トランシルヴァニア

ルーマニア中部・北西部の歴史的地名

東経23度35分 / 北緯46.767度 東経23.583度 / 46.767; 23.583

トランシルヴァニアルーマニア語: Transilvaniaハンガリー語: Erdély英語: Transylvania)は、ルーマニア中部・北西部の歴史的地名。地理の位置としては、東ヨーロッパ西部から中央ヨーロッパ東端部に属する。

トランシルヴァニアのヨーロッパでの位置(バナト、クリシャナ及びマラムレシュを含む)

東にはカルパティア山脈、南にはトランシルヴァニアアルプス山脈(南カルパティア山脈)が横たわる。北はウクライナ、西はハンガリー、南西はセルビアに接している。主な都市は、クルジュ=ナポカブラショヴシビウトゥルグ・ムレシュアルバ・ユリアビストリツァである。

歴史的な狭義のトランシルヴァニアは、マラムレシュ(マーラマロシュ)、サトゥ・マーレ(サトマール)、ビホル(ビハル)、アラドティミシュカラシュ・セヴェリン(クラッショー・セレーニ)地方は含まれない。オーストリア直轄時代にはサラジュ(シラージ)地方も含まれていなかった。

ハンガリー時代のトランシルヴァニアとルーマニア時代のトランシルヴァニアはわずかに範囲が異なり、県の境界線が変更され、東部の一部が「モルダビア」に組み込まれた。

広義のトランシルヴァニア。中央の濃いオレンジ色の範囲が狭義のトランシルヴァニア。そのさらに西側に面した薄いオレンジ色の三つの地域は、広義のトランシルバニアに含まれる。北からマラムレシュ地方、クリシャナ地方、バナト地方である。

名前について

トランシルヴァニアという名前は、1075年ハンガリー王国中世ラテン語文書にterra ultra silvam(「森の向こうの土地」の意)と言及されているのが最古で、12世紀にはPartes Transsylvanæ(「森の向こうの地域」の意)、さらにTransylvaniaと変化したものとされている。ハンガリーの歴史家によれば、これはハンガリー語Erdő-elüを直訳したものであり、ハンガリー語での呼び名エルデーイ (Erdély) もここに由来するとされる[1]。これはハンガリー大平原から見て森林に覆われたアプセニ山脈ルーマニア語版英語版の向こう側に位置していることを指すものだと考えられる[2]

ルーマニア語ではトランシルヴァニャ (Transilvania) またはアルデアル (Ardeal)、ハンガリー語でエルデーイ[3]トルコ語でウルドゥル[4]

ドイツ語でジーベンビュルゲン[5]スロヴァキア語でセドモフラツコ[6]ポーランド語でシェドミョグルト[7]となる。ジーベンビュルゲンは通俗語源によって「7つの要塞」と解釈され、スラヴ系言語に訳されたりトランシルヴァニアの紋章にも取り入れられてきたが、実際はシビウ(ヘルマンシュタット)市の古名に由来し、「シビン川英語版畔の都市(ドイツ植民者の入植地)」の意味である。となると、ハンガリー語の(ナジセベン、ルーマニア語のシビウと何ら語根が変わらないことになる。このように一部の地域の名前や都市名が全体の地名となった例としては、他にはルクセンブルクがある。

住民

ルーマニア人8割、ハンガリー人2割。

第一次世界大戦前はルーマニア人が6割程度。ドイツ人が1割ほど居住していたが、第二次世界大戦後に追放された(ドイツ人追放)。

宗教

言語

行政、市町村と地名

[8]と主な市町村(観光スポット含む)は次のとおり。

ルーマニア語名ハンガリー語名ドイツ語名備考
マラムレシュ地方[9]マラマロシュ[10]マラムレシュ[11]
マラムレシュ県[9]Máramarosマラムーレシュ[11]
サトゥ・マーレ県[12](南部はクリシャナ)サトマール[13]ザトマール[14]
クリシャナ地方[15]ケレシュヴィデーク[16]クライシュゲビート[17]
ビホル県[18]ビハール[19]
アラド県[20]Aradドイツ人の多い地方
バナト地方[21]バーンシャーグ[22]バナト[23]
ティミシュ県[24]テメシュ[25]テメシュブルク[26]ドイツ人の多い地方
カラシュ・セヴェリン県[27]クラッショ=セレーニ[28]
トランシルヴァニア地方(狭義)[29]エルデーイ[3]ジーベンビュルゲン[5]
サラージュ県[30]シラージ[31]
クルージュ県[32]コロジュ[33]クラウゼンブルク[34]
ビストリツァ=ナサウド県[35]Beszterce-Naszódビストリッツ・ヌースドルフ[36]シュトゥール名:ネーズネルラント[37]ドイツ人の多い地方
ムレシュ県[38]マロシュ[39]ミーレシュ[40]セーケイ地方
アルバ県[41]Fehérヴァイゼンブルク[42]
シビウ県[43]セベン[44]ヘルマンシュタット[45]ドイツ人の多い地方
ハルギタ県[46]Hargitaセーケイ地方
コヴァスナ県[47]Kovásznaセーケイ地方
フネドアラ県[48]フニャド[51]アイゼンマルクト[52]
ブラショヴ県[53]ブラッショー[54]クロンシュタット[55](シュトゥール名:ブルゼンラント[56]ドイツ人の多い地方

全ての市町村にハンガリー語・ルーマニア語の名前があり、ドイツ人がさまざまな理由で移住したため、ドイツ語の名前を持つ市町村も多い。

歴史

ベトレン・ガーボルボチュカイ・イシュトヴァーン

文化

参考資料

脚注

関連項目

外部リンク