S-TRAIN

西武鉄道、東京地下鉄(東京メトロ)、東急電鉄、横浜高速鉄道が運行する座席指定制の有料列車

S-TRAIN(エストレイン)は、西武鉄道(西武)、東京地下鉄(東京メトロ)、東急電鉄(東急)、横浜高速鉄道が運行する座席指定制有料列車である。Sトレインと表記される場合もある[1]

S-TRAIN
シンボルマーク
S-TRAIN(2018年3月18日)
S-TRAIN(2018年3月18日)
概要
日本の旗 日本
種類(S-TRAIN)[注 1]
現況運行中
地域東京都埼玉県神奈川県
運行開始2017年3月25日
運営者西武鉄道
東京地下鉄
東急電鉄
横浜高速鉄道
路線
起点豊洲駅(平日)
元町・中華街駅(土休日)
終点所沢駅小手指駅(平日)
所沢駅・飯能駅西武秩父駅(土休日)
営業距離42.8 km(豊洲 - 小手指)
113.8 km(元町・中華街 - 西武秩父)
使用路線平日
東京地下鉄:有楽町線
西武鉄道:西武有楽町線池袋線
土休日
横浜高速鉄道:みなとみらい線
東急電鉄:東横線
東京地下鉄:副都心線
西武鉄道:西武有楽町線・池袋線・西武秩父線
車内サービス
クラス普通車
座席全車指定席
技術
車両西武40000系電車
軌間1067 mm
電化直流1,500V
路線図

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概要

2016年6月16日に4社の共同リリースにより運行予定が明らかにされ[2]2017年1月10日に詳細が発表、2017年3月25日から運行を開始した[3]。西武鉄道が主体となって運行しており、車両もクロスシートとロングシートに転換可能なデュアルシート機構を備えた西武40000系0番台のみが使用される(後述)。S-TRAIN運行時はクロスシートでの運用となる。4社のうち東急電鉄と横浜高速鉄道では初となる座席指定制及び追加料金が必要な列車である[4]

平日と土日で運行パターンが異なり、平日は通勤目的のために都心方面へ向かう東京メトロ有楽町線に乗り入れ、土休日は観光輸送のために東京メトロ副都心線東急東横線横浜高速鉄道みなとみらい線及び西武秩父線西武秩父駅に直通する。特徴として、東京メトロ有楽町線に直通する系統は、都心方面への通勤輸送に特化しているため、副都心池袋駅を通過する。

「S-TRAIN」の名称は、

  • 通勤・通学・お出かけなど様々なシーン「Scene」に使える
  • 指定席による快適な座席「Seat
  • 直通運転による乗り換え無し「Seamless

これらの共通となる頭文字「S」に由来している。ロゴマークの「S」の上部は秩父沿線の緑、下部はみなとみらいの青、「S-TRAIN」のグレーは渋谷豊洲のアーバンを意味する[3]。2016年11月21日に西武・東急・東京メトロ・横浜高速鉄道の4社名義で商標が出願され、2017年4月21日に商標登録された(第5941839号)。

西武と東急は1950年代から1960年代にかけて伊豆半島伊豆戦争)や箱根箱根山戦争)で熾烈な観光開発競争を繰り広げていた同士であり、副都心線全線開業以降Fライナーをはじめとする副都心線経由での直通運転は行われていたものの、特別料金が必要となる列車の共同運行は初めての事例である。これについて、東急電鉄横浜駅の岸哲也駅長が運行開始当日の取材に「東急線を西武の列車が走るということは、昔は到底考えられなかった」「過去は過去。壁を乗り越えていかないと鉄道会社も生き残れない」と述べるなど、過去の確執を乗り越えての運行開始となった[5]

列車種別の位置付けは、西武線内では特別料金が必要な特急列車(特急ちちぶ・むさし)より下位であるが、東急線と横浜高速鉄道線内では特急(通勤型車両を使用、特別料金不要)より上位となる。なお、東京メトロ内では旅客営業規程上「座席指定列車」として特急とは異なる独自の位置づけが与えられている(THライナーと同じ)。

列車概況

全列車座席指定で運行され、座席指定券を別途購入する必要がある。西武線内では車掌が、東京メトロ線内ではメトロコマース所属の客室乗務員が、東急線・横浜高速線内では「トレインクルー」と呼ばれる客室乗務員が、それぞれ車内での着席状況の確認などを行っている。そのため、東京メトロと東急・横浜高速線内ではワンマン運転の対象外となっている。

車両はデュアルシートを装備する西武40000系0番台をクロスシート状態で照明を電球色として使用する[注 2][注 3]。4ドア車のため各車両1ヶ所ずつの扉を開ける限定開扉を行っており、1号車は飯能寄り、2 - 10号車は豊洲、元町・中華街寄りのそれぞれ一ヶ所のみが開扉する。なお、元町・中華街駅と西武秩父駅での降車のみ全ての客室扉を開く。

平日

平日は通勤輸送に特化させた運行形態となり、小手指駅所沢駅 - 豊洲駅間を西武池袋線西武有楽町線東京メトロ有楽町線で直通運転する。

運行本数は下り5本(豊洲発小手指行き)、上り2本(所沢発豊洲行き)である。豊洲行きは朝のみの運転であり、小手指行きは夕ラッシュ時の運転となる。

最大の特徴は、有楽町線や池袋線における大ターミナルであり、東京メトロの駅としても最大乗車人員を誇る池袋駅を通過することであり、このような列車が設定されるのは同駅としても初のことである。これは都心への通勤輸送に特化しているためである。また有楽町線内での通過運転は2010年に廃止された準急以来7年ぶりとなる。

西武線内は小手指駅(下り降車のみ)・西所沢駅(下り降車のみ)・所沢駅・保谷駅石神井公園駅練馬駅(下り降車のみ)、有楽町線内は飯田橋駅有楽町駅豊洲駅のみに停車し、上りは飯田橋駅 - 石神井公園駅間、下りは飯田橋駅 - 練馬駅を挟まない乗車は出来ない。

休日

土・休日は観光輸送に特化させた運行形態となり、西武秩父駅飯能駅・所沢駅 - 元町・中華街駅間を西武秩父線西武池袋線西武有楽町線東京メトロ副都心線東急東横線横浜高速鉄道みなとみらい線で直通運転する。平日に運転される有楽町線系統とは異なり、池袋駅にも停車する(ただし上下とも降車専用であり、池袋駅からの乗車はできない)。

運行本数は下り3本(元町・中華街発所沢行き・飯能行き・西武秩父行き各1本)、上り2本(飯能発・西武秩父発元町・中華街行き各1本)である。

飯能発と西武秩父行きが朝の運転で、それ以外は夕方の運転となる。なお、西武秩父 - 元町・中華街間(営業キロは113.8km)は、2023年3月に相鉄直通の開始に伴って海老名駅小川町駅行きの列車が設定されるまで、東京メトロ直通列車において最長距離を運転する列車であった。また、副都心線・東急東横線・みなとみらい線では初の座席指定列車となった。

みなとみらい線内・副都心線内のみの座席指定券は発売されない。

停車駅

会社名西武鉄道東京地下鉄東急電鉄横浜高速鉄道
路線名西武秩父線池袋線西武有楽町線有楽町線副都心線東横線みなとみらい線
分類方向本数西武秩父飯能入間市小手指西所沢所沢保谷石神井公園練馬飯田橋有楽町豊洲(副)池袋新宿三丁目渋谷自由が丘横浜みなとみらい元町・中華街
休日
2017-現在
下り (←)[注 4]3
上り (→)[注 4]2
平日
2017-2020
下り (←)3-5
上り (→)2-6
平日
2020-現在
下り (←)5
上り (→)2

凡例

  • ●:停車(乗降共に可能)
  • ◎:停車(乗車専用)
  • 〇:停車(降車専用)
  • ←・→:通過(矢印は運行方向、一部運転停車あり)
  • =:経由なし・運行区間外

備考

  • 方向の上り・下りは西武線内基準[注 5]
  • 運転上の都合で、練馬駅・小竹向原駅には全列車が運転停車する[注 6]
  • 出典は西武時刻表各号

座席指定券

平日・土休日とも乗車には通常の乗車券の他、座席指定券が必要となる。乗車した会社に応じて以下の金額(小児半額、10円未満切り上げ)を合算した金額で発売される[6]。前述の通り、横浜高速鉄道・東京メトロのみの指定券は発行されない。

  • 西武 - 「(小竹向原・)石神井公園・所沢 - 西武秩父」間のみ500円、それ以外は300円
  • 東京メトロ - 一律210円[7]
  • 東急 - 一律350円(横浜高速鉄道と跨いで利用する場合は100円割引)[8]
  • 横浜高速鉄道 - 一律100円

座席指定券は運転日の1か月前から、以下の駅で発売する。

  • 西武 - 池袋線石神井公園駅以北及び秩父線の各駅窓口、停車駅の指定券券売機。および沿線以外の主要駅の駅窓口
  • 東京メトロ - 池袋駅を除く停車駅の駅窓口・指定券券売機
  • 東急・横浜高速鉄道 - 東横線・みなとみらい線各駅の自動券売機

また、西武鉄道のチケットレスサービス「Smooz」でも購入が可能。

沿革

  • 2016年(平成28年)6月16日:4事業者による座席指定制直通列車の2017年春からの運行が発表された[2]
  • 2017年(平成29年)3月25日:ダイヤ改正にあわせ運行開始[3]。運行開始初日の一番列車に関しては元町・中華街駅と飯能駅で記念セレモニーが開かれた[9][10]。当初の運行本数は平日下り3本・上り4本、休日下り3本・上り2本(このうち平日の上りと休日の上下各1本は朝方、他は夕方以降の運転)。
  • 2018年(平成30年)
    • 3月10日:ダイヤ改正[11]。平日の列車を夕方以降に2往復増発。下りは18 - 22時台、上りは16 - 20時台が1時間ヘッドとなる。
    • 3月28日・29日:かぞくみらいフェス帰宅者向けに一部車両を貸切る「ファミリー専用車両」を実施[12][13]。101号の3・4号車が対象とされた[12]
    • 9月20日・21日:埼玉西武ライオンズ応援企画として、試合が行われるZOZOマリンスタジアムへのアクセス向上を図り、夕方の豊洲行きを新木場駅まで延長運転[14][15]。104号と106号が対象[注 7]で、豊洲から先は各駅停車新木場行きとして運転された。中吊り広告のない車両を使用し、スマイルビジョンにてライオンズの特別編集映像が放映された。
  • 2019年(平成31年)3月16日:ダイヤ改正[16]。平日夕方以降の所沢発豊洲行きを廃止し朝に1本増発、また平日夕方以降の下りの緩急接続駅を保谷駅・所沢駅に統一。
  • 2020年(令和2年)

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク

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