日立港

日本の茨城県日立市にあった港湾

日立港(ひたちこう)は、茨城県日立市に存在した重要港湾。2008年12月25日、常陸那珂港大洗港と統合され茨城港に抱合され、独立した港格が消滅した。

日立港
所在地
日本の旗 日本
所在地茨城県日立市
座標北緯36度29分18秒 東経140度37分30秒 / 北緯36.48833度 東経140.62500度 / 36.48833; 140.62500 東経140度37分30秒 / 北緯36.48833度 東経140.62500度 / 36.48833; 140.62500
第1及び第2埠頭
第4及び第5埠頭

概要

奈良時代以前から港湾として使用されてきた記録がある[1]が、商港として本格的に稼働したのは戦後になってからである[1]

日立港がある日立市は日立製作所企業城下町で、当時同社の工場で作成されていた大型の発電機[2]などは、鉄道など陸路での輸送が困難なことから埠頭の開発が行われた[1]。そのほかの取扱品としては、石油製品、鉱産品、木材など。特に自動車ドイツダイムラー社からの輸入自動車が多く、豊橋港と並んで日本における輸入拠点となっている。近年ではフランスルノーも陸揚げ港として利用しており、また日産自動車栃木工場(上三川町)も北米向け「インフィニティGT-R」輸出港として2010年5月24日から使用を開始している。

平成20年には年間約1900隻の船舶が入港しており[3]、取扱貨物量は500万トンを超える。また、常磐自動車道日立南太田インターチェンジからも近く、東日本全体の物流基地として重要な地位を占める。

北側に久慈漁港が隣接する。

1976年函館空港強行着陸したMiG-25ソビエト連邦に返還する際に使用された[4]

日立港区内にはなぎさ公園という公園がある[5]

所在地

茨城県日立港湾事務所の住所:茨城県日立市久慈町1-3-21[6]

歴史

日立市を中心とする沿岸地域は、日立製作所をはじめとする国内有数の工業地帯として発展してきたが、工場で生産される大型重量貨物の運搬は、当初国鉄をはじめとする陸上輸送がその中心であった。しかし、高度経済成長とともに陸上輸送は限界を迎え始めたため港湾の開発が発議され、1957年(昭和32年)6月、釜坂の地に久慈商港として埠頭の建設が起工された[7]。当初の港湾建設工事は、全国でもまれにみる難工事で、大規模かつ急を要したが、着工して2年余り後の1959年(昭和34年)10月に日立港と改称されて開港し、待望の第一船が入港した。

その後、港勢はますます発展し、1967年(昭和42年)6月の関税法に基づく開港指定を受けて以来、内航船とも逐次増加し、1993年(平成5年)には港則法による特定港の指定を受けた。

2008年(平成20年)12月には、日立港とともに茨城県内の重要港湾に指定されていた常陸那珂港大洗港の3港湾が統合されて、茨城港の港区のひとつという位置づけとなったことにより、茨城港日立港区と改名された。

沿革

  • 1957年(昭和32年)10月 - 久慈商港として起工式[1]。第1埠頭着工[7]
  • 1959年(昭和34年)10月 - 日立港と改称して開港[1]。第1船が入港する[7]
  • 1960年(昭和35年)7月 - 第1埠頭3000トン岸壁が完成し、日立港港湾事務所が発足する[1][7]
  • 1962年(昭和37年)12月 - 港湾運送事業法に基づく指定港となる[7]
  • 1965年(昭和40年) - 第2埠頭着工[7]
  • 1967年(昭和42年)6月 - 重要港湾に昇格するとともに、関税法に基づく指定港になる[7]
  • 1967年(昭和42年)11月 - 第2埠頭1万トン岸壁完成[7]
  • 1968年(昭和43年) - 木材輸入特定港に指定[1]
  • 1972年(昭和47年) - 久慈川河口付け替え工事着工。この河口跡が第4・第5埠頭になる[1]
  • 1973年(昭和48年)10月 - 検疫法に基づく指定港になる[7]
  • 1976年(昭和51年)11月 - 第5埠頭着工[7]
  • 1981年(昭和56年)4月 - 第2埠頭を供用開始[7]
  • 1981年(昭和56年)11月 - 第5埠頭を供用開始[7]
  • 1989年(平成元年)6月 - 第4埠頭-12m岸壁を供用開始[7]
  • 1990年(平成2年)7月 - 日立港物流センターが完成する[7]
  • 1991年(平成3年)12月 - 第4埠頭コンテナターミナルを供用開始[7]
  • 1993年(平成5年) - 港則法による特定港に指定される[1]
  • 1993年(平成5年)7月 - 釧路港との定期RORO航路を開設[7]
  • 1998年(平成10年)4月 - 第5埠頭-10m岸壁を供用開始[7]
  • 2002年(平成14年) - 港内でチルソン号座礁[1]重油流出に伴い港の機能が一時麻痺する。
  • 2006年(平成18年)6月 - 北九州定期RORO航路開設[7]
  • 2008年(平成20年)12月 - 日立、常陸那珂、大洗港が統合され、日立港を茨城港日立港区と改名する[7]
  • 2010年(平成22年)5月 - 日産自動車による北米向け乗用車の輸出取扱開始[7]
  • 2011年(平成23年)3月11日 - 東日本大震災で、北米向けの船積みを待っていた日産自動車栃木工場製の乗用車が約1300台被災した[8]
  • 2012年(平成24年)12月 - 第3埠頭地区着工[7]

港湾施設

(出典:[9][10])

  • 第1埠頭:石油製品や石炭などを取り扱う。  
  • 第2埠頭:タルクなどの工業原料を取り扱う。燻蒸倉庫がある。
  • 第4埠頭:共用バースにはコンテナ船や生鮮品を積んだRO-RO船が入港する。また、日立製作所等の専用バースがある。埠頭内に日立港物流センター(日立埠頭所有)及び日立製作所のみなと工場がある。
  • 第5埠頭:輸出入自動車の陸揚げ埠頭と東京ガスのLNG基地がある。また、小型船だまりがあり、タグボート(曳船)や釣り船の係留地にもなっている。

(第3埠頭は現在、平成30年(2018年)4月に供用開始予定。)

LNG基地

2015年に東京ガスLNG輸入基地が完成[11]。同年11月9日に初のLNG船が入港し[11]マレーシアサラワク州ビンツル産LNGを陸揚げした。2016年3月に営業運転を開始し、真岡市までパイプライン81.3kmを建設して既存のパイプラインと接続して供給を行う[11]

定期航路

日立港まつり

毎年夏に、港湾関係者や市民が実行委員会を作り開催している。護衛艦巡視船の体験乗船[17]や、花火大会などが行われる[17][18]

日立灯台

日立港が重要港湾になるのに併せて、1967年に日立港の北、古房地鼻に設置された灯台[19]。遠隔操作による無人式で運用されている。

脚注

関連項目

外部リンク