オリガ・リパコワ

カザフスタンの陸上選手、政治家 (1984-)

オリガ・セルゲイヴナ・リパコワロシア語: Ольга Сергеевна Рыпакова英語: Olga Sergeevna Rypakova、旧姓:アレクセイェワ〔Алексеева〕、1984年11月30日 - )は、カザフスタン陸上競技選手。七種競技から競技生活を開始し、走幅跳に転向、2007年より三段跳を始めた。混成競技の主要大会での初勝利は2005年アジアインドアゲームズ五種競技であり、翌2006年アジア競技大会の七種競技で金メダルを獲得した。

オリガ・リパコワ
個人情報
フルネームОльга Сергеевна Рыпакова
国籍カザフスタンの旗 カザフスタン
生誕 (1984-11-30) 1984年11月30日(39歳)
カザフ・ソビエト社会主義共和国東カザフスタン州オスケメン
身長1.83 m (6 ft 0 in)
体重62 kg (137 lb)
スポーツ
カザフスタンの旗 カザフスタン
競技陸上競技
種目三段跳走幅跳
獲得メダル
オリンピック
2012 ロンドン三段跳
2008 北京三段跳
2016 リオデジャネイロ三段跳
世界選手権
2011 大邱三段跳
2015 北京三段跳
2017 ロンドン三段跳
世界室内選手権
2010 ドーハ三段跳
2012 イスタンブール三段跳
2008 バレンシア三段跳
コンチネンタルカップ
2010 スプリト三段跳
2018 オストラヴァ三段跳
アジア競技大会
2006 ドーハ七種競技
2010 広州三段跳
2014 仁川三段跳
2018 ジャカルタ三段跳
2010 広州走幅跳
2006 ドーハ走幅跳
アジアインドアゲームズ
2005 パタヤ五種競技
2009 ハノイ走幅跳
2009 ハノイ三段跳
アジアインドア・マーシャルアーツゲームズ
2017 アシガバード走幅跳
2017 アシガバード三段跳

2008年北京オリンピックでは走幅跳と三段跳に出場し、三段跳で15m11のアジア新記録をマークして4位に入賞した。世界大会で初めて表彰台のトップに立ったのは、2010年世界室内選手権の三段跳で、アジア室内記録15m14で優勝した。2012年ロンドンオリンピックでも三段跳で金メダルを獲得した[1]

日本語では、姓はルイパコワ[2][3][4]、名はオルガとも表記される[5][6][7][8]

経歴

若手時代

ウスチ・カメノゴルスク(現・オスケメン[3])に生まれた。父は元十種競技の選手であり、オリガも8歳で陸上競技を始めた[3]。16歳で初めて世界レベルのジュニア大会に出場した。オリガが出場したのは2000年世界ジュニア選手権で、走幅跳を11位(予選)で終えた。七種競技では2001年世界ユース選手権で4位、2002年世界ジュニア選手権カロリナ・クリュフトに次ぐ銀メダルを獲得した。同年、オリガはカザフスタンの七種競技でチャンピオンになった[9]。その後も混成競技への参加を続け、2003年にマルチスター英語版でシーズンベストをマークして5位に入賞し[10]、2004年にカザフスタンの室内選手権で五種競技で優勝した[9]

主要大会で初めて頭角を現したのは2005年のことで、9月に韓国仁川で開かれたアジア選手権で4位に入り、2か月後のアジアインドアゲームズ五種競技で優勝した。2006年のアジア室内選手権でも金メダルを獲得、4582点をマークして大会新記録を達成した。同年の世界室内選手権にも出場したが、4368点で記録更新はならず、7位で競技を終えた。

2006年のワールドカップで初めてアジア代表に選抜されたが、走幅跳の記録は6m21で8位に終わった。ところが数週間後に開かれたカラフル大邱陸上競技大会英語版で6m63の自己ベストを出して2位に入った[11]。 She pushed herself beyond the normal seven events at the 2006年アジア競技大会では七種競技で5955点を記録して優勝[12]、走幅跳にも出場して銅メダルを獲得した[13]

国際大会での活躍

カザフスタンの切手になったオリガ

2007年7月、アジア選手権三段跳で大会記録およびカザフスタン記録となる14m69をマークし優勝[14]、8月には2007年夏季ユニバーシアード走幅跳で自己新記録の6m85を跳び、陸上競技カザフスタン勢に初の金メダルをもたらした[15]

3週間後、初めて世界選手権に三段跳で出場し、予選で4位となるが、決勝には進めず、最終的に11位となった。2007年シーズンはアジアインドアゲームズで終えるつもりであったが、実際には出場しなかった。

2008年はアジア室内選手権で2度目の金メダルを2度目の大会新記録を樹立して獲得した。前回とは異なり、三段跳に出場し、記録は14m23であった。ほどなく世界室内選手権の三段跳に出場し、14m58でアジア記録を更新したが、マリア・セシュタック英語版には及ばず、銅メダルだった[16]北京オリンピックではカザフスタン代表に初選抜され、走幅跳と三段跳に出場した。三段跳では15m11のアジア新記録を跳び、銀メダルを獲得したが、走幅跳は予選で敗退した。

2009年は2度目となる世界選手権に臨んだが、三段跳の成績は13m91で全体順位は10位に終わった。今大会では精彩を欠いたが、アジアインドアゲームズでは走幅跳・三段跳の両種目を大会新記録を打ち立てて優勝し、陸上競技でカザフスタンチームが1位になるのを助けた[17]。2009年シーズンの最後は、アジア選手権三段跳を14m53で制して締めくくった。

2012年ロンドンオリンピック三段跳で金メダルを獲得したことから、同年11月8日にアジアオリンピック評議会からズルフィヤ・チンシャンロイリア・イリン英語版とともにベスト・アジアン・アスリートを受賞した[18]

2010年はカザフスタン室内選手権で走幅跳と三段跳の2種目制覇で幕を開け[9]世界室内選手権に臨んだ。決勝ではヤルヘリス・サビヌと金メダルを争い、5回目の試技で14m93をマークしてトップに立ち、最後の試技で15m14という、アシア・ハンセン英語版タチアナ・レベデワに次ぐ室内歴代3位の記録を樹立した[19]

2021年の東京オリンピックの開会式ではカザフスタン選手団の旗手を務めた[4][5][6][7][8][20][21]。入場時の楽曲がRPGの『ファイナルファンタジー』であったこともあり[4][7][21]民族服風の衣装をまとって行進すると[6][8]、「お姫様・王女様のようだ」と注目を浴び[4][5][7][8][20][21]、他国の選手から写真撮影をせがまれた[5][6]。選手として出場した三段跳では、シーズンベストをマークしたが、予選敗退となった[22]

成績

WR 世界記録 | AR エリア記録 | CR 選手権記録 | GR 大会記録 | NR 国家記録 | OR オリンピック記録 | PB 自己ベスト | SB シーズンベスト | WL 世界最高(当該シーズン中)
| w 追い風参考記録
大会会場結果種目補足
カザフスタン代表
2000世界ジュニア選手権  チリサンティアゴ23位(予選)走幅跳5m63(+0.1 m/s)
2001世界ユース選手権  ハンガリーデブレツェン4位七種競技5198 点
2002世界ジュニア選手権 ジャマイカキングストン2位七種競技5727 点
2003ユニバーシアード 韓国大邱8位七種競技5690 点
2005ユニバーシアード トルコイズミル14位(予選)走幅跳6m11
アジア選手権 韓国仁川4位走幅跳6m50
アジアインドアゲームズ タイバンコク1位五種競技3954 点
2006アジア室内選手権 タイパタヤ1位五種競技4582 点
世界室内選手権 ロシアモスクワ7位五種競技4368 点
ワールドカップ ギリシャアテネ8位走幅跳6m21(アジア代表)
アジア競技大会 カタールドーハ3位走幅跳6m49
1位七種競技5995 点
2007アジア選手権 ヨルダンアンマン1位走幅跳6m66 (w)
1位三段跳14m69 (CR)
ユニバーシアード タイバンコク1位走幅跳6m85 (PB)
世界選手権 日本大阪10位三段跳14m32
2008アジア室内選手権 カタールドーハ1位三段跳14m23
世界室内選手権 スペインバレンシア3位三段跳14m58
オリンピック 中国北京29位(予選)走幅跳6m30
2位三段跳15m11
2009世界選手権 ドイツベルリン11位三段跳13m91
アジアインドアゲームズ  ベトナムハノイ1位走幅跳6m58
1位三段跳14m40
アジア選手権 中国広州1位三段跳14m53
2010世界室内選手権 カタールドーハ1位三段跳15m14 (AR)
コンチネンタルカップ クロアチアスプリト1位三段跳15m25(アジア太平洋代表) (AR, CR)
アジア競技大会 中国広州2位走幅跳6m50
1位三段跳14m78
2011世界選手権 韓国大邱2位三段跳14m89
2012世界室内選手権 トルコイスタンブル2位三段跳14m63
オリンピック イギリスロンドン1位三段跳14m98
IAAFダイヤモンドリーグ1位三段跳
2014アジア競技大会 韓国仁川1位三段跳14m32
2015世界選手権 中国北京3位三段跳14m77
2016アジア室内選手権 カタールドーハ3位走幅跳6m22
1位三段跳14m32
オリンピック ブラジルリオデジャネイロ3位三段跳14m74
2017世界選手権 イギリスロンドン3位三段跳14m77
アジアインドアゲームズ トルクメニスタンアシガバード1位走幅跳6m43
1位三段跳14m32
ダイヤモンドリーグ1位三段跳
2018アジア競技大会 インドネシアジャカルタ1位三段跳14m26
2019世界選手権 カタールドーハ13位(予選)三段跳14m09

個人記録

走幅跳の自己ベストは6m85で2007年のユニバーシアード(バンコク)にて記録したものである。三段跳のベストは15m25で、2010年のコンチネンタルカップ(スプリト)にて記録したもので、アジア記録でもある。三段跳のアジア室内記録15m14も保有する。混成競技では五種競技(室内)の4582点、七種競技(屋外)の6113点が自己ベストである。

区分種目記録日付会場備考
屋外走幅跳6m85m2007年8月10日 タイバンコク
三段跳15m252010年9月4日 クロアチアスプリト歴代7位
室内走幅跳6m582009年11月2日  ベトナムハノイ
三段跳15m142010年3月13日 カタールドーハ歴代3位
  • 世界陸連の公表データによる

脚注

外部リンク

オリンピック
先代
ルスラン・ザパロフ英語版
カザフスタンの旗手
カムシベク・クンカバエフ英語版とともに)
2020 東京
次代
未定