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コロッセウムで発掘されたラテン語の石版

ラテン語(ラテンご、ラテン語 : Lingua Latina、リングワ・ラティーナ)とは、インド・ヨーロッパ語族イタリック語派言語の一つ。ラテン・ファリスク語群ローマ帝国公用語として広く普及し、帝国滅亡後も西ヨーロッパを中心に広く使われた。現在、日常で使われることはほとんどなくなっているが、今なお専門用語学術用語・祭祀宗教用語の分野では用いられ続けている。

もともと、 イタリア半島中部のラティウム地方(ローマを中心とした地域、現イタリアラツィオ州)においてラテン人により用いられていた言語であったが、ローマ帝国公用語となったことにより、広大な版図に伝播した。ギリシア語から多くの語彙を取り入れ、学問思想などの活動にも使用されるようになった。東ローマ帝国においてはやがてギリシア語が優勢になったが、今日の西ヨーロッパに相当する地域においてはローマ帝国滅亡後もローマ・カトリック教会の公用語となり、長らく文語の地位を保った。現在でもバチカン市国の公用語はラテン語である。たとえば典礼第2バチカン公会議まで、ラテン語で行われていた。今日に至るまで数多くの作曲家が典礼文に曲をつけており、クラシック音楽の中では主要な歌唱言語の1つである。ただし、実際の使用は公文書やミサなどに限られ、日常的に話されているわけではない。また、バチカンで使われるラテン語は、古典式とは異なる変則的なラテン語である。なお、多民族・多言語国家であるスイスではラテン語の名称のアクロニムを自国名称の略 (CH) としている。

中世においては公式文書や学術関係の書物の多くはラテン語(中世ラテン語、教会ラテン語)で記され、この慣習は現在でも残っている。例えば、生物学名はラテン語を使用する規則になっているほか、元素の名前もラテン語がほとんどである。また法学においても、多くのローマ法の格言や法用語が残っている。19世紀までヨーロッパ各国の大学では学位論文をラテン語で書くことに定められていた。

今日のロマンス諸語(東ロマンス語 : イタリア語ルーマニア語、西ロマンス語 : スペイン語フランス語ポルトガル語など)は、俗ラテン語から派生した言語である。また、ドイツ語オランダ語英語などのゲルマン諸語にも文法や語彙の面で多大な影響を与え……続きを読む