マリンパル女川

宮城県牡鹿郡女川町に所在していた観光物産施設

マリンパル女川おさかな市場(マリンパルおながわおさかないちば)は、宮城県牡鹿郡女川町浦宿浜篠浜山2に所在していた商業施設である[1]

マリンパル女川おさかな市場
Marinpal Onagawa
店舗概要
所在地986-2231
宮城県牡鹿郡女川町浦宿浜篠浜山2
開業日2011年10月7日
正式名称マリンパル女川
施設所有者マリンパル女川事業協同組合
営業時間8:30 - 17:30
最寄駅女川駅
外部リンク公式ホームページ
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概要

2011年(平成23年)3月11日に発生した東日本大震災による津波で旧マリンパル女川が壊滅的な被害を受け、休業中であったが[2]、同年10月7日、物販部門「おさかな市場」を女川町浦宿浜に移転し、営業を再開した[1]。マリンパル女川事業協同組合は2016年8月に解散した[3]

入居していた店舗は移転や自立再建し、マリンパル女川はなくなったが[4]、2020年1月現在、マリンパル女川が所在していた建物内で1店舗の海産物店が営業中である[5]。2022年4月海産物店は閉店した。

旧マリンパル女川

マリンパル女川(マリンパルおながわ)は、東日本大震災により被災し解体される[6]まで宮城県牡鹿郡女川町鷲神浜字鷲神229および230に所在していた[7]女川町営の観光物産施設である。

マリンパル女川
MARINE PAL ONAGAWA
被災後の旧マリンパル女川
(画像の中央に映る茶色の建物)
情報
用途観光物産施設
設計者大宇根建築設計事務所[8]
事業主体マリンパル女川事業協同組合[9]
(被災前まで)
管理運営女川町
(被災前まで)
構造形式鉄筋コンクリート
敷地面積13,400 m² [9]
建築面積2,600 m² [10]
状態解体
階数3階(シーパルI)[12]
2階(シーパルII)
戸数2棟
(シーパルI、シーパルII)
駐車台数最大140台[13]
竣工1994年(平成6年)
解体2012年(平成24年)[6][11]
所在地宮城県牡鹿郡女川町鷲神浜字鷲神
229(シーパルI)[14]
230(シーパルII)
(旧所在地)[7]
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旧施設の概要

1994年(平成6年)に女川町鷲神浜字鷲神229および230に設立された観光物産施設[7][9]。水産観光センター『シーパルI』、水産物流通センター『シーパルII』(通称「おさかな市場」)の2つの建物が存在していた[9][15]

『シーパルI』は2007年(平成19年)にリニューアルオープン[9]

立地はミヤコーバス女川海岸バス停から程近い、女川漁港の目の前に建てられていた。

設立されて以降、長らく女川町の観光拠点として象徴的な建物であったが[3]2011年(平成23年)3月11日に女川町を襲った東日本大震災の津波により当施設の建物は壊滅的な被害を受けた[11][16][17][18]。その後地震による地盤沈下の影響もあり、2012年(平成24年)3月に解体工事が開始された[11]

また、女川町を襲う巨大津波の様子を当施設の屋上から撮影した写真や動画が残っている[19][20][21][22]

沿革

  • 1989年、マリンパル女川用地の埋め立て予算が計上される[9]
  • 1994年、マリンパル女川が開業[9]
  • 2007年、シーパルIがリニューアルオープン[9]
  • 2012年、被災した建物の解体が完了[6][11]

シーパルI

『シーパルI』は、女川町の水産をテーマとしていた水産観光センターであり[9]、「知の遊園地」というコンセプトを掲げていた[15][注 1]東日本大震災の被災前より少子高齢化の影響で人口が減り続けていた[9]女川町の水産業を支えるため、女川町住民および外部地域からの観光客を呼び込む目的で設立された[9][23]

観光客を呼び込む施策の一環として女川町内の小中学生の入館料を無料化、加えて石巻地域学生長期休み週末のときに「ゆうゆうパスポート」を適用し入館料を無料化した[9]。その結果、シーパルIを訪れる客層が石巻地域の小中学生などで大半を占めるようになった[9]

有料入館者は1996年の約5万人でピークを迎え、以後減少続きとなっていたが、前述の施策により一時的ではあるものの2004年に再び5万人台まで回復した[9]。また、無料入館者を含めた全入館者も2004年に最も多い10万人近くに達し、2007年のリニューアルオープン時には2番目に多いおよそ9万人が入館した[9]

営業時間は9:00~18:00の間で休館日は無し[12]。入館料は大人が500円、高校生が300円、小中学生が200円、家族4人が1000円であった[9]

シーパルIの館内には、磯辺の魚に触れることのできる水族館タッチプール」、女川湾に生息する生き物の3D実写映像女川シアター」、体験コーナーの「カツオ一本釣り」や「ロープワークチャレンジ」、漁業についてや郷土の歴史等を紹介する「女川プラザ」などの展示がなされており[9][15][24]、女川町の水産業漁村文化が学べる地域学習の拠点となっていた[9]。また、女川町出身の俳優である中村雅俊のコーナーが設けられていた[9][15][24]

女川町が運営していたため、女川町商工観光課が配備されており、女川町役場の分室としての役割も担った[9]。ここに勤める職員はシーパルIの管理運営、町のイベントの企画(展覧会や誘客イベント)などの業務を行っていた[9]

展示内容

展示されていた内容[9]
1階2階(女川プラザ)エントランス
女川シアター操船体験施設室女川漁業の発達史女川沿岸の魚・生物
海洋ロマンワールド名誉館長コーナーワカメ養殖
女川ギャラリー女川漁業の歴史民俗
コミュニケーションラウンジサッパ船
トリックアート創作民話
ロープワーク体験
カツオ一本釣り体験
カツオ節製造
キンザケ養殖
魚アラカルト
海島
鳴り砂

シーパルII

『シーパルII』は、水産品を提供していた水産物流通センターであり、「食の遊園地」というコンセプトを掲げていた[15]。シーパルIと同様、女川町住民や外部地域からの観光客を呼び込む目的で設立された[9][注 2]。特にシーパルIIは「石巻地域外などの外部地域から来訪する観光客の誘致」に大きく注力していた[23]。理由はシーパルIIを設立した1994年(平成6年)当時、人口が1万人程であった町に対して水産商店が16店舗もあり、女川町住民だけでは立ち行かなくなるという懸念があったためである[23]

ここでは様々なイベントや販促活動が展開されており、例を挙げると下記の月例イベントなどがある[9]。これらのイベントはシーパルIIの開設から遅れて6ヶ月後の1994年9月より組員の発案にて開始された[9]

1つのイベントにつき一店舗のテナントが主催を担当し、それを別のテナントが補佐する形で運営されていた[9]。イベントには女川町の海産物が使用されており、カニアサリサンマなどそれぞれの季節にあった食材が用いられた[9]。また、質や品数を充実させるだけでなくローカルテレビ局などマスコミ取材を受けることでより強い集客効果を得ていた[9]

建物の内部は1階が新鮮な魚介類や水産加工品を販売する15店舗のテナント市場、2階が海の幸をメインに食事ができるレストランで構成されていた[9][24][25]。そこで提供される料理には女川町の特産品を使用したオリジナルメニューなどが含まれていた[9]。特に秋刀魚料理を主として「女川ならでは」というアイデンティティーを表現していた店舗が多かった[9]

建物の眼前には共同広場が併設されており、そこでは本土幹線から外れている女川町に多くの客を呼び寄せる目的で合同イベント[注 3]が執り行われる等、積極的な誘客活動が見られた[9]

「マリンパル女川おさかな市場」または単に「おさかな市場」とも呼称され[9][23]、現在のマリンパル女川おさかな市場につながった施設である[23]。なお、マリンパル女川おさかな市場は2016年に解散しており、後継にあたる施設、地元市場ハマテラスが新たに開業した[26]

テナント

2008年時点で施設内に所在していたテナントは以下の通りである[13][9]

店舗名 提供品
マルキチ阿部商店加工食品
マルキ遠藤商店切身加工品など
宮淵鮮魚店鮮魚
丸信遠藤鮮魚店鮮魚
平初鮮魚店魚介類
海逢鮮魚
海鮮山昭魚卵(おもにスジコ)
菅井商店鮮魚
兼宮商店乾物、珍味
Y.K水産魚河岸鮮魚
片倉商店海産物(おもにウニとホヤ)
夢海船鯨製品
平正鮮魚店鮮魚
高政笹蒲鉾
いかや水産加工品や弁当など
古母里[注 4]魚を用いた和・洋食

イベント

イベントは毎月、第二土・日曜日に開催されていた。ここでは2010年度に毎月行われていたイベントを以下に挙げる[9][13]

名称主催
1月たら祭り海逢
2月あんこう祭り平初鮮魚店
3月かに祭りいかや
4月大創業祭(しらす祭り)夢海船
5月ほや祭り平初鮮魚店
6月銀鮭・かつお祭りマルキ遠藤商店
7月うに祭り海逢
8月夏祭り平正鮮魚店
9月さんま祭り丸信遠藤鮮魚店
10月ほたて祭り菅井商店
11月かき祭り片倉商店
12月年末大感謝祭-

関連項目

脚注

出典

注釈

外部リンク

東経141度26分49.5秒 / 北緯38.442306度 東経141.447083度 / 38.442306; 141.447083