EADS CASA C-295

EADS CASA C-295

EADS CASA C-295は、EADS CASA(現在のエアバス・ディフェンス・アンド・スペース)社によって開発された、ターボプロップエンジン双発の中型戦術輸送機。

概要

1980年代スペインCASA社は、インドネシアIPTN社と共同でCASA CN-235を開発・販売していた。これは、軍用としては小型戦術輸送機や海洋監視機、民間用としてはコミューター機として人気を博し、200機以上が生産されるベストセラーとなった。このことから、CASA社は1995年より、CN-235の胴体を延長した発展型として、C-295の開発を開始した。CN-235を改修した試作機は1997年11月28日に初飛行し、1998年12月22日には、初の新造機が初飛行を行なった。1999年、CASA社はEADS社の傘下でスペイン支社に改編されて、社名もEADS CASAと変更され、C-295も同社の製品となった。なお、さらに2009年には、EADS CASA社はエアバス・ミリタリー社の傘下に入ったことから、C-295は現在では同社の製品となっている。

C-295は、上述の通り、基本的にはCN-235のストレッチ型となっており、胴体は3.1メートル延長され、これによりペイロードは50%増加している。これに対応するため、エンジンは、より強力なプラット・アンド・ホイットニー・カナダ PW127Gに換装されており、プロペラも、より効率的な6翔プロペラが採用された。またアビオニクス面も刷新されており、タレス・グループにより設計されたグラスコックピットが導入されている。

戦術輸送型のC-295Mを基本として、海洋監視型のC-295 MPA パーシェイダー早期警戒(AEW&C)型のC-295 AEWが開発されている。戦術輸送型においては、貨物室は48.54m3の有効容積を確保しており、ランプ部を除く全長は12.69 m、ランプ長は3.04 m、高さは1.90 m、最大幅は2.70 mである。また早期警戒型では、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ社のAESAレーダーをロートドーム型のレドームに収容して搭載する。2010年代には輸送型の改良型として主翼にウィングレットを取り付けたC-295Wが登場した。

またC-295Wに後付けできる空中給油キットも開発されており、2020年1月に試験を成功させた[1]

運用国

諸元・性能

二面図。

出典: greg goebel (2011年5月1日). “CASA Cargolifters: C-212, CN-235, & C-295” (英語). 2011年12月25日閲覧。

諸元

性能

  • 最大速度: 576 km/h (311 kn)
  • 巡航速度: 480 km/h (260 kn)
  • 航続距離:  
    • 最大積載時: 1,445 km (780 nmi)
    • 最大燃料時: 4,500 km (2,400 nmi)
    • フェリー時: 5,220 km (2,820 nmi)
  • 実用上昇限度: 9,145 m (30,000 ft)
  • 離陸滑走距離: 670 m (2,200 ft)
  • 着陸滑走距離: 320 m (1,050 ft)


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中型戦術輸送機の比較
C-1 G.222 C-27J C-295 An-26 An-72
画像
乗員5名4名3名2名5名3 - 5名
全長29.0 m22.7 m24.50 m23.80 m28.07 m
全幅30.6 m28.7 m25.81 m29.20 m31.89 m
全高9.99 m9.8 m8.60 m8.58 m8.65 m
空虚重量23,320 kg14,590 kg17,000 kg11,000 kg15,200 kg19,050 kg
最大離陸重量45,000 kg28,000 kg30,500 kg23,200 kg24,000 kg34,500 kg
最大積載量11,900 kg9,000 kg11,500 kg9,250 kg5,500 kg10,000 kg
発動機P&W JT8D ×2GE T64-GE-P4D ×2RR AE 2100-D2A ×2P&Wカナダ PW127G ×2プログレス AI-24VT ×2プログレス D-36 ×2
ターボファンターボプロップターボファン
巡航速度650 km/h439 km/h583 km/h480 km/h440 km/h600 km/h
航続距離
  • 0 t / 2,400 km
  • 6.5 t / 2,185 km
  • 8 t / 1,500 km
  • フェリー時 / 4,633 km
  • 9 t / 1,371 km
  • フェリー時 / 5,926 km
  • 6 t / 4,260 km
  • 11 t / 1,852 km
  • フェリー時 / 5,220 km
  • 4.5 t / 4,300 km
  • 9.2 t / 1,445 km
  • 0 t / 2,550 km
  • 5.5 t / 1,100 km
  • フェリー時 / 4,800 km
  • 10 t / 800 km
最短離陸滑走距離460 m662 m580 m670 m1,240 m400 m
初飛行1970年1999年1997年1969年1977年
運用状況現役 (用途廃止中)現役

脚注

参考文献