タイバジル

タイバジル(Thai basil)は、東南アジア原産のバジルである。その際立った特徴のために栽培もされている。タイではホラーパーベトナムではフンクエイ台湾では九層塔と呼ばれる。東南アジアでは広く用いられ、その風味は、アニスやリコリス(スペインカンゾウ)に似て、わずかにスパイシーであるとされ、スイートバジルに比べて調理中の熱に対して安定である。葉は小さくて細く、茎は紫色、花は桃色から紫色である。

タイバジル
シーズン始めのタイバジル
バジル
変種Ocimum basilicum var. thyrsiflora[1]
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Sweet basil is light green with wide leaves while Thai basil has purple stems and flowers and spear-like leaves
Late summer Thai basil flowers
Midsummer Thai basil with flowers

概要

タイバジルは高さ45 cm程度[2]と小型だが丈夫であり[3]、葉は光沢のある緑色で、小さな鋸歯状があり、リコリスを思わせるアニスのような甘い香りを持ち、スイートバジルにはない若干のスパイシーも持つ[4]

茎は紫色で、他のシソ科植物に似て四角い。葉は十字対生である[5]。その学名が示すように、花は密錐花序である[6]。花序は紫色で、花が開くと桃色になる[7]

分類と名前

スイートバジルには複数の品種があり、タイバジルはその一つである。アニスやリコリスに似た香りを持つことから、anise basillicorice basilとも呼ばれるが、同じ名前を持つ西洋の株とは異なるものである[8]:92

ベトナム語では、「シナモンバジル」を意味する名前で呼ばれることもあるが、シナモンバジルは通常、別の品種を指す。

シソ科の大半に当てはまるが[9]、強い香りを持つため、属名のOcimumは、ギリシャ語で「匂い」を意味する言葉に由来する[10]。バジルには40以上の品種があり、多様な味、香り、色は、品種の特定に混乱をもたらす[1]

タイ料理には、主に3種類のバジルが用いられる。

  • タイバジルは、東南アジアで広く使われ、特にベトナム料理では重要な役割を果たす。西洋でアジア料理を作る際に最も用いられる品種でもある。
  • ホーリーバジルは、スパイシーでコショウクローブのような味を持ち、恐らくタイ国民が最も愛するバジルである[8]:93[11]インドにおいて、料理や医薬品、宗教用途で広く用いられる。
  • レモンバジルは、名前の通りレモンに似た香りと味を持つ。タイレモンバジルとも呼ばれるが、タイでは用いられることが最も少ないバジルである[8]:94。ミセスバーンズ・レモンバジルとは異なる品種である。

台湾では、「九階建てのパゴダ」という意味の「九層塔」[12][13]という名前で知られる。

利用

タイ、ベトナム、ラオスカンボジア等、東南アジアの料理に広く用いられる。タイバジルの葉はグリーンカレーレッドカレーの材料として頻繁に用いられる。一方、タイでは、パッキーマオや多くの鶏肉、豚肉、シーフード料理にはホーリーバジルが使われるが[8]:178、西洋では、これらの料理にもホーリーバジルより入手が容易なタイバジルを用いることが多い。タイバジルは、台湾料理で非常に人気のある三杯鶏の重要な材料である。調味料としても用いられる生のタイバジルの皿は、フォーブンボーフエバインセオ等のベトナム料理の添え物としてしばしば提供される。

栽培

タイバジルは多年草であるが[14]、通常は一年草として栽培される。熱帯植物であるため、霜の降りる可能性のない非常に暖かい気候でのみ、栽培できる。アメリカ合衆国農務省の耐寒性ゾーンでは10とされる。種子か挿し木から育てることができ、pH6.5-7.5かつ肥沃で水はけの良い土壌と1日当たり6-8時間の日照を必要とする[6][15]。葉が苦くならないように花は摘み取る。定期的に何枚かの葉を摘み取り再成長を促すことで、繰り返し収穫できる[14]

出典