ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

アメリカ、イタリアの映画作品

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(原題:Once Upon a Time in America)は、1984年製作のアメリカイタリア合作のギャング映画セルジオ・レオーネ監督・脚本作品。本作と同じくレオーネの監督作品である『ウエスタン』と『夕陽のギャングたち』を併せて前期の「ドル箱三部作」と対比して「ワンス・アポン・ア・タイム三部作」と呼ばれることもある。禁酒法時代にニューヨークユダヤ人ゲットーで育った二人のギャングの生涯を描いた、レオーネの遺作にして代表作。

ワンス・アポン・ア・タイム
イン・アメリカ
Once Upon a Time in America
監督セルジオ・レオーネ
脚本セルジオ・レオーネ
レオナルド・ベンヴェヌーティ
ピエロ・デ・ベルナルディ
エンリコ・メディオーリイタリア語版
製作アーノン・ミルチャン
製作総指揮クラウディオ・マンシーニイタリア語版
出演者ロバート・デ・ニーロ
ジェームズ・ウッズ
エリザベス・マクガヴァン
ジョー・ペシ
ジェニファー・コネリー
音楽エンニオ・モリコーネ
撮影トニーノ・デリ・コリ
編集ニーノ・バラーリ
製作会社ワーナー・ブラザース
エンバシー・インターナショナル・ピクチャーズ
ラッド・カンパニー
配給アメリカ合衆国の旗 ワーナー・ブラザース
日本の旗 東宝東和
公開アメリカ合衆国の旗 1984年6月1日
日本の旗 1984年10月6日
上映時間144分(初回劇場公開版)
205分(劇場再公開版)
229分(完全版)
251分(エクステンデッド版)
269分(オリジナル版)
製作国アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
イタリアの旗 イタリア
言語英語
イタリア語
フランス語
製作費$20,000,000
興行収入アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $5,321,508[1]
配給収入日本の旗 7億8500万円[2]
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1984年度のカンヌ国際映画祭では15分間のスタンディングオベーションを受け大絶賛されたが、後に劇場で公開されたものは製作会社側の不手際(下部詳述)により酷評された。しかし、後に公開された完全版は一転して賞賛を浴びた。エンニオ・モリコーネの楽曲も英国アカデミー賞の作曲賞を受賞するなど、旧友であるレオーネの遺作の高評価に一役買った。

有楽町マリオン内にオープンした日本劇場(現:TOHOシネマズ日劇スクリーン1)のこけら落とし上映作品でもある。

概要

ハリー・グレイ (著作家)英語版の自伝的小説に感銘を受けたセルジオ・レオーネが、小説を原作に自ら脚本を執筆した作品である。『続・夕陽のガンマン』を撮り終えた頃から脚本を書き始めていた。しかし、彼に従来のマカロニ・ウェスタンを監督させようとする映画会社の思惑や、小説の映画化権獲得に手間取ったこともあって、製作は遅々として進まず、脚本の草案を脱稿したのが1981年、実際に映画が公開されたのが1984年と、完成までに10年以上もかかった。

カンヌ国際映画祭で先行上映され、そこで高い評価を得るが、アメリカ公開時には批評家たちから酷評された。原因は、一般観衆に受け入れられやすくするため、ラッドが物語の時系列を整理し、上映時間を90分に短縮、更にモリコーネの楽曲までカットしたためである(ただし、日本やヨーロッパの一部の国ではオリジナル版がそのまま公開され、高い評価を得る)。作品に関わった人々は、口々に「製作会社がフィルムを切り刻んだ」と嘆いた。これにはレオーネも深く落胆するが、自身の編集によって3時間49分の完全版を作り上げ、再びアメリカで公開する。すると、それまでの不評が打って変わってギャング映画の傑作として捉えられ、レオーネの評価を更に高める結果となった。映画監督クエンティン・タランティーノなど、本作品のファンであることを公言する著名人は多い。

本作品の完成後、レニングラード包囲戦をテーマとした次回作に取りかかろうとした矢先、レオーネは過労による心臓発作で逝去、結果的にこの映画がレオーネの遺作となった。

229分版にさらに40分のシーンを追加した「レストア版」が2012年のカンヌ国際映画祭で公開された。

2014年のニューヨーク国際映画祭ではさらに22分のシーンを追加した「エクステンデッド版」が公開された。

ストーリー

1920年代ニューヨーク。ユダヤ系移民の子、ヌードルスはある日、仲間たちと酔っ払いから財布を抜き取ろうとするが、一人の少年にそれを阻まれる。その少年はブロンクスからやってきたマックスといった。ヌードルスとマックスは最初こそいがみ合うものの、やがては友情で結ばれていく。ヌードルスは仲間を殺された腹いせで殺人を犯し、刑務所へ…。出所したヌードルスを待っていたのは勢力を広げたマックス達だった。禁酒法を利用して次々と犯罪行為に身を染めていく青年たちは、束の間の栄光を味わう。しかし、彼らの挫折は思わぬところで待ち受けていた。それは禁酒法の終焉であった。そして、マックスは壮大な計画をヌードルスに打ち明ける…。

やがて時が流れ、老け込んだヌードルスは、再びニューヨークに戻ってくる。彼の元に一通の手紙が届いたのだ。かつての面影をわずかに残すほどしかなかった老人を、再び呼び戻した人物とは、一体誰なのか。

キャスト

役名俳優日本語吹替
テレビ朝日VHSDVDBD
ヌードルス英語版ロバート・デ・ニーロ津嘉山正種麦人隆大介
マックス / ベイリー商務長官ジェームズ・ウッズ野沢那智千田光男咲野俊介
デボラエリザベス・マクガヴァン土井美加さとうあい林真理花
ジミートリート・ウィリアムズ小川真司山寺宏一楠大典
キャロルチューズデイ・ウェルド沢田敏子達依久子入江純
ジョーバート・ヤング中庸助飯塚昭三松井範雄
フランキージョー・ペシ富田耕生仲木隆司秋元羊介
アイエロダニー・アイエロ郷里大輔稲葉実
コックアイウィリアム・フォーサイス麦人堀之紀奥田啓人
パッツィジェームズ・ヘイデン安原義人星野充昭木村雅史
イヴダーラン・フリューゲル高島雅羅紗ゆり安岡有美子
ファット・モーラリー・ラップ阪脩亀井三郎岩崎ひろし
チキン・ジョーリチャード・ブライト大塚周夫中田和宏中田雅之
クローニングジェラルド・マーフィ大木民夫笹岡繁蔵斎藤志郎
ペギーエイミー・ライダー火野カチコ秋元千賀子片桐真衣
ヌードルス(少年時代)スコット・ティラー松田辰也真殿光昭坪井智浩
マックス(少年時代)ラスティ・ジェイコブズ塩沢兼人山寺宏一谷山紀章
パッツィ(少年時代)ブライアン・ブルーム田中真弓坂本千夏西宏子
コックアイ(少年時代)エイドリアン・カラン鳥海勝美石田彰藤田大助
ファット・モー(少年時代)マイク・モネッティ桜井敏治秋元千賀子京井幸
バグジージェームズ・ルッソ谷口節星野充昭姫野惠二
アルクレム・カサータ山下啓介
フレッドフランク・シストー斎藤志郎
ペギー(少女時代)ジュリー・コーエン小宮和枝紗ゆり
ホワイティーリチャード・フォロンジー池田勝高宮俊介松尾まつお
デボラ(少女時代)ジェニファー・コネリー岡本麻弥折笠愛神田朱未
ナレーションN/A矢島正明
その他渡部猛
安田隆
北村弘一
山野史人
さとうあい
藤本譲
有本欽隆
村越伊知郎
村松康雄
田原アルノ
沢木郁也
朝倉栄介
演出蕨南勝之左近允洋加藤敏
翻訳たかしまちせこ鈴木導久保喜昭
調整遠西勝三高橋久義オムニバス・ジャパン
効果南部満治
大橋勝次
佐藤良介
VOX
選曲河合直
担当吉富孝明
プロデューサー猪谷敬二
制作ニュージャパンフィルムグロービジョン東北新社
初回放送1988年10月23日30日
正味約177分
日曜洋画劇場[3]

エクステンデッド版Blu-rayにはDVD・BD版に同キャストで追加録音したものを収録。

日本におけるキャッチ・コピー

  • 84年秋=今世紀最大のモニュメントが刻まれる。

舞台

宝塚歌劇団雪組により、2020年1-3月に宝塚大劇場東京宝塚劇場において上演[4]。脚本・演出担当は小池修一郎。主演は望海風斗真彩希帆

小池が演出を務めた、『ヴァレンチノ』、『カステル・ミラージュ』、『アデュー・マルセイユ』などの作品は、この映画の影響が大きい[5]

キャスト(舞台)

公演サイトより参照[6]

役名本公演新人公演
ヌードルス望海風斗諏訪さき
デボラ真彩希帆潤花
マックス彩風咲奈縣千
ジミー彩凪翔彩海せら
キャロル朝美絢彩みちる
シュタイン舞咲りん
ファット・モー(壮年期)奏乃はると望月篤乃
ファット・モー(少年期・青年期)橘幸
院長早花まこ[7]野々花ひまり
アン千風カレン
司会者涼花美雨
ハバナの女S沙月愛奈天咲礼愛
コックアイ真那春人眞ノ宮るい
Angel笙乃茅桜千早真央
宝石店店主久城あすゆめ真音
サム煌羽レオ日和春磨
ジュリー杏野このみ羽織夕夏
ペギー愛すみれ美華もなみ
フランキー桜路薫壮海はるま
アシモフ天月翼蒼波黎也
チャン・ラオ琥白れいら
執事透真かずき稀羽りんと
社長朝澄希
シュワルツ真地佑果
専務琥白れいら
アイエロ警部汐聖風美
ジョー叶ゆうり麻斗海伶
ミッキー蒼波黎也
ニック綾凰華星加梨杏
ベティ星南のぞみ有栖妃華
バグジー諏訪さき稀羽りんと
ダニー麻斗海伶
タチアナ野々花ひまり琴羽りり
エヴァ彩みちる希良々うみ
ナタリー希良々うみ
ドリス羽織夕夏
トニー眞ノ宮るい聖海由侑
パッツィー縣千一禾あお
エミリー潤花花束ゆめ
ドミニク彩海せら愛羽あやね
バーバラ花束ゆめ

スタッフ(舞台)

  • 原作 - ハリー・グレイ (著作家)英語版
  • 脚本・演出 - 小池修一郎
  • 作曲・編曲 - 太田健、青木朝子
  • 音楽指揮 - 西野淳
  • 振付 - 御織ゆみ乃若央りさ、桜木涼介、KAORIalive
  • 擬闘 - 栗原直樹
  • 装置 - 大橋泰弘
  • 衣装 - 有村淳
  • 照明 - 笠原俊幸
  • 音響 - 大坪正仁
  • 小道具 - 増田恭兵
  • 映像 - 奥秀太郎
  • 歌唱指導 - やまぐちあきこ、堂ノ脇恭子
  • 演出補 - 田渕大輔
  • 演出助手 - 竹田悠一郎、平松結有
  • 装置補 - 稲生英介
  • 舞台進行 - 政村雄祐(第一幕)、安達祥恵(第二幕)
  • 舞台美術製作 - 株式会社宝塚舞台
  • 演奏 - 宝塚歌劇オーケストラ
  • 制作 - 谷口真也
  • 制作補 - 白水亭
  • 制作・著作 - 宝塚歌劇団
  • 主催 - 阪急電鉄株式会社

東京での変更点

  • 演出助手 - 竹田悠一郎
  • 舞台進行 - 安達祥恵
  • 演奏コーディネート - ダット・ミュージック

日程

  • 宝塚大劇場 - 2020年1月1日(月)- 2月3日(月)
  • 東京宝塚劇場 - 2020年2月21日(金)- 3月22日(日)
    • 但し、2月29日(土)- 3月8日(日)、3月12日(木)- 3月21日(土)は新型コロナウイルス感染拡大防止の為、上演中止[8]

脚注

関連項目

  • アマポーラ - 劇中で使用された楽曲。本作公開と同時期に沢田研二がカヴァーし、国内向け予告編でBGMとして使用された。(⇒AMAPOLAを参照)。

外部リンク