KING'S

KING'S』(キングス)は、日本のロックバンドであるRED WARRIORSの3枚目のオリジナル・アルバム

KING'S
RED WARRIORSスタジオ・アルバム
リリース
録音
ジャンル
時間
レーベル日本コロムビア/BODY
プロデュース
チャート最高順位
RED WARRIORS アルバム 年表
CASINO DRIVE
(1987年)
KING'S
(1988年)
1988 KING'S ROCK'N'ROLL SHOW -LIVE AT SEIBU STADIUM-
(1988年)
EANコード
『KING'S』収録のシングル
  1. ROYAL STRAIGHT FLUSH R & R
    リリース: 1988年3月10日
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1988年4月1日日本コロムビアのBODYレーベルからリリースされた。前作『CASINO DRIVE』(1987年)からおよそ10か月ぶりにリリースされた作品であり、作詞はダイアモンド☆ユカイおよび木暮武彦が担当、作曲は全曲ともに木暮が担当、プロデュースは木暮および日本コロムビア所属の宗清裕之が担当している。

前2作に続く「ロックン・ロール3部作の完結編」であり、前2作に引き続きベルリン出身のマイケル・ツィマリングがレコーディング・エンジニアを担当している。前作の完成度に満足していた木暮は本作において新たなエフェクターアンプを使用するなど積極的なギターのアプローチを試みている。先行シングルとして「ROYAL STRAIGHT FLUSH R & R」(1988年)がリリースされ、本作はオリコンアルバムチャートにおいてLP盤が最高位2位を獲得、総合では最高位第5位となった。

背景

日米合作映画『TOKYO-POP』(1988年)の主演に決定したダイアモンド☆ユカイは映画の撮影が開始されることとなったが、映画の撮影開始前にレコーディングが終了していたシングル「バラとワイン」が1987年4月21日にリリースされることとなった。同曲に関してユカイは「世界的なスタンダードになってもおかしくない楽曲」というほどの自信作であったが、オリコンチャートでは上位にチャートインせずユカイは落胆することとなった[4]。木暮も同曲には自身を持っており、必ずヒットすると思われていたが叶わず、ユカイは映画撮影があったためにプロモーションができなかったことを一因として挙げている[5][4]。一部ではユカイの映画出演によってバンド解散の危機に陥ったと言われていたが、ユカイはこれを否定し最もバンド活動のことを考えていた時期であると主張[5]。また、仮にユカイが映画出演を拒否した上で同曲がヒットし、テレビ番組に多数出演するような事態になっていた場合は、本作も制作されず早期に解散していたとユカイは推測している[5]

映画撮影が終了した頃にはすでにコンサートツアーが200本ほど決定しており、ツアーを行いながらわずかな空き時間も2枚目のアルバム『CASINO DRIVE』(1987年)のレコーディングに追われる日々が続き、日本に帰国したばかりのユカイは全く休む暇がなかったと述べている[4]。コンサートツアーを200本行うことの大変さをユカイは著書『成りさがり』の中で述べており、毎日同じ顔触れで移動後にリハーサルとライブ本番を行い、起床とともにまた移動するという繰り返しの中で日付や場所の感覚が失われていき、MC名古屋のことを語っていたが会場は北海道であったりと当時の状況を振り返り「本当に頭がおかしくなってきそうだった」と述べている[6]。ユカイはこの過酷なツアーがRED WARRIORSの解散時期を早めた原因となったことが確かであるとも述べている[7]

楽曲と音楽性

本作のプロデューサーである宗清裕之は本作が『LESSON 1』(1986年)、『CASINO DRIVE』(1987年)に次ぐ「ロックン・ロール3部作の完結編」であると位置づけている[8]。また、本作では「PARTY IS OVER」を始めとしてギターに関する新たなアプローチが積極的に多数行われており、テクニックやフレージングのみならず、新しいエフェクターアンプなども使用している[9]。前作の完成度に満足していた木暮は、前作を超える作品を制作するために毎朝スタジオまで30分程度歩きながらアレンジを考えるなど、すべてにおいて大変な時期であったと述べている[10]

1.「KING'S ROCK'N' ROLL」
本曲に関して宗清は「ほとばしるようなヴォーカルは、これがR&Rだぜ、という自信に満ちた叫びにも聞える」と述べ、本作を受けて行ったコンサートツアー「KING'S ROCK'N' ROLL TOUR」がバンドのメッセージやビジュアル・イメージ、音楽性などすべてが一体化していたために「素晴らしいものであった」とも述べている[11]
5.「ANOTHER DAY, ANOTHER TIME」
宗清によれば「ディストーションのきいたギターが厚みのあるバッキングを形づくりながらも、変化するリズム・パターンと転調のくり返しがとても美しい作風をもった曲」であり、また、木暮が制作するラブソングは「バラとワイン」や「Sunday Sunshine」など前向きな明るい内容の曲が多いのに対し、ユカイが制作するラブソングは「PARTY IS OVER」や「OUTLAW BLUES」のように男臭さが目立つシリアスな内容の曲が多いことを指摘している[12]
6.「ROYAL STRAIGHT FLUSH R & R」
本作からの先行シングルとしてリリースされた。詳細は「ROYAL STRAIGHT FLUSH R & R」を参照。
7.「JAJAUMA-NARASHI」
過去のアルバムに1曲ずつ収録していたシャッフルおよびブギの楽曲であり、3作目となることから過去作よりも凝ったリズムアレンジになっている[10]。そのためツアーで演奏することが楽しかったと木暮は述べたほか、本曲の歌詞については「相変わらずふざけた反抗をしている」と述べている[10]
9.「PARTY IS OVER」
宗清は「ミッキー吉野オルガンピアノが全体のムードをコントロールするロマンチックな曲調」であると述べたほか、RED WARRIORSの楽曲の中では「一風変わった仕上がり」であるとも述べている[9]。また宗清によれば本曲の着想はフランク・シナトラが歌いそうな1950年代のアメリカン・ポピュラー・ソングのバラードから得ていると述べている[9]。本曲の歌詞は映画『TOKYO-POP』における思い出を下敷きにユカイが作詞を行っている[9]
10.「IT'S ALL RIGHT」
本作のために木暮が本曲を制作してきた時にユカイは、「あ、俺たち、解散するかもしれないな」との感想を持ち、「まだまだ先は、長そうだぜ」という歌詞が嘘になるという予感がしたと後に述べている[13]

リリース、チャート成績

本作は1988年4月1日日本コロムビアのBODYレーベルからLPCDCTの3形態でリリースされた。本作のLP盤はオリコンアルバムチャートにて最高位第2位の登場週数13回で、売り上げ枚数は2.6万枚となり[2]、CDおよびCTを含めた総合では最高位第5位の登場週数12回で、売り上げ枚数は8.9万枚となった[3]

本作は1993年10月21日にCDのみ「CD文庫1500シリーズ」として廉価版が再リリースされた。2007年4月4日には5枚組CD+5枚組DVDボックス・セット『Lesson 20 -RED WARRIORS 20th Anniversary Box-』に収録される形でデジタル・リマスタリング盤として再リリースされた[14][15]。2012年7月4日にはタワーレコード限定で再リリースされた[16]

その他、セルフカバー・アルバム『Re:Works』(2001年)において、「JAJAUMA-NARASHI」が再レコーディングされて収録された。

批評

専門評論家によるレビュー
レビュー・スコア
出典評価
CDジャーナル肯定的[17]

音楽情報サイト『CDジャーナル』では「俺が王様」と歌う1曲目に関して、「ついにここまできたか、と思わず絶句しそう」と述べた上で同曲を始めとした「大ボラ・ロックンロールの大洪水」であると指摘したが、「ここまでやっくれると僕などは逆に気持ちがイイ」と好意的に解釈した上でメロディーやアレンジが拡大していることに対して「痛快丸かじりの一枚」と肯定的に評価した[17]

収録曲

  • CD付属の歌詞カードに記載されたクレジットを参照[18]

全作曲: 木暮武彦、全編曲: RED WARRIORS

SIDE 1
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.KING'S ROCK'N' ROLLダイアモンド☆ユカイ 
2.NEVER GIVE UP木暮武彦 
3.SHAKIN' FUNKY NIGHT木暮武彦 
4.THE DAY AFTERダイアモンド☆ユカイ 
5.ANOTHER DAY, ANOTHER TIME木暮武彦 
合計時間:
SIDE 2
#タイトル作詞作曲・編曲時間
6.ROYAL STRAIGHT FLUSH R & R木暮武彦 
7.JAJAUMA-NARASHI(じゃじゃ馬ならし)木暮武彦 
8.WILD AND VAINダイアモンド☆ユカイ 
9.PARTY IS OVERダイアモンド☆ユカイ 
10.IT'S ALL RIGHTRED WARRIORS 
合計時間:
『Lesson 20』ボーナス・トラック
#タイトル作詞作曲・編曲時間
11.MORNING AFTER(-Live Version-)木暮武彦 
12.STILL OF THE NIGHT木暮武彦 
13.VIRGIN MARYダイアモンド☆ユカイ 
合計時間:

スタッフ・クレジット

  • CDインナーカバーに記載されたクレジットを参照[18]

RED WARRIORS

参加ミュージシャン

スタッフ

  • 木暮武彦 - プロデューサー
  • 宗清裕之 - プロデューサー
  • マイケル・ツィマリング(V.F.V.スタジオ) - エンジニアリング
  • 長島道秀 - アシスタント・エンジニア
  • 南石聡巳 - アシスタント・エンジニア
  • 猪股正幸 - アシスタント・エンジニア
  • 金子実靖 - アシスタント・エンジニア
  • M.HAMAMOTO - アシスタント・エンジニア
  • 伊藤康弘 - アシスタント・エンジニア
  • 北見弦一(日本コロムビア) - 追加エンジニア
  • T.MATSUMOTO(スタジオパン) - 追加エンジニア
  • 空田満(マザーエンタープライズ) - ゼネラルマネージャー
  • みさわてつお(マザーエンタープライズ) - パーソナル・マネージャー
  • 永野 "KAZUNI" 治 - インストゥルメント・テクニシャン
  • 本木元(マザーエンタープライズ)- プロモーション・エージェント
  • 佐藤庄平(マザーエンタープライズ) - プロモーション・エージェント
  • やまぐちいずみ(日本コロムビア) - プロモーション・エージェント
  • 後藤繁雄 - クリエイティブ・ディレクション
  • DIAMOND HEAD'S - アート・ディレクション、デザイン
  • 三浦憲治 - 写真撮影
  • かさいなつえ - スタイリスト(バンド)
  • せむらまき - スタイリスト(モデル)

リリース日一覧

No.リリース日レーベル規格カタログ番号最高順位備考出典
11988年4月1日日本コロムビア/BODYLPAF-74822位
2CD32CA-22315位
3CTCAR-15405位
41993年10月21日CDCOCA-11121-CD文庫1500シリーズ(廉価版)[17][1]
52007年4月4日コロムビア・ミュージックエンタテインメントCOZA-51037-ボックス・セット『Lesson 20 -RED WARRIORS 20th Anniversary Box-』収録、紙ジャケット仕様、デジタル・リマスタリング[19][20]
62011年5月11日日本コロムビア/BODYAAC-LC--『Lesson 20』と同内容のデジタル・ダウンロード版(全13曲)[21]
72012年7月4日Tower To The PeopleCDTWCP-18-タワーレコード限定再発[22]

脚注

参考文献

外部リンク