世界の終わりの魔法使い

西島大介の漫画

世界の終わりの魔法使い』(せかいのおわりのまほうつかい)は、西島大介による日本漫画作品。略称は「せかまほ[1]。キャッチコピーは「魔法なんて信じない。でも、君は信じる。」。

世界の終わりの魔法使い
漫画
作者西島大介
出版社河出書房新社(第一部 - 第三部)
講談社(第四部)
自費出版(私家版)
駒草出版(完全版)
掲載誌描き下ろし(第一部 - 第三部)
モーニング・ツー(第四部)
同人誌発表(私家版第五部第一話)
pixivFANBOX(私家版第五部第二話 - 第六部第四話)
レーベル九龍コミックス(第一部 - 第三部)
発表期間
2005年2月28日 - 2009年11月30日
第一部 - 第三部
2007年5号 - 2008年9号
モーニング・ツー
2019年11月24日
私家版第五部第一話
2019年12月11日 - 2021年5月16日
私家版第五部第二話 - 私家版第六部第四話
2021年12月6日 - 2022年3月24日
第五部 - 第六部商業出版
巻数全6巻
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

概要

2005年に河出書房新社より描き下ろしで発行された[2]第一部『世界の終わりの魔法使い』は、元々一巻完結の読みきり作品だったが、シリーズ化が決まり、1000年前のアンとムギの出会いを描いた『世界の終わりの魔法使いII 恋におちた悪魔』が2006年に刊行された。

シリーズ第三作『世界の終わりの魔法使いIII 影の子どもたち』を入稿後、原稿の一部67ページが出版社によって紛失という出来事が発生。これらの経緯は太田出版の雑誌『本人(hon-nin)』に掲載された後、評論家の大谷能生による論考を加えて『魔法なんて信じない。でも君は信じる。』として2009年に単行本にまとめられた。2020年4月15日には『魔法なんて信じない。でも君は信じる。完全版』が電子書籍として配信された[3]

第三作は原稿紛失により描き直しが行われており、紛失前の原稿は2009年11月に刊行された単行本とは内容が異なっている[4]。2010年4月29日から5月9日にかけて、渋谷のアパレルショップ「galaxxxy in Hi-Fi」で開催された西島の展示会「世界の終わりのgalaxxxy」では、改変前の貴重なコピー原稿が展示された[4]

この三部作でアンとムギの物語は完結となっているが、新シリーズ『世界の終わりの魔法使いIV 小さな王子さま』(以下第四部)が『モーニング・ツー』(講談社)で2007年5号から2008年9号まで連載[5][6][7]され、2012年に単行本が発売された[8][7]。幼いノロ王子ことテオドールを主人公とした物語で、これまで出た作品の中では最も過去の話となっている。

未定ではあるが、シリーズとしては九部作の構想があり、第一部から第三部はシリーズの真ん中に位置するという。第四部から第六部はノロ王子の三部作、そして第七部から第九部はアンの娘の三部作になる予定だという[9]

2013年11月に発売されたグラフィックデザイン誌・『月刊MdN』12月号の表紙を本作の描き下ろしイラストが飾った[10]

2014年5月3日より、ヴィレッジヴァンガードの一部店舗やWEBサイトにて、本作のグッズが販売された[11]

文化庁による「令和元年度 国内クリエイター創作支援プログラム」の一環として、新作『世界の終わりの魔法使い 5 呪われし者たち(仮)』の制作が決定[12]

2019年11月24日に私家版『世界の終わりの魔法使い5』第一話を同人誌にて発表[13]した後、2019年12月11日[14]から2021年5月16日[15]まで残りの回と私家版『世界の終わりの魔法使い6』がpixivFANBOXにて連載。2020年3月に行われたイベントでは、私家版『世界の終わり魔法使い5』が販売された[16]

2020年3月6日には完全版の第一部から第三部までが作者の個人出版レーベル・島島から電子書籍で販売された[17]。2020年11月から、駒草出版より完全版の刊行を開始[18]

2021年12月、10年ぶりの新作として第五部『巨神と星への旅』が発売[19]。同作は第四部から開始された「新3部作」の真ん中に位置するストーリーとなっている[19]

2022年3月24日に第六部『孤独なたたかい』が発売され、シリーズが完結している[20]

あらすじ

1000年前の『魔法大戦』の影響で人々が魔法を使えるようになった世界。

唯一魔法を使えない少年ムギはある日、科学の力で飛ぼうとするも失敗し、魔王のお城に激突し、周辺の森に落ちてしまう。

そこで怪物トロルに襲われるが、そこでムギを救ったのは、謎の魔法使いの少女サン・フェアリー・アンだった。

登場人物

声優はオーディオドラマ版に出演のキャスト。

主要人物

サン・フェアリー・アン
声 - 金元寿子[1]
シリーズを通しての主人公[19]。謎の魔法使いの少女。口癖は「プー」[注 1]。魔王のお城に封印されていた悪魔の血を引く大魔法使い。
顔の左半分を包帯で覆い、帽子をかぶった頭には長く尖り、先端が折れ曲がった角が生えている。
ムギ
声 - 平田真菜[1]
第一部から第三部の主人公。村でただ一人魔法を使えない少年。科学の力を使い、エアボードで飛ぼうとする。
両親を連れ去った魔法使いと魔法が嫌い。
その正体は1000年前に第二部でのムギをオリジナルとした、アンが作り出した影。
シッポ猫
声 - 野中藍[1]
ムギの飼い猫。アンの作り出した影。

魔法星団

テオドール・ノロ
第二部から登場。第四部の主人公で第二王子。旧王族の血を引く魔法使い。禁じられた魔法『影』を使い、王国を再建しようとする。
アンに思いを寄せるが振られる。
ネズ
第二部から登場。トガリミミ族の孤児。テオドールの義理の妹でアンのライバル。
1000年後に魔法星団の将軍になる。
クリム
第二部から登場。アンの友達。1000年後に大魔導士になる。泣き虫な性格。
クリスパン・ノロ
IVに登場。テオドールの兄で第一王子。
ノロ国王
魔法星団を統べるトガリミミ族の王。テオドールとクリスパンの父親。
大魔道士さま
第二部から登場。魔法星団を率いるおじいさん。
未来視
予言者の一族。老いた姿で生まれ、成長するにつれ若返っていく。

発達した科学団

ア゛ーくん
科学団のエースパイロット。第一部に登場したムギの同級生3人組のうちの一人の影のオリジナルと思われる。

時のない世界

先生
声 - 関輝雄[1]
本好きな歴史の教師。第二部の発達した科学団の提督をオリジナルとしたと思われる影。
同級生
声 - 杉浦慶子山下真琴粕谷雄太
ムギをバカにしてイジメる三人組。

魔物たち

魔物
声 - 中田隼人
森に生息する怪物たち。影から作り出される副作用。
ゴーレム
声 - 渋谷茂
アンを封印していた魔王のお城の正体。
黒きドラゴン
魔物の王。

書誌情報

単行本

  • 西島大介、河出書房新社→講談社〈九龍コミックス→KCピース〉[注 2]、全4巻
    1. 『世界の終わりの魔法使い』2005年2月28日発行、ISBN 4-309-72846-4
    2. 『世界の終わりの魔法使いII 恋におちた悪魔』2006年9月30日発行、ISBN 4-309-72848-0
    3. 『世界の終わりの魔法使いIII 影の子どもたち』2009年11月30日発行(11月20日発売[21])、ISBN 978-4-309-72849-0
    4. 『世界の終わりの魔法使いIV 小さな王子さま』2012年1月23日発売[8][7]ISBN 978-4-06-376118-4

完全版

ラジオドラマ

2013年7月22日から26日にNHK-FMの『青春アドベンチャー』内で放送[1][25]

2018年2月26日から3月2日に本作のラジオドラマが再放送されることを記念して、西島が記念イラストを描き下ろした[26]

スタッフ

  • 原作:西島大介[25]
  • 脚色:小松與志子[25]
  • 演出:木村明広[25]
  • 技術:小林健一[25]
  • 音響効果:金本美雨[25]
  • 選曲:黒田賢一[25]

出演

影の魔法と魔物たち

2020年3月には本作をボードゲーム化した『影の魔法と魔物たち』が発表され[27]、10月9日に通信販売にて正式に発売された[28]

オーディオブック

2021年3月18日には第一部の完全版『すべての始まり』がオーディオブック化され、Audibleとaudiobook.jpにて配信された[29]

原画展

2022年4月13日より、東京都の青山ブックセンター本店内のギャラリースペースにて、本作の展覧会「世界の終わりの原画展 2005-2022」を開催[30]

脚注

注釈

出典