Η

ギリシア文字の第7字母

Η, η(エータ、イータ、古代ギリシア語: ἦτα エータギリシア語: ήτα イタギリシア語ラテン翻字: ēta)はギリシア文字の第7番目の文字。数価[1]は8。音価は古典では/eː/、現代語では/i/。

ギリシア文字
ΑαアルファΝνニュー
ΒβベータΞξクサイ
ΓγガンマΟοオミクロン
ΔδデルタΠπパイ
ΕεエプシロンΡρロー
ΖζゼータΣσςシグマ
ΗηイータΤτタウ
ΘθシータΥυウプシロン
ΙιイオタΦφファイ
ΚκカッパΧχカイ
ΛλラムダΨψプサイ
ΜμミューΩωオメガ
使われなくなった文字

()
ディガンマサン
ヘータショー
ギリシアの数字
スティグマ
()
サンピ

()
コッパ

ラテンアルファベットHキリル文字Иはこの文字を起源とする。

この一字でギリシャ語の女性定冠詞単数を表す。例)η Ελλάδα(ギリシャ)

起源

フェニキア文字 𐤇 (ヘート)に由来し、早期には のように書かれた。古くは子音[h]を表したが、東部イオニア方言クレタ島の方言ではこの子音が消滅し、イオニア式アルファベットでは母音を表すために転用された[2]。イオニア式アルファベットが標準化した後にも一部の方言には[h]音が残り、マグナ・グラエキアではこの音を「Ͱ」で表した[3]。後には気息記号でhの有無を示すようになった。

イオニア・アッティカ方言では本来の長母音[aː][æː]のように前舌化し、母音字としての「Η」は当初この音を表した(例:μήτηρ「母」、ドーリア方言形 μάτηρ)。その後この音が広い[ɛː]と合流したため、「Η」で両者を表すようになった[4]

西暦150年以降に「η」は狭母音「ι」と混同されはじめ、キリル文字グラゴール文字では両者が音声上区別されていない[5]

記号としての用法

符号位置

大文字UnicodeJIS X 0213文字参照小文字UnicodeJIS X 0213文字参照備考
ΗU+03971-6-7Η
Η
Η
ηU+03B71-6-39η
η
η
ΉU+0389-Ή
Ή
ήU+03AE-ή
ή

脚注

参考文献

  • W. Sidney Allen (1987) [1968]. Vox Graeca (3rd ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521335558