ヌサンタラ (都市)

インドネシアの首都移転予定地

ヌサンタラ国家首都インドネシア語: Ibu Kota Negara Nusantara, IKN Nusantara、英語: Nusantara Capital City)、通称ヌサンタラ(Nusantara)は、2024年に移転予定のインドネシア首都移転予定地である。

ヌサンタラ

Nusantara
インドネシアの旗
ヌサンタラ国家首都
Ibu Kota Negara Nusantara

印章
ヌサンタラの位置(カリマンタン島内)
ヌサンタラ
ヌサンタラ
ヌサンタラの位置(インドネシア内)
ヌサンタラ
ヌサンタラ
座標:南緯1度03分40秒 東経116度40分50秒 / 南緯1.06111度 東経116.68056度 / -1.06111; 116.68056 東経116度40分50秒 / 南緯1.06111度 東経116.68056度 / -1.06111; 116.68056
インドネシア
政府
 • 種別[1]
 • 首都庁英語版長官バンバン・スサントノ
 • 首都庁副長官ジョニー・ラハジョ
面積
 • 合計2,561.42 km2
 • 中核地区561.80 km2
等時帯UTC+08:00 (インドネシア中部標準時)
市外局番英語版(+62) 542
ウェブサイトikn.go.id

1945年以来同国の首都となっているジャカルタ首都特別州に代わる新しい都市として計画されている。ヌサンタラは、ジャカルタ州と同様に、東カリマンタン州から分離した独立の州となるものと予想されている[3]

ボルネオ島東海岸の現在の東カリマンタン州に位置する。面積2560平方キロメートルの、丘陵地帯、森林、湾を含む都市になることが予定されている[4][5]

名称

語源

ヌサンタラという言葉は、古ジャワ語英語版nusa(島々)とantara(~の間)の複合語で、大まかに訳すと「島々の間の調和のとれた協力関係」のような意味になる。日本語報道では単に「群島」とも訳される。この言葉は当初、1293年から1530年代にかけて現在のインドネシア全土を治めていたマジャパヒト王国の領土の統一を意味するものだった[6][7]

選定

「ヌサンタラ」は、ワワサン・ヌサンタラ英語版(インドネシア群島国家ビジョン)という国家ビジョンを表すものとして新しい首都の名前に選ばれたもので、インドネシアが群島国家であることを反映している[4]。歴史的文書「サラシラ・クタイ」(Salasilah Kutai)に記録されているこの地域のクタイ人の口承によると、13世紀にこの地域がクタイと命名される前は、ヌサンタラとも呼ばれていた[8]。これは「分割された土地」の意味であるという[9]

歴史

2017年4月、ジョコ・ウィドド(ジョコウィ)政権は、ジャカルタからの首都移転を検討し始め、移転先候補地の評価は2017年末までに終える予定だった。インドネシア国家開発計画省英語版の関係者によると、政府は首都をジャワ島以外に移転することを決定していた[10]。この計画が発表された直後、ジョコウィはカリマンタン(ボルネオ島)の2箇所の候補地、東カリマンタン州のブキット・スハルトと中部カリマンタン州パランカラヤ付近を視察した[11]。2019年4月、全ての政府機関を新首都に移転するための十か年計画が発表された[12]。国家開発計画省は、地震火山の影響を比較的受けないことなどの新首都の条件を満たす、南カリマンタン州・中部カリマンタン州・東カリマンタン州の3州を移転先候補地として推薦した。

2019年8月23日、ジョコウィは2つの指令からなる大統領書簡No.R-34/Pres/08/2019を発布した。2つの指令とは、「首都移転に関する大統領研究報告書」と「首都移転のための下院の支持に関する要請書」である[13]。ジョコウィは8月26日に国民協議会(国会)で行った2019年の施政方針演説で、カリマンタンへの首都移転計画を発表した[14]。この計画では、インドネシア全土の中心部に近い東カリマンタン州のクタイ・カルタネガラ県英語版北プナジャム・パスール県英語版の一部を分離させて州レベルの自治体とし、新たな計画都市を建設する予定である[15][16]。これは、インドネシア群島内におけるジャワ島とそれ以外の島との間の経済発展の不平等を是正し、インドネシアにおける中心地としてのジャカルタの負担を軽減するための戦略の一環である[17]。国家開発計画省による移転費用の見積もりは466兆ルピア(約327億ドル)であり、その19%を政府が負担し、残りは主に官民パートナーシップや国営・民間の企業による投資で賄うとしている[18]。同時に、今後10年間でジャカルタの地盤沈下を防ぐための費用400億ドルが割り当てられる[19][20][21]

新首都の玄関口となるバリクパパン

2021年9月上旬、「首都移転法案」が閣議決定された[22]。9月29日、ジョコウィ政権は首都移転のための複数の法案を国民議会英語版(下院)に提出した[23]。法案には多くの事項が含まれているが、その中には、首都移転の責任を持ち、大統領に答弁する特別機関である国家首都庁英語版(インドネシア語:Otorita Ibu Kota Negara)の設立計画も含まれている。この機関は、その長を大統領が任命するという中央省庁のような性質を持っているが、州知事と同等の特別な統治能力を有する[22][24]。また、首都庁の資金調達、課税、給与管理、資産管理の方法についても規定されている[25]

この計画がジョコウィ大統領の2期目の任期の途中で提出されたため、国民協議会はインドネシア憲法改正案を再び発行し、国民協議会が国家政策概要(インドネシア語:Garis Besar Haluan Negara, GBHN)だけでなく国家政策要綱(インドネシア語:Pokok - Pokok Haluan Negara, PPHN)も制定できるようにした。これは、ジョコウィが大統領でなくなった後も、首都移転プロジェクトが継続できるようにするためである[26]

2022年1月17日の特別委員会で、スハルソ・モノアルファ英語版国家開発計画大臣は、新首都を「ヌサンタラ」と命名することを発表した[27]。新首都の建設は、COVID-19のワクチン接種が完了する2022年3月以降から開始される見込みである[28]

世論調査

2019年8月のKedaiKOPI Survey Instituteの調査結果によると、ジャカルタ在住の回答者の95.7%が首都移転計画に拒否感を示した[29]

脚注

出典

外部リンク