伊豆箱根鉄道

日本の鉄道事業者
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伊豆箱根鉄道株式会社(いずはこねてつどう、: IZUHAKONE RAILWAY CO.,LTD.)は、神奈川県小田原・箱根地区西湘地区)と静岡県伊豆地区において、鉄道事業レジャーサービス業不動産業自動車道事業等を行っている企業である。西武鉄道の子会社であり、西武グループに属する。本社所在地は静岡県三島市大場300。いずっぱこの通称がある[2]

伊豆箱根鉄道株式会社
IZUHAKONE RAILWAY CO.,LTD.
伊豆箱根鉄道本社
種類株式会社
市場情報
本社所在地日本の旗 日本
411-8533
静岡県三島市大場300番地
北緯35度5分41.8秒 東経138度56分16.9秒 / 北緯35.094944度 東経138.938028度 / 35.094944; 138.938028 東経138度56分16.9秒 / 北緯35.094944度 東経138.938028度 / 35.094944; 138.938028
設立1916年大正5年)12月7日
(駿豆鉄道株式会社)
業種陸運業
法人番号9080101005353 ウィキデータを編集
事業内容運輸業、不動産業、レジャー・サービス業 他
代表者代表取締役社長 伍堂文康
資本金
  • 6億4000万円
(2023年3月31日現在)[1]
発行済株式総数
  • 普通株式: 128万株
  • A種優先株式: 90万株
(2023年3月31日現在)[1]
売上高
  • 連結: 84億0966万7000円
  • 単独: 39億9747万5000円
(2023年3月期)[1]
営業利益
  • 連結: △5億5190万6000円
  • 単独: △2億0581万9000円
(2023年3月期)[1]
経常利益
  • 連結: △3億9293万7000円
  • 単独: △3億7212万1000円
(2023年3月期)[1]
純利益
  • 連結: △7億9003万3000円
  • 単独: △7億8699万8000円
(2023年3月期)[1]
純資産
  • 連結: 20億5993万7000円
  • 単独: 20億3523万6000円
(2023年3月31日現在)[1]
総資産
  • 連結: 218億1773万2000円
  • 単独: 206億3985万0000円
(2023年3月31日現在)[1]
従業員数
  • 連結: 1,227人
  • 単独: 329人
(2023年3月31日現在)[1]
決算期3月31日
会計監査人EY新日本有限責任監査法人[1]
主要株主
主要子会社
外部リンクhttp://www.izuhakone.co.jp/
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沿革

鉄道事業

駿豆線大雄山線とも沿線に高校や工場などがあり、通勤・通学輸送としての面が強いが、伊豆半島(西伊豆)に位置する駿豆線は沿線に観光地が多く、首都圏からJR東日本JR東海東海道本線東海道線)を経由して特急列車が乗り入れているため観光客も多い。なお、伊豆箱根鉄道という社名であるが、箱根町ではかつて駒ヶ岳ケーブルカーを運営していたものの2005年に同ケーブルカーを廃止後は鉄道路線を有していない。

駿豆線と大雄山線はそれぞれ静岡県内、神奈川県内に路線があり、両線は直接つながっていない。駿豆線は三島駅でJR東海の東海道本線と、大雄山線は小田原駅でJR東日本の東海道本線と線路が繋がっている。駿豆線と大雄山線の両線を乗り継ぐ場合は東海道本線や東海道新幹線など、他の交通機関を介する必要がある。また車両の検査や修繕などは駿豆線にある大場工場で行っているため、大雄山線の車両検査時は東海道本線小田原駅 - 三島駅間をJR貨物の運行で甲種輸送し、同工場に入出場している。

鉄道車両の新車納入時には、大雄山最乗寺から住職を招いて仏式のセレモニーを行う[29]

現有路線

廃止路線

移管路線

  • 駒ヶ岳索道線(箱根 駒ヶ岳ロープウェー) : 箱根園駅 - 駒ヶ岳頂上駅 1.8 km - 2016年2月1日に西武グループ内のプリンスホテル(箱根園)に移管[20][21]
  • 十国鋼索線(十国峠ケーブルカー) : 十国登り口駅 - 十国峠駅 0.3 km - 2021年12月1日付で十国峠株式会社として会社分割。2022年2月1日付で富士急行株式会社に株式を売却[28]

車両

2020年9月時点で51両(大雄山線21両、駿豆線30両)の車両を保有している[26]

駿豆線はJR線からの乗り入れもあり全車両が20m車であるが、大雄山線は車両限界の関係から18m車以下である。同線は自社発注車の5000系で統一されたのに対して、駿豆線には譲受車も在籍しているので、平均車齢は大雄山線の方が低い。

また西武グループの企業らしくケーブルカーの外装はライオンズカラー、旅客用電車の外装はライオンズブルーの帯となっている。ライオンズブルーは親会社の西武鉄道より早く採用している。

以下、車種を明記していない車両は全て電車である。

現有車両

駿豆線

電気機関車

貨車

大雄山線

過去の車両

駿豆線 1000系
駿豆線 1100系
大雄山線 モハ64
両線共通形式
  • モハ20形
  • モハ30形
  • モハ40形
  • モハ50形
  • モハ60形
  • モハ100形
  • クハ20形
  • クハ70形・サハ70形
  • クハ80形・サハ80形
駿豆線
大雄山線

鉄道運賃

大人普通旅客運賃(小児半額、10円未満切り上げ)。駿豆線・大雄山線共通。駿豆線は2023年4月1日改定[31]。大雄山線は2024年3月16日改定[32]。キロ程の1km未満の端数は切り上げる。大雄山線に限りPASMOなどの交通系ICカードが利用できるがIC運賃(1円単位)の設定はない。JR線との連絡運輸の設定があり、伊豆箱根鉄道線内からJR線の一部駅まで連絡乗車券が購入できる。大雄山線と駿豆線との間に東海道本線を介した通過連絡運輸は設定されていない。

キロ程運賃(円)
1 - 3160
4170
5190
6210
7240
8270
9 - 10310
11 - 12360
13 - 14400
15 - 16440
17 - 18490
19 - 20550

自動車道事業

伊豆箱根鉄道直営にて以下の一般自動車道の管理・運営を行っている。

供用中の自動車道
廃止された自動車道
  • 湖畔線(神奈川県箱根町 - 神奈川県道に移管)
  • 早雲山線(神奈川県箱根町 - 神奈川県道に移管)
  • 十国線(神奈川県湯河原町・静岡県函南町・熱海市 - 静岡県道に移管)
  • 駒ヶ岳線(神奈川県箱根町 - 無料、2015年度頃廃止[注 1]

廃止直営事業

鉄道事業については「廃止路線」の節ならびに「移管路線」の節を、自動車道事業については「自動車道事業」の節を、分社化された事業については「関係会社」の節を、それぞれ参照。

ホテル・レストラン事業

クルーズ客船「ステラ・ポラリス」として運用されていた船を、1970年から伊豆箱根鉄道が所有・管理し、係留地の静岡県沼津市西浦でホテル兼レストラン「フローティング・ホテル・スカンジナビア」として営業していた。1999年にホテル営業を終了、2005年にレストラン営業も終了。2006年に売却され、その直後の曳航中の事故で沈没した。

関係会社

伊豆箱根バス

伊豆箱根鉄道グループのバス事業は、子会社の伊豆箱根バス株式会社が行っている。

伊豆箱根交通

2021年4月現在、伊豆箱根鉄道グループのタクシー事業は、子会社の伊豆箱根交通株式会社が行っている。登記上の本店は静岡県三島市大場300番地[33]

伊豆箱根交通は1932年(昭和7年)に当時の駿豆鉄道が車両3台にて営業を開始した。その後、1969年(昭和44年)に伊豆箱根ハイヤー株式会社を専業会社として分社し、1971年(昭和46年)に箱根国際交通株式会社を吸収合併[34]1974年(昭和49年)に新設の伊豆箱根交通株式会社が営業権を引き継いだ[34]1996年(平成8年)に湯河原観光自動車株式会社[34]2021年(令和3年)4月に伊豆箱根タクシー株式会社を、吸収合併している。沼津・三島・長岡・修善寺・熱海・湯河原・小田原・大磯に営業所を持つ[35]

営業地域に伊豆・箱根を抱えるため、観光目的での使用の多いジャンボタクシーを10数台配備しているほか、近年、福祉タクシー、車椅子・寝台専用車、ケアサポートカーなどの介護福祉方面の需要を想定した車両の充実を図っている。

ラブライブ!サンシャイン!!』とのタイアップを行っており、沼津・長岡の両営業所で合計9台のラッピングタクシーを運行している。

廃業・譲渡

伊豆箱根観光バス

伊豆箱根観光バス株式会社愛知県名古屋市港区を営業拠点として観光バス事業を営んでいたが[16]、2006年9月30日に解散、2007年2月20日清算決了した[17]

伊豆下田バス

伊豆下田バス株式会社がかつて存在し、バス事業を営んでいた。

伊豆箱根タクシー

伊豆箱根タクシー株式会社1939年8月13日に企業合同により設立された伊豆長岡自動車株式会社(資本金980万円)を祖とする。1952年9月に伊豆長岡自動車株式会社がツバメ自動車株式会社に社名変更。1960年に伊豆箱根鉄道傘下に入る。1969年に本社事務所と整備工場を三島市西若町に移転。1991年1月23日にタクシーの車体デザインをライオンズカラーとする。2010年(平成22年)4月1日にツバメ自動車株式会社と沼津交通株式会社が、ツバメ自動車株式会社を存続会社として合併し、伊豆箱根タクシー株式会社に商号変更した[36]。2021年4月1日に効率化を理由として伊豆箱根交通に吸収合併された。三島西若・長岡・沼津大岡に営業所を持っていた[35]

十国峠

伊豆箱根鉄道の直営で運行していた十国鋼索線を2021年12月1日に十国峠株式会社に分割した。2022年2月1日に富士急行株式会社へ十国峠株式会社の株式が売却され、伊豆箱根鉄道グループおよび西武グループを離脱し富士急グループに移った。

芦ノ湖遊覧船

2022年11月30日までは伊豆箱根鉄道が直営で神奈川県足柄下郡箱根町に箱根船舶営業所を置いて芦ノ湖にて芦ノ湖遊覧船を運航していたが、2022年12月1日付で一部の飲食店事業を除いた遊覧船事業を、新設分割により発足した芦ノ湖遊覧船株式会社に移管。2023年3月1日付で同社が富士急行に売却され(同時に箱根遊船株式会社に社名変更)、伊豆箱根鉄道グループおよび西武グループを離脱し富士急グループに移った。

2018年度には地域の祭事などに合わせた臨時増発便を運航するなど積極経営を行ったにもかかわらず、個人・団体旅客利用ともに減少し、前年を大きく上回る1億円超の赤字を計上するなど[37]、経営を著しく圧迫していた。

伊豆箱根鉄道直営時代には、以下の航路も運航していた。

  • 三津湾内航路 : 伊豆・三津シーパラダイス内発着の「(内浦)湾内めぐり」。2016年4月で廃止[38](三津船舶営業所)。
  • 三津沼津航路 : 伊豆・三津シーパラダイス - 沼津港間。1998年で廃止(三津船舶営業所)。
  • 西伊豆航路 : 沼津港 - 大瀬崎船着場(2002年8月廃止)- 井田港 - 戸田港 - 土肥港 - 八木沢港 - 宇久須港 - 安良里港 - 田子港 - 堂ヶ島 - 仁科港 - 松崎港(松崎町
    1954年に未だ陸の孤島状態であった西伊豆沿岸部の海上交通手段として観光船が就航。その後、三島駅の東海道新幹線発着時刻に合わせて同駅 - 沼津港間までの連絡バスを運行させるセット券の発売と、それに連動した運航ダイヤの設定から観光客の利便性を図り、1980年代より最高速度28ノットの大型高速船「こばるとあろー」シリーズが導入された。
    1997年頃から2002年頃までは、首都圏からの集客を図る目的から新宿駅西口 - 沼津港間を伊豆箱根観光バスによるツアーバス形式の連絡バス(事前申込制)が夏期シーズンに1往復不定期運行されていた。
    利用者数は最盛期の1993年に約23万人を記録したが、その後道路整備が進んだために、2002年には約8万人までに減少したことで収益悪化が続き、他事業からの赤字補填の限界から同年1船を売却。11月には2003年中の航路廃止を発表した。
    2003年8月31日限りで廃止となり、沼津・戸田・土肥・松崎の船舶営業所は解散、船舶は同年中に全て海外へ売却された。
    伊豆箱根鉄道の撤退後は、沼津港 - 大瀬崎間については従前通り千鳥観光汽船が夏期限定運航し、沼津 - 戸田間についても共同運航を実施していた戸田運送船戸田村(現:沼津市に編入合併)から補助金を得て単独運航を継続すると共に土肥町(現:伊豆市)などからの要請から西伊豆航路廃止間際に戸田 - 土肥港間を延伸した。このため実質的に航路が消滅したのは土肥港 - 松崎港間に限られた。その後戸田運送船も撤退した。なお、西伊豆航路との関わりから開発された「松崎プリンスホテル」も2005年に売却されている。
  • 大瀬航路 : 沼津港 - 大瀬崎
    「こばるとあろー」運航以前は西伊豆航路とは独立した航路だった。
  • 三浦航路 : 沼津港 - 静浦 - 内浦 - 西浦
  • 初島航路 : 熱海港 - 初島 - 伊東
  • 大島航路 : 熱海港 - 大島
船舶
伊豆箱根丸
1957年購入、元・九州商船「長福丸」。1959年4月から大島航路に就航したが、1966年8月、大島航路撤退により東海汽船に売却。

なお、分社前には芦ノ湖遊覧船事業の一環として伊豆箱根鉄道と伊豆箱根バスの共同でいすゞ・フォワードベースの水陸両用バスを運行していたが、2021年4月1日に当社と同じ西武グループ内のプリンスホテルに事業を譲渡している[14]。バス区間の運行に関しては当初は自家用ナンバー、のちに営業ナンバーで行われていたが、プリンスホテルへの事業譲渡の際に自家用ナンバーに変更されている。

浜名湖遊覧船

浜名湖遊覧船株式会社が静岡県浜松市西区(現:中央区)を中心に浜名湖にて遊覧船事業を営んでいたが、2009年9月30日にサゴーエンタプライズに株式譲渡され、サゴーグループの子会社となった[39]

脚注

注釈

出典

関連項目

外部リンク