葬式の名人

葬式の名人』(そうしきのめいじん)は、2019年9月20日に公開された日本映画。同年8月16日に撮影地の大阪府茨木市イオンシネマ茨木)で先行上映された。監督は樋口尚文、脚本は大野裕之、主演は前田敦子[1]

葬式の名人
The Master of Funerals
監督樋口尚文
脚本大野裕之
原案川端康成
出演者前田敦子
高良健吾
白洲迅
音楽上野耕路
撮影中堀正夫
編集大島ともよ
製作会社映画「葬式の名人」制作プロジェクト
配給ティ・ジョイ
公開日本の旗 2019年9月20日
上映時間 99分
製作国日本の旗 日本
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概要

大阪府茨木市の市制70周年記念事業として、茨木市の全面協力により製作された。作品のタイトルの元となった川端康成の短編『葬式の名人』のほか『師の棺を肩に』、『片腕』、『バッタと鈴虫』『十六歳の日記』、『古都』、『少年』、『化粧の天使たち』など川端の小説がモチーフとして散りばめられたファンタジックコメディである[2]

制作費の一部は、ふるさと納税を利用したクラウドファンディングによって負担された。目標額は1,000万円であったが、2018年10月22日の時点で1,380万円、最終的には1,661万円が集まった[3]

川端は18歳まで茨木市で生活していた。川端、およびプロデューサーと脚本を担当した大野は、茨木市内の大阪府立茨木高校の卒業生である[4][注 1]。茨木高校の生徒のほか、多数の市民がエキストラとして出演している。

ストーリー

雪子は1歳のとき母を、3歳のとき父を、16歳のとき祖父を見送り、天涯孤独となった。同級生の創(はじめ)はそういう雪子を「葬式の名人」とよび、寂しくないようにいつも一緒にいてくれた。創は茨木高校(茨高、いばこう)野球部のエースだったが、ボールを追いかけてフェンスに激突し右腕が動かなくなったため、野球部をやめ、絵を描き出した。やがて雪子は妊娠したが、あきおという息子が生まれる前に2人は別れ、創はアメリカへ旅立った。パパはもうすぐ大リーグに入るのだとあきおには話している。

アメリカから帰った創は、茨高を訪れた。しかし校門前で車に轢かれて死んでしまう。病院の霊安室に両親と同級生たちが集まる。雪子もかけつけた。葬儀屋は、どこの斎場も混んでいてなかなか行き先が決まらないと言う。斎場が決まるまで、同級生たちが棺をかつぎ、創を茨高に連れて行くことにする。茨高は伝統の体育祭の準備の真っ最中である。食堂で僧侶がお経をあげる。雪子はあきおに、遺体が父であることを伝える。

野球部の部室で通夜が行われる。同級生たちは酒に酔い思い出話に花を咲かせる。そして「創と回る夜の茨高ツアー」が始まる。棺をかつぎ、「妙見夜行登山」の行燈をもち、昔話をしながらねり歩く。棺の中をみると僧侶が寝ている。創の遺体はどこだ。皆で捜すがなかなかみつからない。あきおは母の嘘を責め、どこかにいなくなる。部室にもどると、創の遺体のそばであきおが寝ていた。雪子、同級生の豊川も並んで横になった。

夜中ふと目を覚ますと白く輝く老女がいる。老女は光線で自分の右腕を切り落とし、豊川に渡す。その腕を創の右腕とつけ替えて「妙見夜行登山」にでかけた。学校にもどると、腕の治った創が待っていた。約束のもの、とポケットから大リーグのボールを出す。あきおに渡してキャッチボールをする。まもなく創はどこかへ走っていく。

朝起きると雪子とあきおは創の遺体の横で寝ていた。同級生たちが、創のカバンに入っていたというマンガの原稿を見ている。高校時代の創や雪子、そしてあきおが描かれていた。「友の棺を肩に」して同級生たちは茨高を後にする。雪子はつぶやく「大切な人を送ると、また新しい出会いがある。うちは葬式の名人やねん。」あきおがポケットをさぐると、大リーグのボールが入っていた。

キャスト

スタッフ

脚注

注釈

出典

参考文献

外部リンク