ホンダ・HR-V

本田技研工業のクロスオーバーSUV型乗用車

HR-V(エッチアール - ブイ[1]、エイチアール - ブイ)は、本田技研工業が生産、販売している小型SUVである。

ホンダ・HR-V
3代目欧州仕様 HR-V
概要
別名ホンダ・ヴェゼル(2-3代目)
ホンダ・ZR-V(3代目北米仕様)
製造国日本の旗 日本
ブラジルの旗 ブラジル
販売期間1998年 - 2006年(初代)
2014年-(2代目以降)
ボディ
ボディタイプ3ドア/5ドア クロスオーバーSUV
※3ドアは初代のみ
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概要

初代は1997年東京モーターショーで発表されたクロスオーバーSUVのコンセプトカー「J-WJ[2]」を経て1998年に市販化された。「Small is Smart」の発想をもとに、日常生活での使いやすさやコンパクトさと軽さゆえの環境への影響が少なさに加え、楽しさ(Joyful)も求めた「J・ムーバー」の第2弾として、GA3型ロゴシャシをベースにしたスリムなボディを、大径タイヤ[3] などによりSUVらしく車高を上げるという独特の成り立ちをしている。かつてないハイライダースタイルに、使いやすさと、走り、安全、環境など、全ての要素を盛り込んだことで、ホンダでは、既存のカテゴリには収まらない革命的なクルマであるとし、HR-VをSUVではなく、「ジェットフィール・ハイライダー」(3ドアモデルでの場合。後に追加された5ドアモデルは「アップスタイル・ワゴン」)と呼んだ。

ボディ構造技術として、事故の際に搭乗者及び歩行者への衝撃を減らす、G-CON(衝突安全設計ボディ)をホンダで最初に採用した。

エンジンはD16A型のみの設定だが、グレードによってVTEC仕様とノーマル仕様が混在した。トランスミッションホンダマルチマチックCVT)と5速MTの2種類。4WDはスタンバイ式のリアルタイム4WDデュアルポンプシステム)で本格的なオフロード車ではないが、オリジナルのデザインの塗装を施され、各地の森林管理署の官用車に使用されている[4]。取扱販売店はベルノ店

日本での販売はエクステリアデザインを優先したタイトな室内空間が不評で振るわなかった[5] が、欧州ではベストセラーになったと言われている[6]。また、中東でも人気が高く、中古車が日本から多数輸出されている。

2代目はヴェゼルの日本国外仕様車である。

3代目の欧州・アジア向けはヴェゼルの国外仕様だが、北米仕様は11代目シビックをベースにした新規車両であり、欧州・アジア(日本も含む)ではZR-Vとして発売予定となっている。

初代 GH1/2/3/4型(1998年 - 2006年)

ホンダ・HR-V(初代)
GH1/2/3/4型
1998年9月販売型3ドア
2001年7月改良型5ドア
概要
製造国 日本
販売期間3ドア:1998年2003年
5ドア:1999年2006年
(以上、1998年 - 2006年)
ボディ
乗車定員5人
ボディタイプ3ドア/5ドア クロスオーバーSUV
駆動方式FF/4WD
パワートレイン
エンジンD16A型:1.6L 直4 SOHC ベルト駆動
D16A型:1.6L 直4 SOHC VTEC
最高出力D16A型:105PS/6,200rpm
D16A型(VTEC):125PS/6,700rpm
最大トルクD16A型:14.1kgf·m/3,400rpm
D16A型(VTEC):14.7kgf・m/4,900rpm
変速機CVT(マルチマチックS)
5速MT
前:マクファーソンストラット
後(FF):車軸式
後(4WD):ド・ディオン式
前:マクファーソンストラット
後(FF):車軸式
後(4WD):ド・ディオン式
車両寸法
ホイールベース3ドア:2,360mm
5ドア:2,460mm
全長3ドア:3,995mm
5ドア:4,095mm
全幅1,695mm
全高1,580mm
車両重量3ドア:1,120-1,230kg
5ドア:1,190-1,300kg
その他
燃費J:14.8km/L
J4:14.2km/L
JS:14.2km/L
JS4:13.0km/L
全て10・15モード
販売期間中の新車登録台数の累計6万9106台[5]
系譜
先代なし
後継ホンダ・ヴェゼル
※ただし販売開始まで約7年の空白期間あり。(日本のみ)
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  • 1997年 - 東京モーターショーに、J-WJ(J・ムーバー ワイルド&ジョイフル ワゴン)として参考出品された。
  • 1998年9月22日 - 3ドアの発売を開始した。CMキャラクターはアメリカのロックバンドのセイヴ・フェリス(英語: Save Ferrisが起用され、CMソングには本人たちが演奏する『ゲバゲバ!マーチ』が起用された。バリエーションは、「J」(FF)、「J4」(4WD)及び「JS4」(4WD VTEC)の3種で、トランスミッションは5速MT(「J」、「J4」)とマルチマチックS(「J」、「J4」、「JS4」)が設定された。
  • 1999年7月30日 - 5ドアを追加し、3ドアを一部改良した。内装色や素材の変更及び電波式キーレスエントリー、ボディ同色電動格納式リモコンドアミラー及びマイクロアンテナなどを標準装備した。最低地上高190mmから175mmに変更した。
  • 2000年
    • 3月3日 -「J」、「J4」をベースとした特別仕様車「プレイヤー」を発売。
    • 8月31日 -「プレイヤー」をベースとした特別仕様車「ナビプレイヤー」を発売。
  • 2001年
    • 7月5日 -「JS」(FF VTEC)を追加するなどマイナーチェンジを実施した。外装デザインの変更及び装備の充実を図り、平成12年度排出ガス規制値の50%以下まで低減した「優-低排出ガス」を全タイプが取得した。
    • 12月17日 - 「J」、「J4」をベースとした特別仕様車「Jスペシャル」、「J4スペシャル」を発売。
  • 2003年10月21日 - 装備の充実を図る小変更が実施され、同時に3ドアの全てのモデルと、5ドア「J4」のMT仕様が廃止された。
  • 2005年5月 - コスミックグレー・パールを廃色した。
  • 2005年12月[7] - オーダーストップに伴い生産終了。以降は在庫対応分のみの販売となる。
  • 2006年2月 - 在庫対応分が完売し、販売を終了した。同時にモデル廃止。

2代目 RU1/2/3/4型(2014年 - 2021年)

ホンダ・HR-V(2代目)
RU1/2/3/4型
VTi-S(フロント)
VTi-S(リア)
概要
別名ホンダ・ヴェゼル(初代)
中国 : ホンダ・XR-V
中国 : 理念・VE-1
中国 : 思銘・X-NV
中国 : 思銘・M-NV
アキュラ・CDX
製造国 日本
メキシコ
中国
アルゼンチン
販売期間2014年4月17日 - 2021年
ボディ
乗車定員5名
ボディタイプ5ドアSUV
駆動方式前輪駆動(FF車)
四輪駆動(リアルタイムAWD:4WD車)
パワートレイン
エンジンガソリン車L15B型:
1,496cc 直列4気筒 直噴DOHC
ターボ車:L15B型:
1,496cc 直列4気筒 直噴DOHCターボ2019年1月-
ハイブリッド車:LEB型:
1,496cc 直列4気筒 直噴DOHC
モーターハイブリッド車
H1型:交流同期電動機
最高出力ガソリン車
96kW (131PS)/6,600rpm
ターボ車
127kW (172PS)/5,500rpm
2019年1月-
ハイブリッド車
エンジン:
97kW (132PS)/6,600rpm
モーター:
22kW (29.5PS)/1,313-2,000rpm
システム最高出力:
112kW (152PS)
最大トルクガソリン車
155N·m (15.8kgf·m)/
4,600rpm
ガソリンターボ車
220N·m (22.4kgf·m)/
1,700-5,500rpm
2019年1月-
ハイブリッド車
エンジン:
156N·m (15.9kgf·m)/
4,600rpm
モーター:
160N·m (16.3kgf·m)/
0-1,313rpm
変速機無段変速オートマチック(CVT
(ガソリン車・ターボ車)
7速DCT(ハイブリッド車)
前:マクファーソン式
後:車軸式(FF車)
後:ド・ディオン式(4WD車)
前:マクファーソン式
後:車軸式(FF車)
後:ド・ディオン式(4WD車)
車両寸法
ホイールベース2,610mm
全長4,295mm
2013年12月-2018年2月
4,330mm
2018年2月-
4,305mm[注 1]
4,340mm[注 2]
全幅1,770mm
1,790mm[注 3]
全高1,605mm
車両重量1,180-1,380kg
2013年12月-2016年2月
1,180-1,390kg
2016年2月-
その他
ブレーキ前:油圧式ベンチレーテッドディスク
後:油圧式ディスク
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2014年4月17日
ホンダの米国法人がニューヨークモーターショー2014でヴェゼル米国仕様の概要を発表。車名は「HR-V」となり、2014年2月に操業を開始したホンダのメキシコ新工場で同年後半に生産開始されることもあわせて発表された[8]
2014年10月2日
ホンダの欧州法人がパリモーターショーで欧州仕様のプロトタイプを発表[9]。車種名は米国仕様と同じ「HR-V」となる。
2014年10月29日
サンパウロ国際モーターショー2014でブラジル仕様の市販予定車を公開することを発表。ブラジル仕様は1.8L SOHC i-VTEC フレックスフューエルエンジンとCVTの組み合わせとなり、車種名は米国仕様と同じ「HR-V」となる。発売は2015年第1四半期の予定とされた[10]
2014年11月18日
ロサンゼルスモーターショーで米国仕様を正式発表[11]
2015年2月18日
ジュネーヴモーターショーで欧州仕様を正式発表[12]。1.5Lと1.6Lディーゼルのエンジンに6速MTとCVTの組み合わせとなる。
2015年4月14日
アルゼンチンカンパーニャ工場でHR-Vの生産が開始。同月28日からブラジルへの輸出が開始[13]。南米仕様車は1.8L SOHC i-VTECエンジンとCVTまたは6速MTの組み合わせとなる。
2016年7月5日
ホンダコリアを介し、韓国市場での販売を開始。車名は「HR-V」を名乗り、1.8L SOHC i-VTECエンジン+CVTのみ。
2018年6月28日
北米仕様がマイナーチェンジ[14]
2018年8月13日
欧州仕様がマイナーチェンジ[15]。1.5Lターボエンジンが新たに追加された。

3代目 RV3/4/5/6型(2021年 - )

ホンダ・HR-V(3代目)
RV3/4/5/6型
e:HEV(フロント)
e:HEV(リア)
e:HEV(インテリア)
概要
別名ホンダ・ヴェゼル(2代目)
中国 : ホンダ・XR-V(2代目)
中国 : ホンダ・e:NS1
中国 : ホンダ・e:NP1
製造国

日本 三重県鈴鹿市

ブラジルサンパウロ州イチラピナ
販売期間2021年4月 -
ボディ
乗車定員5名
ボディタイプ5ドアSUV
駆動方式前輪駆動(FF車)
四輪駆動(リアルタイムAWD:4WD車)
パワートレイン
エンジンガソリン車:L15Z型:
1,496 cc 直列4気筒 直噴DOHC
ハイブリッド車:LEC型:
1,496 cc 直列4気筒 直噴DOHC
モーターハイブリッド車
H5型:交流同期電動機
最高出力ガソリン車
87 kW (118 PS)/6,600 rpm
ハイブリッド車
エンジン:
78 kW (106 PS)/6,000-6,400 rpm
モーター:
96 kW (131 PS)/4,000-8,000 rpm
最大トルクガソリン車
142 N·m (14.5 kgf·m)/
4,300 rpm
ハイブリッド車
エンジン:
127 N·m (13.0 kgf·m)/
4,000-8,000 rpm
モーター:
253 N·m (25.8 kgf·m)/
0-3,500 rpm
変速機無段変速オートマチック(CVT)
(ガソリン車)
電気式無段変速機(ハイブリッド車)
前:マクファーソン式
後:車軸式(FF車)
後:ド・ディオン式(4WD車)
前:マクファーソン式
後:車軸式(FF車)
後:ド・ディオン式(4WD車)
車両寸法
ホイールベース2,610 mm
全長4,330 mm
全幅1,790 mm
全高1,580 - 1,590 mm
車両重量1,250 - 1,450 kg
その他
ブレーキ前:油圧式ベンチレーテッドディスク
後:油圧式ディスク
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  • 2022年8月2日- ブラジルで発表[16]。最高出力126馬力・最大トルク15.8kgfm(エタノール使用時)の1.5L自然吸気・フレックス対応エンジンを搭載。ホンダ・ブラジルのイチピラナ工場で生産。
  • 2022年10月24日- ブラジルで新開発1.5Lターボ・フレックス対応エンジンを追加[16]

3代目北米仕様(2022年 - )

ホンダ・HR-V(3代目北米仕様)
フロント
リア
概要
別名ホンダ・ZR-V
販売期間2022年 -
ボディ
乗車定員5名
ボディタイプ5ドアSUV
車両寸法
ホイールベース2,700mm
全長4,567mm
全幅1,839mm
全高1,610mm
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2022年4月4日、同年夏北米にて発売予定の3代目を公開[17]

アジア圏や、欧州にて販売されているモデルとは違い、ベースはホンダ・シビックである[17]。エクステリアはハニカム構造のフロントグリルや薄型のLEDヘッドライト、テールゲートスポイラーなどを装備[18]。「LX」「EX-L」グレードでは、フロント及びリアバンパー下部がマット塗装になっている他、ホイールはシルバーカラーの17インチホイールが標準装備され、高級感のある気品を醸している[19]。「Sport」グレードでは、各所カラーが変更されていて、リアスポイラーはグロスブラックに、リアバンパーはガンメタリック塗装が施され、よりアグレッシブな印象になっている[19]。また、エキゾーストはクロームカラーになり、ホイールは「Sport」専用の18インチ5本スポークホイールが採用された[19]。ボディカラーは、新色の「ノルディックフォレスト・パール」、「アーバングレー・パール」をはじめ、全7色が用意される[19]。インテリアは、ベースとなったシビックを彷彿とさせるデザインとなっていて、新設計のエアコン吹き出し口やステアリング・ホイール、人間工学に基づき開発されたシート「ボディースタビライジングシート」などが装備される[18]。メーターは最新の7インチの大型インフォメーションディスプレイを組み合わせている[18]。インパネ上部には、グレードによって異なるが、9インチのタッチスクリーンを設置し、上級グレードにはワイヤレスのApple CarPlayおよびAndroid Autoを搭載している[18]。また、上級グレードは、オーディオも8個のスピーカーで構成されたプレミアムタイプにアップデートされる[18]。ラゲッジルームは通常時、690Lを確保[18]。リアシートのバックレストを格納すると、最大で、1,560Lに拡大する[18]。エンジンは2.0リッター直列4気筒ガソリン自然吸気エンジンを設定[18]。158PS/6,500rpmの最高出力と187Nm/4,200rpmを発揮する[18]。組み合わされるトランスミッションはCVTのみの設定[18]。駆動方式はFFが標準であるが、リアルタイム4WDをオプションで選択できる[18]。また、ホンダのSUVとして初めて「ヒルディセントコントロール」を搭載[18]。急な下り坂でのアクセルおよびブレーキ操作を自動でおこなう[18]。ドライブモードは、「ノーマル」、「エコ」、「スノー」の3種類から選べる[18]。価格は、約314万円からとなっている[20]

搭載エンジン

車名の由来

Hi-rider Revolutionary Vehicle」の頭文字をとってネーミングされた。

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク