タイ科

タイ科はタイ目に属する海水魚の一つ。伝統的にはスズキ目に分類されていた。

タイ科
分類
:動物界 Animalia
:脊索動物門 Chordata
亜門:脊椎動物亜門 Vertebrata
:条鰭綱 Actinopterygii
:タイ目 Spariformes
:タイ科 Sparidae
学名
Sparidae Rafinesque, 1810[1]
シノニム[1][2]
  • Centracanthidae Gill、1893
英名
Sea bream

名称(和名方言名)に「タイ」と付く魚もタイ科に含まれない種が多数ある[3]

分類

本科は1818年、フランス博物学者であるConstantine Samuel Rafinesqueによって設立された[1]。伝統的にスズキ目に分類されており、イトヨリダイ科、フエフキダイ科、ケントラカントゥス科と近縁とされていた[4]。分子系統解析の結果、タイ科、イトヨリダイ科フエフキダイ科シキシマハナダイ科キス科マツダイ科から成るタイ目 Spariformesに含まれると判明した[2]。かつては6亜科が存在したが、現在は使用されていない[2]。ケントラカントゥス科は現在本科に含まれる[5][6]。基準属はSparus で、属名はヨーロッパヘダイギリシア語名に由来する[7]

下位分類

38属におよそ160種が属する[8]

以下の化石属が知られる[13][14][15]

分布と生息地

世界中の熱帯から温帯海域に分布する[2]大陸棚大陸斜面の底付近に生息する[18]汽水域淡水にも進出する[2]

形態

体は側扁した長方形で、頭部は大きく、背面の輪郭は急である。吻に鱗は無く、頬には鱗がある。前鰓蓋には鱗がある種も無い種もおり、その縁に棘や鋸歯は無い。鰓蓋には鱗があり、棘も無い。口はわずかに斜めで、少し突き出すことができる。顎には円錐形や平らな歯があるが、口蓋には歯が無い。背鰭は1基あり、10 - 13棘と9 - 17軟条から成り、最後の条は二叉し、棘部分と軟条部分は切れ込み無く繋がる。背鰭の最後部の条は細長い場合もあれば、糸状の場合もある。臀鰭は3棘と7 - 15軟条から成る。尾鰭は突き出る種や二叉する種がいる。胸鰭は通常長く尖っており、腹鰭は胸鰭基部の下またはそのすぐ後ろにあり、1棘と5軟条から成る。鱗は滑らかな円鱗か、わずかに粗い櫛鱗。側線は単一で連続しており、尾鰭の基部に達する。体色は非常に多様で、ピンク色、赤色から黄色、灰色であり、多くの場合銀色か金色で、暗色の斑点や縞模様、帯が入る[18]。全長2mに達する種もいれば、全長15cmに満たない種もいる[8]

生態

無脊椎動物や小魚などの底生生物を捕食する肉食魚である[8]。大型種の幼魚や小型種は群れを作り、大型種の成魚は単独か小さな群れを作る。幼魚と成魚では体色や模様が大きく異なる。多くは雌雄同体であり、雌から雄に変化する雌性先熟の種や、雄から雌に変化する雄性先熟の種、両方の生殖器を持つ種がいる[19]

人との関わり

食用として高く評価されており、1990年から1995年にかけて西太平洋では年間2100トンから4000トン漁獲されていた[18]ヨーロッパキダイヨーロッパヘダイが特に有名である[20]

脚注

関連項目