司法院

中華民国の最高司法機関

司法院(しほういん)は、中華民国の最高司法機関。現在は院長と副院長を含む15名の大法官により構成されている。院長は許宗力、副院長は蔡烱燉である。

司法院
Judicial Yuan
組織の概要
設立年月日1928年11月16日
継承前組織
管轄中華民国の旗 中華民国政府
本部所在地台北市中正区重慶南路一段124号
北緯25度02分16.9秒 東経121度30分43.5秒 / 北緯25.038028度 東経121.512083度 / 25.038028; 121.512083
人員468
年間予算21.116億台湾元(2014年(民国103年)度)
行政官
  • 許宗力(院長)
  • 蔡烱燉(副院長)
  • 呂太郎(秘書長)
  • 林勤純(副秘書長)
下位組織
  • 本部:5庁、8処、1室および各委員会
  • 付属機関(直接監督):12機関
ウェブサイト司法院
司法院
各種表記
繁体字司法院
簡体字司法院
拼音Sīfă Yùan
注音符号ㄙ ㄈㄚˇ ㄩㄢˋ
発音:スーファーユエン
英文Judical Yuan of the Republic of China
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司法院
中華民国の旗 中華民国 文化資産
司法大廈地図
登録名称司法大廈
その他の呼称旧台湾総督府高等法院、検察局、台北地方法院、台湾高等法院、台北高等検察署
種類衙署(官公庁)
等級国定古蹟
文化資産登録
公告時期
1998年7月30日[1]
位置中華民国の旗 中華民国台湾
台北市中正区
建設年代1929年着工、1934年竣工[1]

釋字530号によると、司法院は最終司法判断を下さなければならないが、立法院は法律改正を行わないため、最高法院最高行政法院最高裁判所に相当する)はその役割をしている。そのため、司法院は形式上、司法行政機関としての性格が強い。なお司法院大法官は憲法裁判所の役割を担っている。

大法官

司法院の構成員である大法官の職責は、大法官(憲法法廷)における憲法解釈と法解釈の統一、違憲政党の解散に関する審理、総統副総統弾劾決議の審査に限定され、訴訟の審判は行わない。また、違憲政党の解散審理は、行われたことがない。

大法官の選任

大法官は総統が推挙し、立法院が承認する。大法官の任期は8年である。再任はされない。

大法官に必要な資格は、以下の通りである。

  1. 10年以上、最高法院法官を務めた者で、かつ優秀なもの。
  2. 9年以上、立法委員を務めた者で、かつ特別な貢献を果たしたもの。
  3. 10年以上、大学の主要な法律科目を担当し、専門著作がある者。
  4. 国際司法裁判所裁判官の経験者、もしくは公法学や比較法学の権威である者。
  5. 法律を研究し、豊富な政治経験を持つもの。

しかし、実際には曖昧な規定が多く、実質的な意味がないとの批判も有る。現任大法官はドイツ留学経験者が多く、アメリカ日本留学経験者がそれに次ぐ。

大法官と正副院長

正副院長は当初、大法官ではなかった。しかし、大法官に出席していたため、大法官会議の司法の独立に反するとの指摘がなされていた。1997年の第4回憲法改正以降、正副院長にも大法官の身分が与えられ、この問題は解決した。[2]

大法官に対する法解釈の要請

ただし、台湾では上告・上訴の割合が高く、最高法院最高行政法院の審議案件数が極めて多く、これら法院における法官(裁判官)の在籍数も多い。そのため、台湾では比較的軽微な案件を除き三審制であるが、最終審での判例にばらつきが出る傾向が有る。これらの要素が合わさり、法解釈の統一や下級法院の判決における法解釈の修正を求めて、大法官に持ち込まれる案件も非常に多い。また、下級法院が自らの判断で一旦審理を停止し、大法官による法解釈を伺う事も出来る。

また、行政院立法委員(総数の3分の1以上による提案が必要)、かつての国民大会などの国家機関および構成員、地方政府は、裁判を経ずに直接、大法官の憲法解釈を要請できる。近年は、与野党の対立が大法官に持ち込まれる事も多い。

歴代院長


中華民国政治関連項目

中華民国の政治
中華民国憲法
中華民国憲法増修条文
中華民国政府

総統蔡英文
副総統頼清徳

中華民国総統選挙
中華民国立法委員選挙
中華民国立法委員選挙区

行政院 • 立法院
司法院 • 監察院
考試院

国民大会(-2005年

最高法院

政党制度政党一覧

与党(少数与党)
民主進歩党
51 長5)
立法委員を有する野党
中国国民党
(立52 県市長14)
台湾民衆党
(立8 県市長1)

台湾問題中台関係

台湾独立運動
中国統一
担当機関:大陸委員会

その他台湾関係記事

文化 - 経済 - 地理
政治 - 教育 - 軍事
人口 - 言語 - 交通
歴史

中華民国関係記事

中華文化
中国の歴史

憲法施行前

氏名任期副院長秘書長
初代 王寵恵1928年10月1932年1月張継居正伍大光→朱履龢謝冠生
代理 伍朝枢1932年1月1932年5月
第2代 居正1932年5月1948年7月覃振李文範→石志泉張知本→茅祖権→端木愷

憲法施行後

氏名任期所属政党
初代王寵恵1948年7月1958年3月中国国民党
第2代謝冠生1958年3月1971年11月中国国民党
第3代田炯錦1971年11月1977年3月中国国民党
第4代戴炎輝1977年3月1979年6月中国国民党
第5代黄少谷1979年6月1987年4月中国国民党
第6代林洋港1987年4月1994年8月中国国民党
第7代施啓揚1994年8月1995年1月中国国民党
代理呂有文1995年1月1999年1月中国国民党
第8代翁岳生1999年1月2007年10月無所属
第9代頼英照2007年10月2010年7月無所属
代理謝在全2010年7月2010年10月無所属
第10代頼浩敏2010年10月2016年10月無所属
第11代許宗力2016年11月現職無所属

下部機関と司法制度

司法院の下部機関

司法院の下には、最高法院を頂点とする普通法院(裁判所)の系統と、最高行政法院を頂点とする行政法院(裁判所)の系統がある。さらに、公務員の懲戒を行う裁判機関も設けられている。

  • 最高法院:
    • 高等法院:台湾高等法院および同分院(台中、台南、高雄、花蓮)と福建高等法院金門分院がある。
      • 地方法院:全ての直轄市、県、市に設置されている。一部は一県市に複数ある。
      • 少年法院:高雄のみ。通常は地方法院の中に、少年法廷が設けられている。
  • 最高行政法院:2000年7月に行政訴訟が一審制から二審制に改正されたのに伴い、行政法院から改称された。
    • 高等行政法院:行政訴訟の増加に対応するため、最高行政法院(旧行政法院)の下部法院として2000年7月、台北、高雄、台中の三院が設置された。
    • 地方法院行政訴訟庭:行政訴訟が増加しているため、 2011年11月から各地方法院の中に行政訴訟庭が設置された。
  • 公務員懲戒法院:公務員の懲戒を行う。
  • 司法人員研修所:法官(裁判官)や司法職の訓練を行う。

軍事裁判

司法院に属する裁判所のほか、「軍法審検機構」(軍事裁判所と検察署)が行政院国防部の中に設けられている。軍事検察署は各法院に対応する形で、検察署が設けられている。(最高軍事法院には、最高軍事法院検察署。各地方軍事法院や分院には、同検察署が設置されている。)

  • 最高軍事法院
    • 高等軍事法院
    • 高等軍事法院高雄分院
      • 北部地方軍事法院:馬祖分庭を含む
      • 北部地方軍事法院桃園分院
      • 中部地方軍事法院
      • 南部地方軍事法院:澎湖および金門分庭を含む
      • 東部地方軍事法院

だが、洪仲丘事件によって、2013年8月に立法院は軍事裁判法を改正し、軍人が非戦時に陸海空軍刑法を犯す時、軍事裁判ではなく、普通法院(裁判所)がそれを裁判、そして処罰する。今の軍事裁判はただ刑事賠償案件しかしない。

建築

司法院の建物は「司法大廈」と呼ばれ、国定史跡に指定されている。現所在地は清代に武廟が置かれており、日本統治時代の1929年に取り壊され裁判所の建設が開始された。工事期間は5年にも及び1934年(昭和9年)に完成した建造物には台湾総督府高等法院台北地方法院、検察局が設置され、当時の台湾における最高司法機関となっていた。中華民国政府の台湾移転後に、司法院、最高法院(既に移転)が設けられ、1977年には4階部分が増築されて4階建てに増築されて現在に至っている。

注釈

関連項目

外部リンク