カサブランカ市電

カサブランカ市電(カサブランカしでん、アラビア語: ترامواي الدار البيضاء‎ - Trāmwāy ad-Dār al-Bayḍā'フランス語: Tramway de Casablanca)は、モロッコカサブランカを走る路面電車である。2012年12月11日、モロッコ国王ムハンマド6世により開業式が行われ、フランス首相ジャン=マルク・エローなどが出席した[1]。開業時の総延長は30キロメートル、48停車場を持つ[2]

カサブランカ市電
2023年7月時点で開通している路線と今後開通予定の路線の路線図

路線

路線起点・終点開業日全長 (km)停車駅数
Lissasfa ↔ Sidi Moumen2012年12月12日[3]24[4]37[4]
Aïn Diab Plage ↔ Sidi Bernoussi2019年1月23日[4]23[4]33[4]
Gare de Casa-Port ↔ Hay El Wahda2024年以降開業予定[5]13.5[6]20[6]
Parc de la Ligue Arabe ↔ Mohammed Erradi2024年以降開業予定[5]11,5[6]18[6]
合計72108

営業中の路線

T1線

T1線は、2012年12月12日にカサブランカで初の路面電車として開業した[3]。カサブランカ東部のSidi Moumenからカサブランカ中心部を経てカサブランカ南西部のLissasfaに至る24キロメートルの路線である。T1線はカサブランカ中心部にあるカサ・ヴォヤジャー駅で高速鉄道のTGVに接続されている。

T2線開業以前のT1線の路線図

T1線はAnoualからAin Diabに至る枝線は2019年のT2線開業と共にT2線となった[4][7][8]

T2線

2019年に2番目に開業した路面電車である[4]。本路線はカサブランカ北西部の海岸のAïn Diabからカサブランカ中部を経てカサブランカ東部のSidi Bernoussiに至る全長23キロメートルの路線である。このうちAïn DiabからAnoualまでの区間は、2012年12月にT1線の枝線としてT2線開業以前から開通していた[7][8]。またT2線は、Anoual(T1線駅名:Abdelmoumen)とMdakra(T1線駅名:Ibn Tachfine)でT1線に接続されている。

営業

EnnassimからQuartier des Facultésまでの想定所要時間は64分、EnnassimからHay Hassaniまでは69分で結ばれる見込みである[9]。交差点における優先度を75%とした場合、商用での平均時速は19キロメートル/時に達すると見込まれる[9]。路面電車は、週日は6時30分から22時まで、週末は6時30分から23時30分まで運行される[2]。運行間隔は、ピーク時は4.5分、平常時は8.5分程度である[9]。ただし、運行に乱れが生じる場合はこの限りではない。

カサブランカ市電を運行するCasa Tramは、パリ交通公団傘下であり、Caisse de dépôt et de gestionCaisse de dépôt et de gestion)、TransinvestとともにCasa Tramに出資している[10]。RATPは5年間で11億ディルハム(約9千万ユーロ)の契約を結んでいる[11]

保有車両

カサブランカ市電では、フランス・アルストム製のシタディス302を74両保有している[12]。車両はフランス・アルザスReichshoffenReichshoffen)にて組み立てられる[13]。車両は空調を備え、電光掲示板によりアラビア語およびフランス語で案内がされる。列車の長さは全部で65メートルに及び、総括制御により運転するようになっている[9]。車両は低床型で、身体の不自由な者にも利用しやすい作りとなっている。アルストムとの契約には、15年にわたる車両の保守も含まれている。機体の購買および保守、付随するサービスを含めて、総額で1億9千万ユーロの契約を結んでいる[12]

運賃

運賃はモロッコの物価に見合うもので、乗車1回6ディルハムの均一料金である。また、1週間で60ディルハム、1か月で230ディルハムの乗車券もある[14]。学生については1か月150ディルハムの割引定期乗車券がある[14]

利用者数

営業開始後、最初の1か月の利用者数は、平均して1日あたり4万人から4万5千人であった[15]。2015年には1日の利用者数は25万5千人に上ると見込まれている[10]

拡張計画

2030年を目標とするカサブランカ市電および地下鉄の計画

基本都市開発計画(SDAU)における[7]、カサブランカ都市圏の都市計画(PDU)では[8]東西2本(T1号線、T2号線)、南北2本の計4本の路面電車が計画されている。これらは、地下鉄や国鉄近郊列車とともに都市交通ネットワークを形成する[7][8][16]

T3号線およびT4号線

基本都市開発計画(SDAU)[7]および都市計画(PDU)[8]によると、カサブランカ路面電車のT3号線およびT4号線はそれぞれ14キロメートル、13キロメートルの延長を持つとされる。

T3号線はSidi Othmaneから中心街、カサ・ポール駅を経てEl Hankまでを結び、T4号線はSbataからAïn ChockFacultésを経てLissasfaを結ぶ予定となっている[7][8]

2024年1月6日、カサブランカ市電開発会社がT3線とT4線の工事が完了したことを発表し[17]、同年2月19日には試験運行する予定[18]。2024年6月に開通予定[19]

脚注

外部リンク