ヒップホップ・ミュージック

ラップなどからなる音楽のジャンル

ヒップホップ・ミュージック(hip hop music)は、ヒップホップ[1][2]ラップ・ミュージック[2][3][4][5]とも呼ばれる、ラップなどのリズミカルなミュージックからなる音楽のジャンルの一つである。または、そのリズム、セリフを同じ調子でリズミカルに繰り返すことを指す[2]。ヒップホップの文化の一つとして発達し、その中でも主にMC(ラップ)、DJ(スクラッチ)、ブレイクダンス、落書きの4つに分かれている[6][7][8]。他にもサンプリング(または、シンセサイズ[注釈 1])やビートボックスなどがある。

ヒップホップ
様式的起源ファンク, ディスコ, リズム・アンド・ブルース
文化的起源1970年代、ニューヨークブロンクス区
使用楽器シンセベース、ターンテーブル, シンセサイザー, ワウペダル, ラップ, ドラムマシン, サンプラー, ドラムス, コンガ, ボンゴベース, ピアノ, ヒューマンビートボックスギター
派生ジャンルエレクトロ・ファンク, ブレイクビーツ, オールドスクール・ジャングル, ドラムンベース, トリップ・ホップ, ネオ・ソウル, 2ステップ、EDM
サブジャンル
オルタナティブ・ヒップホップクリスチャン・ヒップホップギャングスタ・ラップハードコアヒップホップホラーコアチカーノラップ
融合ジャンル
ヒップホップ・ソウル、ヒップハウス、バウンス、クランク、トラップ、スナップ、ジャズ・ラップ、メレンラップ、ニュー・メタルラガレゲトンラップロックニュージャックスウィング
地域的なスタイル
イースト・コースト・ヒップホップウエスト・コースト・ヒップホップサザン・ヒップホップ、中西部ラップ、アフリカン・ラップ、ラテン・ラップ、韓国ラップ、台湾ラップ、日本のヒップホップ
2024年のヒップホップ・ミュージック
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概要

ふつう、「ヒップホップ」はすべてのサブカルチャーのことを指すが[9][10]、ヒップホップ・ミュージックは、ラップ・ミュージックと混同して使われることもある[2][5]。しかし、本来ラップ・ミュージックはヒップホップを構成する1つの要素であり、DJ、スクラッチ、ビートボックス、instrumental tracksなどを含まない[11]

アメリカのデータ調査会社ニールセンの調査によると、2017年はロックなどを抑えヒップホップとR&Bが1991年からの追跡を開始してから史上初となるアメリカの音楽で1番売れたジャンルとなった[12][13]

詳細

ラップするナズ

ヒップホップ」の用語はグランドマスター・フラッシュ・アンド・ザ・フューリアス・ファイヴ]のラッパーであったキース・カウボーイが作ったとされる[14]。しかしながら、ラヴバグ・スタスキー、キース・カウボーイ、DJハリウッドはこの種の音楽がディスコ・ラップとして知られていた頃から「ヒップホップ」を使用していた[15]。カウボーイがその用語を創造したのは、アメリカ陸軍に入隊したばかりの友人をからかっているときに、兵士の行進のリズミカルな様子を「ヒップ/ホップ/ヒップ/ホップ」とのようにスキャットでまねているときであったと考えられている[14]。カウボーイは後に「ヒップ/ホップ」という韻律を自らのステージパフォーマンスに取り入れたが、それはすぐに他のアーティストによって真似られ、シュガーヒル・ギャングは「Rapper's Delight」に取り入れた[14]

ユニバーサル・ズールー・ネイションの創立者であるアフリカ・バンバータはこの種の音楽が属するサブカルチャー全体を「ヒップホップ」と初めて表現したとされる。しかしながら、これらを軽蔑的に表現する時期であったことも示唆される[16]。活字媒体で初めてこの語を使用したのは「The Village Voice」紙のスティーヴン・ヘーガーであった[17]。ヘーガーは後に「1984 history of hip hop」を著している[18]。ヒップホップはその後、オールドスクール、ニュースクール、南部ラップ、ウエストコースト・ラップ、ギャングスタ・ラップなどと発展し、アメリカだけでなく世界に拡大していった[19][20]

歴史

関連項目

脚注

注釈

出典

参照

  • David Toop (1984/1991). Rap Attack II: African Rap To Global Hip Hop. New York. New York: Serpent's Tail. ISBN 1-85242-243-2.
  • McLeod, Kembrew. Interview with Chuck D and Hank Shocklee. 2002. Stay Free Magazine.
  • Corvino, Daniel and Livernoche, Shawn (2000). A Brief History of Rhyme and Bass: Growing Up With Hip Hop. Tinicum, PA: Xlibris Corporation/The Lightning Source, Inc. ISBN 1-4010-2851-9
  • Hess, Mickey (2009). Hip Hop in America: A Regional Guide: Volume 1: East Coast and West Coast Greenwood. ISBN 0313343233
  • Rose, Tricia (1994). "Black Noise". Middletown, Connecticut: Wesleyan University Press. ISBN 0-8195-6275-0
  • Potter, Russell (1995) Spectacular Vernaculars: Hip-Hop and the Politics of Postmodernism. Albany: SUNY Press. ISBN 0-7914-2626-2
  • Light, Alan (ed). (1999). The VIBE History of Hip-Hop. New York: Three Rivers Press. ISBN 0-609-80503-7
  • George, Nelson (2000, rev. 2005). Hip-Hop America. New York: Penguin Books. ISBN 0-14-028022-7
  • Fricke, Jim and Ahearn, Charlie (eds). (2002). Yes Yes Y'All: The Experience Music Project Oral History of Hip Hop's First Decade. New York: Da Capo Press. ISBN 0-306-81184-7
  • Kitwana, Bakar (2004). The State of Hip-Hop Generation: how hip-hop's culture movement is evolving into political power Retrieved December 4, 2006. From Ohio Link Database
  • Chang, Jeff (2005). Can't Stop Won't Stop: A History of the Hip-Hop Generation. Picador, ISBN 0-312-42579-1.

外部リンク