智辯学園和歌山小学校・中学校・高等学校

日本の和歌山県和歌山市にある私立小中高一貫校

智辯学園和歌山小学校・中学校・高等学校(ちべんがくえんわかやましょうがっこう・ちゅうがっこう・こうとうがっこう、: Chiben Gakuen Wakayama Elementary / Junior and Senior High School)は、和歌山県和歌山市冬野に所在する、私立小学校中学校高等学校。通称は智辯和歌山。

智辯学園和歌山小学校・中学校・高等学校
智辯学園和歌山高等学校の建物
地図北緯34度10分27.0秒 東経135度12分43.2秒 / 北緯34.174167度 東経135.212000度 / 34.174167; 135.212000 東経135度12分43.2秒 / 北緯34.174167度 東経135.212000度 / 34.174167; 135.212000
国公私立の別私立学校
設置者学校法人智辯学園
理念感謝の心と堅い絆、そして未来へ
校訓誠実・明朗・高学力
設立年月日1978年4月(中学校・高等学校)
2002年(小学校)
共学・別学男女共学
小中高一貫教育併設型(外部混合有)
課程全日制課程
単位制・学年制学年制
学期3学期制
学校コード

B130310000020 ウィキデータを編集(小学校)
C130310000028 ウィキデータを編集(中学校)

D130310000053 ウィキデータを編集(高等学校)
高校コード30506F
所在地640-0332
外部リンク智辯学園和歌山中学校・高等学校
智辯学園和歌山小学校 | 子どもの能力と資質を最大限に伸ばす12年一貫教育
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智辯学園中学校・高等学校奈良県五條市)、智辯学園奈良カレッジ小学部・中学部・高等部(奈良県香芝市)とは設置者が同じ兄弟校。

概要

1972年昭和47年)頃、奈良県五條市智辯学園中学校・高等学校では生徒の40%が和歌山県から通学していた。和歌山県からの生徒には和歌山県から私学助成金が出ていないため、当時の校長が和歌山県の大橋正雄知事に出向いた経緯がある。大橋知事は「そんなに多くの生徒が通っているとは知らなかった。和歌山に進出してはどうか」と語ったという。和歌山県に当時優秀な私学はあまりなく、優秀な生徒は奈良県や大阪府の進学校に流出していた。また、1978年(昭和53年)には高校生の急増が予想され、和歌山での高校設置は課題でもあった。知事の意向を受けた和歌山県議らが五條市の智辯学園を訪れ、和歌山への進出を強く要請した。

創立から10年余り、優秀生の獲得に苦労していた智辯学園には第2校を作る余裕はあまりなかったが、和歌山県教育界の熱意に引かれる形で開校を決断。智辯学園にとって和歌山からの生徒を減らすような兄弟校の開校は難しい賭けでもあった。和歌山県が用意したいくつかの候補地から、JRきのくに線黒江駅近くの根美山が選ばれた。和歌浦が一望でき、和歌山駅から電車で20分程度で通える。2022年1月現在、通学時間帯に2本阪和線からの直通列車も走っており、通学する生徒の多くが利用している。

1978年(昭和53年)4月に智辯学園和歌山中学校・高等学校を同時に開校したが、生徒は動かなかった。初年度の高校入試で定員300名に対し受験者はわずか301名。しかもその半分を不合格にした。県議会は批判したが、先々どのような学校にするかを考えた末の苦渋の選択であった。

五條の智辯学園と同じく70分授業(2017年度から60分)、1日中学生は3時間、高校生は5時間の自主学習、野球の全校応援も踏襲され、和歌山校は五條校で徐々に形作られた教育を強化する形で展開している。その結果、高校1期生に当たる1981年(昭和56年)から京大合格者を輩出し、1993年(平成5年)は東大合格者数が単年度で20名を突破。また野球部も1985年(昭和60年)に選抜初出場。1994年(平成6年)には優勝、1997年(平成9年)、2000年(平成12年)、2021年令和3年)には優勝を果たした。

2002年(平成14年)には智辯学園和歌山小学校が開校し小中高一貫教育となる。

現在「中・高6年一貫コース」、「編入コース」、「スポーツコース」の3コースを設けている。「中・高6年一貫コース」、「編入コース」は中5(高2)の時点で合流している。また、2017年度から、編入コースの文化部の活動が解禁された。「スポーツコース」は高校で入学し、甲子園出場を目指す。

開学当初より毎年4月に韓国に修学旅行に行くのが恒例となっている[1][2]が、2017年度から北朝鮮情勢を考慮して北海道に変更され、韓国は希望者のみの研修旅行となった。1991年より大阪の韓国総領事館から講師を招き、ハングル講座も開始された[1][3]

学校重点目標

  • 一日一善
  • 挨拶励行
  • 学力向上

と定められており、各教室に掲示されている。

沿革

  • 1978年4月 - 智辯学園和歌山中学校・高等学校が開校。
  • 1982年2月 - 校歌制定。
  • 1987年4月 - 高等学校にスポーツコースを導入。
  • 1997年8月 - 夏の甲子園初優勝。
  • 2002年4月 - 智辯学園和歌山小学校が開校。
  • 2021年8月 - 甲子園にて智辯学園を下し3度目の優勝。

課業

  • 文系・理系ごとに学力による能力別クラス編成を実施している。
  • 朝礼はなく、毎朝スピーカーから担当の教師が読み上げる御真言、御宝号を各クラスで生徒全員が読経する。また、その後日替わりの「宗祖様のお言葉」を聞く。
  • アメリカ合衆国にあるトーマス・ジェファーソン高校オーストラリアにあるセント・キャサリン・カトリック・カレッジとは学生交換プログラムを実施している。

授業

  • 中学
水曜と金曜6時限、月曜から金曜まで7時限、3年生だけ土曜5時限および6時限(1・2年生のみ毎回4時限)まである。このため夏休みは2週間、冬休み・春休みは1週間ほどしかない。
  • 高校
高校2年生の時点で高校の履修課程をほぼ終了させるため、水曜6時限、月曜から金曜まで7時限、土曜6時限(1年生のみ毎回5時限)まである。このため夏休みは2週間、冬休み・春休みは1週間ほどしかない。

行事

小学校
  • 4月 - 始業式
  • 5月 - こどもの日の行事、親子学校体験・見学会、春の遠足、感謝祭、水泳指導開始(小1~小3)
  • 6月 - 歌舞伎鑑賞教室(小6)、田植え(小4)、感謝祭、実力テスト(小6)、臨海学校(小4)、臨海学校(小1、小2)
  • 7月 - 七夕祭りの行事、臨海学校(小5)、感謝祭、林間学校(小3)
  • 8月 - 終業式、夏季休業、特別補習、天体観測
  • 9月 - 始業式、感謝祭、稲刈り(小4)
  • 10月 - 運動会、社会見学、珠算教室開始(小3)
  • 11月 - 実力テスト(小5・小6)、感謝祭、おにぎり昼食(小4)、味噌づくり(小6)、就学時健康診断
  • 12月 - 文化祭、感謝祭、終業式
  • 1月 - 始業式、感謝祭、なわとび週間開始
  • 2月 - 節分の行事、オーストラリア修学旅行(小6)、実力テスト(小4・小5)、年長さんを迎える会
  • 3月 - 雛祭りの行事、クラブ活動最終日、委員会最終日、六年生送られる会、なわとび最終日、終業式、修了式、退任式
中学・高校
  • 4月 - 錬成会(高1)
  • 5月 - 球技大会、母校訪問(中学新入生)
  • 6月 - 音楽鑑賞会
  • 7月 - 林間学校(中1:曽爾高原、中2:三瓶山)、臨海学校(中3:淡路島)、韓国研修旅行(高2、希望者のみ)[4]
  • 8月 - 終業式、夏季休業、留学生来校(韓国)、東大見学(中3)、白崎合宿(中2)
  • 9月 - 体育大会、地区懇談会、留学生来校(オーストラリア)
  • 10月 - 北海道修学旅行(高2)、文化祭、教育講演会、進学指導会、特別時間割(中3・高3)
  • 11月 - 実力テスト(中3・高3以外)、自由登校(中3・高3)
  • 12月 - 卒業生送る会
  • 1月 - 受験・就職休み(中3・高3)、高校卒業式
  • 2月 - 中学卒業式
  • 3月 - アメリカ短期留学(高1)、オーストラリア短期留学(高1)、高野山合宿(中1)、終業式(中3・高3以外)

部活動

野球部

第93回全国高等学校野球選手権大会開会式にて

1979年創部。1980年より髙嶋仁が監督に就任し1987年夏に初出場を掴んでいる。その後1990年以降の和歌山県代表校の多くを同校が占めて現在は県内最多の出場回数を重ねている。全国大会では春夏合わせて4回優勝している。一度2002年夏の大会の3回戦において、兄弟校である智辯学園と対戦をした。このときは7-3で智辯和歌山が勝利している。2018年第90回記念選抜大会で18年ぶりの決勝進出を果たしたが、大阪桐蔭高校に2-5で敗れ準優勝となった。この年の夏の甲子園をもって高嶋監督は勇退し、同校並びに智辯学園の野球部名誉監督に就任した。2019年からは阪神タイガース等でプレーしたOBの中谷仁が監督を務めている。中谷監督就任後の2021年の夏の大会では、智辯学園との選手権大会史上初の兄弟校での決勝、しかも全国制覇をかけた紀和決戦で9-2で勝利し、21年振り3回目の優勝を決めた[5]

(試合経過は[1]を参照)

進学

東大京大国公立大学医学部医学科防衛大学校防衛医科大学校の合格者数は全国有数、和歌山県内では群を抜いている。他難関大学にも多数の合格者を出す。東大合格者は1990年代から2000年代は毎年20名ほど輩出していたが、2010年代以降は10名程度となっている(2021年は8名)。

著名な出身者

野球
芸能
研究者
その他

・佐藤大輔 - 教育評論家

著名な教職員・関係者

  • 髙嶋仁 - 野球部元監督
  • 鈴木幸雄 - 野球部元監督、元コーチ
  • イチロー - 野球部臨時コーチ。また、同校の野球応援に感銘を深め「KOBE CHIBEN」という草野球チームを設立し、同校教員チームと対戦している。

兄弟校

略称は兄弟校と区別するため、智辯学園中・高は「五條校」、智辯学園奈良カレッジは「カレッジ」と呼ばれている。なお、高校野球では原則として新字体を用いることになっていることから「智学園和歌山」と表記される(校歌の歌詞は智辯学園表記)。
姉妹提携校

脚注

関連項目

参考文献

  • 『2001年 価値ある学校(ラッキースクール)を探そう 関西男子校+共学校』旺文社、2000年7月1日。ISBN 4-01-008958-X 

外部リンク