国際手配

国際的な制度

国際手配(こくさいてはい)または国際指名手配とは、国際刑事警察機構(以下ICPO)が加盟国(190か国[1])の各政府を通じて被疑者行方不明者等を捜索するための制度である[2]

制度における伝達方法としては国際手配書(9種別[注釈 1])及びディフュージョンの2種類がある[2]

一般的には、ある国で発生した事件の被疑者や、外国にいるが行方不明である者を捜索するために行う。しかし、被疑者が外国で逮捕されてもそれぞれの国の間で犯罪人引渡し条約を締結しているかの有無に関わらず、容疑者の身柄は事件を起こした国に送還され、逮捕される[要出典]

国際手配されていない場合は、犯罪人引渡し条約によって、身柄を送還するか、滞在国で不法入国等の犯罪を犯し、その国の政府によって被疑者の国籍の国に強制送還されるか[注釈 2]などして、事件を起こした国に身柄を送還される。しかし、それらができない場合は被疑者が滞在する国の政府に代理処罰を申請することになる。

また、国際手配中の容疑者は公訴時効は停止となる。

歴史

1946年フランスパリ郊外サン=クルーで赤、青、緑、黄、黒、紫の6つの手配書の作成が決定され、2004年にはオレンジが追加される[4]2005年にはテロ対策強化のための国際連合安全保障理事会決議1617を受けてICPO国際連合特別手配書が作成された[5]

手配方法

国際手配書

国際手配書には以下の8種別および、これらに準じた盗難美術品手配書がある[2][注釈 1]

名称と色日本語通称内容備考
RED NOTICE赤手配書[2]国際逮捕手配書[6]
BLUE NOTICE青手配書[2]国際情報照会手配書[6]
GREEN NOTICE緑手配書[2]国際防犯手配書[6]
YELLOW NOTICE黄手配書[2]国際行方不明者手配書[6]
BLACK NOTICE黒手配書[2]国際身元不明死体手配書[6]
ORANGE NOTICE橙手配書[7]武器等警告手配書[6]2004年追加
PURPLE NOTICE紫手配書[7]国際特殊手口手配書
ICPO-UN SPECIAL NOTICE特別手配書ICPO国際連合特別手配書[2][6]2005年追加
盗難美術品手配書[2]

ディフュージョン

ディフュージョン (Diffusion) は国際協力要請又は国際警告のこと[7]。この要請と警告は、国家中央事務局又は国際機関の間でICPO通信網を用いて国家中央事務局へ直接送付されると共に、事務総局のデータベースへ情報登録がなされる[7]

被疑者が国際逮捕手配されている主な事件

日本

被疑者が国際逮捕手配されている主な日本の事件
事件発生日事件名被疑者容疑
1970年代 - 1980年代北朝鮮による日本人拉致問題辛光洙金世鎬チェ・スンチョル国外移送目的略取国外移送
1971年12月 - 1972年2月山岳ベース事件坂東國男殺人傷害致死死体遺棄
1970年3月31日よど号ハイジャック事件赤木志郎若林盛亮魚本公博岡本武小西隆裕強盗致傷・国外移送目的略取
1972年2月19日あさま山荘事件坂東國男殺人・殺人未遂・銃刀法違反
1974年8月 - 1975年5月連続企業爆破事件大道寺あや子佐々木規夫殺人・殺人未遂・殺人予備・爆発物取締罰則違反
1985年3月西新井事件チェ・スンチョル旅券法違反等
1992年5月30日多摩市パチンコ店強盗殺人事件 強盗殺人
2003年9月中国珠海市・集団買春事件 性犯罪
2003年10月24日下連雀薬局内強盗殺人事件 強盗殺人
2004年1月31日茨城女子大生殺害事件 殺人・強姦致死
2006年近未來通信事件石井優詐欺
2009年6月横浜港バラバラ殺人事件近藤剛郎強盗殺人・殺人・死体遺棄等
2010年2月12日シーシェパード調査捕鯨妨害事件ポール・ワトソン傷害・威力業務妨害器物損壊
2012年9月2日六本木クラブ襲撃事件見立真一殺人・凶器準備集合
2019年12月31日日産自動車の元会長カルロス・ゴーンの密出国カルロス・ゴーン特別背任罪出入国管理及び難民認定法(出入国管理法)違反など

日本以外

日本以外の国家によって、被疑者が国際逮捕手配されている日本以外の主な事件
事件発生日事件名被疑者
1972年5月30日テルアビブ空港乱射事件岡本公三[注釈 3]
1974年9月13日ハーグ事件奥平純三
1975年8月4日クアラルンプール事件奥平純三
1977年9月18日ダッカ日航機ハイジャック事件坂東國男佐々木規夫
1975年1977年日本赤軍事件坂東國男・佐々木規夫・松田久・奥平純三・大道寺あや子仁平映
1983年7月欧州における日本人女性拉致事件魚本公博

脚注

注釈

出典

参考文献

関連項目

外部リンク