2025年日本国際博覧会

2025年に日本の大阪市で開催予定の国際博覧会

2025年日本国際博覧会(にせんにじゅうごねんにっぽんこくさいはくらんかい、英称:Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan)は、日本の大阪府大阪市此花区夢洲で開催予定の国際博覧会である。開催期間は2025年(令和7年)4月13日-10月13日の184日間[1]。公式略称は、「大阪・関西万博」(おおさか・かんさいばんぱく)[2]。報道では「2025年大阪・関西万博」との用いられる[3]

EXPO 2025
ファイル:Expo 2025 simbol.svg
1,000日前イベントの様子
概要
BIE区分Universal
標語いのち輝く未来社会のデザイン Designing Future Society for Our Lives
運営者2025年日本国際博覧会協会
会場
日本の旗 日本
都市大阪市
会場夢洲(大阪市此花区
座標北緯34度39分12.7秒 東経135度23分11.1秒 / 北緯34.653528度 東経135.386417度 / 34.653528; 135.386417 東経135度23分11.1秒 / 北緯34.653528度 東経135.386417度 / 34.653528; 135.386417
経緯
立候補2017年4月22日
選出2018年11月23日
初日2025年4月13日
最終日2025年10月13日
Universal
前回ドバイ国際博覧会ドバイ
次回2030年国際博覧会
テーマ型博覧会
前回アスタナ国際博覧会アスタナ
次回ベオグラード国際博覧会(ベオグラード
園芸博覧会
前回ドーハ国際園芸博覧会(ドーハ
次回 横浜国際園芸博覧会横浜市
インターネット
ウェブサイトwww.expo2025.or.jp

概要

2025年に日本・大阪府で開催される予定の国際博覧会であり、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が準備から開催運営までを行う。登録博覧会(登録博)に区分されており、総合的なテーマを扱う大規模博覧会として実施される予定である。

  • テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン(英語: Designing Future Society for Our Lives[1]
  • コンセプト:-People’s Living Lab- 未来社会の実験場 [1]
  • 公式キャラクター:ミャクミャク
  • 開催期間:2025年4月13日〜10月13日(184日間)
  • 開場時間:午前9時-午後10時
  • 主催:公益社団法人 2025年日本国際博覧会協会
  • 面積:約155ha(USJ 約3個分[注釈 1]
  • 事業費:3,187億円(内訳:会場建設費2350億円、運営費837億円)[注釈 2]
  • 入場料:大人3,700-7,500円 中人2,000-4,200円 小人1,000-1,800円[4]
  • 想定来場者数:2,820万人[5]

経緯

2018年11月23日にフランスパリで開かれた第164回BIE総会で開催国を決める投票が行われた。最終プレゼンテーションはバクー、大阪、エカテリンブルクの順で、30分間に渡って意見を提示し、その後の投票はコンピューターの無記名投票によって開催地を決定した。総数の3分の2以上を得た都市が開催権を獲得し、達しない場合は最下位の都市が脱落。2都市に絞り込んだ場合は過半数を得た都市が開催権を獲得することになっていた。最終プレゼンテーション後に行われた初回の投票で、大阪は85票を獲得し、48票のエカテリンブルクと23票のバクーを上回ったが、投票総数の3分の2には達せずエカテリンブルクとの決選投票となった。2回目の投票で大阪が92票を獲得、エカテリンブルクは61票だった(その他、棄権2票)。これにより、2025年国際博覧会の開催地が大阪に決定された[6][7]

日本での国際博覧会開催は2005年日本国際博覧会(愛・地球博)以来20年ぶり6回目で、登録博(旧一般博)としても20年ぶり、3回目である。大阪で開催されるのは登録博(旧一般博)としては1970年に吹田市で開催された日本万国博覧会以来55年ぶり2回目、特別博も含めると1990年に大阪市鶴見区で開催された国際花と緑の博覧会以来35年ぶり3回目である。

投票結果

投票結果
都市第1回第2回
大阪8592
エカテリンブルク4861
バクー23
テーマ: 「人という資本」[8]
テーマ: 「変化する世界、包括的な技術革新-子供と将来の世代へ」[9]
テーマ: 「いのち輝く未来社会のデザイン」

立候補取り下げ;

テーマ: 「共有すべき知見、守るべき地球」[11]。2018年1月に立候補を断念[12]

テーマ

経済産業省が2017年4月7日に発表した「2025年国際博覧会検討会報告書」では、テーマ・サブテーマは、以下のようになった[13]

  • テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン(Designing Future Society for Our Lives)
  • サブテーマ
    • 多様で心身ともに健康な生き方
    • 持続可能な社会・経済システム

ロゴマーク

  • 細胞」をコンセプトとしたロゴマークが大阪市内のTEAM INARI(シマダタモツ代表)によりデザインされた[14]。2020年8月25日発表[15][16]。「いのちの輝きくん」と呼ばれインターネット上で話題を呼んだ。

公式キャラクター

  • ミャクミャク - 3万3197件の公募から、厳選なる審査の上、開幕1000日前にあたる2022年7月18日午前に決定され、同日開催された記念イベントで発表された。 岸田文雄首相は、歴史、伝統、文化、世界とのつながりを脈々と引き継ぐ、そういった意味が込められている愛称であると説明した。

公式テーマソング

  • この地球の続きを」 - アンバサダーにも就任しているコブクロが、万博のために書き下ろした楽曲。開催の3年前である2022年7月19日に配信、同年10月19日にCDシングルとしてリリースされた。「世界の国からこんにちは」のオマージュとして、サビが「こんにちは」というフレーズで始まっている。万博開催前より万博関連のイベントでは、この楽曲がコブクロによってたびたび披露されている。

開催目的

  • 国連が掲げる持続可能開発目標(SDGs)を達成への貢献[17]

* Society5.0:狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に続く、5番目の新しい社会(超スマート社会)。ICTを最大に活用し、サイバー空間とフィジカル空間とを融合させた取組により、人々に豊かさをもたらす社会。

大阪・関西万博は、2015年9月に国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」において、持続可能な開発目標として17の目標を掲げたSDGsが達成された社会を目指すために開催する。SDGs達成の目標年である2030年まで残り5年となる2025年は実現に向けた取り組みを加速するのに極めて重要な年である。

大阪・関西万博に向けた取組

#thinkexpo2025:万博の理念である「人類課題の解決の場」として日本で開催する意義や価値を国内外に広めると共に、これからの社会を担う若い世代とアイデアを創発し合うプロジェクト

WAKAZO.ONLINE:2025年の誘致を目指す大阪万博に向けて、若者からの声をあげ、若者自らが主体となって大阪万博を作り上げるためのプラットフォーム。Webサイト上では期間ごとに設定されたテーマを参考に、SNS形式でテキスト・画像・動画など自由な形でのアイデア・意見の投稿やお気に入り、コメントができる。

参加国・地域・国際機関

2023年11月14日の外務省の発表による[18]

参加国・地域

以下50音順(160カ国・地域)

国際機関

以下50音順(9国際機関)

国内パビリオン

斜体は出展元を示す。大阪関西万博公式ウェブサイトより作成。

民間パビリオン

シグネチャーパビリオン

シグネチャーパビリオンとは、各界で活躍する8人のプロデューサーが主導する展示パビリオンである[19]。敬称略。

関係各所

アンバサダー

万博の顔となる「2025年日本国際博覧会アンバサダー」が2020年2月14日に発表された[20]。就任したのは以下の6組(50音順)

プロデューサー

総合プロデューサーは、大阪市の特別顧問[21]なども務めた大阪維新の会のブレーンである森下竜一[22]

2020年7月13日、プロデューサー10人の発表記者会見があった。

会場デザインプロデューサー

会場運営プロデューサー

  • 石川勝(プランナー)

テーマ事業プロデューサー8人

2021年12月15日、催事企画プロデューサーにクリエイティブディレクター音楽イベントプロデューサーで「東京パラリンピック閉会式」総合演出を担当した小橋賢児が就任発表。開会式などの催事の計画や催事施設の運営管理を担うことになる[24]

共創パートナー

2025年万国博覧会の大阪招致におけるオフィシャルパートナーに引き続き、同博覧会協会により「TEAM EXPO 2025」と銘打ち「共創パートナー」が募られている[25]

2022年12月、公式キャラクター「ミャクミャク」のライセンス事業を巡り、博覧会協会は電通伊藤忠商事など4社で構成する共同企業体(JV)を選定し11月末にライセンス契約をしたが、2020東京オリパラ大会における一連の贈収賄事件やテスト大会の入札談合など「五輪疑獄」の渦中にある広告代理店電通などの選定に大阪府議会から批判がなされているとのこと。
電通は万博誘致時から誘致委員会のオフィシャルパートナーを、誘致決定後の2021年2月からは博覧会協会の共創パートナーを務めている[26]。同社はこのライセンス事業以外にも、小山薫堂プロデュース「いのちをつむぐ」、石黒浩の「いのちを拡げる」、宮田裕章の「いのちを響き合わせる」など計8件の事業を落札している。電通と共に五輪テスト大会入札談合で家宅捜索を受けた博報堂は、河瀬直美の「いのちの輝きプロジェクト」など計6件の、同様に家宅捜索を受けたADKマーケティング・ソリューションズも計1件の万博事業を落札しているなど、「広告代理店の博覧会」と化していると批評されている[27][28]

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

招致成功を受けて、2019年(平成31年)1月に設立された[29]。本部は大阪市の大阪府咲洲庁舎に所在。同年(令和元年)10月に一般社団法人から公益社団法人に移行。

オフィシャルパートナー

オフィシャルサポーター

問題点

開催費用の増大

2017年9月、会場建設費を約1250億円と見込み、国、大阪府市、経済界がそれぞれ400億円強を負担するという試算を博覧会国際事務局に提出した[32]。そのうち経済界からは松本正義関西経済連合会会長の出身母体住友グループ白水会日本経済団体連合会で100億円、関西経済界で200億円を負担する案がまとめれた。その後白水会では松本会長の呼びかけで検討がなされ、2019年9月の会合で100億円の寄付を行うことが決定された[33][34]

2020年12月、諸物価の高騰などを理由に、会場建設費見込額は最大1850億円と、約1.5倍に上方修正された。国、大阪府市、経済界は以前と同様にそれぞれこの3分の1ずつを負担するとしている。このうち約180億円(のちに約350億円に上方修正される)は新たに整備することを決めた環状の大屋根(空中リング)が占めることが明らかとなった。大屋根(リング)は1周約2キロで、パビリオンエリアのメインストリートとなり、移動時の雨よけや日よけの機能も担うとしている[35]。2021年9月には大阪府木材連合会がリングを国産の木材で建設するよう提案した[36]

2022年10月、パビリオンの建設費についても当初の試算よりもさらに25億円増加して99億円に上振れすることが明らかとなり、大阪府と大阪市の双方の見積りの甘さが指摘された[37]。また、テーマ館などの建設の競争入札が始められたが、初回の入札では入札額が予定価格を上回り不落となったり、応札者が現れないなどの理由で 10件が不成立となった。博覧会協会は設計の変更や経費削減をした上で、再入札を行う方針を示したが、予定価格を引き上げる状況が生まれれば会場建設費全体の上ぶれも予期できる状況となった[38]

2023年9月、さらに450億円積み増して当初計画の8割増となる2350億円程度にする方向で調整が行われた[39]。この頃から木造リングの巨額の費用について批判も出るようになり、万博担当相の自見英子は「万博の理念を示す大きなシンボルだ」と説明した上で、リングの下は来場者の日よけ、雨よけのスペースになるとし、必要性を強調した[40]

同年11月27日、会場建設費とは別に837億円の国の負担費用がかかることを万博担当相の自見が発表した。内訳は、日本館の建設や展示、運営、撤去などにかかる総費用が最大約360億円、発展途上国の出展支援が約240億円、警備費が約199億円、万博開催の機運醸成に向けた費用が約38億円としている。これには一部の内装工事の費用などは盛り込まれておらず、上振れが見込まれている[41]

12月14日、万博協会は万博の運営費(人件費など)を当初想定の4割増の1,160億円に引き上げる資金計画案を発表した。会場の運営や安全対策などの「会場管理費」に最多の560億円を計上。前年に発生した安倍晋三銃撃事件ソウル梨泰院雑踏事故を受けた混雑対策や警備の強化により、当初想定の2倍近くに膨らんだとしている[42]

工事の遅れ

パビリオンは、各国が独自のアイデアで建設するタイプA、日本側が建設した施設を参加国が使うタイプB、タイプCの3種類に分けられている。このうち、タイプB、タイプCについては比較的順調に工事が進んでいるが、タイプAについては2024年1月現在、現在建設を予定している55カ国のうち施工事業者が決まったのは35カ国で、1月10日に初めてポルトガルが着工を開始した[43]。建設が遅れている原因について、タイプAの海外パビリオンは複雑な形状をしていて建設が難しく、その分「万博の華」と称されることもあるが、ウクライナ侵攻による建設資材の高騰、人手不足、工期の短さ、会場である夢洲へのアクセスの悪さなども重なって手を挙げる業者が少ないからとされている[44]

2023年8月、建設の遅れに対して万博協会は、協会側がパビリオンの建物を代理で建てて費用を後から各国に請求する方式「タイプX」を提案した。11月時点ではタイプAからタイプXに変更したのは2カ国のみ(アンゴラブラジル)であるが、25カ国分の建物の設計や資材の確保を行っている。タイプXへの移行が25カ国を下回った場合、余ったスペースは物販コーナーなどに転用するとした[45]

同年11月、この状況を踏まえて日本建設業連合会宮本洋一会長(清水建設会長)は、海外パビリオンについて「もうデッドラインは過ぎていると思ってもいい」と強い危機感を示した[46]。また建設業界では、翌年度から時間外労働の上限規制(通称:2024年問題)が設けられるため、月に45時間を超える残業ができなくなる。人手がさらに逼迫し、開幕に間に合わなくなるとの懸念が強まっている[47]

政府の対応

2018年11月23日(日本時間24日未明)の万博招致決定を受け、同年12月21日に世耕弘成経済産業大臣が万博の担当大臣に任命され、日本政府は専任の万博担当大臣を置くことができるようにするための特措法として「平成三十七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律(万博特措法、平成31年法律第18号)」を制定した。これにより2020年9月16日より専任の万博担当大臣が設置された。なお特措法の題名は、2021年9月1日に令和七年に開催される国際博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律に改題されている。

歴代の2025年万博担当大臣

会場内への交通

夢洲へのアクセス道路は、すでに夢咲トンネル夢舞大橋の2本が存在している。

鉄道アクセスは、Osaka Metro中央線を2024年度までにコスモスクエア駅から夢洲駅へ延伸する予定である[48]。夢咲トンネルの建設時に鉄道用トンネルも準備工事がなされており[49]、現在は主に夢州駅部の建設が行われている。

またこれに合わせて淀川左岸線が海老江から新御堂筋と接続する豊崎付近まで延伸することが決まっている。

万博開催時の輸送

夢洲には駐車場は設定されず、鉄道、バス、タクシー、自転車、船舶(検討中)でのアクセスとなる。

Osaka Metro 中央線

ピーク時の輸送について、6両編成の列車を最大24本/時(2分30秒間隔)で走らせるとしている[50]。しかし、朝のピーク時において混雑率は140%に達すると見込まれており、安全への対策が求められる[51]

JR桜島線

こちらは、ピーク時の輸送について8両編成の列車を最大12本/時(5分間隔)で走らせ[52]桜島駅からはシャトルバス(70台)での移動となる。

シャトルバス

新大阪大阪中之島尼崎桜島難波上本町天王寺弁天町(非常時)、・堺東からの運行を予定している[53]。また、駐車場が尼崎(3000台)、舞洲、堺(2000台)用意され、各駐車場からもパークアンドライドとしてシャトルバスの運行がある。

自転車

自転車でもアクセスが可能となる。ただし、此花大橋夢咲トンネルは通れず、常吉大橋夢舞大橋からのアクセスのみとなる[54]。夢洲には約600台収容できる駐輪場が整備される予定。

船舶

2023年11月現在、調整中である。検討されている発着地は、神戸港神戸空港淡路島、市内中心部、遊覧、堺旧港、淀川十三[55]

関連項目

脚注

注釈

出典

外部リンク


前大会
ドバイ国際博覧会
登録博
日本大阪市
次大会
2030年国際博覧会