囲は明確には規定されていなかった）とし、これを論拠にフランスには領有する権利は無いと主張している。

フランス及びモーリシャスは20年以上かけて共同主権について協議を重ねており、2010年6月にはいったん経済、科学、環境に関する共同協定が締結された^[3]が、2013年、2017年にフランス国民議会での承認を試みているが成立していない。

トロメリン島は280,000km²の排他的経済水域を有している。

• フランス領インド洋無人島群