フッケンヒバ

フッケンヒバ[7][8](福建柏[7][12]学名: Chamaecyparis hodginsii)は、裸子植物マツ綱ヒノキ科ヒノキ属に分類される常緑高木になる針葉樹の1種である。林業分野ではラオスヒノキともよばれる[9][10][11]。ふつう独自の属(フッケンヒバ属 Fokienia)に分類され Fokienia hodginsii の学名が充てられていたが、分子系統学的研究からヒノキ属に含まれることが示唆され、ヒノキ属に分類することが提唱されている。には芳香があり、は鱗片状、平面的に分枝する小枝を覆う。"花期"は春、球果は翌年の秋に熟す。中国南部からラオスベトナムに分布する。材は建築などに、精油化粧品医薬品に利用される。

フッケンヒバ
1. 樹冠(中国広東省
保全状況評価[1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
:植物界 Plantae
階級なし:裸子植物 gymnosperms
:マツ綱 Pinopsida
:ヒノキ目 Cupressales[注 1]
:ヒノキ科 Cupressaceae
:ヒノキ属 Chamaecyparis
:フッケンヒバ C. hodginsii
学名
Chamaecyparis hodginsii (Dunn) Rushforth (2007)[5][6]
シノニム
和名
フッケンヒバ[7][8]、ラオスヒノキ[9][10][11]
英名
Fujian cypress[1]

特徴

常緑高木になる針葉樹であり、幹は直立し、大きなものは高さ25–35メートル (m)、幹の胸高直径 2 m になる[5](図1, 2a, b)。樹冠は円錐形[5](図1, 2a, b)。樹皮は灰褐色から紫褐色、平滑または不規則に縦に割れ、芳香がある[5][13](下図2c)。小枝は平面的に分枝し、十字対生する葉で覆われる[5][14](下記参照)。

2a. 樹形
2b. 樹形
2c. 樹皮

は鱗片状、十字対生して扁平に枝を覆うが、成木では節が短縮して葉がほとんど4輪生する[5][14]。成木では、葉はアスナロに似た鱗片状で長さ2–7ミリメートル (mm)、鈍頭、側葉は卵形で背軸側に白色の気孔帯があり、背腹の葉は倒披針形で先端は三角形[5][13][14][7](下図3)。幼木の葉は大きく、長さ約 8 mm、トゲ状、向軸面が青緑色[5][13]

3a. 枝葉
3b. 枝葉

雌雄同株、"花期"は3–4月[14][13]雄球花[注 2]は黄緑色、楕円形、長さ 4-5 mm、5–6対の小胞子葉からなり、各小胞子葉には3個の花粉嚢が付随する[14][13]雌球花[注 3]も小枝先端に単生し、十字対生する5–8対の果鱗からなり、各果鱗には2個の胚珠が付随する[5][14]。球果は2年目の10–11月に熟し、木質、亜球形、1.5-2.5 × 1.2-2.2 cm、果鱗先端は盾状で中央に突起がある[5][14][13][7]種子は長さ 4–5 mm、3–4隆条があり、両面に樹脂塊が存在、翼は不等であり、大きな翼は約 5 mm、小さな翼は 1.5 mm 以下[5][13]

精油成分として、ネロリドール、ムウロロール、α-カジノールを、はα-ピネンリモネン球果は、α-ピネン、ミルセンを多く含む[18]

分布

中国南部(福建省広東省広西チワン族自治区貴州省湖南省江西省四川省雲南省浙江省)からラオスベトナムの亜熱帯域に分布する[5][6][13]。タイプ産地は雲南省のベトナム国境近く[5]。降水量が多い標高 100–1,800メートルの山地に生育し、沢沿いや林縁などに見られる[5][13]。耐陰性は低い[5]Dacrydium elatumマキ科)や Pinus dalatensisマツ科)、モクレン科クスノキ科ブナ科の樹木と混生する[5]

人間との関わり

は軽く上質、木目は通直、芳香がある[5]建築家具工芸品などに利用され、古くはに使われた[5]。また、高火力の木炭原料とされる[5]の材から抽出される精油は、化粧品医薬品に利用される[5]

分類

21世紀初頭までフッケンヒバは独自の属(フッケンヒバ属 Fokienia)に分類され、2023年現在でも Fokienia hodginsii の学名が充てられていることがある[6][8]。しかし、分子系統学的研究から、本種はヒノキ属(Chamaecyparis)の中に含まれることが示唆されており、ヒノキ属に分類すること(Chamaecyparis hodginsii)が提唱されている[5]

学名種小名である hodginsii は、発見者である A. E. W. Hodgins 船長の名に由来する[5]

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク