マルタの鷹 (1941年の映画)

マルタの鷹』(マルタのたか、The Maltese Falcon)は、1941年のアメリカ合衆国ミステリ映画ダシール・ハメット同名探偵小説ジョン・ヒューストンの脚本・監督で映画化。出演はハンフリー・ボガートメアリー・アスターなど。同じ原作の3度目の映画化であり、その中で最も有名な作品である。また、ヒューストンの監督デビュー作でもある。ハードボイルドの古典である原作を忠実に映像化し、いわゆるフィルム・ノワールの古典と目されている。

マルタの鷹
The Maltese Falcon
ポスター(1941)
監督ジョン・ヒューストン
脚本ジョン・ヒューストン
原作ダシール・ハメット
製作総指揮ハル・B・ウォリス
出演者ハンフリー・ボガート
メアリー・アスター
音楽アドルフ・ドイチュ
撮影アーサー・エディソン英語版
編集トーマス・リチャーズ英語版
製作会社ワーナー・ブラザース
配給アメリカ合衆国の旗 ワーナー・ブラザース
日本の旗 セントラル
公開アメリカ合衆国の旗 1941年10月3日
日本の旗 1951年1月10日
上映時間101分
製作国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語英語
製作費$375,000(見積値)[1]
興行収入世界の旗 $1,772,000[1]
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予告編

ストーリー

キャスト

役名俳優日本語吹替
NETテレビ
サム・スペードハンフリー・ボガート久米明
ブリジッド・オショーネシーメアリー・アスター富田恵子
アイヴァ・アーチャーグラディス・ジョージ英語版北見順子
ジョエル・カイロピーター・ローレ永井一郎
ダンディ警部補バートン・マクレーン英語版細井重之
エフィ・ペリンリー・パトリック英語版沢田敏子
カスパー・ガットマンシドニー・グリーンストリート英語版河村弘二
トム・ポルハウス刑事ウォード・ボンド西田昭市
マイルズ・アーチャージェローム・コーワン上田敏也
ウィルマー・クックエリシャ・クック・Jr田中康郎
ルークジェームズ・バーク英語版
フランク・リッチマンマレイ・アルパー
ブライアンジョン・ハミルトン英語版
ジャコビ船長ウォルター・ヒューストン
(クレジットなし[2]
ナレーション矢島正明
その他安田隆
塩見竜介
井上弦太郎
演出小林守夫
翻訳木原たけし
効果藤田信夫
遠藤堯雄
調整前田仁信
制作東北新社
解説淀川長治
初回放送1972年4月23日
日曜洋画劇場[3]

ギャラリー

主な受賞歴

第14回アカデミー賞(ノミネート)

エピソード

  • 『マルタの鷹』は、原作が単行本として刊行された1930年に、早くもワーナー・ブラザースが映画化権を取得していたが、その後1931年1936年の2度にわたり映画化されたにもかかわらず、1作目は特に記録に残る作品とならず、2作目は内容が当時の倫理コードに抵触したため公開自体が頓挫していた。シナリオライターであったジョン・ヒューストンはそれまでの脚本家としての実績を認められて初監督のチャンスを与えられたが、原作の選択も任された彼は敢えて、2度にわたり失敗の生じていた『マルタの鷹』の映画化を要望した。
  • 原作が元々完全な客観描写のみで構成されていたため、ヒューストンは脚本化に際して秘書に命じ、登場人物のセリフと行動のみを抜き出したタイプライター原稿を作成させてから、これを叩き台に脚本を執筆したという。
  • プロデューサーハル・B・ウォリスは、当初主演俳優としてジョージ・ラフトにオファーしたが、当時の契約に「再映画化作品には出演しない」という条項があったことや、新人監督と仕事をしたくないとの理由で断られたため、ハンフリー・ボガートが起用された。これには、直前のボガート主演映画『ハイ・シェラ』で脚本を手がけていたヒューストンの意向も手伝っている。本作は結果的にボガートの出世作となった。
  • ボガート以外の主たる俳優陣もヒューストンが選定に関わり、主人公を翻弄する女ブリジッド・オショーネシーに当時のハリウッドきってのスキャンダル女優メアリー・アスター、神経質な小男カイロに小柄な怪優ピーター・ローレ、得体の知れない鷹揚な巨漢ガトマンにはイギリス出身で脇役専門の老舞台俳優シドニー・グリーンストリートをそれぞれ起用した。彼らはいずれも役柄に違うことのない強烈な個性を発揮し、ボガートに劣らぬ存在感を示した。
  • ジャコビ船長役で一瞬だけ姿を見せた名優ウォルター・ヒューストンは、監督ジョン・ヒューストンの父である。息子の監督デビューに際してのカメオ出演というべきサービスであった。
  • トレンチコートはしばしばハードボイルド的キャラクターのアイコンの一つとみなされるが、本作でサム・スペードがトレンチコートを着用するシーンは無い。

脚注

関連項目

外部リンク