アームストロング・シドレー

かつてのイギリスの企業グループ

アームストロング・シドレーArmstrong Siddeley)とは、20世紀前半に操業されていたイギリスの工業企業グループ。1919年に創業され、高級自動車と航空用エンジンの製造で最も有名である。

サファイア(1958年)

歴史

アームストロング・シドレーの歴史は、1902年にJ・D・シドレー(John Davenport Siddeley 、1866-1953年)によって創業が始められたシドレー・オートカーズ(Siddeley Autocars )までさかのぼる。第一次世界大戦ではトラック、指揮車や救急車を生産し、1915年に航空機とその航空エンジンの製造を同時に開始した。

1919年にアームストロング・ホイットワースに買収され、子会社化された。その時に社名はアームストロング・シドレー・モーターカーズに変更された。1927年には重工業事業をヴィッカースと合併させ、ヴィッカース・アームストロングが設立された。この時、J・D・シドレーはアームストロング・シドレーとアームストロング・ホイットワース・エアクラフトを手元に置き、アームストロング・シドレーは高級自動車と航空用エンジンの開発と生産を行った。

イギリス国内の航空関係メーカーの統合化の流れで、アームストロング・シドレーはブリストル・エアロ・エンジンズ (Bristol Aero Engines) と合併してブリストル・シドレーとなった。しかし1966年にはロールス・ロイス・ホールディングスに吸収され、アームストロング・シドレーの社名は消滅した。

製造品目

自動車

12HP(1936年)
16HP(1939年)
ハリケーン・ドロップヘッドクーペ(1946年)

一覧

車種名エンジン生産開始年生産終了年生産台数
サーティ多数4960 cc191919312770
エイティーン多数2400 cc192119252500 18/50を含む
18/50 または 18 Mk.II多数2872 cc192519262500 エイティーンを含む
フォー-フォーティーン多数1852 cc1923192913,365
トゥウェンティーショートとロングシャーシ2872 cc192619368847
フィフティーンツアラー、サルーン1900 cc192119257203 15/6を含む
トゥウェルブツアラー、サルーン、スポーツ1236 (1931年からは1434 cc)1929193712500
15/6ツアラー、サルーン、スポーツ1900 cc (1933からは2169 cc)192819347206 フィフティーンを含む
シドレー スペシャルツアラー、サルーン、リムジン4960 cc19331937253
ショート 17クーペ、サルーン、スポーツサルーン2394 cc193519384260 ロング 17を含む
ロング 17サルーン、ツアラー、アトランタスポーツサルーン、リムジン、ランドオーレット2394 cc193519394260 ショート 17を含む
12 プラス & 14サルーン、ツアラー1666 cc193619393750
20/25サルーン、ツアラー、アトランタスポーツサルーン、リムジン、ランドオーレット3670 cc19361940884
16サルーン、スポーツサルーン1991 cc19381941950
ランカスター 164ドア サルーン1991 cc1945195212470 ハリケーン、ホイットレー、タイフーンとテンペストを含む
ランカスター 184ドア サルーン2309 cc1945195212470 ハリケーン、ホイットレー、タイフーンとテンペストを含む
ハリケーン 16オープンカー1991 cc1945195312470 ランカスター、ホイットレー、タイフーンとテンペストを含む
ハリケーン 18オープンカー2309 cc1945195312470 ランカスター、ホイットレー、タイフーンとテンペストを含む
タイフーンハードトップ1991 cc1946194912470 ランカスター、ホイットレーとテンペストを含む
テンペストクーペ1991 cc1946194912470 ランカスター、ホイットレーとタイフーンを含む
Whitley 18多数2309 cc1946194912470 ランカスター、ハリケーンとタイフーンとテンペストを含む
サファイア 3464ドア サルーンとリムジン3435 cc195219587697
サファイア 2344ドア サルーン2290 cc19551958803
サファイア 2364ドア サルーン2309 cc19551957603
スター サファイアサルーンとリムジン3990 cc19581960980
スター サファイア Mk IIサルーンとリムジン3990 cc196019601

航空機エンジン

アブロ 618 テンサザン クラウドに搭載されたアームストロング・シドレー リンクス 7 気筒星型エンジン
サファイア ターボジェットエンジン

1920年代から30年代にかけてアームストロング・シドレーは低出力から中出力の航空用星型エンジンを製造した。それらの名称は全てネコ科の動物に由来した。同様に超軽量飛行機用の小型の2気筒のユキヒョウを意味するOunceも製造した。1939年からはロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメントアラン・アーノルド・グリフィスによって先駆的な設計のガスタービンエンジンの開発作業を始めた。"ASX"として知られる"Armstrong Siddeley eXperimental"は原型は純粋なターボジェットで後にプロペラを追加されて"ASP"になった。この時以降アームストロング・シドレーのタービンエンジンは蛇に由来する名称になった。アームストロング・シドレー マンバアームストロング・シドレー ダブルマンバターボプロップエンジンで後に複雑な配管で並列にマンバを共通のギアボックスを介して駆動してフェアリー ガネットに搭載された。アームストロング・シドレー パイソンターボプロップはウェストランド ワイバーン攻撃機の動力である。さらにマンバから変速機を取り外して開発されたのがアームストロング・シドレー アダーターボジェットである。同様にロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメントのエンジンの先駆者はメトロヴィック F.2の設計で知られるメトロポリタン=ヴィッカースだった。このエンジンは量産されず、メトロヴィックはより大型の設計であるBerylや更に大型のアームストロング・シドレー サファイア に転向した。アームストロングシドレーは後にサファイアの設計を引き継ぎ最も成功した第二世代のジェットエンジンの一つに育て、より有名なロールス・ロイス エイヴォンと競合した。会社は元々はGAF ジンディビック標的機用として開発されたアームストロング・シドレー ヴァイパーを開発するようになった。この計画はブリストル・シドレーによってさらに開発され、さらに後にロールスロイスによって長年にわたり多数が販売された。スナーラーステンターを含むロケットエンジンも同様に開発された。ロケットの開発はブリストルで完成してブリストル・シドレーはイギリスにおけるミサイルのエンジンの主導的な生産業者になった。1966年にブリストル・シドレーもロールス・ロイスの傘下に入ることになる。

航空機用とロケットエンジン
種類
アームストロング・シドレー チーター1935年星型
アームストロング・シドレー シビット1928年7気筒星型
アームストロング・シドレー クーガー1945年星型
アームストロング・シドレー ディアハウンド1935年21気筒 3連星型
アームストロング・シドレー ジネット1926年5気筒星型
アームストロング・シドレー ジネット メジャー1928年星型
アームストロング・シドレー ハイナ1933年15気筒 3連星型
アームストロング・シドレー ジャガー1923年14気筒 2連星型
アームストロング・シドレー レパード1924年14気筒 2連星型
アームストロング・シドレー リンクス1920年星型
アームストロング・シドレー マングース1926年5気筒 星型
アームストロング・シドレー オウンス1920年対向式2気筒
アームストロング・シドレー パンサー1929年14気筒 2連星型
アームストロング・シドレー サーヴァル1928年10気筒 2連星型
アームストロング・シドレー タイガー1932年14気筒 2連星型過給
アームストロング・シドレー ASX1945年軸流式ターボジェット
アームストロング・シドレー パイソン1945年ターボプロップ
アームストロング・シドレー ダブルマンバ1949年2基のマンバをギアボックスで連結
アームストロング・シドレー マンバ1946年ターボプロップ
アームストロング・シドレー サファイア1948年ターボジェット
アームストロング・シドレー アダー1948年ターボジェット
アームストロング・シドレー ヴァイパー1951年ターボジェット
アームストロング・シドレー ベータ1948年ロケット
アームストロング・シドレー スナーラー1950年ロケット
アームストロング・シドレー スクリーマー1954年ロケット
アームストロング・シドレー ステンター1960年ロケット

ラインナップ

外部リンク