ラーフ

ラーフ (Rāhu) は、インド神話に登場する、4本の腕[1]と1本の尾[2]をもつアスラである[1]。その名は「捕らえる者」を意味する[3]

ラーフ像。大英博物館蔵。
羅睺星。仏像図彙 (1783年)より。

ラーフはまた、インドの天文学におけるナヴァ・グラハという9つの惑星九曜)の1つ羅睺(らごう、インド占星術参照)。

神話

神話によると、乳海攪拌のあと、神々とアスラは不死の霊薬アムリタをめぐって争い、アムリタは神々の手にわたった。神々は集まってアムリタを飲んだが、その中にラーフというアスラが神に化けてアムリタを口にした。それを太陽が発見し、ヴィシュヌ神に知らせた。ヴィシュヌ神は円盤(チャクラム)を投げてラーフの首を切断したが、ラーフの首は不死になってしまった[1][4]。ラーフの首は天に昇り、告口したことを怨んで太陽を飲み込んでは日食月食を起こす悪星になったという[1][4]。月が毎月1回欠けるのもラーフの仕業とされることがある[2]

ラーフはヴィプラチッティシンヒカーの子とされる。ラーフの息子達はケートゥという32の彗星で、彼らが空に現れるのは凶兆だとされた[1]

脚注

参考文献

  • 沖田瑞穂 著「ラーフ」、松村一男他編 編『神の文化史事典』白水社、2013年2月、pp. 560-561頁。ISBN 978-4-560-08265-2 
  • 菅沼晃編 編「ラーフ」『インド神話伝説辞典』東京堂出版、1985年3月、p. 340頁。ISBN 978-4-490-10191-1 
  • ローズ, キャロル「ラーフ」『世界の怪物・神獣事典』松村一男監訳、原書房、2004年12月7日、p. 452頁。ISBN 978-4-562-03850-3