タトラT3R.PV

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タトラT3R.PVは、チェコスロバキアなど世界各国の路面電車で使用されている電車の1形式。チェコスロバキア時代に製造された路面電車車両・タトラT3の台車や一部機器と新造車体・電気機器を組み合わせた車両である。この項目では、電気機器が異なるタトラT3R.EVも併せて解説する[1][2][3]

タトラT3R.PV
タトラT3R.EV
T3R.PVブルノ

T3R.EVブルノ
基本情報
種車タトラT3
改造所アライアンスTW
改造年T3R.PV 2003年 -
T3R.EV 2002年 -
改造数T3R.PV 83両
T3R.EV 5両
主要諸元
軌間1,000 mm1,435 mm
電気方式直流600 V
架空電車線方式
最高速度65 km/h
車両定員着席22人
最大138人
車両重量17.26 t
全長15,104 mm
車体長14,000 mm
車体幅2,500 mm
車体高3,185 mm
主電動機T3R.PV TV Progress(直流電動機)
T3R.EV TV Europulse(かご形三相誘導電動機
主電動機出力T3R.PV 47 kw
T3R.EV 90 kw
出力T3R.PV 188 kw
T3R.EV 360 kw
制御方式T3R.PV 電機子チョッパ制御
T3R.EV VVVFインバータ制御
制動装置回生ブレーキドラムブレーキ電磁吸着ブレーキ
備考主要数値は[1][2][3][4]に基づく。
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概要

1960年プラハ市電に導入された試作車を皮切りに東側諸国へ向けて大量生産が行われた路面電車車両・タトラT3は、1970年代後半以降車体の修繕や制御装置の交換などの近代化工事が各地で実施されている。特にチェコスロバキア(旧:チェコスロバキア)のタトラT3は2001年以降路面電車車両の製造・更新事業を展開するコンソーシアムであるアライアンスTW(Aliance TW team)によって多数の近代化工事が行われているが、その中で老朽化した車体をアライアンスTW製の「VerCB3」に載せ替えた車両は「T3R.PV」もしくは「T3R.EV」と呼ばれる[1][5]

「VerCB3」はアライアンスTWがタトラT3を基に開発した片運転台の高床車体で、前面の大型行先表示装置や左側面の通風孔の有無など一部の差異を除きT3と同じ外見を有するが、顧客からの要望に応じて前面形状や内装、防錆用プライマー塗料の使用など様々な変更に対応している。特にチェコオストラヴァ市電2004年から営業運転を開始したT3R.EVはフランティシェク・ペリカーンチェコ語版が手掛けた新設計の前面形状を有しており、アライアンスTWで新造された部分超低床電車にもこのデザインが受け継がれている。運転方法についてはT3の足踏みペダルから制御用ハンドルを用いた方式へと変更されている[1][2][6]

形式の違いは電気機器の差異によるものであり、T3R.PVにはIGBT素子を用いた電機子チョッパ制御方式の「TVプログレス」(TV Progress)が用いられる一方、超低床付随車VV60LFと連結運転を行う事を前提としたT3R.EVには、出力が増大したかご形三相誘導電動機を有するVVVFインバータ制御方式の「TVユーロパルス」(TV Europulse)が搭載されている。両形式とも電気機器の製造はチェコのセゲレツ(Cegelec)が手掛ける[4][7][8][9][10]

運用・導入都市

2002年にT3R.EVの試作車が製造された後、2003年以降両形式の量産が始まり、2020年の時点でT3R.PVが83両、T3R.EVが5両作られている。T3R.PVがチェコスロバキアのみならずクロアチアロシア連邦にも導入されている一方、T3R.EVは牽引するVV60LFの故障が多発した事や増備計画が部分超低床電車のヴァリオLFへ移行した事により少数の製造に留まっている。以下の表は、両形式を導入した都市や事業者を示したものである他、備考欄の「新デザイン」はフランティシェク・ペリカーンが手掛けた新設計の全面形状の事である[1][2][7][11]

T3R.PV・T3R.EV 導入都市一覧[1][2][3]
形式導入国都市導入両数備考
T3R.PVチェコプラハ
(プラハ市電)
35両[4]
リベレツ
(リベレツ市電)
12両
ブルノ
(ブルノ市電)
10両
プルゼニ
(プルゼニ市電)
2両
スロバキアブラチスラヴァ
(ブラチスラヴァ市電)
5両
クロアチアオシエク
(オシエク市電)
17両前面形状は新デザインを採用[2]
ロシア連邦ヴォルゴグラード
(ヴォルゴグラード市電)
2両
T3R.EVチェコブルノ
(ブルノ市電)
4両
チェコオストラヴァ
(オストラヴァ市電)
1両前面形状は新デザインを採用
事業用車両へ改造予定[2]

ギャラリー

関連項目

脚注

注釈

出典