HD 164922

HD 164922とは、ヘルクレス座の7等星のG型主系列星である。暗すぎて肉眼での観測は不可能なため、双眼鏡望遠鏡が必要である。地球から72光年離れている[1]。年齢は134億年で、すぐに主系列星から進化し、赤色巨星になると予想される。HD 164922は、既知の恒星の中で最も古いものの1つであり、また天の川銀河の既知の多惑星系の中で最も古いものの1つである。

HD 164922
星座ヘルクレス座
見かけの等級 (mv)+7.01
変光星型疑わしい
分類恒星
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α) 18h 02m 30.86s[1]
赤緯 (Dec, δ)+26° 18′ 46.81″[1]
視線速度 (Rv)+22.8 km/s
固有運動 (μ)赤経: 389.772±0.013 ミリ秒/[2]
赤緯: -602.431±0.017 ミリ秒/年[2]
年周視差 (π)45.4954 ± 0.0167ミリ秒[2]
(誤差0%)
距離71.69 ± 0.03 光年[注 1]
(21.98 ± 0.008 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV)5.31
ヘルクレス座におけるHD 164922の位置
ヘルクレス座におけるHD 164922の位置
軌道要素と性質
惑星の数4
物理的性質
半径0.999 ± 0.017 R[3]
質量0.874 ± 0.012 M[3]
表面重力4.387 ± 0.014 cgs[3]
自転周期~58.7
スペクトル分類G9V[3]
光度0.703 ± 0.017 L[3]
表面温度5293 ± 32 K[3]
金属量[Fe/H]0.16 ± 0.05[3]
年齢134億年
他のカタログでの名称
BD +26°3151, GJ 700.2, LFT 1388, SAO 85678, HIP 88348, 2MASS J18023085+2618471
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命名法

惑星の名称bは、発見の順序に由来する。bの名称は、特定の恒星の周囲を公転する最初の惑星に与えられ、その後にアルファベットの他の小文字が続く[4]。HD 164922の場合、まずbと命名された1つの惑星が発見され、次にcと命名されたより内側を公転する惑星が発見された[3]。HD 164922という名称は、その恒星がヘンリー・ドレイパーカタログにリストされた164,922番目の恒星であることを示すものである。

特徴

大きさの比較
太陽HD 164922

HD 164922は、太陽質量の約87%、半径の99%のG型主系列星である。温度は5293K、年齢は134億年である。それに比べて、太陽は5778K[5]、約46億年である[6]

恒星には金属が豊富に存在しており、金属量([Fe/H])は0.16、つまり太陽の144%である。これは、HD 164922と同じくらい古い恒星にとっては特に奇妙である。その光度は太陽光度L)の70%である[3]

惑星系

2006年7月15日、HD 164922の周囲を公転する公転周期の長い土星質量の太陽系外惑星 HD 164922 b が発表された。この惑星は、0.05の低い軌道離心率で恒星から2.11天文単位離れた位置を公転している[7]

ほぼ10年後の2016年に、最初の惑星よりも質量は小さいものの、別の太陽系外惑星 HD 164922 c が公転していることが発見された。この惑星の最小質量は地球の約13倍である。つまり、海王星のような惑星である可能性がある。

3番目の太陽系外惑星である温度の高いスーパー・アース HD 164922 d2020年に発見され[8]、4番目の太陽系外惑星 HD 164922 e は海王星サイズで2021年に発見された[9]

HD 164922の惑星[7][3][8][9]
名称
(恒星に近い順)
質量軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率軌道傾斜角半径
d≥4±1 M0.103±0.00112.458±0.0030.12+0.13
−0.08
e≥10.52+0.99
−0.97
 M
0.2293+0.0026
−0.0027
41.763±0.0120.086+0.083
−0.060
c≥12.9 ± 1.6 M0.3351 ± 0.001575.7650.07
b≥0.360 ± 0.046 MJ2.11 ± 0.131155 ± 230.08+0.06
−0.05

脚注

注釈

出典

外部リンク

18h 02m 30.86s, +26° 18′ 46.81″