有声軟口蓋破裂音

有声軟口蓋破裂音(ゆうせい・なんこうがい・はれつおん)とは子音の類型の一つ。後舌面軟口蓋で閉鎖を作って開放することによって起こる破裂音。声帯振動を伴う。国際音声字母[ɡ]と表記される。

有声軟口蓋破裂音
ɡ
IPA 番号110
IPA 表記[ɡ]
IPA 画像
UnicodeU+0261
文字参照ɡ
JIS X 02131-10-89
X-SAMPAg
Kirshenbaumg
音声サンプル

字形

[ɡ] は、厳密にいうと印刷においても ではなく筆記体に似た となり、Unicode 上でも音声記号と ASCII のラテン文字 g は区別されている。ただし、通常の g (U+0067) を使っても構わないことになっている[1]

特徴

変種

この音のバリエーションには以下のような記号をつけて記述する。

IPA記述
[ɡ]普通の g
[ɡʱ] または [ɡ̈]息もれ声の g
[ɡ̃]きしみ声の g
[ɡʲ]口蓋化した g
[ɡʷ]唇音化した g
[ɡ̚]内破音の g
[ɡ̊]無声化した g

言語例

この音は多くの言語に存在する。

  • 日本語 - が [ɡa]などが行の頭子音に現れる。ただし、母音間では摩擦音 [ɣ]鼻音 [ŋ] が現れることも多い。拗音ぎゃ、ぎゅ、ぎょでは口蓋化した[ɡʲ]が現れる。
  • 英語 - get [ɡɛt]g で表記される。ただし、gはいつもこの音を著すわけではなく、ei の前では固有語を除いて有声後部歯茎破擦音 [dʒ] と発音される。
  • キリル文字 - г
  • ギリシア語 - 古くは γ がこの音で発音されたが、時代が下るにつれ摩擦音に変化した。現代でこの音をあらわすには γκ の連字を用いる。

脚注

子音
肺臓気流
両唇唇歯歯茎後部歯茎そり舌硬口蓋軟口蓋口蓋垂咽頭声門
破裂pb()()()()tdʈɖcɟkɡqɢ( ʡˤ)ʔ
()m(ɱ̊)ɱ(n̪̊)()()nɳɲŋɴ
ふるえ(ʙ̥)ʙ()rʀ
はじき(ⱱ̟)ɾɽ(*)(*)
摩擦ɸβfvθðszʃʒʂʐçʝxɣχʁħʕhɦ
側面摩擦ɬɮ
接近(β̞)(ʋ̥)ʋ(ɹ̥)ɹɻjɰ
側面接近()lɭʎʟ
非肺臓気流
吸着ʘǀǃǂǁ(ʞ)
入破ɓɗ()ʄɠʛ
放出(t̪ʼ)ʈʼc’()
その他
同時調音ʍwɥɕʑɧ
(k͡p)(ɡ͡b)(ŋ͡m)
喉頭蓋音ʜʢʡ
舌唇音()()()(θ̼)(ð̼)
その他側面音ɺ(*)(ɫ)
破擦音p͡ɸb͡βp̪͡fb̪͡vt͡θd͡ðt͡sd͡zt͡ʃd͡ʒʈ͡ʂɖ͡ʐt͡ɕd͡ʑc͡çɟ͡ʝk͡xɡ͡ɣq͡χɢ͡ʁt͡ɬd͡ɮʔ͡h
記号が二つ並んでいるものは、左が無声音、右が有声音。網掛けは調音が不可能と考えられる部分。
丸括弧内はIPA子音表(2005年改訂版)に記載されていないもの。
国際音声記号 - 子音