Π

通常 [p] 音を表す。また現代ギリシア語で μπ の組み合わせは 、/b/ （語頭において）または /mb/ （その他の場所において）を表す。

フェニキア文字 𐤐 （ペー）に由来する。

文字名称も古くはセム語名に由来するペーだったが、紀元前4世紀末ごろに[eː]から[iː]への変化が起きたためにπῖ（ピー）と呼ばれるようになった^[1]。

• 一般に小文字で書いて円周率を表す。ギリシア語 περίμετρος^[2][3][4]（ペリメトロス）あるいは περιφέρεια^[5]（ペリペレイア、ペリフェーリア）の頭文字から取られた^{[注 1]}。いずれも周辺・円周・周などを意味する。
• 基点付き空間 (X, x) の n 次ホモトピー群を π_n(X, x) と表す。
• 数学で、π(N) のように書いて、素数計数関数を表し、N 以下の素数の個数を示す。
• 数学で、大文字で用いて集合族の直積や数列の積 (product) を表す。 例：

  ${\displaystyle \prod _{i=1}^{n}a_{i}=a_{1}\times a_{2}\times \cdots \times a_{n}}$

• 大文字でルート系の単純ルートの集合。
• 数学で、p進体の素元を表す。
• 数学で、保型表現を表す。
• 素粒子物理学で、パイ中間子を表す。
• 場の理論（場の古典論、場の量子論）では、場に共役な運動量を表す。
• 化学で、浸透圧を表す。
• 「π結合」（化学）
• 数文字としては、80 を表す。
• ミクロ経済学で、Πは利潤関数などで利潤を表す。
• マクロ経済学で、πはフィッシャー方程式などで期待インフレ率を表す。

なお、直径を表す記号⌀（ ）（まる）の代用記号で一般に「パイ」と呼称されている記号には Φ が用いられているため、混用に注意する必要がある（「パイ」は「ファイ」の転訛）。

π の異字体 ${\displaystyle \varpi }$ (TeX では \varpi) は、以下のような値を表す記号として使われる。

• 近日点黄経（英語版） - 天体力学で使用する。
• レムニスケート周率
• （基本）ウェイト
• uniformizer

注釈

出典

• W. Sidney Allen (1987) [1968]. Vox Graeca (3rd ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521335558 

• ギリシア小文字はUnicodeCJK部首補助 (CJK Radicals Supplement) の「兀」（U+2E8E）に酷似する場合がある。