ロッキー5/最後のドラマ

ロッキー5/最後のドラマ』(ロッキーファイブ/さいごのドラマ、原題: Rocky V)は、1990年製作のアメリカ合衆国の映画

ロッキー5/最後のドラマ
Rocky V
監督ジョン・G・アヴィルドセン
脚本シルヴェスター・スタローン
製作アーウィン・ウィンクラー
ロバート・チャートフ
製作総指揮マイケル・S・グリック
出演者シルヴェスター・スタローン
タリア・シャイア
バート・ヤング
トミー・モリソン
セイジ・スタローン
バージェス・メレディス
音楽ビル・コンティ
撮影スティーヴン・ポスター
編集ジョン・G・アヴィルドセン
マイケル・N・クヌー
ロバート・A・フェレッティ
製作会社ユナイテッド・アーティスツ
チャートフ=ウィンクラー・プロダクションズ
配給アメリカ合衆国の旗 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
日本の旗 ユナイト映画=UIP
公開アメリカ合衆国の旗 1990年11月16日
日本の旗 1990年12月7日
上映時間105分
製作国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語英語
興行収入アメリカ合衆国の旗 $40,946,358
世界の旗 $119,946,358[1]
配給収入日本の旗 10億5000万円[2]
前作ロッキー4/炎の友情
次作ロッキー・ザ・ファイナル
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概要

ロッキー』シリーズの5作目であり、『ロッキー4/炎の友情』(1985年)の続編。

シリーズ1作目で監督を務め各方面で絶賛されたジョン・G・アヴィルドセンを再び監督として招聘し『ロッキー』シリーズに終止符を打つ作品として製作された。しかし結果としてはシリーズ最低の興行成績で作品の内容的にも酷評された。

本作でストーリーは一応完結する形をとっており、前述の理由も重なり『ロッキー』シリーズは完結したと認識されていたが、2006年にスタローン自らの脚本・監督で続編(パンチドランカーではない等、設定が本作とは一部変更されているため、実際には続編ではなく「リブート」)『ロッキー・ザ・ファイナル(原題:Rocky Balboa)』が制作され、同年12月20日より全米で公開された[3]

ストーリー

ソ連の強豪ボクサー・ドラゴを破ってアメリカに帰国したロッキー・バルボアは、その後会計士の不正により破産。その上、度重なる激闘によりに回復不能となるほどのダメージが蓄積しており、妻・エイドリアンの説得もあって遂に引退を決意する。

フィラデルフィアに帰郷したロッキーは、今は亡きかつてのトレーナー・ミッキーのジムで白人新鋭ボクサーのトミー・ガンを育て、トレーナーとして第二の人生を歩み始めていた。一方、思春期にさしかかった息子のロッキーJr.は、トミーの育成に夢中になっていく父に対し、自分から離れていく違和感を抱き始め心に影を落とし、父に反抗し始める。

そうした状況に突如現れた派手な黒人プロモーター、ジョージ・ワシントン・デュークは黒人ボクサーのユニオン・ケインとの対戦のためにロッキーに現役復帰を打診するが、ロッキーは反対する家族の想いを優先させる。するとデュークの食指はロッキーの愛弟子として快進撃を続けるトミーに向けられる。そして甘い誘惑によりトミーをロッキーのもとから引き抜く。喪失感の中、本当に大事なものに気づいたロッキーは、やがてJr.との仲を修復していく。

金と名誉を欲するトミーは、かつてロッキーと共に夢と希望を抱いてトレーニングを積み重ねた心を失っていた。そして、トミー対ケインのタイトルマッチが行われるが、トミーが恩人ロッキーを捨てたことを知っている観衆は不満を抱き、ブーイングやヤジを飛ばすばかりであった。ケインを呆気なく撃破したトミーは新チャンピオンになるが、観客からは受け入れられなかった。

試合後、トミーはデュークと共にマスコミの前で新チャンピオンを名乗り出るが、「ケインはニセのチャンピオンだ」、「あの試合は八百長だ」と批難される。そのため別人のように変わってしまったトミーは、デュークの提案でロッキーとの師弟対決を望む。

酒場でロッキーの前に現れたトミーは侮辱の言葉を浴びせながら試合を要求する。それを耳にした義兄・ポーリーは、トミーに舌戦で応戦するも、殴り倒されてしまう。この暴挙でロッキーは遂にトミーに怒りをぶつける。その戦いは周囲の人々とテレビカメラが見守る中、殴り合いへと発展した。ロッキーは、その最中、大発作に見舞われ意識を失いかけるも、幻覚の中に垣間見た、叱咤するミッキーの姿とその言葉に再び奮起し見事勝利。真の英雄の意地と力を見せつけたのだった。

息子に手を引かれ、現役時代にトレーニングを積んだフィラデルフィア美術館の正面階段を息も絶え絶えに駆け上がるロッキーに、もはやかつての足取りは無い。だが、そこにはボクサー人生を全うした男の爽やかな笑顔があった。

キャスト

役名俳優日本語吹き替え
日本テレビ
(追加収録)
VHS
ロッキー・バルボアシルヴェスター・スタローン羽佐間道夫佐々木功
エイドリアンタリア・シャイア松金よね子
ポーリーバート・ヤング富田耕生
トミー・マシン・ガン[4]トミー・モリソン古田信幸
乃村健次
菅生隆之
ロッキー・ジュニアセイジ・スタローン亀井芳子合野琢真
ミッキー・ゴールドミルバージェス・メレディス千葉耕市田村錦人
デューク[5]トニー・バートン緒方賢一田原アルノ
ジョージ・ワシントン・デュークリチャード・ガント池田勝坂口芳貞
マーリンマイク・ジラード・シーハン稲葉実
仲野裕
吉水慶
ユニオン・ケインマイケル・ウィリアムズ小室正幸
(乃村健次)
沢木郁也
カレンデリア・シェパード雨蘭咲木子深見梨加
カーマイン神父ポール・J・マイケル緒方賢一藤本譲
イワン・ドラゴ(回想)ドルフ・ラングレン若本規夫
その他N/A稲葉実
村松康雄
北村弘一
石森達幸
塚田正昭
中田和宏
西村知道
小室正幸
辻親八
島香裕
磯辺万沙子
天野由梨
田野恵
種田文子
追加録音版キャスト
くればやしたくみ
中村龍彦
鷲角ゆか里
石井邦和
北村弘一
叶木翔子
村松康雄
小島敏彦
峰恵研
幹本雄之
西村知道
片岡富枝
辻親八
日本語版制作スタッフ
プロデューサーN/A垂水保貴
門屋大輔
小川政弘
演出伊達康将
鍛治谷功
蕨南勝之
翻訳岩佐幸子
松崎広幸
古田由紀子
調整熊倉亨新井保雄
制作東北新社
ブロードメディア・スタジオ
ACクリエイト
ワーナー・ホーム・ビデオ
初回放送 1994年4月22日
21:03-22:54
金曜ロードショー
  • 日本テレビ版吹替は放送でカットされた部分を追加録音しDVD/BD収録。

スタッフ

製作

配役

新鋭ボクサー役で出演したトミー・モリソンは、WBOIBCのプロボクシング世界ヘビー級チャンピオンであり、当時黒人が活躍の中心であるボクシング界において「ホワイト・ホープ:白人の希望」として注目された。

ロッキー・ジュニア役で出演したセイジ・スタローンは、シルヴェスター・スタローンの実子である。

キャラクター

悪徳黒人プロモーターとして登場するジョージ・ワシントン・デュークは、モハメド・アリマイク・タイソンなどの試合をプロモートし、世界規模で著名なプロモーターのドン・キングがモデルであると言われている。キングはシリーズ3作目まで登場していたミッキーのモデルとも言われる名伯楽カス・ダマトが激しく嫌っていたことでも有名である。

評価

前作『ロッキー4/炎の友情』に続き、第11回ゴールデンラズベリー賞10部門中の7部門(最低作品賞、最低監督賞、最低主演男優賞、最低主演女優賞、最低助演男優賞、最低脚本賞、最低主題歌賞)にノミネートされるというありがたくない結果を残した。今回はノミネートのみで受賞は免れたが、演技が酷評されていたスタローン以外に1作目では絶賛されたアヴィルドセン監督、タリア・シャイア、バート・ヤングもノミネートされ有終の美を飾るというわけにはいかなかった。スタローン自身は前年に「この10年最低主演男優賞」を受賞し、ラジー賞からはすでに「歴史に残る最低男優」のレッテルを貼られている。

アナザーバージョン

本作で監督を務めたジョン・G・アヴィルドセンが2002年頃にオンラインで公開していたディレクターズ・カット版[6]。このアナザーバージョンは映画完成当初に公開を予定していた編集がされる前のものであり、劇場公開版やソフト版と比べるとビル・コンティ作曲の音楽が多く使われている他、約10分ほどのカットされた未公開シーンが追加されており、1作目に登場したリトル・マリーが再登場している他、ストリートファイトのシーンも通常版とは大きく内容が異なっている。

このアナザーバージョンは2017年現在、VHS・DVD共に一般には出回っていないが第三者の手によって動画サイトなどに映像が流出している。

脚注

外部リンク