群馬テレビ

群馬県のテレビジョン放送局

群馬テレビ株式会社(ぐんまテレビ、: Gunma Television Co., Ltd.)は、群馬県放送対象地域としたテレビジョン放送事業を行っている特定地上基幹放送事業者である。略称はGTV。愛称は群テレ

群馬テレビ株式会社
Gunma Television Co., Ltd.
群馬テレビロゴ
群馬テレビ本社
群馬テレビ本社
種類株式会社
略称GTV、群テレ
本社所在地日本の旗 日本
371-8548
群馬県前橋市上小出町3丁目38-2
北緯36度25分11.9秒 東経139度3分33.4秒 / 北緯36.419972度 東経139.059278度 / 36.419972; 139.059278 東経139度3分33.4秒 / 北緯36.419972度 東経139.059278度 / 36.419972; 139.059278
設立1970年昭和45年)2月16日
業種情報・通信業
法人番号6070001000978 ウィキデータを編集
事業内容放送法に定めるテレビジョン放送事業
放送番組の制作・販売
コンピュートサインによる広告放映業
イベントの企画・制作・実施・運営
代表者中川伸一郎(代表取締役社長
資本金9億6864万0500円 (2021年3月31日現在)
売上高14億5634万0873円(2023年3月期)[1]
営業利益630万8839円(2023年3月期)[1]
経常利益2264万3031円(2023年3月期)[1]
純利益1769万7025円(2023年3月期)[1]
純資産13億3214万3911円(2021年3月31日現在)[1]
総資産18億6229万3136円(2023年3月31日現在)[1]
従業員数67人
決算期毎年3月31日
主要株主
主要子会社群馬テレビエンタープライズ
外部リンクhttps://www.gtv.co.jp/
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概要

群馬テレビ
英名Gunma Television Co., Ltd.
放送対象地域群馬県
ニュース系列-
番組供給系列全国独立放送協議会
略称GTV
愛称群馬テレビ、群テレ
呼出符号JOML-DTV
呼出名称ぐんまテレビ
デジタルテレビジョン
開局日1971年4月16日
本社371-8548
群馬県前橋市上小出町3丁目38-2
演奏所本社と同じ
リモコンキーID3
デジタル親局前橋 19ch
アナログ親局前橋 48ch
ガイドチャンネル48ch
主なアナログ中継局桐生 41ch
公式サイトhttps://www.gtv.co.jp/
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本社は、群馬県前橋市にある。コールサインはJOML-DTV。現在のキャッチフレーズは"ポチっと群テレ"。同局のマスコットの名前は「ポチッとくん」(詳しくは後述)。群馬県内が主な視聴エリアとなっている。

関東地方初の独立テレビ放送局として開局した。これは、1960年代民放中波放送(AM放送)局の開局を断念した経緯から、テレビ周波数割当て及び免許申請の一本化に際して県政財界が一丸となって働きかけを行ったことが影響している。資金面では群馬銀行の果たした役割が大きく、会社設立後まもなくの増資(第1回 1億4,100万円・第2回 2億5,900万円)は会社設立から開局まで初代社長を務めた諸田幸一(第8代群馬銀行頭取・第6代全国地方銀行協会会長)の功績によるところが大きい。

歴代社長は主要株主である群馬銀行出身者が務め、群馬県職員OBも常勤役員に就任している。

かつて地元紙の上毛新聞と共に読売新聞の文字ニュースを流したり、開局25周年記念自主制作ドラマに読売ジャイアンツ長嶋茂雄監督(当時)が参加したりするなど、読売新聞社との関係が深い。高校サッカー中継への参加は、関東など他の独立放送局でも行われている(いた)ことがあり、昭和天皇崩御に際してのNNNネット受けについては、当時の関東圏の独立放送局がNNSへオブザーバー加盟していたことがその理由となっている。

2023年(令和5年)現在、関東の独立局では唯一開局当初からの局名ロゴを使用している(ただし2001年(平成13年)に「ぐんまTV」のロゴを使用していた時期がある)[注釈 1]。すべての民放テレビ局において最も早く放送を終了する局でもあるが、現在は放送終了(クロージング終了後)から翌日の放送開始(オープニング開始前)までの放送休止時間帯(フィラー)に『ミッドナイトウェザー』として終夜で気象情報を放送している。

受信可能エリアは群馬県のほぼ全域および埼玉県栃木県茨城県千葉県長野県新潟県の一部地域となっている。

事業所

本社・演奏所
支社

資本構成

企業・団体は当時の名称。出典:[2][3][4][5]

2021年3月31日

資本金授権資本1株発行済株式総数株主数
9億6864万円10億円500円1,937,281株87
株主株式数比率
群馬県291,666株15.06%
群馬土地160,510株08.29%
前橋市104,167株05.38%
群馬銀行094,517株04.88%
東武鉄道080,000株04.13%
上毛新聞社077,586株04.00%
プリンスホテル060,000株03.10%
読売新聞東京本社056,000株02.89%
東和銀行053,793株02.78%
富士重工業051,724株02.67%

過去の資本構成

沿革

  • 1969年昭和44年)
    • 9月1日 - 群馬テレビ開設準備室を前橋市内に設置。設置時の局名名称は「テレビぐんま」であった。
    • 9月26日 - 予備免許を取得[6]
  • 1970年(昭和45年)
    • 2月9日 - 群馬テレビ株式会社 創立。
    • 2月16日 - 会社設立。設立時の資本金は6億円(設立資金3億円、授権資本3億円)。
  • 1971年(昭和46年)
    • 1月21日 - 日本民間放送連盟に加入。
    • 3月29日 - 本社・演奏所の竣工式、マスター設備、スタジオ設備の火入れ式(電源投入式典)を執り行う。竣工時の主な装備はNEC製一式とマスター設備一式、東芝アンペックス社製ハイバンドVTR(VR-1200T) 二式、日立電子製スタジオ用カラーテレビカメラ二式(CCU二式を含む)、NEC製副調整室一式、日立電子製テレシネ設備四式、テロップ装置二式、オペーク装置二式、沖電気製STL装置一式など。
    • 4月1日 - 榛名山親局(UHF48チャンネル)の送信機テストとSTLのテストを兼ねた試験電波を発射。以降、約2週間サービス放送を開始。
    • 4月16日 - テストパターンを送信した後、独立放送局として開局。開局第1号番組は『開局のご挨拶』。
  • 1976年(昭和51年) - 後楽園球場東京ドームでの読売ジャイアンツ主催試合のトップ&リレー中継を開始する(2008年(平成20年)まで)。
  • 1986年(昭和61年)3月31日 - 開局15周年。
  • 1987年(昭和62年)12月 - 榛名山送信所(48ch親局)の送信機を全固体式の新装備に更新。
  • 1989年平成元年)6月 - CMバンクシステムを導入。従来システムはUマチックVTRとベータカムVTRの併用であった。
  • 1991年(平成3年)
    • 4月 - 開局20周年。
    • 10月 - 副調整室更新。
  • 1992年(平成4年)
    • 3月 - 主調整室更新。ベータカム取材・編集システム導入
    • 4月1日 - 音声多重放送を開始[7]
  • 1996年(平成8年)10月 - 第2スタジオ、第2サブ完成。
  • 2001年(平成13年)4月 - 開局30周年。期間限定ロゴ「ぐんまTV」を採用。
  • 2006年(平成18年)
    • 6月1日 - 地上デジタル放送対応の主調整室(マスター)(NEC製)に更新。
    • 9月1日 - 地上デジタル放送(12セグ)開始。
  • 2008年(平成20年)6月23日 - 地上デジタル放送ワンセグデータ放送開始。
  • 2010年(平成22年)10月1日 - スタジオのハイビジョン化。
  • 2011年(平成23年)7月24日 - 地上アナログ放送終了。開局40周年。
  • 2014年(平成26年)2月1日 - 画面右上にウォーターマーク表示開始[注釈 2]
  • 2016年(平成28年)- 経理システムを更新、人事・給与システムを導入、報道支援システムを導入。
  • 2021年令和3年)- 開局50周年。4月16日放送の『ニュースeye8』内で群馬テレビの歴史を振り返った。
  • 2022年(令和4年)12月1日 - 主調整室(マスター)設備を更新[8]。同時にマルチ編成においてメインチャンネルとサブチャンネルの同時HD送出が可能になることから、サブチャンネルにおいて新チャンネル「GTVプレミアム」の放送を開始[8][9]
  • 2023年(令和5年)12月22日 - 取締役会において、代表取締役社長の武井和夫に対し「求められる社会的責任、使命、正常な形での報道業務を果たせない状況を改善し、県域放送局としてあるべき姿を回復させるべく熟慮を重ねた」ことを理由に解任動議が出され、賛成多数で解任された(後述)。新社長に専務取締役の中川伸一郎を選任[10]
  • 2024年(令和6年)3月 - サブチャンネル名を「GTVプレミアム」から「GTV-2」に変更。同年3月31日をもって連日行っていたサブチャンネル運用およびエムキャスでのメインチャンネル同時配信を終了。同年4月以降はスポーツ中継等において臨時でのサブチャンネル運用を行う予定。

ネットワーク変遷

放送チャンネル

デジタル放送

親局
中継局
“ch番号+V”は垂直偏波
中継局ch中継局ch中継局ch中継局ch
沼田19下仁田19V利根29V片品44
桐生19嬬恋田代31嬬恋干俣31太田金山19
吾妻18草津30V倉渕44太田34
沼田沼須16沼田発知16川場51藤岡鬼石19
桐生梅田27V白沢16利根大原27妙義20
横川31片品東小川29

アナログ放送

以下、廃止日時点

親局
  • 前橋テレビ放送所(榛名山) - 48ch[JOML-TV、映像681.26MHz 1kW、音声685.76MHz 250W]
  • 親局周波数は、国内で奈良テレビ放送(55ch)、NHK奈良総合テレビ(51ch)に次いで3番目に高い。アナログ時代は5chに設定される世帯が多かった。2005年11月1日より地上デジタル放送の試験電波が発射された。
中継局
“ch番号+V”は垂直偏波
中継局ch中継局ch中継局ch中継局ch
沼田47下仁田47V利根47V片品46
万場47吾妻38桐生41桐生梅田47V
草津41V嬬恋47嬬恋田代48沼田沼須41
白沢15川場31倉渕41横川41
妙義34沼田発知34嬬恋干俣47V三波川32
川浦34V昭和永井33V片品東小川45安中遠丸48V
松井田上増田31子持伊熊31子持小川原30利根大原30V
渋川金井47V行幸田47V吾妻萩生25V上野45
神流中里62上野乙父62上野楢原47高山31
太田31太田金山41桐生川内27大間々31V
黒保根31

地上デジタル放送

区域外再放送

CATVに対する区域外再送信同意の方針の一つとして、ケーブル加入者宅でアンテナ(高性能のものも含む)で受信できる場合かつCATVのエリア内に設置した受信点で受信できる場合に同意しているとされている。

太字の局はパススルー再放送をしている。

スタジオ

ともに本社屋内に設ける。

第1スタジオ(HD対応、61坪)
  • 使用番組:『ニュースeye8』『カラオケチャンネル』、特別番組など
  • 広さは200平方メートル、高さは8メートルのメインスタジオ。カメラは2台、天井には約180基の照明器具が付いている[11]
第2スタジオ(HD対応、12坪)

番組

現在放送中

自社制作

報道・情報番組
教養・ドキュメンタリー番組
  • JAみどりの風(月 21:00 - 21:30)
バラエティ番組
アニメ枠
スペシャル・不定期番組

ネット番組

基本的に、放送番組センターなどの番組やキー局発の過去の番組を放送する例が多い。通販番組は特に深夜に多いことがあり、午前・全日帯・プライムタイムは独立放送局の中では比較的少ない。平日23時台はおもに地方局制作のバラエティ番組が放送されている。その一方で中央競馬などのギャンブル、スポーツ中継を除き、これまでマイクロ回線受け同時ネットは非常に少なかったが、2009年4月改編で、初めてレギュラー番組に於ける同時ネット番組『5時に夢中!』の放送が開始された。

かつて群馬テレビのウェブサイトにBBSで、キー局が放送しない番組のネット、特にバラエティ番組や独立放送局で放送しているアニメ番組のネット放送を要望が散見された。2004年4月より人気が高かった『水曜どうでしょうリターンズ』や同年10月より『アニメ魂』のネットを開始した(2008年9月まで)。その他のUHFアニメの放映は、もっぱら放送局の拡大があった時のみであったが[注釈 4]、2011年4月からは東京メトロポリタンテレビジョンとちぎテレビとの同時放送でアニプレックス製作やA-1 Pictures制作の作品(新作に加え再放送を含む)を放送する枠(E!TV枠にあたる)が作られた。近年は製作委員会の意向によって、同時放送の時間枠外にて遅れネット放送される作品が増えている[注釈 5][注釈 6]。他は旧作のアニメの再放送が多いが、2000年代以降の準新作の再放送も行われている[注釈 7]

この他、東海テレビ制作昼の帯ドラマ枠(フジテレビ系列で平日 13:25 - 13:55に放送)で約1年半前に本放送された、放映権切れの作品を平日の13:00 - 13:30に放送している。

緊急時の放送対応及び稀にACジャパン[注釈 8]の公共広告のCMが放映される事もある。

太字はマイクロ受け同時ネット番組。

日本テレビ系列
テレビ朝日系列
TBS系列
フジテレビ系列
独立局
その他

過去に放送された番組

自主制作

報道・情報
  • ジャストシリーズ
  • お昼のインフォメーション ふれ愛ワイド(1986年3月31日 - 2003年1月31日)
  • あさいち・朝生・情報通(1995年10月2日 - 2009年4月3日、月 - 金 6:55 - 8:30)
  • ひる生情報II(2003年2月3日 - 2009年4月3日、月 - 金 12:15 - 13:00)
  • 来来飯店(金 17:00 - 17:30、再放送:金 22:00 - 22:30および土 9:30 -10:00)
スポーツ
バラエティー
教養・ドキュメンタリー番組
  • 農協アワー(1971年4月25日 - 1991年3月25日)
  • ぐんま雷からっ風(1982年4月2日 - 1987年3月27日) - 司会は小倉智昭
  • ぼくらの放送局(群馬県内の小中学校を毎週1校紹介する番組、主なコーナーは学校紹介(学校の概要と各学年の最近行った主な行事紹介など)や校長先生のインタビュー(その学校の教育目標やその学校にまつわることなど)番組の進行はその学校の生徒会(児童会)の委員が担当)
  • クイズ○×△やっぱりぐんま
  • はばたけ! ぐんまの子どもたち - (金 19:30 - 20:00、再放送:日 9:30 - 10:00)
  • 〜地域が支える小中学校〜みんなの時間(火 19:00 - 19:30、再放送:日 12:30 - 13:00) - 『ぼくらの放送局』のリメイク版
  • 風人の画布[15](金曜22:00〜)
  • ふるさと群馬
  • ぐんま21(月 19:30 - 20:00)
  • 技に迫る アンコール(木12:00-12:30) - 不定期番組の欄の技に迫るのアンコール版
音楽
  • 音感サラダ俱楽部(1987年5月19日 - 1992年3月)
    • SEASON I:1987年5月19日 - 1987年10月9日、火 - 金 15:00 - 17:00
    • SEASON II:1987年10月13日 - 1988年4月1日、火 - 金 15:30 - 16:50
    • SEASON III:1988年4月5日 - 1989年4月4日、火 - 金 16:00 - 17:30
    • SEASON IV:1989年4月5日 - 1990年3月30日、火 - 金 16:00 - 17:00
    • SEASON V:1990年4月 - 1992年3月、金 16:00 - 17:00
    • 群馬県内の大学生に番組の企画、制作(技術)、出演まで生放送の全てを任せた人気番組。原則としてスタジオは使用せず、副調整室に併設されているアナウンスブース(アナブ)を使用したり、天気の良い日は屋上から放送を行った事もあった。
    • 夕方レギュラー枠の他に土曜ナイター中継のBプログラムとして『音感サラダ俱楽部ナイタースペシャル』をゴールデンタイムで生放送していた。
  • テレジオ7(1980年4月4日 - 1989年8月30日・千葉テレビからの同時ネット受け)
  • Music Forest
その他
  • 〜明日も絶対〜パチるん?
  • レッツ・ゴー・カーバザール(土 12:00 - 12:59)([再]日 22:00 - 22:59) - 『レッツゴーカースポット』の前身
  • レッツゴーカースポット
  • 情報市場(月 - 金 10:00 - 10:30)
  • 情熱ジン
  • きずな
  • 農協・群馬県農畜産情報(月 - 金 18:15 - 18:25)
  • 拓産パワースタジオ(新潟総合テレビ、群馬テレビ共同制作)
  • 『群馬テレビMC対抗ガチンコオリジナルすき焼き対決!』(2017年12月23日放送)
  • 群馬銀行特番『世界に誇れる「GUNMA」』(2019年2月10日放送) - ナビゲーター:横塚沙弥加
  • 特別番組ぐんまの平成(2019年4月27日放送、20:00 - 21:00)

ネット番組

(◆は番組自体は現在も放送中)

日本テレビ系列
テレビ朝日系列
TBS系列
テレビ東京系列
フジテレビ系列
独立局

(以下はUHFアニメ

その他(制作会社およびスポンサー買取番組、もしくは全民放共同制作番組など)

アナウンサー

男性

女性

かつて在籍したアナウンサー

男性
女性

関連企業

  • 群馬テレビエンタープライズ - 結婚退社した女性アナウンサーがこの会社と契約を結び、時々群馬テレビの単発番組に出演することがある。そのため事実上群テレ専属契約のアナウンサーとみなすことができる。

マスコットキャラクター

キャラクターは、ポチッとくん。顔の部分がテレビのモニターになっている犬。名前の由来は「ポチッ・・・と群馬テレビをつけてほしい」と犬の名前でおなじみの「ポチ」を合わせたもの。TOKYO MX制作で当局にもネットされている『5時に夢中!』では、番組セットのディスプレイに、群馬県のマスコットキャラクター「ぐんまちゃん」とともにポチッとくんのぬいぐるみが飾られている。

その他

不祥事

2020年から2023年8月までの3年間、武井和夫社長の独断で計25回にわたって大規模な人事異動を行い、多くの社員に複数部署を兼務させると同時に外部制作会社やフリーランスとの取引も停止または削減させ、社内の未経験者に番組を制作させるなどした。その結果、字幕の誤りや違う映像を流すなどのトラブルが発生した。ニュース取材も、武井社長による「スポンサーではない自治体や企業に取材に行く必要はない。NHK前橋放送局に行ってもらえばいい」「有料の防災情報の契約を結ばない館林市、渋川市、富岡市には取材に行く必要はない」などの理由で取材を減らすよう求め、実際にニュース番組の放送時間が短縮した事例も発生した[21][22][23]。更に経費削減に伴う長時間労働の改善などについて、群馬テレビと団体交渉していた同社の労働組合幹部を不当に配置転換させる事例も発生したとして、同組合は2023年10月18日に群馬県の労働委員会に救済を申し立てた[21][24]。2023年10月23日、同組合が群馬県庁に説明で訪れ、「畑違いの部署の人事異動が頻繁に行われてテレビ局としてのノウハウは失われ、このままでは会社がなくなってしまうのではないかという危機感を持っている」と説明した[25]

山本一太群馬県知事も、定例会見の際に群馬テレビの筆頭株主であるの対応などを問われ、山本知事は「事実であれば、テレビの公共性や報道機関の姿勢を考えると、非常に問題がある」との見解を示した[22][26]。「取材に行く必要ない」と名指しされた館林市の多田善洋市長や富岡市の榎本義法市長も26日に「発言が事実なら残念」とコメント、渋川市も取材に対し同様の姿勢を示している[23]。伊勢崎市長の臂泰雄は2023年11月1日の定例会見で「(事実だとすれば)問題のある発言」と述べた上で、群馬県が制作するアニメーション番組『ぐんまちゃん』において、群馬テレビがボートレースを扱っている放送回を差し替えたことについても「公共性を持つ報道機関だから取りやめたという(当時の)判断とは真逆」とも指摘している[27]

今回の問題に関連して、群馬銀行の深井彰彦頭取が2023年10月31日に行われた定例会見で「心配している。良い形で早期に解決していただくのがわれわれの希望だ」と述べた上で「群馬銀行として武井社長に対し、適切な形で早く社員が心を一つにして良い番組を作るために、この問題は善処してくださいと先週要請しました」ことを明かしている[28]。「(群馬テレビは)公益性が高い企業。申し立てがあったことを重く受け止めている」とも述べている[29]。これに関連して、武井社長は11月1日の夕方に群馬県庁を訪れて、「組合とは話し合いを進めている。きちんと説明していく」「取締役会や株主総会で今回の状況について、しっかりと説明していく」の2点を説明したという[25]

山本知事は2023年11月2日に行われた定例会見で、群馬テレビの筆頭株主として群馬県が武井和夫社長と労働組合から事情聴取したことを明かした上で「群馬テレビが今後、しっかり県域放送局としての役割を果たしてもらえるか、正直疑問に思っている。完全に異常事態だ」と述べ、強い懸念を示している[30]。山本知事は「県民への県政情報を発信する媒体で災害時の緊急情報発信の役割もある。組合がほかの株主に説明するのも踏まえ、対応を考えたい」と述べ、群馬テレビで2020年から3年間で延べ122人の人事異動が実施されたという労働組合の説明には「地方テレビ局でこんなことは聞いたことがなく、よほどのことだ」と問題視している[30]

その後、2023年12月22日、同日開催の取締役会において武井社長に対し「(経費削減のため番組制作の外注をやめる)業務の内製化が性急で強引」であり「求められる社会的責任、使命、正常な形での放送業務を果たせない状況を改善し、県域放送局としてあるべき姿を回復させるべく熟慮を重ねた結果」として解任動議が出され、県や県議会などの取締役から反対意見はなく、賛成多数で可決、武井は解任された。後任は同日、専務取締役兼報道局長の中川伸一郎が就任した。これまで群馬テレビは群馬銀行出身者がトップに就任する事が慣例となっていたが、初めてプロパー社員のトップ就任となった[10][31]

2024年1月5日、山本知事は定例会見の質疑応答において、武井の社長解任に触れた上で群馬テレビの取締役会において、9割以上の取締役が武井の社長解任を支持したことを明らかにし、「この事実が、すべてを物語っている」と述べた[32]

なお、放送局での類似の事例が、ちょうど30年前にあたる1993年アール・エフ・ラジオ日本でも起きており、長らく社長・会長としてワンマン体制を構築し、自らの思想・信条から番組編成への介入や労使関係などで強引な会社経営を行い混乱させた遠山景久が、幹部からの事実上のクーデターにあう形で取締役会で解任されている。

脚注

注釈

出典

外部リンク