ザイテック・Z11SN
ザイテック・Z11SN は、ザイテックにより2011年から製作された、ル・マン・プロトタイプ2(LMP2)マシンである。ザイテック・Z07Sとザイテック・GZ09SCの発展型であり、2011年に導入された新LMPレギュレーションに合わせてアップデートされた。2011年にル・マン・シリーズとル・マン24時間レースのLMP2クラスに、グリーヴス・モータースポーツが参戦しクラス優勝した。2014年もJotaスポーツがル・マン24時間レースのLMP2クラスでクラス優勝した。
カテゴリー | LMP2 |
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コンストラクター | ザイテック・エンジニアリング |
デザイナー | ティム・ホロウェイ |
先代 | ザイテック・09SC |
主要諸元[1] | |
シャシー | カーボンファイバー・コンポジット・モノコック |
サスペンション(前) | 独立懸架 ダブルウィッシュボーン プッシュロッド、水平スプリング/ダンパーユニット |
サスペンション(後) | 独立懸架 ダブルウィッシュボーン プッシュロッド、水平スプリング/ダンパーユニット |
全長 | 4482mm (176.5 in)[2] |
エンジン | ニッサン VK45DE 4494cc (274.2cu. in.) V8 NA ミッドシップ, 縦置き |
トランスミッション | リカルド 6速 セミオートマ |
重量 | 900 kg (1,984.2 lb) |
タイヤ | ダンロップ[3] |
主要成績 | |
チーム | グリーヴス・モータースポーツ Jotaスポーツ ケーターハム |
ドライバー | マーティン・ブランドル アレックス・ブランドル ルーカス・オルドネス サイモン・ドゥーラン オリバー・ターベイ ルーカス・ルーア アレクサンダー・ロッシ トム・キンバー=スミス ハリー・ティンクネル |
初戦 | 2011年のカステレ6時間レース |
2015年、ザイテック社がギブソン・テクノロジーに改称したのに伴い、Z11SNも ギブソン・015S の車名に変更した。
歴史
2011年に、ル・マン・プロトタイプの規則が製造コストを削減する為に変更された[4]。その結果、ジネッタ-ザイテック・GZ09Sはレースから完全に退役することになり、ザイテック・Z09SCはLMP2カーからLMP1カーに移行することになった。これを受けてザイテックは新型LMP2カー、Z11SNの開発を開始し、日産・GT-RのSUPER GT仕様のニッサン・VK45DEエンジンを使用する契約をニスモと締結した[5]。このエンジンは、4.5リッターの自然吸気のV8エンジンで、おおよそ450 hp (336 kW; 456 PS) の出力を発揮する[5]。ザイテック・07Sがベースのシャシーで製造された[6][7]Z11SNは、初年度の唯一のチームがグリーヴス・モータースポーツであった[8]。Z11SNはポール・リカール・サーキットで行われたデビュー・レースのカステレ6時間レースにカリム・オジェフ、ガリー・シャランドン、トム・キンバー=スミスら3人がドライブしクラス優勝(総合順位は3位)し、すぐに好成績を上げた[9]。グリーヴス・モータースポーツは、2011年ル・マン24時間レースのLMP2クラスでクラス優勝を挙げ、ル・マン・シリーズのLMP2クラスでチーム選手権のタイトルを獲得するなど成功を収めた。シーズン末には、そのシーズンで使ったシャシーは使用終了となり、3台のシャシーが新しく製造されることとなった[6]。
2012年に、JotaスポーツがZ11SNでヨーロピアン・ル・マン・シリーズ (ELMS)に参戦を果たし、開幕戦のカステレ6時間レースでクラス8位に入った[10]。グリーヴス・モータースポーツは2台を購入してELMSに投入した[6]。両チームはその年のル・マン24時間レースにも参戦した[11]。元F1ドライバーのマーティン・ブランドルと息子のアレックス・ブランドルにルーカス・オルドネスがドライブするグリーヴス42号車は注目を集めた[12]。42号車はクラス8位に入る一方で[13]、もう1台のグリーヴス41号車はクラス5位に入った[14]。Jotaスポーツは完走できずにレースを終えた[15]。
2013年に、グリーヴス・モータースポーツとJotaスポーツの両チームはZ11SNのシャシーでヨーロピアン・ル・マン・シリーズの参戦を継続した[16]。開幕戦のシルバーストン3時間レースでJotaスポーツが優勝し、幸先の良いスタートを切った[17]。ケーターハムはアレクサンダー・ロッシ、トム・キンバー=スミス、エリック・ルクスの3人をドライバーとして、ル・マン24時間レースに初めてZ11SNを使用して参戦することを発表した[18]。そのエントリーは、ケーターハムとグリーヴス・モータースポーツとの合弁事業に[19]、ヤン・マーデンボロー、ルーカス・オルドネス、ミハエル・クルム3人のドライブでグリーヴスが独自にZ11SNで参戦した[20]。Jotaスポーツもまたサイモン・ドゥーラン、オリバー・ターベイ、ルーカス・ルーア3人をZ11SNのドライバーとして参戦している[20]。ヤン・マーデンボロー、ルーカス・オルドネス、ミハエル・クルム3人のドライブによるグリーヴス・モータースポーツがGドライブ・レーシングの失格で[21]、LMP2クラスで3位に入り、3台のZ11SNが出走した中で最も良い成績を挙げた[22]。
2014年には、Jotaスポーツがル・マン24時間レースのLMP2クラスでZ11SNのシャシーでクラス優勝を挙げた[23]。
2015年には、ザイテック・オートモーティヴがコンチネンタルに買収され、残ったザイテック・エンジニアリングが、ギブソン・テクノロジー社に改称したのに伴い、Z11SNも「ギブソン・015S」として開発された[24]。ル・マン24時間ではJotaスポーツがLMP2クラス2位だった。
2016年は、ル・マン24時間レースでストラッカ・レーシングが、LMP2クラス4位だった[25]。