NBAファイナル

NBAファイナル (NBA Finals)とは北米プロバスケットボールリーグNBAで、そのシーズンのイースタン・カンファレンスウェスタン・カンファレンスの王者が対決してチャンピオンを決定するシリーズの事。プレーオフの締めくくりであり、シーズン最後のイベントでもある。通常は毎年6月に行われている。1986年まではNBAワールドチャンピオンシップ・シリーズと呼ばれていた。

NBAファイナル
前身BAAファイナル
競技バスケットボール
開始年1950年
参加チーム2
参加者カンファレンス優勝チーム
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
前回優勝デンバー・ナゲッツ(初)
最多優勝ボストン・セルティックスロサンゼルス・レイカーズ(17回)

概要

プレーオフの各シリーズと同様7試合制で、どちらかのチームが先に4勝した時点で終了する。レギュラーシーズンを通して勝ち数の多いチームがホームコートアドバンテージを持ち、相手チームよりも1試合多い最大4試合をホームでプレイすることができる。2013-14シーズンから2-2-1-1-1フォーマットで行う。かつては2-3-2フォーマットで行われていた。これは、1985年ファイナルのボストン・セルティックス対ロサンゼルス・レイカーズ戦で、移動による負担軽減のために採用されたものだった。

優勝チームが決定すると、記者たちはシリーズで最も活躍したと考える選手に投票し、最多の票を獲得した選手はファイナルMVPに選出される(最多選出はマイケル・ジョーダンの6回)。ファイナルMVPが選ばれるようになったのは1969年からである。

優勝チームが決まると、試合優勝チームの選手や関係者にその場で葉巻が配られる習慣がある。また優勝チームの選手・関係者には指輪(チャンピオンリング)が配られる。この指輪は優勝チームに合わせて設計・製作されるので、優勝が決まった後に製作が行われ、関係者に渡されるのは通常次のシーズンの始め頃になる。なお優勝後に移籍した選手は、その選手が前に所属した優勝チームとシーズン中に対戦する際にチャンピオンリングが授与される。

歴史

1980年代

この年代はロサンゼルス・レイカーズボストン・セルティックスの対戦が人気を集めた。その中でも、両チームのエース、マジック・ジョンソンラリー・バードの対戦が白熱していた。

1990年代 

"バッドボーイズ"ことデトロイト・ピストンズの2連覇に始まり、マイケル・ジョーダン擁するシカゴ・ブルズの王朝が続き、2回の3連覇を記録した。ジョーダンが一時期引退した2年間はアキーム・オラジュワン擁するヒューストン・ロケッツが2連覇を達成。1999年には、ニューヨーク・ニックスが史上初めて第8シードからのNBAファイナル出場を果たす。

2000年代

2000年代前半はシャキール・オニールコービー・ブライアント擁するロサンゼルス・レイカーズが王朝を築き3連覇を達成し、オニールが3年連続でファイナルMVPを受賞した。その後はデトロイト・ピストンズが明確なエースがいない中、チームバスケットで優勝を果たす。2000年代後半になるとポール・ピアースケビン・ガーネットレイ・アレンのビッグ3を擁するボストン・セルティックス、絶対的なエースコービー・ブライアント擁するロサンゼルス・レイカーズティム・ダンカントニー・パーカーマヌ・ジノビリのビッグ3擁するサンアントニオ・スパーズなどの数々の強豪チームがぶつかり合う展開となった。

2010年代

2010年代前半はダーク・ノヴィツキー擁するダラス・マーベリックスレブロン・ジェームズドウェイン・ウェイドクリス・ボッシュのビッグ3擁するマイアミ・ヒート相手に優勝する波乱の展開に始まりその後ヒートのビッグ3が連覇を達成。2010年代後半は、ステフィン・カリー擁するゴールデンステート・ウォリアーズレブロン・ジェームズ擁するクリーブランド・キャバリアーズの対戦が4年連続で繰り広げられた。2015年はウォリアーズがスリーポイントの多用やスモールラインナップなどの今までにない画期的なスタイルで優勝し、NBAに革新をもたらした。翌2016年はさらに力をつけ、シーズン73勝を達成したウォリアーズだったが、レブロン・ジェームズ擁するキャバリアーズがNBAファイナル史上初の1勝3敗からの逆転優勝という形でウォリアーズを破り、優勝を果たした。その後ウォリアーズはリーグ屈指のスコアラーケビン・デュラントを獲得し、史上最強クラスの王朝チームを作り、連覇を果たした。ウォリアーズは3連覇を狙うも、度重なる主力選手の怪我が原因で本来の力を発揮できずに、カワイ・レナード擁するトロント・ラプターズに敗れた。

  • 2011年 - ダーク・ノビツキー率いるダラス・マーベリックスがレブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド率いるマイアミ・ヒートに前評判を覆す形で優勝。
  • 2013年 - レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド率いるマイアミ・ヒートが連覇。第6戦ではレイ・アレンが残り5秒で同点スリーポイントを沈める。
  • 2016年 - シリーズ最多の73勝を達成したゴールデンステート・ウォリアーズがクリーブランド・キャバリアーズを3勝1敗に追い込むもキャバリアーズはレブロン・ジェームズ、カイリー・アービングを中心に躍進し、史上初めて1勝3敗から逆転優勝を果たす。
  • 2018年 - ゴールデンステート・ウォリアーズが連覇。ケビン・デュラントが2年連続でファイナルMVPを獲得する。
  • 2019年 - NBAファイナル史上初、カナダでファイナルが行われる。ゴールデンステート・ウォリアーズが5年連続ファイナル出場。カワイ・レナード率いるトロント・ラプターズがフランチャイズ史上初優勝。ウォリアーズは3連覇を狙うも、第5戦でケビン・デュラントが怪我を押して出場した結果、アキレス腱を断裂、第6戦でクレイ・トンプソン前十字靭帯断裂と主力選手の怪我が相次ぎ無念の敗北となった。

2020年代

2020年はコロナウイルスの世界的な流行によりNBAは一時中断。再開後はフロリダのディズニーリゾートのバスケットコートの施設を利用。これをNBAバブルと称された。選手をリゾートに隔離状態にした上、無観客での開催という波乱のスタートとなった。

NBAファイナル成績

 太字 は優勝チーム、 (数字) は回数。

BAAファイナル

ウェスタン・カンファレンス結果イースタン・カンファレンス
1947シカゴ・スタッグズ1-4フィラデルフィア・ウォリアーズ
1948ボルティモア・ブレッツ4-2フィラデルフィア・ウォリアーズ
1949ミネアポリス・レイカーズ4-2ワシントン・キャピトルズ

NBAファイナル

ウェスタン・カンファレンス結果イースタン・カンファレンスファイナルMVP
1950ミネアポリス・レイカーズ (2)4-2シラキューズ・ナショナルズN/A
1951ロチェスター・ロイヤルズ4-3ニューヨーク・ニックス
1952ミネアポリス・レイカーズ (3)4-3ニューヨーク・ニックス
1953ミネアポリス・レイカーズ (4)4-1ニューヨーク・ニックス
1954ミネアポリス・レイカーズ (5)4-3シラキューズ・ナショナルズ
1955フォートウェイン・ピストンズ3-4シラキューズ・ナショナルズ
1956フォートウェイン・ピストンズ1-4フィラデルフィア・ウォリアーズ (2)
1957セントルイス・ホークス3-4ボストン・セルティックス
1958セントルイス・ホークス4-2ボストン・セルティックス
1959ミネアポリス・レイカーズ0-4ボストン・セルティックス (2)
1960セントルイス・ホークス3-4ボストン・セルティックス (3)
1961セントルイス・ホークス1-4ボストン・セルティックス (4)
1962ロサンゼルス・レイカーズ3-4ボストン・セルティックス (5)
1963ロサンゼルス・レイカーズ2-4ボストン・セルティックス (6)
1964サンフランシスコ・ウォリアーズ1-4ボストン・セルティックス (7)
1965ロサンゼルス・レイカーズ1-4ボストン・セルティックス (8)
1966ロサンゼルス・レイカーズ3-4ボストン・セルティックス (9)
1967サンフランシスコ・ウォリアーズ2-4フィラデルフィア・76ers (2)
1968ロサンゼルス・レイカーズ2-4ボストン・セルティックス (10)
1969ロサンゼルス・レイカーズ3-4ボストン・セルティックス (11)ジェリー・ウェスト
1970ロサンゼルス・レイカーズ3-4ニューヨーク・ニックスウィリス・リード
1971ミルウォーキー・バックス4-0ボルティモア・ブレッツカリーム・アブドゥル=ジャバー
1972ロサンゼルス・レイカーズ (6)4-1ニューヨーク・ニックスウィルト・チェンバレン
1973ロサンゼルス・レイカーズ1-4ニューヨーク・ニックス (2)ウィリス・リード (2)
1974ミルウォーキー・バックス3-4ボストン・セルティックス (12)ジョン・ハブリチェック
1975ゴールデンステート・ウォリアーズ (3)4-0ワシントン・ブレッツリック・バリー
1976フェニックス・サンズ2-4ボストン・セルティックス (13)ジョ・ジョ・ホワイト
1977ポートランド・トレイルブレイザーズ4-2フィラデルフィア・76ersビル・ウォルトン
1978シアトル・スーパーソニックス3-4ワシントン・ブレッツウェス・アンセルド
1979シアトル・スーパーソニックス4-1ワシントン・ブレッツデニス・ジョンソン
1980ロサンゼルス・レイカーズ (7)4-2フィラデルフィア・76ersマジック・ジョンソン
1981ヒューストン・ロケッツ2-4ボストン・セルティックス (14)セドリック・マクスウェル
1982ロサンゼルス・レイカーズ (8)4-2フィラデルフィア・76ersマジック・ジョンソン (2)
1983ロサンゼルス・レイカーズ0-4フィラデルフィア・76ers (3)モーゼス・マローン
1984ロサンゼルス・レイカーズ3-4ボストン・セルティックス (15)ラリー・バード
1985ロサンゼルス・レイカーズ (9)4-2ボストン・セルティックスカリーム・アブドゥル=ジャバー (2)
1986ヒューストン・ロケッツ2-4ボストン・セルティックス (16)ラリー・バード (2)
1987ロサンゼルス・レイカーズ (10)4-2ボストン・セルティックスマジック・ジョンソン (3)
1988ロサンゼルス・レイカーズ (11)4-3デトロイト・ピストンズジェームス・ウォージー
1989ロサンゼルス・レイカーズ0-4デトロイト・ピストンズジョー・デュマース
1990ポートランド・トレイルブレイザーズ1-4デトロイト・ピストンズ (2)アイザイア・トーマス
1991ロサンゼルス・レイカーズ1-4シカゴ・ブルズマイケル・ジョーダン
1992ポートランド・トレイルブレイザーズ2-4シカゴ・ブルズ (2)マイケル・ジョーダン (2)
1993フェニックス・サンズ2-4シカゴ・ブルズ (3)マイケル・ジョーダン (3)
1994ヒューストン・ロケッツ4-3ニューヨーク・ニックスアキーム・オラジュワン
1995ヒューストン・ロケッツ (2)4-0オーランド・マジックアキーム・オラジュワン (2)
1996シアトル・スーパーソニックス2-4シカゴ・ブルズ (4)マイケル・ジョーダン (4)
1997ユタ・ジャズ2-4シカゴ・ブルズ (5)マイケル・ジョーダン (5)
1998ユタ・ジャズ2-4シカゴ・ブルズ (6)マイケル・ジョーダン (6)
1999サンアントニオ・スパーズ4-1ニューヨーク・ニックスティム・ダンカン
2000ロサンゼルス・レイカーズ (12)4-2インディアナ・ペイサーズシャキール・オニール
2001ロサンゼルス・レイカーズ (13)4-1フィラデルフィア・76ersシャキール・オニール (2)
2002ロサンゼルス・レイカーズ (14)4-0ニュージャージー・ネッツシャキール・オニール (3)
2003サンアントニオ・スパーズ (2)4-2ニュージャージー・ネッツティム・ダンカン (2)
2004ロサンゼルス・レイカーズ1-4デトロイト・ピストンズ (3)チャンシー・ビラップス
2005サンアントニオ・スパーズ (3)4-3デトロイト・ピストンズティム・ダンカン (3)
2006ダラス・マーベリックス2-4マイアミ・ヒートドウェイン・ウェイド
2007サンアントニオ・スパーズ (4)4-0クリーブランド・キャバリアーズトニー・パーカー
2008ロサンゼルス・レイカーズ2-4ボストン・セルティックス (17)ポール・ピアース
2009ロサンゼルス・レイカーズ (15)4-1オーランド・マジックコービー・ブライアント
2010ロサンゼルス・レイカーズ (16)4-3ボストン・セルティックスコービー・ブライアント (2)
2011ダラス・マーベリックス4-2マイアミ・ヒートダーク・ノヴィツキー
2012オクラホマシティ・サンダー1-4マイアミ・ヒート (2)レブロン・ジェームズ
2013サンアントニオ・スパーズ3-4マイアミ・ヒート (3)レブロン・ジェームズ (2)
2014サンアントニオ・スパーズ (5)4-1マイアミ・ヒートカワイ・レナード
2015ゴールデンステート・ウォリアーズ (4)4-2クリーブランド・キャバリアーズアンドレ・イグダーラ
2016ゴールデンステート・ウォリアーズ3-4クリーブランド・キャバリアーズレブロン・ジェームズ (3)
2017ゴールデンステート・ウォリアーズ (5)4-1クリーブランド・キャバリアーズケビン・デュラント
2018ゴールデンステート・ウォリアーズ (6)4-0クリーブランド・キャバリアーズケビン・デュラント (2)
2019ゴールデンステート・ウォリアーズ2-4トロント・ラプターズカワイ・レナード (2)
2020ロサンゼルス・レイカーズ (17)4-2マイアミ・ヒートレブロン・ジェームズ (4)
2021フェニックス・サンズ2-4ミルウォーキー・バックス (2)ヤニス・アデトクンボ
2022ゴールデンステート・ウォリアーズ (7)4-2ボストン・セルティックスステフィン・カリー
2023デンバー・ナゲッツ4-1マイアミ・ヒートニコラ・ヨキッチ

チーム別成績

進出チーム勝率ファイナル優勝カンファレンス優勝
32ミネアポリス/ロサンゼルス・レイカーズ1715.5311949, 1950, 1952, 1953, 1954, 1972, 1980, 1982, 1985, 1987, 1988, 2000, 2001, 2002, 2009, 2010, 20201959, 1962, 1963, 1965, 1966, 1968, 1969, 1970, 1973, 1983, 1984, 1989, 1991, 2004, 2008
22ボストン・セルティックス175.7721957, 1959, 1960, 1961, 1962, 1963, 1964, 1965, 1966, 1968, 1969, 1974, 1976, 1981, 1984, 1986, 20081958, 1985, 1987, 2010, 2022
12フィラデルフィア/サンフランシスコ/ゴールデンステート・ウォリアーズ75.5831947, 1956, 1975, 2015, 2017, 2018, 20221948, 1964, 1967, 2016, 2019
9シラキューズ・ナショナルズ/フィラデルフィア・セブンティシクサーズ36.3331955, 1967, 19831950, 1954, 1977, 1980, 1982, 2001
8ニューヨーク・ニックス26.2501970, 19731951, 1952, 1953, 1972, 1994, 1999
7マイアミ・ヒート34.4282006, 2012, 20132011, 2014, 2020, 2023
7フォートウェイン/デトロイト・ピストンズ34.4291989, 1990, 20041955, 1956, 1988, 2005
6シカゴ・ブルズ601.0001991, 1992, 1993, 1996, 1997, 1998N/A
6サンアントニオ・スパーズ51.8331999, 2003, 2005, 2007, 20142013
5クリーブランド・キャバリアーズ14.20020162007, 2015, 2017, 2018
4ヒューストン・ロケッツ22.5001994, 19951981, 1986
4シアトル・スーパーソニックスオクラホマシティ・サンダー13.25019791978, 1996, 2012
4ボルチモア/ワシントン・ブレッツ/ワシントン・ウィザーズ13.25019781971, 1975, 1979
4セントルイス/アトランタ・ホークス13.25019581957, 1960, 1961
3ミルウォーキー・バックス21.6661971, 20211974
3ポートランド・トレイルブレイザーズ12.33319771990, 1992
3フェニックス・サンズ03.000N/A1976, 1993, 2021
2ダラス・マーベリックス11.50020112006
2オーランド・マジック02.000N/A1995, 2009
2ニュージャージー/ブルックリン・ネッツ02.000N/A2002, 2003
2ニューオーリンズ/ユタ・ジャズ02.000N/A1997, 1998
1デンバー・ナゲッツ101.0002023N/A
1トロント・ラプターズ101.0002019N/A
1ロチェスター・ロイヤルズ/サクラメント・キングス101.0001951N/A
1ボルティモア・ブレッツ101.0001948N/A
1インディアナ・ペイサーズ01.000N/A2000
1ワシントン・キャピトルズ01.000N/A1949
1シカゴ・スタッグズ01.000N/A1947
0シャーロット・ボブキャッツ/シャーロット・ホーネッツN/A
0バッファロー・ブレーブス/サンディエゴ/ロサンゼルス・クリッパーズN/A
0バンクーバー/メンフィス・グリズリーズN/A
0ミネソタ・ティンバーウルブズN/A
0ニューオーリンズ/オクラホマシティ・ホーネッツ/ニューオーリンズ・ペリカンズN/A

脚注

外部リンク