京都市営地下鉄烏丸線

日本の京都府京都市左京区から伏見区を結ぶ京都市営地下鉄の路線

烏丸線(からすません)は、京都府京都市左京区国際会館駅から同市伏見区竹田駅までを結ぶ京都市営地下鉄の路線である。ラインカラーは緑 [4]、路線記号は「K」。

京都市営地下鉄 烏丸線
K
烏丸線で運用される20系(左)と10系(右) (竹田駅)
烏丸線で運用される20系(左)と10系(右)
(竹田駅)
基本情報
日本の旗 日本
所在地京都府京都市
種類地下鉄
路線網京都市営地下鉄
起点国際会館駅[注釈 1]
終点竹田駅
駅数15駅[1]
路線記号K
開業1981年5月29日[2]
最終延伸1997年6月3日
所有者京都市交通局
運営者京都市交通局
路線構造地上区間:竹田駅
車両基地竹田車庫
使用車両車両の節を参照
路線諸元
路線距離13.7 km[1]
軌間1,435 mm標準軌[1]
線路数複線
電化方式直流1,500 V 架空電車線方式[1]
閉塞方式車内信号閉塞式
保安装置CS-ATC
最高速度75 km/h[1][3]
路線図
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概要

京都市初の市営地下鉄路線である。1981年昭和56年)に北大路駅 - 京都駅間が開業した。1988年(昭和63年)に京都駅 - 竹田駅間、1990年平成2年)に北山駅 - 北大路駅間、1997年(平成9年)に国際会館駅 - 北山駅間と順次延伸されている。北大路駅 - 十条駅間は烏丸通の地下を通り、同市中心部を南北に貫いている。竹田駅は地上区間になっており、これは東西線を含めた京都市営地下鉄全線で唯一である。開業当初は4両編成で運行されていたが、竹田駅への南進開業後は全列車が6両編成で運行されている。竹田開業の約2か月後から近畿日本鉄道(近鉄)京都線との相互乗り入れを行い、当初は新田辺駅まで、後に近鉄奈良駅まで直通運転区間が拡大されている。烏丸線内はすべての駅が将来の増結に対応したホーム長となっている。2022年度は一日平均約25万人の利用があった[5]。関西圏の地下鉄の中ではOsaka Metroの4路線(御堂筋線谷町線堺筋線中央線)に次いで5番目に利用者数が多い。

路線データ

  • 路線距離(営業キロ):13.7 km(地上部0.4 km)[1]
  • 軌間:1435 mm
  • 駅数:15駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線電化(直流1500V・架空電車線方式
  • 地上区間:竹田駅
  • 閉塞方式:車内信号式(ATC)
  • 最高速度:75 km/h[1][3]
  • 平均速度:38.7 km/h(2021年4月1日現在)[1]
  • 表定速度:29.9 km/h(2021年4月1日現在)[1]
  • 全線所要時分:27分30秒(2021年4月1日現在)[1]
  • 総建設費:3054億円[注釈 2]

路線の特徴

停車場・施設・接続路線
0.0K01 国際会館駅
1.6K02 松ヶ崎駅
2.6K03 北山駅
賀茂川
3.8K04 北大路駅
4.6K05 鞍馬口駅
5.4K06 今出川駅
6.9K07 丸太町駅
東西線
7.6K08 烏丸御池駅
阪急 京都本線
烏丸駅
8.5K09 四条駅
9.3K10 五条駅
JR西山陰本線E 嵯峨野線
JR西:東海道本線
A JR京都線A 琵琶湖線
10.3K11 京都駅
JR東海 東海道新幹線
JR西:D 奈良線
近鉄B 京都線
東寺駅
11.1K12 九条駅
十条駅
11.8K13 十条駅
上鳥羽口駅
鴨川
13.0K14 くいな橋駅
近鉄:B 京都線
竹田車庫
13.7K15 竹田駅
近鉄:B 京都線
新田辺駅
大和西大寺駅
近鉄:A 奈良線
近鉄奈良駅

京都市内の主要観光地のうち、沿線に所在するものは京都御所(今出川駅、丸太町駅)や東本願寺京都駅五条駅)などにとどまっており、その他の主要観光地へは地下鉄東西線京都市バス京都バスなどの路線バス利用となることが多い。また、沿線には以下の大学が所在している。

運行形態

線内折り返し運転のほかに、竹田駅から近鉄京都線に乗り入れ相互直通運転を行っている。2012年3月20日改正ダイヤでは、昼間時間帯は1時間に8本(7分30秒間隔。線内折り返し5本、新田辺駅直通普通2本、近鉄奈良駅直通急行1本)が運転される。全列車が国際会館駅と竹田駅間を通しで運転しており、途中駅を始発駅・終着駅とする区間列車は設定されていない。また、近鉄特急は乗り入れていない。

線内折り返し

線内折り返し列車は、昼間は1時間あたり5本運転される。多客期(ゴールデンウィーク・行楽シーズン・祇園祭大文字送り火)は増発される場合がある。

京都市交通局の車両と走行距離を合わせるため、近鉄の車両も運用されている。駅の行き先案内や列車の方向幕列車種別は表示されず、黒地で「 国際会館 」「 竹田 」のように行き先のみ表示される。なお、方向幕については、3200系には同様のものが別途用意されているが、3220系は列車種別表示を無表示にして運行する。

近鉄直通普通

近鉄京都線新田辺駅発着の列車が、昼間は1時間に2本(30分間隔)運転される。列車の方向幕には行き先の左に種別が青地で「 普通 」と表示される。国際会館行きの場合でも、種別表示のない線内折り返し用のものに変更されず、そのまま烏丸線に直通する[注釈 3]

2024年3月16日のダイヤ変更までは平日夕方に近鉄宮津発国際会館行き普通が1本運転されていた。近鉄宮津行きの列車はなかった。近鉄宮津発の列車は近鉄の車両で運行されていた。

近鉄直通急行

近鉄奈良駅発着の急行列車が、平日の朝夕時間帯と、土休日に運転される。烏丸線内は各駅に停車し、近鉄線内は急行停車駅に停車する。列車の方向幕には行き先の左に種別が橙地で「 急行 」と表示されるが、国際会館行きの場合は竹田駅到着時に種別表示のない線内折り返し用のものに変更される。2000年3月15日のダイヤ改正で登場。2012年3月20日のダイヤ改正で昼間時間帯は1時間に2本(30分間隔)から1時間に1本(60分間隔)の運転となった。2022年12月17日のダイヤ改正で、平日は朝夕時間帯のみの運行となった[6]

なお、急行は近鉄車のほか、京都市交通局の車両も充当されている。地下鉄線内でも優等列車として運転される列車に地下鉄事業者の車両が充当されているのは、関西圏では烏丸線のみである[注釈 4]

車両

自局車両

  • 10系
    近鉄線では地下鉄線と直通運転を行う竹田駅 - 新田辺駅・近鉄奈良駅間のみで運行。近鉄線のみでの運行はない。
  • 20系
    2021年度より、開業当初から運用している10系9編成をATOに対応した新型車両への置き換えを予定している[7]。2017年8月31日には総合車両製作所が「高速鉄道烏丸線新造車両デザイン検討業務」を1円で受注した[8]が、車体製造及び艤装の入札では同社は辞退し、近畿車輛が5,270,000,000円で落札した[9]2022年3月26日から運行開始した[10]。運行範囲は10系と同じく、近鉄線では地下鉄線と直通運転を行う竹田駅 - 新田辺駅・近鉄奈良駅間で運行されている。

乗り入れ車両

近畿日本鉄道
いずれも近鉄線直通列車のほか、地下鉄烏丸線内のみの運用にも充当される。

乗り入れが予定されていた車両

近畿日本鉄道
  • 3000系
    1979年(昭和54年)、地下鉄烏丸線との相互直通運転を考慮し、3000系4両1編成が製造された。近鉄唯一のオールステンレス車体、電機子チョッパ制御車。Tc-M-Mc・Tcからなる4両編成で、Tcを解放することにより3両での運用が可能であった。
    将来の相互直通運転を考慮し、運転操作はデスクトップタイプの前後操作式2ハンドルで行ない、ブレーキ指令は常用制動が電気指令式、非常制動が制動管減圧式による新しい方式で、他車との連結運転はできなかった。
    相互直通運転には3200系が使用されたため、1991年(平成3年)に運転操作やブレーキ方式等を8000系等と同様のものに改造して他車と連結運転を可能とし、あわせて中間運転台を撤去して4両固定編成化された。地下鉄烏丸線に乗り入れることはなく、2012年(平成24年)に廃車された。

歴史

  • 1974年昭和49年)11月29日:烏丸線起工式が護王神社で行われる[11]。この年に発売された「記念メダルと乗車券のセット」で開業時の試運転に乗車可能であった。
  • 1981年(昭和56年)5月29日:北大路駅 - 京都駅間が開業[2]。10系電車営業運転開始。
  • 1988年(昭和63年)
    • 6月11日:京都駅 - 竹田駅間が開業。
    • 8月28日:近鉄京都線新田辺駅まで相互直通運転開始。近鉄3200系電車の運用開始。
  • 1990年平成2年)10月24日:北山駅 - 北大路駅間が開業。
  • 1997年(平成9年)
  • 2000年(平成12年)3月15日:国際会館駅 - 近鉄奈良駅間直通の急行を運転開始(昼間時間帯は30分間隔で運転)。近鉄3220系電車の営業運転開始。
  • 2010年(平成22年)3月19日:白紙ダイヤ改正を実施。21・22時台の増発や、烏丸御池駅での乗り継ぎ時間の均等化などを行う。また、烏丸御池駅での烏丸線・東西線終電の全方向一斉発車作戦「シンデレラクロス」を開始。
  • 2011年(平成23年)3月25日:この日から開業当時より30年間使用された接近放送が更新され、入線メロディが導入された。ただし東西線で導入された発車メロディは採用されていない[注釈 5]。また、放送はこれまで上下とも女声であったものが上下別(上りは男声で下りが女声)となり、メロディも上下で異なるものを使用している[12]
  • 2012年(平成24年)3月20日:ダイヤ改正。昼間時間帯の急行を60分間隔での運転に減便。
  • 2013年(平成25年)3月23日:交通系ICカードの全国相互利用を開始。
  • 2014年(平成26年)12月20日:烏丸御池駅で可動式ホーム柵の稼働を開始(2015年度には四条駅、京都駅にも設置)。
  • 2015年(平成27年)10月2日:年末年始及びお盆期間を除いた毎週金曜日のみ終電を30分延長する「コトキン・ライナー」の運転を開始(烏丸御池駅での「シンデレラクロス」も実施)。
  • 2018年(平成30年)3月17日:ダイヤ改正を実施。平日ダイヤの7時台と10時台に各1往復及び15 - 17時台に2往復増便。平日・土休日ダイヤともに国際会館駅の始発を5分繰り上げる。
  • 2021年令和3年)3月26日:「コトキン・ライナー」の運行を当面の間休止[13]
  • 2022年(令和4年)
    • 3月26日20系の運行を開始[10][14]
    • 12月17日:ダイヤ改正を実施。日中毎時8本運転から7本運転に減便[15]、平日の国際会館駅 - 近鉄奈良駅間直通の急行の運転時間帯を日中から朝夕に変更[6]

延伸計画

地下鉄が構想された当初の1970年代から、竹田駅で近鉄京都線と交差し三栖まで延伸する計画がある[16]

2004年にも近畿運輸局長の諮問を受けた近畿地方交通審議会が、中長期的に望まれる鉄道ネットワークとして竹田駅以南の延伸計画を答申した。ルートは大手筋を経て、京阪本線中書島駅淀駅の間(横大路)付近までの4.4kmとなっている[17][18]。延伸により、らくなん進都(高度集積地区)に指定されている油小路通沿線地域の活性化が期待されるが[17]、交通局は2017年の京都新聞の取材に対し、地下鉄事業に多くの借金があることを理由に工事着手は困難としている[16]

さらに、宇治川を越えて南進し、宇治川南部に計画された洛南新都市まで延伸する構想もあったが[19]、2004年の近畿地方交通審議会の答申では触れられていない。

北端も岩倉地区まで延伸する構想があったが、こちらも近畿地方交通審議会の答申で触れられていない。

駅一覧

  • 全駅京都府京都市内に所在。
  • 普通・急行:烏丸線内は各駅に停車。
  • 乗り入れ区間である竹田 - 新田辺・近鉄奈良間の停車駅は「近鉄京都線」を参照。
  • 2013年1月時点で、九条駅を除く各駅の駅名標には近隣施設名が広告として併記されている[20]
駅番号駅名駅間キロ営業キロ1日平均
乗降客数[5]
(2022年度)
接続路線所在地
K01国際会館駅-0.023,223 左京区
K02松ヶ崎駅1.61.69,568 
K03北山駅1.02.613,485 北区
K04北大路駅1.23.829,524 
K05鞍馬口駅0.84.69,139 上京区
K06今出川駅0.85.423,352 
K07丸太町駅1.56.920,866 中京区
K08烏丸御池駅0.77.6[* 1]44,872京都市営地下鉄 東西線 (T13)
K09四条駅0.98.588,018阪急電鉄 京都本線烏丸駅:HK-85)下京区
K10五条駅0.89.314,436 
K11京都駅1.010.3108,159東海旅客鉄道 東海道新幹線
西日本旅客鉄道A 東海道本線JR京都線琵琶湖線:JR-A31)・B 湖西線[* 2] (JR-B31)・E 山陰本線嵯峨野線:JR-E01)・D 奈良線 (JR-D01)
近畿日本鉄道B 京都線 (B01)
K12九条駅0.811.15,189 南区
K13十条駅0.711.87,629 
K14くいな橋駅1.213.05,915 伏見区
K15竹田駅0.713.7[* 3]52,764近畿日本鉄道:B 京都線 (B05)(直通運転・下記参照)
近鉄線直通運転区間○普通…京都線新田辺駅まで
○急行…奈良線近鉄奈良駅まで

近鉄との連絡乗車券は、京都線の竹田以南の各駅と奈良線・橿原線の一部の駅までしか購入できない。

以下の駅は、近鉄線や周辺路線などに同名の駅がある。鴨川を挟んで1駅分ほど離れた場所にある京阪本線鴨東線の駅と同名だった駅もあったが、京阪側が中之島線開業時に駅名を変更した。近鉄の並行区間に同名の駅が所在する事例もあり、近鉄の路線図の一部では小さく「烏丸」と併記されているものもある。

駅の案内サインおよび駅名標は開業時からの独特のものが使われているが、前者については利用客の多い駅では駅ナカ商業施設「KOTOCHIKA」開業に合わせてユニバーサルデザインに準拠したものに更新されている。なお、東西線で導入されたステーションカラーについては烏丸線では採用していない。

2014年度(平成26年度)から駅に可動式ホーム柵を順次設置している(2014年度に烏丸御池駅、2015年度は四条駅・京都駅に設置し[21]、2028年(令和10年)度を目標に全駅に設置の予定[22])。

歴史的遺構の発見

烏丸線建設に先立って行われた発掘調査では、多数の遺構が発見された。遺物の一部は開通時に御池駅(現在の烏丸御池駅)のギャラリーで展示された。最大のものは旧二条城遺構であった。

利用状況

1日平均乗車人員[23]
年度乗車人員
2009年205,994人
2010年209,615人
2011年212,400人
2012年215,865人
2013年223,517人
2014年258,604人
2015年266,432人
2016年271,104人
2017年274,950人
2018年282,105人
2019年284,840人
2020年182,341人
2021年204,164人
2022年246,008人

脚注

注釈

出典

参考文献

  • 『京都市営地下鉄烏丸線建設記録』北大路・京都間(1986年)、 京都・竹田間+北山・北大路間(1993年)、国際会館・北山間(1999年)
  • 今尾恵介(監修)『日本鉄道旅行地図帳 - 全線・全駅・全廃線』 9 関西2、新潮社、2009年。ISBN 978-4-10-790027-2 

関連項目