共同通信杯

共同通信杯(きょうどうつうしんはい)は、日本中央競馬会(JRA)が東京競馬場で施行する中央競馬重賞競走GIII)である。1969年より「(トキノミノル記念)」の副称がつけられており[3]、競馬番組表での名称は「共同通信杯(トキノミノル記念)」と表記される[2]

共同通信杯(トキノミノル記念)
第57回共同通信杯(2023年2月12日)
優勝馬:ファントムシーフ
開催国日本の旗 日本
主催者日本中央競馬会
競馬場東京競馬場
創設1967年2月5日
2024年の情報
距離芝1800m
格付けGIII
賞金1着賞金4100万円
出走条件サラ系3歳(国際)(特指)
負担重量馬齢(#競走条件を参照)
出典[1][2]
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寄贈賞を提供する共同通信社は、東京都港区に本社を置く通信社[4]

副称の「トキノミノル」は、1951年の皐月賞東京優駿(日本ダービー)優勝馬。生涯戦績10戦10勝(うちレコード7回)を記録し無敗のままクラシック二冠を制したものの、日本ダービー優勝からわずか17日後に破傷風で死亡し「幻の馬」と呼ばれた。本競走が施行される東京競馬場のパドック脇にはトキノミノルのブロンズ像が設置されており、ファンの間では待ち合わせ場所の一つとして定着している。

正賞は共同通信社賞[1][2]

概要

トキノミノル(1948-1951)

1967年に創設された4歳(現3歳)馬限定の重賞「東京4歳ステークス(とうきょうよんさいステークス)」が、本競走の前身[3]。競走名は1983年より「共同通信杯4歳ステークス(きょうどうつうしんはいよんさいステークス)」に改称された[3]後、2001年より現名称となった[3]

皐月賞トライアル競走ではないが、2012年ゴールドシップ以降、イスラボニータディーマジェスティエフフォーリアジャスティンミラノの計5頭が本競走の勝利を経て皐月賞も制している。また、ドゥラメンテジオグリフは本競走2着から皐月賞を制しており、皐月賞への最大の出世レース[5]として春のクラシックレースへ向けた重要な前哨戦に位置づけられている[3]

創設時の施行距離は芝1400mだったが、1968年より芝1600mに、1971年には芝1800mに延長された[3]。以降も施行場や施行時期は幾度か変更されたが、東京競馬場の芝1800mで定着している[3]

外国産馬は1993年から、地方競馬所属馬は1996年からそれぞれ出走可能になり[6]、2009年からは外国馬も出走可能な国際競走となった。

競走条件

以下の内容は、2024年現在[1][2][7]のもの。

出走資格:サラ系3歳

  • JRA所属馬
  • 地方競馬所属馬(認定馬のみ、2頭まで)
  • 外国調教馬(優先出走)
  • 負担重量:馬齢重量(牡馬・せん馬57kg、牝馬55kg)

賞金

2024年度の1着賞金は4100万円で、以下2着1600万円、3着1000万円、4着620万円、5着410万円[1][2]

歴史

  • 1967年 - 4歳馬限定の重賞競走として「東京4歳ステークス」の名称で創設、東京競馬場の芝1400mで施行[3]
  • 1969年 - この年以降、「(トキノミノル記念)」の副称をつけて施行[3]
  • 1972年 - ストライキ及び流行性の馬インフルエンザの影響で5月に福島競馬場の芝1800mで順延開催。
  • 1983年 - 名称を「共同通信杯4歳ステークス」に変更[3]
  • 1984年 - グレード制施行によりGIII[注 1]に格付け。
  • 1993年 - 混合競走に指定され、外国産馬が出走可能となる[6]
  • 1996年 - 特別指定交流競走に指定され、地方競馬所属馬が2頭まで出走可能となる[6]
  • 1998年 - 積雪の影響でダート1600mに変更したためグレード格付けが取り消され、格付けなしの重賞として施行[6]
  • 2001年
    • 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、競走条件を「3歳」に変更。
    • 名称を「共同通信杯」に変更[3]
  • 2007年 - 日本のパートI国昇格に伴い、格付表記をJpnIIIに変更[8]
  • 2008年 - 日曜の積雪による開催中止の影響で月曜(2月11日)に実施[9]
  • 2009年
    • 国際競走に変更され、外国調教馬が8頭まで出走可能になる[10]
    • 格付表記をGIII(国際格付)に変更[10]
  • 2014年 - 日曜の積雪による開催中止の影響で翌週の月曜(2月24日)に実施[11]
  • 2021年 - 新型コロナウイルス感染拡大防止のため「無観客競馬」として実施[12]
  • 2024年 - 負担重量を馬齢重量に変更[13]

歴代優勝馬

コース種別を表記していない距離は、芝コースを表す。

優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。

競走名は第16回まで「東京4歳ステークス」、第17回から第34回までは「共同通信杯4歳ステークス」[3]

回数施行日競馬場距離優勝馬性齢タイム優勝騎手管理調教師馬主
第1回1967年2月5日東京1400mホウゲツオー牡31:25.5加賀武見山岡寿恵次嶋津芳三
第2回1968年2月18日中山ダート1700mタケシバオー牡31:44.3中野渡清一三井末太郎小畑正雄
第3回1969年2月9日東京1600mミノル牡31:38.1保田隆芳尾形藤吉永田卓也
第4回1970年2月1日東京ダート1600mタマアラシ牡31:38.5吉永正人松山吉三郎永田玉枝
第5回1971年2月7日東京1800mヤシマライデン牡31:50.5伊藤正徳尾形藤吉小林庄平
第6回1972年5月7日福島1800mスズボクサー牡31:50.9徳吉一己森末之助小紫芳夫
第7回1973年2月11日東京1800mスピードリッチ牡31:49.6岡部幸雄松永光雄伊藤豊
第8回1974年2月10日東京1800mカーネルシンボリ牡31:50.9野平祐二野平省三和田共弘
第9回1975年2月9日東京1800mカブラヤオー牡31:52.0菅野澄男茂木為二郎加藤よし子
第10回1976年2月15日東京1800mテンポイント牡31:49.6鹿戸明小川佐助高田久成
第11回1977年2月13日東京1800mヒシスピード牡31:50.1小島太高木嘉夫阿部雅信
第12回1978年2月12日東京1800mサクラショウリ牡31:50.4小島太久保田彦之(株)さくらコマース
第13回1979年2月11日中山1800mリキアイオー牡31:50.9星野信幸伊藤竹男高山幸雄
第14回1980年2月10日東京1800mリンドタイヨー牡31:49.2横山富雄見上恒芳(株)デルマークラブ
第15回1981年2月8日東京1800mトドロキヒホウ牡31:49.2郷原洋行元石孝昭町田圭三
第16回1982年2月14日東京1800mサルノキング牡31:49.3田原成貴中村好夫猿丸進晤
第17回1983年2月13日東京1800mミスターシービー牡31:49.5吉永正人松山康久千明牧場
第18回1984年2月12日東京1800mビゼンニシキ牡31:51.6岡部幸雄成宮明光藤田正蔵
第19回1985年2月10日東京1800mサクラユタカオー牡31:52.7小島太境勝太郎(株)さくらコマース
第20回1986年2月9日東京1800mダイナガリバー牡31:48.7増沢末夫松山吉三郎(有)社台レースホース
第21回1987年2月15日東京1800mマイネルダビテ牡31:49.9田原成貴栗田博憲岡田牧雄
第22回1988年2月14日東京1800mミュゲロワイヤル牡31:47.9蛯沢誠治加藤修甫(有)社台レースホース
第23回1989年2月12日東京1800mマイネルブレーブ牡31:50.5柴田政人中村広(株)サラブレッドクラブ・ラフィアン
第24回1990年2月11日東京1800mアイネスフウジン牡31:49.5中野栄治加藤修甫小林正明
第25回1991年2月10日東京1800mイイデセゾン牡31:48.1田島良保大久保正陽(株)アールエスエーカントリ
第26回1992年2月16日東京1800mエアジョーダン牡31:49.1柴田政人尾形充弘吉原貞敏
第27回1993年2月14日東京1800mマイネルリマーク牡31:48.7大塚栄三郎高橋裕(株)サラブレッドクラブ・ラフィアン
第28回1994年2月14日東京1800mナリタブライアン牡31:47.5南井克巳大久保正陽山路秀則
第29回1995年2月13日東京1800mナリタキングオー牡31:48.8南井克巳中尾謙太郎山路秀則
第30回1996年2月11日東京1800mサクラスピードオー牡31:48.2小島太境勝太郎(株)さくらコマース
第31回1997年2月9日東京1800mメジロブライト牡31:47.5松永幹夫浅見国一(有)メジロ牧場
第32回1998年2月15日東京ダート1600mエルコンドルパサー牡31:36.9的場均二ノ宮敬宇渡邊隆
第33回1999年2月14日東京1800mヤマニンアクロ牡31:50.2勝浦正樹萩原清土井肇
第34回2000年2月6日東京1800mイーグルカフェ牡31:49.7岡部幸雄小島太西川清
第35回2001年2月4日東京1800mジャングルポケット牡31:47.9角田晃一渡辺栄齊藤四方司
第36回2002年2月3日東京1800mチアズシュタルク牡31:50.4藤田伸二山内研二北村キヨ子
第37回2003年2月9日中山1800mラントゥザフリーズ牡31:48.3内田博幸山内研二深見富朗
第38回2004年2月8日東京1800mマイネルデュプレ牡31:47.4北村宏司畠山吉宏(株)サラブレッドクラブ・ラフィアン
第39回2005年2月6日東京1800mストーミーカフェ牡31:47.8四位洋文小島太西川恭子
第40回2006年2月5日東京1800mアドマイヤムーン牡31:48.4武豊松田博資近藤利一
第41回2007年2月4日東京1800mフサイチホウオー牡31:47.7安藤勝己松田国英関口房朗
第42回2008年2月11日東京1800mショウナンアルバ牡31:47.6蛯名正義二ノ宮敬宇国本哲秀
第43回2009年2月8日東京1800mブレイクランアウト牡31:47.3武豊戸田博文(有)キャロットファーム
第44回2010年2月7日東京1800mハンソデバンド牡31:48.2蛯名正義尾形充弘渡邊隆
第45回2011年2月13日東京1800mナカヤマナイト牡31:48.5柴田善臣二ノ宮敬宇和泉信一
第46回2012年2月12日東京1800mゴールドシップ牡31:48.3内田博幸須貝尚介小林英一
第47回2013年2月10日東京1800mメイケイペガスター牡31:46.0横山典弘木原一良(株)名古屋競馬
第48回2014年2月24日東京1800mイスラボニータ牡31:48.1蛯名正義栗田博憲(有)社台レースホース
第49回2015年2月15日東京1800mリアルスティール牡31:47.1福永祐一矢作芳人(有)サンデーレーシング
第50回2016年2月14日東京1800mディーマジェスティ牡31:47.4蛯名正義二ノ宮敬宇嶋田賢
第51回2017年2月12日東京1800mスワーヴリチャード牡31:47.5四位洋文庄野靖志(株)NICKS
第52回2018年2月11日東京1800mオウケンムーン牡31:47.4北村宏司国枝栄福井明
第53回2019年2月10日東京1800mダノンキングリー牡31:46.8戸崎圭太萩原清(株)ダノックス
第54回2020年2月16日東京1800mダーリントンホール牡31:49.6C.ルメール木村哲也ゴドルフィン
第55回2021年2月14日東京1800mエフフォーリア牡31:47.6横山武史鹿戸雄一(有)キャロットファーム
第56回2022年2月13日東京1800mダノンベルーガ牡31:47.9松山弘平堀宣行(株)ダノックス
第57回2023年2月12日東京1800mファントムシーフ牡31:47.0C.ルメール西村真幸(有)ターフ・スポート
第58回2024年2月11日東京1800mジャスティンミラノ牡31:48.0戸崎圭太友道康夫三木正浩

参考文献

  • 「共同通信杯(GIII)(トキノミノル記念)」『中央競馬全重賞競走成績集【2歳・3歳編】』日本中央競馬会、2006年、307-355頁。 

脚注・出典

注釈

出典

各回競走結果の出典

外部リンク