コーナン

日本のホームセンター

コーナンは、大阪府大阪市淀川区に本社を置くコーナン商事株式会社(コーナンしょうじ、Kohnan Shoji Co.,Ltd.)が運営するホームセンターチェーンの店舗ブランド。ホームセンターコーナン(HC)、コーナンPRO(コーナンプロ)、コーナンホームストック(home stock)の店名で近畿地方を中心に営業している。本項では運営会社のコーナン商事株式会社についても記述する。

コーナン商事株式会社
Kohnan Shoji Co.,Ltd.
本社およびコーナン新大阪センイシティー
種類株式会社
市場情報
大証1部(廃止) 7516
2013年7月15日上場廃止
本社所在地日本の旗 日本
532-0004
大阪府大阪市淀川区西宮原二丁目2番17号
本店所在地大阪府堺市西区鳳東町四丁401番地1
設立1978年昭和53年)9月20日
(創業:1967年(昭和42年))
業種小売業
法人番号3120101003135 ウィキデータを編集
事業内容DIY商品の小売を中心としたホームセンター事業
代表者疋田直太郎(代表取締役社長
資本金176億5,800万円
(2021年2月現在)
発行済株式総数3,468万2,113株
売上高連結:4,420億7,000万円
(2021年2月期)
営業利益連結:309億1,900万円
(2021年2月期)
純利益連結:186億4,900万円
(2021年2月期)
純資産連結:1,332億8,700万円
(2021年2月期)
総資産連結:3,950億9,500万円
(2021年2月期)
従業員数正社員:3,925人、準社員:9,392人
(2021年2月28日現在)
決算期2月末日
主要株主疋田耕造 9.38%
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 6.89%
港南株式会社 5.88%
疋田直太郎 5.17%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 4.55%
(2013年2月末)
主要子会社大阪エイチシー株式会社
コーナンロジスティック株式会社
建デポ株式会社
株式会社ホームインプルーブメントひろせ
関係する人物疋田耕造(創業者)
外部リンクwww.hc-kohnan.com ウィキデータを編集
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登記上本店

概要

石油販売業等を営む港南株式会社(こうなん)が事業多角化の為にホームセンター事業に進出し、1978年昭和53年)9月にコーナン商事株式会社を設立、同年12月にコーナン1号店として大阪府堺市に泉北店を開店した。

店舗は近畿地方を中心に、東北地方宮城県福島県)、関東地方東京都神奈川県埼玉県千葉県茨城県)、中部地方中国地方四国九州福岡県長崎県熊本県)、沖縄で展開する(2023年6月現在)。

大阪をはじめ近畿地方を地盤としているが、滋賀県ではアヤハディオが強いこともあり、草津店(コーナン+生鮮スーパーハズイ+ジョーシンの複合型)と大津瀬田川店のみの出店に留まっている(以前存在した大津市雄琴店は2006年(平成18年)2月19日をもって閉店)。また、山口県および四国地方ではコーナンホームストックの出店が多いという傾向がある。

ホームセンターは郊外部に出店することが多いが、コーナンの場合は大阪府中心部にも出店しているのが特徴である。コーナンと家電量販店ジョーシンなど)、食品(ライフなど、地域により異なる)ほか他業種の1棟同居型(コーナン+食品スーパー+大型専門店、家電量販店)といったタイプの店舗も多数ある。古い店舗では敷地が狭いため店舗が手狭な場合も多く、後に近隣の土地を借り増して別館を建設したり駐車場を増設して対応している場合もある。2000年代以降の出店では自家用車の来店を見越した郊外型店舗も増えている。ワークマン(作業服専門店)などに対抗して早朝から開店する店舗もあるが、開いているフロアは原則として資材館(工事資材・工事用品など)のみに限定される。

2008年(平成20年)、港南株式会社の石油販売事業及び石油製品小売業であるコーナンフリート株式会社(現・エネクスフリート株式会社)を伊藤忠エネクスへ売却。なお、売却時点の株主は有限会社ケーエヌサービス 66.5%、疋田耕造 32.3%、疋田米造 1.2%となっており、ホームセンター事業を展開するコーナン商事との直接的な資本関係はなくなっていた(資本的には兄弟会社に相当)。これにより、祖業である石油製品小売業からは撤退した[1]

2000年代以降は名古屋市や東京都、千葉県にも出店して多店舗化を図っている。ショッピングセンター開発などのデベロップメント事業も手がけており、2007年には多摩ニュータウンぐりーんうぉーく多摩を開業させ、核店舗として出店した。

2017年(平成29年)には小田急電鉄からビーバートザン(神奈川県厚木市、元は箱根登山鉄道のDIY部門)の全株式を取得して子会社化[2]2023年(令和5年)3月1日に吸収合併して「ビーバートザン」の運営を引き継いだ[3]

九州へは経営破綻したオサダの店舗に居抜き出店することで約15年ぶりに再進出、2020年令和2年)3月には提携先のホームインプルーブメントひろせ(以下、HIヒロセ)が運営していた店舗を「コーナンPRO」に転換する形で熊本県へ進出した。海外では2016年(平成28年)にベトナムへ進出した。

2019年(平成31年)4月1日楽天株式会社が運営する共通ポイントサービス楽天ポイントカード」を導入し、取り扱いを開始した(コーナンでのポイント付与率は税抜200円毎に1ポイント付与)。同時に、加盟企業提携カードでは初となる楽天公式キャラクター「お買いものパンダ」をデザインし、コーナンオリジナル「楽天ポイントカード」を配布開始[4]。また同日より、同社独自のチャージ式プリペイド型電子マネー「コーナンPay」を導入しサービス開始。サービスカウンターで即時発行可能なプラスチックカードと、「コーナンアプリ」から発行するモバイルカードの2形態を用意した[5]

2020年令和2年)2月1日にはパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下、PPIH)の子会社であるドイト(現:スカイグリーン)からホームセンター事業及びプロ事業を会社分割(簡易吸収分割)により承継[6]。承継した店舗は業態に応じて「コーナンドイト」または「コーナンPROドイト」に屋号を改め、同年2月19日に一斉オープンさせた。

2023年(令和5年)6月1日にはHIヒロセ(同社が運営していた業務スーパー事業[7]は吸収分割により新設会社の株式会社フレッシュフーズファクトリーへ承継[8])を子会社化した[9]

沿革

  • 1967年昭和42年)7月24日 - 疋田耕造港南株式会社を創業(石油販売事業、ゴルフ場運営事業、航空事業)。
  • 1978年(昭和53年)
    • 9月 - 港南株式会社が経営の多角化のため、資本金1,000万円で大阪府堺市熊野町東四丁4番23号にコーナン商事株式会社を設立。
    • 12月 - 大阪府堺市に1号店、コーナン泉北店を開店。
  • 1982年(昭和57年) - ホームセンターリックスを経営する株式会社リックスを買収。
  • 1986年(昭和61年)
    • 日本DIY協会に加盟。
    • 本社を大阪府堺市鳳東町四丁401番地1に移転(現在も登記上の本店所在地。港南株式会社の本社があり、疋田米造が運営するコーナンメディカル鳳総合健診センターがある)。
  • 1996年平成8年) - 大阪証券取引所第2部に上場。
  • 1999年(平成11年)
    • 本社を大阪府堺市鳳東町六丁637番地1に移転。
    • 子会社大阪エイチシー株式会社を設立。
  • 2001年(平成13年)
    • 海外商品の直輸入を開始。
    • 小規模ホームセンター「ホームストック」1号店を兵庫県淡路市に出店、プロ業者向け店舗「コーナンPRO」1号店を東淀川菅原店の別館として開店。
    • 大阪証券取引所第1部と東京証券取引所第1部に上場。
  • 2002年(平成14年) - 和歌山県の株式会社まるちょうを子会社化し、和歌山コーナン株式会社に商号変更。
  • 2003年(平成15年)
  • 2004年(平成16年) - 経営破綻したディスカウントストアオサダから、小戸店(→コーナンめいのはま店)、大塔店を取得。
  • 2006年(平成18年) - 会社分割により、大阪エイチシー株式会社の輸入業務及び不動産賃貸事業を承継。
  • 2007年(平成19年) - 子会社コーナンロジスティックス株式会社を設立。子会社K・F株式会社(2007年8月8日子会社化)を吸収合併。
  • 2008年(平成20年)
    • 港南株式会社の石油販売事業及び石油製品小売業であるコーナンフリート株式会社(現・エネクスフリート株式会社)を伊藤忠エネクスへ売却。
    • 東海地方にコーナンPROを初出店(PRO熱田四番町店、PRO一宮店)。
    • ホームストック上冨田店に「こ〜なん産直館」1号店を開店。
  • 2011年(平成23年)- 東北地方に初出店(PRO仙台東インター店)。
  • 2012年(平成24年)- 関東地方にコーナンPROを初出店(PRO港北インター店)
  • 2013年(平成25年)
    • 東北地方にコーナン (HC) を初出店(あすと長町店)。
    • 10月 - 社長の疋田耕造が、同社の女性取締役の経営する会社との間で、総額1億円超の不明瞭取引を行っていた疑いが浮上。これを受け同社では第三者機関による調査に乗り出すとともに、同年10月11日に予定していた四半期決算の発表を中止。
    • 11月13日 - 社長に疋田直太郎副社長(疋田耕造の長男)が昇格、疋田耕造社長は取締役相談役に退く。
  • 2014年(平成26年)- 300店舗を達成。
  • 2015年(平成27年)
  • 2016年(平成28年)
  • 2017年(平成29年)
  • 2018年(平成30年)
  • 2019年(平成31年/令和元年)
    • 4月1日 - 楽天ポイントカードを導入、「コーナンPay」運用開始。
    • 6月3日 - プロユーザー向け会員制建築資材卸売店「建デポ」を運営する建デポ株式会社の全株式を株式会社LIXILなどから譲受、100%子会社化[13]
    • 7月23日 - 「コーナンPay」への不正アクセスが発生。翌7月24日にサービス停止、8月19日にサービス再開。
    • 川崎区東扇島にコーナン川崎ベイ流通センターが稼動開始。
  • 2020年(令和2年)
    • 1月6日 - 本社を堺市から新大阪へ移転することを発表[14]
    • 2月1日 - PPIHの子会社であるドイト株式会社(現:株式会社スカイグリーン)のホームセンター事業及びプロ事業を会社分割(簡易吸収分割)により承継[6]。承継を行った店舗は「コーナンドイト」「コーナンPROドイト」に屋号を転換し、同年2月19日に一斉開店。
    • 赤磐市にコーナン岡山流通センターが稼働開始。
    • キャンプ用品専門店「CAMP DEPOT」1号店を開店。
  • 2021年(令和3年)- 第3次中期経営計画「ずっと大好きや!!コーナン~これからもあなたにぴったり」を策定。
  • 2023年(令和5年)-
    • 3月1日 - 子会社の株式会社ビーバートザンを吸収合併し、「ビーバートザン」の運営を引き継ぐ[3]
    • 4月24日 - PRO豊見城豊崎店をオープンし、沖縄県へ初出店[15][16]
    • 6月1日 - HIヒロセを株式取得により子会社化[9]

店舗形態

ホームセンターコーナン

2000年代以降は品揃えと価格の強化に力を注いでおり、一般向け商品からプロユースまで幅広い必要性に対応できる商品構成を目指している。売り場面積が2,000坪以上の広い店舗もある。

コーナンホームストック

Deep Discount & Convenience Home Center(安さと利便性を追求した小型ホームセンター)を店舗コンセプトに、人口8,000 - 1万5,000人の商圏を対象にしている。自社開発商品である「毎日が得値品(EDLP)」を核としたコンビニ型ホームセンターで、売り場面積は300坪、取り扱い商品数は2万2,000商品となっている。

コーナンPRO

建築・塗料・作業用品を核とした職人向け店舗。平日および土曜日の開店時間が朝6時30分や7時(店舗による)と一般店よりも早く、現場へ行く前に立ち寄れるよう利便性を高めている。また、トラックが店内に横付けまたは乗り入れできる構造の店舗が多く、フォークリフトなどによる大量の資材積み込みに対応している。

コーナンドイト/コーナンPROドイト

2020年2月にドイトからホームセンター事業とプロ事業を承継し、ホームセンター店舗は「コーナン」のサブブランドに、プロ店舗は「コーナンPRO」のサブブランドへそれぞれ転換された店舗。大半は東京都と埼玉県に集中しているが、福島県にも店舗(ラパークいわき店)がある。ドイトも参照。

コーナンビーバートザン/コーナンビーバープロ

2023年3月1日の吸収合併に伴って株式会社ビーバートザンから運営を引き継ぎ、「コーナン」のサブブランドへ転換された店舗。神奈川県に5店舗、東京都に1店舗の6店舗を展開する。ビーバープロについては、コーナンPROと同種業態にあたる。ビーバートザンも参照。

キャンプデポ

キャンプ・アウトドア用品を核とした店舗。

自社ブランド

SOUTHERNPORTサザンポート
コーナンの漢字表記である港南をもじったブランド名。タープなどのアウトドア製品や、自転車に多いブランドである。
軽快車は安価であるが、3段変速ローラーブレーキオートライトのいずれかから選ぶことができる。車種もシティサイクルから折り畳み自転車まで幅広く、「パンクしにくい自転車」も開発されている。
LIFELEXライフレックス
生活用品をはじめ、数多くの商品が開発されている。日本国外からの直輸入品に多いが、国内メーカーによるOEM商品もある。
PortTechポートテック
生活家電製品において販売している。
EDLPエブリディ・ロー・プライス
国内メーカーによるOEM商品が多いが、原価の高騰もあり、アイテムを縮小してLIFELEXに転換しつつある。
EDLP商品は、チラシ掲載されることがあっても基本的に値下げしない。年中同じ価格で提供することがコンセプトにある。

なお、2018年(平成30年)11月に「商品供給プロジェクトチーム」が発足され、「LIFELEX」などの自社ブランド製品を「ビーバートザン」「HIヒロセ」「OKホーム&ガーデン(HIヒロセが長崎県で展開するホームセンター)」でも販売されている[17]。なお、前述したように、「ビーバートザン」は2023年3月1日にコーナンの直営店に、HIヒロセは同年6月1日付でコーナン商事の子会社となっている。

関連会社

不祥事

不明瞭取引による社長辞任

2013年(平成25年)10月、創業者で社長の疋田耕造が、同社の女性取締役が経営する会社との間で、総額1億円超の不明瞭取引を行っていた疑いが浮上。これを受け同社は第三者機関による調査に乗り出すとともに、同年10月11日に予定していた四半期決算の発表を中止し、社長が謝罪した[18][19][20][21]。同年11月13日、疋田耕造の長男である疋田直太郎副社長が社長に昇格し、疋田耕造社長は社長を引責辞任し取締役相談役に就いた[22][23][24]

電安法違反による販売停止処分

コーナンで2001年以降に輸入した電気製品を、電気用品安全法で定められた安全検査を実施したことを示すPSEマークを取得せず、長期間にわたり販売していたことが2014年に判明[25]。うち1,015品目は出荷前に電源を入れて動作を確かめる検査をせずに販売しており、88品目は法律で定める材質や形状を満たさないまま店頭販売していた[25]。法律違反が判明したことを受け、コーナン商事は同年同年5月から該当製品の自主回収を実施[26]。同年6月27日、同社は経済産業省から業務改善命令を受けた[25][27]。家電約1,000品目について「PSEマーク」の表示を最長3か月間禁じ、PSEマークのない家電製品は販売できないため事実上の販売停止処分となる。2001年の同法施行以来、PSEマークの表示禁止処分は初となるが、違反品目数が多いことから経済産業省は初の処分を下した[25]

コーナンPayへの不正アクセス

2019年(令和元年)7月23日、同社のハウスプリペイド電子マネーであるコーナンPayの顧客アカウントに500件の不正アクセスが発生。当時は二段階認証などのセキュリティ対策が施されておらず、それが原因で20万件のパスワードリスト型攻撃を受け、サービスを一時停止する事態となった[28]。「コーナンPay」のアカウント発行案内メールが不特定多数に送られていた(外部からのパスワード攻撃による不正アクセス)事案と不正ログインが疑われる事案が確認された[29]

これを受け、同社は翌7月24日に「コーナンPay」のサービス提供を一時停止することを発表[30][31]

同年8月19日、同社は「コーナンPay」のサービス提供を再開。再開に際しては、モバイルカードにSMSを用いた二段階認証を導入してセキュリティの強化が行われ、期間限定マネーのチャージも行われた[32][33]

なお、同時期にはコーナンPayと同様の原因でセブン・ペイ不正アクセス事件が発生している(2019年9月末にサービス終了)。

関係する人物

  • 疋田耕造 - 創業者、元社長。
  • 疋田直太郎 - 現社長(2代目)、疋田耕造の長男。
  • 涼紫央 - 疋田耕造の娘。元・宝塚歌劇団星組男役。コーナンでは宝塚歌劇への招待キャンペーンも行っていた。

脚注

関連項目

外部リンク