クリストフ・ルメートル

フランスの陸上競技選手 (1990 - )

クリストフ・ルメートル[1]Christophe Lemaitre1990年6月11日 - )は、フランスの陸上競技選手である。100メートル競走200メートル競走を専門とし、100mの元フランス記録保持者、200mのフランス記録保持者。2010年7月、男子100メートル走コーカソイドとして初めて10秒の壁を突破した。

クリストフ・ルメートル
Christophe Lemaitre
Portal:陸上競技
2010年ヨーロッパ陸上競技選手権大会にて
選手情報
国籍フランス
種目短距離走
生年月日 (1990-06-11) 1990年6月11日(33歳)
生誕地フランスの旗 フランスアヌシー
身長189cm
体重74kg
成績
オリンピック200m 3位 (2016年
4x100mR 3位 (2012年
世界選手権100m 4位 (2011年
200m 3位 (2011年)
4x100mR 2位 (2011年)
地域大会決勝ヨーロッパ選手権
100m 優勝 (2010,12年
200m 優勝 (2010年)
4x100mR 優勝 (2010年)
最高世界ランク200m 4位 19秒80 (2011年)
自己ベスト
50m5秒71 (2010,12年)
60m6秒55 (2010年)
100m9秒92 (+2.0m/s , 2011年)
200m19秒80 (+0.8m/s , 2011年) NR
獲得メダル
陸上競技
フランスの旗 フランス
オリンピック
2012 ロンドン4×100mリレー
2016 リオデジャネイロ200m
世界陸上競技選手権大会
2011 大邱4×100mリレー
2011 大邱200m
IAAF世界リレー大会
2015 ナッソー4×200mリレー
2014 ナッソー4×200mリレー
ヨーロッパ陸上競技選手権大会
2010 バルセロナ100m
2010 バルセロナ200m
2010 バルセロナ4×100mリレー
2012 ヘルシンキ100m
2014 チューリッヒ100m
2014 チューリッヒ200m
2012 ヘルシンキ4×100mリレー
2014 チューリッヒ4×100mリレー
ヨーロッパ室内陸上競技選手権大会
2011 パリ60m
世界ジュニア陸上競技選手権大会
2008 ビドゴシチ200m
ヨーロッパジュニア陸上競技選手権大会
2009 ノヴィ・サド100m
欧州連合の旗 ヨーロッパ
IAAFコンチネンタルカップ
2010 スプリト100m
2014 マラケシュ4×100mリレー
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経歴

2009年

2009年の欧州ジュニア陸上競技選手権大会では欧州ジュニア記録である10秒04を記録し金メダルを獲得[2]

また、ルメートルは200メートルの世界ジュニアチャンピオンでもある[3]。2009年には彼の功績を讃えてヨーロッパ陸上競技男子新人賞が贈られた[4]

2010年

2010年のシーズン開始時、エクス=レ=バンにおいて10秒09を記録し、その後風速2.2m/sの向かい風ながら10秒24を記録した。5月にはフランソンヴィルにて行われたフランスクラブナショナル選手権で10秒03の自己新記録を出した。しかし、後のインタビューでロナルド・ポニョンの持つフランス記録9秒99を破れず失望したと語っている[5]。同年のヨーロッパチーム選手権にて再び記録に挑戦したが、ドウェイン・チェンバースに次ぐ10秒02の自己新記録を出し2位に入った[6]

2010年7月9日、陸上フランス選手権にて9秒98を記録し、コーカソイドとしては初めて100メートルを10秒未満で走った人物となった[7][8]。翌日行われた200m決勝では20秒16のフランス記録タイで優勝。

7月28日に行われたヨーロッパ陸上選手権の100mで前大会覇者のフランシス・オビクウェルやドウェイン・チェンバースなどの強豪を退け金メダルを獲得。翌日行われた200m決勝ではコーナーで出遅れるが、後半に伸びを見せイギリスのクリスチャン・マルコム英語版を0.01秒の僅差で下す。8月1日に行われた4×100mリレーでは2走を務め38秒11の好タイムで優勝し、3冠を達成した。

8月29日、イタリアで開催されたリエーティ・グランプリにて男子100m予選で9秒98を出し、決勝では9秒97と自身の持つフランス記録を更新した。

9月4日、スプリトで行われたIAAFコンチネンタルカップの100mに出場し、10秒06で優勝した。

2011年

2011年3月、パリで開催されたヨーロッパ室内選手権の60mに出場すると、準決勝で6秒55の自己ベストをマークして決勝に進出し、銅メダルを獲得した。

6月18日、ストックホルムで開催されたヨーロッパチーム選手権の100mを9秒95で優勝し、自身の持つフランス記録を更新した[9]

7月29日、フランス選手権の100m決勝で9秒92をマークし、自身の持つフランス記録を更新した[10]

8-9月、大邱で開催された世界選手権の100mと200mと4×100mリレーに出場した。100mではジミー・ヴィコと共にフランス男子選手初の決勝に進出した。決勝は3位のキム・コリンズと0秒10差の4位でメダルは逃したが、アフリカ系以外の選手の過去最高順位タイを記録した[11]。200mでは決勝で19秒80のヨーロッパ歴代2位とフランス新記録を樹立して銅メダルを獲得した[12]。フランス男子選手のメダル獲得は、1987年大会ジル・ケネールヴェが銀メダルを獲得して以来、実に24年ぶりだった。4×100mリレーでは2走を務め、決勝では優勝したジャマイカと1秒16差の2位に入り、2005年大会以来のメダルを獲得した。

2012年以降

2012年6月、ヘルシンキで開催されたヨーロッパ選手権の100mを10秒09で優勝し、連覇を達成した[13]

8月、ロンドンで開催されたオリンピックに初出場を果たした。200mでは、フランス男子選手としては1988年大会ブルーノ・マリーローズとジル・ケネールヴェ以来の決勝進出を果たしたが、決勝は苦手のスタートで出遅れて20秒19の6位[14]。4×100mリレーは2走を務め、決勝では3位のトリニダード・トバゴと0秒04差の4位でメダルを逃した。しかし、2位に入ったアメリカ代表のリレーメンバーだったタイソン・ゲイのドーピング処分により、フランス代表は2015年に順位が繰り上がり銅メダルを獲得した[15]

2013年7月、フランス選手権の100mで10秒19の2位になり、予選と決勝の両レースで9秒95をマークしたジミー・ヴィコに敗れて4年連続の2冠を逃した。ジミー・ヴィコが出場しなかった200mは20秒34で制し、4連覇を達成した[16]

8月、モスクワで開催された世界選手権に出場した。100mの準決勝は張培萌と同タイムの10秒00をマークしたが、わずか0秒001差で4位になり、準決勝全体8番目のタイムで決勝に進出した[17]。2大会連続の決勝は10秒06の7位に終わった。出場予定だった200mと4×100mリレーは怪我のため欠場した[18]

2014年5月、ナッソーで開催されたIAAF世界リレー大会に出場。4×200mリレーでは1走を務め、決勝で1分20秒66のヨーロッパ新記録を樹立して銅メダルを獲得した[19]8月13日ヨーロッパ選手権100m決勝では連覇が期待されたが、10秒13で2位となった[20]

人物・エピソード

  • 家族みんなスポーツ経験はあるが、特に父親は元レスリング選手で、国内選手権の上位に入る実力だったという。兄が2人いるが、陸上はやっていない[21]
  • 6-7歳の時にハンドボール、それ以降はサッカーやラグビーをやっていたが、足が速かったこともあり周囲に陸上を勧められ、15歳の時に陸上を始める。陸上を始めて2年目で10秒96をマーク。同世代ではかなり速いほうだったという[21]
  • 2014年5月に行われた、ゴールデングランプリ東京で5度目の来日を果たしている。この際の陸上競技マガジンのインタビューで「小さい頃はドラゴンボールをよく見ていた。GTONARUTOも好きで、ゲームではファイナルファンタジーシリーズを全てプレーしている」と語っており、5度目の来日にして初めて秋葉原に行った際は、ファイナルファンタジーVIIのグッズを購入している[22]

主な実績

大会場所月日種目結果記録風速
2007世界ユース選手権オストラバ7月12日100m4位10秒67-0.4m/s
7月15日200m5位21秒15-0.2m/s
2008世界ジュニア選手権ブィドゴシュチュ7月11日200m優勝20秒83-0.9m/s
2009ヨーロッパ室内選手権トリノ3月7日60m準決勝敗退6秒72
ヨーロッパチーム選手権レイリア7月20日4x100mR3位38秒80
ヨーロッパジュニア選手権ノヴィ・サド7月24日100m優勝10秒04+0.2m/s
7月26日4x100mR予選失格-(h)
世界選手権ベルリン8月15日100m二次予選失格-(qf)
8月22日4x100mR8位39秒21
2010ヨーロッパチーム選手権ベルゲン6月19日100m2位10秒02+1.1m/s
ヨーロッパ選手権バルセロナ7月28日100m優勝10秒11-1.0m/s
7月30日200m優勝20秒37-0.8m/s
8月1日4x100mR優勝38秒11
IAAFコンチネンタルカップスプリト9月4日100m優勝10秒06+0.7m/s
9月4日4x100mR失格
2011ヨーロッパ室内選手権パリ3月6日60m3位6秒58
ヨーロッパチーム選手権ストックホルム6月18日100m優勝9秒95+1.1m/s
6月18日4x100mR2位38秒71
6月19日200m優勝20秒28-2.8m/s
世界選手権大邱8月28日100m4位10秒19-1.4m/s
9月3日200m3位19秒80+0.8m/s
9月4日4x100mR2位38秒20
2012ヨーロッパ選手権ヘルシンキ6月28日100m優勝10秒09-0.7m/s
7月1日4x100mR3位38秒46
オリンピックロンドン8月9日200m6位20秒19+0.8m/s
8月11日4x100mR3位38秒16
2013ヨーロッパチーム選手権ゲーツヘッド6月22日4x100mR4位38秒84
6月23日200m優勝20秒27+2.4m/s
世界選手権モスクワ8月11日100m7位10秒06-0.3m/s
2014IAAF世界リレー大会ナッソー5月24日4x200mR3位1分20秒66
5月25日4x100mR決勝棄権
ヨーロッパ選手権チューリッヒ8月13日100m2位10秒13-0.4m/s
8月15日200m2位20秒15-1.6m/s
8月17日4x100mR3位38秒47
IAAFコンチネンタルカップマラケシュ9月13日100m5位10秒13-0.1m/s
9月13日4x100mR2位38秒62
9月14日200m4位20秒28+0.2m/s
2015IAAF世界リレー大会ナッソー5月2日4x100mR5位38秒81
5月3日4x200mR2位1分21秒49
ヨーロッパチーム選手権チェボクサル6月20日100m優勝10秒26-1.7m/s
6月20日4x100mR2位38秒34
世界選手権北京8月23日100m準決勝敗退10秒20-0.4m/s
8月26日200m準決勝敗退20秒34+0.4m/s
8月29日4x100mR5位38秒23
2016オリンピックリオデジャネイロ8月14日100m準決勝敗退10秒070.0m/s
8月18日200m3位20秒12-0.5m/s
2017世界選手権ロンドン8月9日200m準決勝敗退20秒30+0.3m/s
8月12日4x100mR5位38秒48

自己記録

種目記録日時場所備考
50m5秒712010年3月5日
2012年2月14日
フランス, リエヴァン
60m6秒552010年2月13日フランス, オービエール
100m9秒92(+2.0)2011年7月29日フランス, アルビ元フランス記録
200m19秒80(+0.8)2011年9月3日韓国, 大邱フランス記録
4×100m38秒112010年8月1日スペイン, バルセロナ

脚注

参考文献

  • 陸上競技社 編『月刊陸上競技 2014年10月号』陸上競技社・講談社、平成26年10月1日発行、9月13日発売、282p.

外部リンク