アカデミー国際長編映画賞ドイツ代表作品の一覧

ウィキメディアの一覧記事

ドイツは1956年に初めてアカデミー国際長編映画賞[nb 1]に映画を出品した。アカデミー国際長編映画賞はアメリカ合衆国の映画芸術科学アカデミー(AMPAS)が主催し、アメリカ合衆国以外の国で製作され、主要な会話が英語以外で占められた長編映画を対象としている[3]

フォルカー・シュレンドルフ監督による『ブリキの太鼓』(1979年)はドイツ初のアカデミー国際長編映画賞(外国語映画賞)受賞作となった。

アカデミーは毎年各国からその年で最高とされる作品を招待し、規則に従って競わせる[3]。しかしながら20世紀後半のほとんどの間分断されていたドイツは西ドイツ東ドイツがそれぞれ出品していた。8作品がノミネートされ、そのうち1作品が受賞を果たした西ドイツ[4]は、モスクワ国際映画祭での上映が拒否された『嘘つきヤコブ英語版』がノミネートされるだけに留まった東ドイツを大きく引き離した[5]。西ドイツは初の出品となった1956年から4年連続でノミネートを果たしたが、1960年代のあいだは全て落選となった。その後ニュー・ジャーマン・シネマが盛んになると海外でのドイツ映画の評価の向上に繋がり、1970年代に再びノミネートを果たす作品が現れ、1979年の『ブリキの太鼓』では初の受賞にも至った[6]

1990年10月に西ドイツと東ドイツが再統一されると、翌1991年3月25日開催の第63回アカデミー賞[7]ドイツは初めて統一国としてアカデミー国際長編映画賞に参加した。統一ドイツ代表作は2022年度までに12本がノミネートを果たし、カロリーヌ・リンクの『名もなきアフリカの地で』(2001年)、フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクの『善き人のためのソナタ』(2006年)、エドワード・ベルガー英語版の『西部戦線異状なし』(2022年)の3本が受賞している。

出品作

西ドイツ


(授賞式)
日本語題出品時の英題言語監督結果
1956
(第29回)
The Captain of KöpenickDer Hauptmann von Köpenickヘルムート・コイトナー英語版ノミネート
1957
(第30回)
The Devil Strikes at NightNachts, wenn der Teufel kamロバート・シオドマクノミネート
1958
(第31回)
Arms and the ManHeldenフランツ・ペーター・ヴィルト英語版ノミネート
1959
(第32回)
The BridgeDie Brückeベルンハルト・ヴィッキノミネート
1960
(第33回)
FaustFaustピーター・ゴースキー英語版落選
1966
(第39回)
テルレスの青春Young TörlessDer junge Törlessフォルカー・シュレンドルフ落選
1967
(第40回)
TattooTätowierungヨハネス・シャーフ英語版落選
1968
(第41回)
サーカス小屋の芸人たち 処置なしArtists Under the Big Top: PerplexedDie Artisten in der Zirkuskuppel: ratlosアレクサンダー・クルーゲ落選
1969
(第42回)
Hunting Scenes from BavariaJagdszenen aus Niederbayernペーター・フライシュマン英語版落選
1970
(第43回)
o.k.o.k.ミヒャエル・ファーフーフェン英語版落選
1971
(第44回)
The CastleDas SchloßRudolf Noelte落選
1972
(第45回)
TrottaTrottaヨハネス・シャーフ英語版落選
1973
(第46回)
The PedestrianDer Fußgängerマクシミリアン・シェルノミネート
1974
(第47回)
One or the Other of UsEiner von uns beidenウォルフガング・ペーターゼン落選
1975
(第48回)
カスパー・ハウザーの謎The Enigma of Kaspar HauserJeder für sich und Gott gegen alleヴェルナー・ヘルツォーク落選
1976
(第49回)
ある道化師The Clown [8]Ansichten eines Clownsヴォイチェフ・ヤスニー英語版落選
1977
(第50回)
アメリカの友人The American FriendDer amerikanische Freundヴィム・ヴェンダース落選
1978
(第51回)
ガラスの独房The Glass CellDie gläserne Zelleハンス・W・ガイゼンドルファー英語版ノミネート
1979
(第52回)
ブリキの太鼓The Tin DrumDie Blechtrommelフォルカー・シュレンドルフ外国語映画賞受賞
1980
(第53回)
FabianFabianウォルフ・グレム英語版落選
1981
(第54回)
リリー・マルレーンLili MarleenLili Marleenライナー・ヴェルナー・ファスビンダー落選
1982
(第55回)
フィツカラルドFitzcarraldoFitzcarraldoヴェルナー・ヘルツォーク落選
1983
(第56回)
別れの朝A Woman in FlamesDie flambierte Frauロベルト・ファン・アケレン英語版落選
1984
(第57回)
Man Under SuspicionMorgen in AlabamaNorbert Kückelmann落選
1985
(第58回)
Angry HarvestBittere Ernteアニエスカ・ホランドノミネート
1986
(第59回)
メンMen...Männer…ドーリス・デリエ落選
1987
(第60回)
ベルリン・天使の詩Wings of DesireDer Himmel über Berlinヴィム・ヴェンダース落選
1988
(第61回)
YaseminYaseminハーク・ボーム英語版落選
1989
(第62回)
Spider's WebDas Spinnennetzベルンハルト・ヴィッキ落選

東ドイツ


(授賞式)
日本語題出品時の英題言語監督結果
1973
(第46回)
Her ThirdDer Dritteエーゴン・ギュンター英語版落選
1976
(第49回)
嘘つきヤコブJacob the LiarJakob der Lügnerフランク・バイヤーノミネート
1977
(第50回)
Mama, I'm AliveMama, ich lebeコンラート・ヴォルフ英語版落選
1980
(第53回)
フィアンセThe FianceeDie Verlobteギュンター・ライシュ英語版
ギュンター・リュッカー英語版
落選
1983
(第56回)
冤罪The Turning PointDer Aufenthaltフランク・バイヤー落選

ドイツ


(授賞式)
日本語題出品時の英題言語監督結果
1990
(第63回)
ナスティ・ガールThe Nasty GirlDas schreckliche Mädchenミヒャエル・ファーフーフェン英語版ノミネート
1992
(第65回)
Schtonk!Schtonk!ヘルムート・ディートル英語版ノミネート
1993
(第66回)
JusticeJustizハンス・W・ガイゼンドルファー英語版落選
1994
(第67回)
ベルリン それぞれの季節The PromiseDas Versprechenマルガレーテ・フォン・トロッタ落選
1995
(第68回)
Brother of SleepSchlafes Bruderヨゼフ・フィルスマイアー英語版落選
1996
(第69回)
DeathmakerDer Totmacherロムアルド・カーマカー英語版落選
1997
(第70回)
ビヨンド・サイレンスBeyond SilenceJenseits der Stilleカロリーヌ・リンクノミネート
1998
(第71回)
ラン・ローラ・ランRun Lola RunLola renntトム・ティクヴァ落選
1999
(第72回)
Aimée & JaguarAimée und Jaguarマックス・フェーベルベック英語版落選
2000
(第73回)
壁のあとNo Place to GoDie Unberührbareオスカー・レーラー落選
2001
(第74回)
esThe ExperimentDas Experimentオリヴァー・ヒルシュビーゲル落選
2002
(第75回)
名もなきアフリカの地でNowhere in AfricaNirgendwo in Afrikaカロリーヌ・リンク外国語映画賞受賞
2003
(第76回)
グッバイ、レーニン!Good Bye, Lenin!Good Bye, Lenin!ヴォルフガング・ベッカー落選
2004
(第77回)
ヒトラー 〜最期の12日間〜DownfallDer Untergangオリヴァー・ヒルシュビーゲルノミネート
2005
(第78回)
白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々Sophie Scholl – The Final DaysSophie Scholl - Die letzten Tageマルク・ローテムントノミネート
2006
(第79回)
善き人のためのソナタThe Lives of OthersDas Leben der Anderenフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク外国語映画賞受賞
2007
(第80回)
そして、私たちは愛に帰るThe Edge of HeavenAuf der anderen Seiteファティ・アキン落選
2008
(第81回)
バーダー・マインホフ 理想の果てにThe Baader Meinhof ComplexDer Baader Meinhof Komplexウーリ・エーデルノミネート
2009
(第82回)
白いリボンThe White Ribbon[9]Das weiße Bandミヒャエル・ハネケノミネート
2010
(第83回)
When We Leave[10]Die Fremdeフェオ・アラダグ英語版落選[11]
2011
(第84回)
Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのちPina[12]Pina – Tanzt, tanzt sonst sind wir verlorenヴィム・ヴェンダース最終選考[13]
2012
(第85回)
東ベルリンから来た女Barbara[14]Barbaraクリスティアン・ペツォールト落選
2013
(第86回)
誰でもない女Two Lives[15]Zwei Lebenゲオルク・マース最終選考[16]
2014
(第87回)
Beloved Sisters[17]Die geliebten Schwesternドミニク・グラフ英語版落選
2015
(第88回)
顔のないヒトラーたちLabyrinth of Lies[18]Im Labyrinth des Schweigensジュリオ・リッチャレッリ最終選考[19]
2016
(第89回)
ありがとう、トニ・エルドマンToni Erdmann[20]Toni Erdmannマーレン・アデノミネート[21]
2017
(第90回)
女は二度決断するIn the Fade[22]Aus dem Nichtsファティ・アキン最終選考[23]
2018
(第91回)
ある画家の数奇な運命Never Look Away[24]Werk ohne Autorフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクノミネート[25]
2019
(第92回)
システム・クラッシャー 家に帰りたいSystem Crasher[26]Systemsprengerノラ・フィングシャイト英語版落選
2020
(第93回)
そして明日は全世界にAnd Tomorrow the Entire World[27]Und morgen die ganze Weltユリア・フォン・ハインツドイツ語版落選
2021
(第94回)
アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイドI'm Your Man[28]Ich bin dein Menschマリア・シュラーダー最終選考[29]
2022
(第95回)
西部戦線異状なしAll Quiet on the Western Front[30]Im Westen Nichts Neuesエドワード・ベルガー英語版外国語映画賞受賞

脚注

参考文献

全般
個別